お尋ね者

ラケモ

文字の大きさ
上 下
1 / 7

第一話 影

しおりを挟む
一.

 時は安土桃山、戦に明け暮れる世の片隅、静かな農村が眼下に広がる奥深い山林にて、細い一本の獣道をゆく駕籠かごの一行があった。
 一行の人数は総勢七名、先頭には馬に跨り脇差を下げた侍、その後ろには二名の銅丸を着込んだ足軽が二名、駕籠を背負う雲助くもすけが前後に一名ずつ、その後ろに足軽がまた二名。
 ずしゃり、ずしゃり、と朽ち枝や落ち葉の敷き詰まる険しい山道を進むその足取りは、正午を過ぎて天上から西に向かい傾く日差しに少し急かされながらも、駕籠の揺れを一定に保ち乱さぬよう慎重に、山林の奥へと続く獣道を進むのであった。
 そしてその一同を、天高く伸び茂る大木の上から見下ろす一つの影があった…。

二.

 駕籠の一行がその影の真下に差し掛かったその刹那、影は木の上から地上へと舞い降りた。
「ヒヒーーーーン!」
 激しい馬の嘶きと共に、駕籠は激しい揺れを伴い地面へとドシャリと叩き付けられた。
「何事じゃ!この騒ぎは!妾の駕籠を落とすとは何事ぞ!」
 駕籠の中から女の声が上がった。覗き窓から身を乗り出したその女は目に飛び込んできた光景に言葉を失い顔を蒼くした。そこには一面の血の海が広がり、無残に刃物で切り裂かれ朽ち果てた一行の死骸が横たわっていたからだ。
「な、なんじゃこれは!一体何が起こったのじゃ!誰か、誰かおらぬのか?」
「呼んだかい?お嬢ちゃん。」
 女の前に突然に、ぬっと男が現れた。その男は木の上から舞い降りた影であり、一行を惨殺した張本人であった。

 背丈は六尺はあろうかという巨体であり、見窄らしい羽織から露出した肌は大半が赤黒く焼け爛れ、朽ちたほうきのようにボサボサの髪を後ろで束ね、前髪から見え隠れする目玉は凶器に満ち満ちて、更には右目の眼球は今にも飛び出しそうな程に歪な形状をしていた。
「ば、化け物ーーー!」
 女が叫ぶと同時に男は女の手を掴み、有無を言わさず駕籠の外へと引き摺り落とした。
「ぐわはっ!な、なにをするこの化け物め!何と無礼な!わらわはこの地を治める氏族の娘、高砂之上の姫と知っての…」
 ズガッ!
「ぐ、ぐうふぅ!」
 娘が口上を切る前に、男は土で汚れた素足で娘の顔を踏み付け地面にねじ伏せた。
「はいはいお嬢ちゃん、あんたがどこの誰だか知らねえが、その立派な着物に大層な駕籠、盛大な護衛を見りゃどこぞの偉い人だってのは一目瞭然よ。」
 男は足をグリグリと押しつけながら続ける。
「男だったら金品奪い取って血祭りに上げてやるところだったが…こんないい女なら話は別だな。」
「うぐ、うぐぐ、妾を、どうするつもりじゃぁ」
「どうするか?これだから世間知らずのお姫様は困るぜ、こうするに決まってんだろっ!」
 バサァッ!男は力任せに娘の衣服を剥ぎ取り空へと投げ捨て、その裸体を露わにさせた。
「ひっひぃーーー!」
 白く珠のような柔肌に、隠した両手から溢れる乳房、絶望と怒りが混ざり合う表情が更に男を欲情させた。
「ぐへへへへ、いいねいいねぇ~。流石はお姫様だぜ、むしゃぶりつきたくなる身体してやがんなぁ。かっはっはっは。」
 女は恐怖を誤魔化すように激しく口を開いた。
「化け物め!妾に無礼を働いたらどうなるか知っておるのか!ただでは済まされぬぞ!い、今からでも思い留まれよ!」
「はっはっはっはー、つくづくめでてえ頭だな、この獣道は入口も出口も一つしかない一本道よ。その両方を既に巨大な岩石で塞いでるんだな、お前を助けに誰か来るどころか、ここではいくら泣き叫んでも俺とお前の二人きりって訳よ、さあ、楽しもうぜ?」
「がはっ!」
 男は娘の首を絞め掴み、片手で悠々と高く持ち上げた。娘は手を掴み足をジタバタとさせもがき苦しむ。
「くくく、必死だねぇお嬢ちゃん。抗っても無駄だってことがまだわかんねぇのかい?分からせてやるよ、その体でなぁ!おら!」
 ドコッ!バキッ!ドガッ!男は首を締め上げたまま娘の腹を激しく殴り付け始めた、それは脅す為の演出ではなく手加減のない力具合で。娘の顔は苦痛に歪み開いた口からは殴られる度に唾液が溢れた。尚も男は殴り続け、次第に娘は抗うこともやめた。
「ぐ、ぐへぇ…。」
 涙を唾液を垂らしながらぶら下がる裸の娘を男はそのまま地面に叩き付けた。
「いい按配あんばいになったかねぇ、お前はこれでおいら専用の膣袋になったわけだ。それじゃぁお姫様とやらの締め付けがどんな大層なもんか味合わせてもらうぜ、へへへ。」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...