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一度目の告白
レベル2
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リードが言うには経験値を貯める方法の一つとしてはリードが実際に経験する。もう一つは他の魔神候補生から奪うという二択がある。博人は後者で進めようとするがリードは乗り気でないらしい。というのも……
「僕は魔人候補生の中でも最弱レベルだからねぇ」
「何でそんなこと分かるんだよ」
他の魔人候補と争いたくないがための言い訳かもしれない、博人は根拠を求めた。
「そもそも僕たち魔人候補生は『導力』という力をもとに人間の願いを叶える手助けをすることで次期ランプの魔人を決めようってことなんだねぇ」
「おう」
「その導力っていうのはパワーの力・知識の知・恋愛の恋・芸術の芸・操作の操の五種類5段階のレベルに分けられてて、天界からここ人間界に来る少し前に自分がどの導力の何レベルか通知が来るんだけどぉ……」
夕食を食べ終わり、博人は茶をすすりながら話を聞いている。
「僕は知導力の1レベルらしいんだねぇ、知導力っていうのは頭の良し悪し的なことなんだけどねぇ?」
「あー」
「運営によると1レベル間の実力差は約100倍、奇跡でも起こらない限り同レベル以上に勝つことはまずないっぽいからぁ……」
どういうことか分かるだろというような目でリードは博人を見る。
「積極的に攻めるのはまだ無理ってことか」
「そーそー」
「とりあえずその知導力を軸に経験値を稼げばいいわけだな、それじゃあ……」
「これは?」
「『何処園教授監修猿を東京の大学生にする修行』っていうゲームでな、途中でついていけなくなってやめたんだが知導力1レベルを猿とするならばピッタリなんじゃないか?」
博人が出してきたのはゲーム機本体の機種が変わるたびに発売され、毎回そこそこ売れる何処園教授シリーズの一つだった。
「実際俺の頭が良くなっていないところから効果があるか不明ではあるが……」
「途中ってかなり序盤でやめたんじゃないのぉ?」
「確かアウス……アウスト……何とかってランクで止めた」
「それ多分人間にもなれてないねぇ……」
博人の言わんとしていることが分かったらしいリードは魔神でありながら人間より人間のことを知っていることになる。
「とにかく春休み中はそれやってりゃいいんじゃん? 何日もできるゲームか知らんけど」
「何もしないよりはいいかもねぇ」
手渡されたゲーム機を起動してリードは操作方法を頭に入れていく。
「ちょっとやったら寝ろよ」
「りょーかーい」
リードを放置して食器を片づけた博人はさっさと準備し二階に上がって床に就いた。
翌日、博人が目を覚ますと……
「んー……ん?」
「ヒロトおはよぅ」
「おう、ってお前まさか寝てない?」
「ちゃんと寝たよぉ、早く起きただけさぁ」
リードが床に座ってゲームをしていた。掛け布団が転がっていることから寝たようだ。
「それ面白いか?」
「面白いよぉ、ほい」
ゲーム画面には「高校卒業レベル」の文字が踊っていた。
「へ、へぇ~……飯食ってくるわ」
「じゃあ僕も行こぉ」
明らかに成績の良い自分は見たことがない画面を見せられてたじろぐと同時に知導力1を見直した博人だった。
3月中旬、終業式に二人が出会って約二週間経ち3月が終わろうという頃動きが起こる。
「そろそろ全クリしたんじゃねぇの? それ多分そんなにやり込むように作られてないぞ」
「今最終関門だよぉ、ここをこうして……よしっ! クーリアーーーーあっ!?」
「おぉ!?」
最終関門とやらをクリアしたらしいリードが手放しで喜んでいると内から外から光だし、博人は強烈な目つぶしを食らった。
光は数十秒で収まり、徐々に目が開けられるようになってくる。
「今のはまさか……」
「うん、そのまさかみたいだねぇ」
博人が察した通りリードはレベルアップしていた。
「あーダメだ! ダメだよぉ!」
「どうした!?」
「この力は……僕らを戦場へ誘うんだなぁ」
「お前厨二的な奴だったのか」
急に頭を抱えるリードは厨二の素質を持ち合わせていた。
「それより何か分かったんだろ?」
「うん、まず僕らの言う導力にはレベルに応じてスキルっていうものがあるんだけどぉ」
「おう」
「僕の知導力レベル1では『集中』のスキルがあったんだねぇ」
「あんだけあのゲームばっかりやってたのはそういうことだったのか」
「一理あるだろうねぇ」
レベル1時点でリードは博人に明かしていないスキルを持っていた。集中力だけでは戦えない、リードが攻めの姿勢を見せないのはそんな理由もあったらしい。
「それでね、今レベル2になったわけだけどそのスキルが『交渉力』らしいんだよぉ」
「結局戦えなくね?」
「物理的に戦わなくても話術で勝負すればいいんだよねぇ」
リードがにやりと笑う。
「それに物理的な力が欲しいなら交渉で仲間にすればいいんじゃないかなぁ?」
「なるほど」
「もう一つ、僕にとっては良くないけどヒロトにとっては良いかもしれない話があってぇ……聞きたいぃ?」
「もちろん」
「えぇ……」
自分で振っておいて言い淀むリード、良い話と聞いて博人は前のめりになる。
「本当はレベル1の時から気づいてたんだけど近所に居るんだよねぇ、魔人がさぁ」
「そりゃ丁度いい、お前以外の魔人も見てみたいしエンカウントしに行こうぜ」
「そうなるよねぇ……いやー争いたくないなぁ」
