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アストリア
#14
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翌日には凛太朗とジーノの妹を拉致した連中の居所がわかった。もちろん同じ場所にとどまっていたわけではないし散り散りに逃げているようだったが、フィオーレの力をもってすれば全員の居所を突き止め監視を続けることも容易い。それらの情報は全て真に集められた。
昨夜、ダル・カント屋敷を後にした真はその足でフィオーレを訪ねた。まだ電話でしか概要を伝えていないユーリに詳細を報告するためだった。
「大変だったね。でも弟さんが無事でよかった」
フィオーレのドンであるユーリは優しく真を労った。真はフィオーレやカンドレーヴァの協力者であるダル・カントからの仕事に穴を開けてしまったことを詫び、その始末をつけると同時に今回の騒動の首謀者たちも自らの手で制裁することを伝えた。
「危険だから一人では行くな、と言っても君はきかないんだろうね」
ユーリは苦笑し、執務室の机に寄りかかって腕を組んだ。スーツの袖から覗く細い手首にはめられた時計は、彼の誕生日に真が贈った物だった。
「なら俺は聞かなかったことにするよ。君の主として、部下をみすみす危険な目にあわせるわけにはいかないし、そんな報告を了承もできない。でも一人の人間として、大切な弟を傷つけられ、その落とし前を自分の手でつけたいという君の気持ちもよくわかる」
「ありがとうございます。あなたに迷惑はかけません」
「いや、できるだけ早く方が付くように全力でサポートしよう。既に色々な線から連中の足取りを追ってるから見つかるのも時間の問題だ。無論国外逃亡なんて出来ないように出口は全部塞いである。入ってきた情報は全部君に回すから、あとは逃げ場を失い恐怖と後悔で怯える奴らを始末すればいい」
ユーリは変わらず穏やかに微笑んでいるが、彼が怒っているらしいことはわかった。
「身内を傷つけられて腹が立っているのは君だけじゃないからね」
「ありがとうございます」
恐ろしくも優しいこのボスが、真は好きでたまらない。
昨夜、ダル・カント屋敷を後にした真はその足でフィオーレを訪ねた。まだ電話でしか概要を伝えていないユーリに詳細を報告するためだった。
「大変だったね。でも弟さんが無事でよかった」
フィオーレのドンであるユーリは優しく真を労った。真はフィオーレやカンドレーヴァの協力者であるダル・カントからの仕事に穴を開けてしまったことを詫び、その始末をつけると同時に今回の騒動の首謀者たちも自らの手で制裁することを伝えた。
「危険だから一人では行くな、と言っても君はきかないんだろうね」
ユーリは苦笑し、執務室の机に寄りかかって腕を組んだ。スーツの袖から覗く細い手首にはめられた時計は、彼の誕生日に真が贈った物だった。
「なら俺は聞かなかったことにするよ。君の主として、部下をみすみす危険な目にあわせるわけにはいかないし、そんな報告を了承もできない。でも一人の人間として、大切な弟を傷つけられ、その落とし前を自分の手でつけたいという君の気持ちもよくわかる」
「ありがとうございます。あなたに迷惑はかけません」
「いや、できるだけ早く方が付くように全力でサポートしよう。既に色々な線から連中の足取りを追ってるから見つかるのも時間の問題だ。無論国外逃亡なんて出来ないように出口は全部塞いである。入ってきた情報は全部君に回すから、あとは逃げ場を失い恐怖と後悔で怯える奴らを始末すればいい」
ユーリは変わらず穏やかに微笑んでいるが、彼が怒っているらしいことはわかった。
「身内を傷つけられて腹が立っているのは君だけじゃないからね」
「ありがとうございます」
恐ろしくも優しいこのボスが、真は好きでたまらない。
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