遠い目をするリードは争いたくないというより痛い目を見たくないというところだろう。両者方向性の違いはあれど勝負したい、勝負しなければいけないということで着地点は交わりそうだ。
「僕は魔人候補生の中でも最弱レベルだからねぇ」
「何でそんなこと分かるんだよ」
他の魔人候補と争いたくないがための言い訳かもしれない、博人は根拠を求めた。
「そもそも僕たち魔人候補生は『導力』という力をもとに人間の願いを叶える手助けをすることで次期ランプの魔人を決めようってことなんだねぇ」
「おう」
「その導力っていうのはパワーの力・知識の知・恋愛の恋・芸術の芸・操作の操の五種類5段階のレベルに分けられてて、天界からここ人間界に来る少し前に自分がどの導力の何レベルか通知が来るんだけどぉ……」
夕食を食べ終わり、博人は茶をすすりながら話を聞いている。
「僕は知導力の1レベルらしいんだねぇ、知導力っていうのは頭の良し悪し的なことなんだけどねぇ?」
「あー」
「運営によると1レベル間の実力差は約100倍、奇跡でも起こらない限り同レベル以上に勝つことはまずないっぽいからぁ……」
どういうことか分かるだろというような目でリードは博人を見る。
「積極的に攻めるのはまだ無理ってことか」
「そーそー」
「とりあえずその知導力を軸に経験値を稼げばいいわけだな、それじゃあ……」
「これは?」
「『何処園教授監修猿を東京の大学生にする修行』っていうゲームでな、途中でついていけなくなってやめたんだが知導力1レベルを猿とするならばピッタリなんじゃないか?」
博人が出してきたのはゲーム機本体の機種が変わるたびに発売され、毎回そこそこ売れる何処園教授シリーズの一つだった。
「実際俺の頭が良くなっていないところから効果があるか不明ではあるが……」
「途中ってかなり序盤でやめたんじゃないのぉ?」
「確かアウス……アウスト……何とかってランクで止めた」
「それ多分人間にもなれてないねぇ……」
博人の言わんとしていることが分かったらしいリードは魔神でありながら人間より人間のことを知っていることになる。
「とにかく春休み中はそれやってりゃいいんじゃん? 何日もできるゲームか知らんけど」
「何もしないよりはいいかもねぇ」
手渡されたゲーム機を起動してリードは操作方法を頭に入れていく。
「ちょっとやったら寝ろよ」
「りょーかーい」
リードを放置して食器を片づけた博人はさっさと準備し二階に上がって床に就いた。
翌日、博人が目を覚ますと……
「んー……ん?」
「ヒロトおはよぅ」
「おう、ってお前まさか寝てない?」
「ちゃんと寝たよぉ、早く起きただけさぁ」
リードが床に座ってゲームをしていた。掛け布団が転がっていることから寝たようだ。
「それ面白いか?」
「面白いよぉ、ほい」
ゲーム画面には「高校卒業レベル」の文字が踊っていた。
「へ、へぇ~……飯食ってくるわ」
「じゃあ僕も行こぉ」
明らかに成績の良い自分は見たことがない画面を見せられてたじろぐと同時に知導力1を見直した博人だった。
3月中旬、終業式に二人が出会って約二週間経ち3月が終わろうという頃動きが起こる。
「そろそろ全クリしたんじゃねぇの? それ多分そんなにやり込むように作られてないぞ」
「今最終関門だよぉ、ここをこうして……よしっ! クーリアーーーーあっ!?」
「おぉ!?」
最終関門とやらをクリアしたらしいリードが手放しで喜んでいると内から外から光だし、博人は強烈な目つぶしを食らった。
光は数十秒で収まり、徐々に目が開けられるようになってくる。
「今のはまさか……」
「うん、そのまさかみたいだねぇ」
博人が察した通りリードはレベルアップしていた。
「あーダメだ! ダメだよぉ!」
「どうした!?」
「この力は……僕らを戦場へ誘うんだなぁ」
「お前厨二的な奴だったのか」
急に頭を抱えるリードは厨二の素質を持ち合わせていた。
「それより何か分かったんだろ?」
「うん、まず僕らの言う導力にはレベルに応じてスキルっていうものがあるんだけどぉ」
「おう」
「僕の知導力レベル1では『集中』のスキルがあったんだねぇ」
「あんだけあのゲームばっかりやってたのはそういうことだったのか」
「一理あるだろうねぇ」
レベル1時点でリードは博人に明かしていないスキルを持っていた。集中力だけでは戦えない、リードが攻めの姿勢を見せないのはそんな理由もあったらしい。
「それでね、今レベル2になったわけだけどそのスキルが『交渉力』らしいんだよぉ」
「結局戦えなくね?」
「物理的に戦わなくても話術で勝負すればいいんだよねぇ」
リードがにやりと笑う。
「それに物理的な力が欲しいなら交渉で仲間にすればいいんじゃないかなぁ?」
「なるほど」
「もう一つ、僕にとっては良くないけどヒロトにとっては良いかもしれない話があってぇ……聞きたいぃ?」
「もちろん」
「えぇ……」
自分で振っておいて言い淀むリード、良い話と聞いて博人は前のめりになる。
「本当はレベル1の時から気づいてたんだけど近所に居るんだよねぇ、魔人がさぁ」
「そりゃ丁度いい、お前以外の魔人も見てみたいしエンカウントしに行こうぜ」
「そうなるよねぇ……いやー争いたくないなぁ」
遠い目をするリードは争いたくないというより痛い目を見たくないというところだろう。両者方向性の違いはあれど勝負したい、勝負しなければいけないということで着地点は交わりそうだ。
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