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エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。
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レティウスにグラスを渡し、いかにも主人に侍る小姓と言う顔で傍に立ったケイツビーは、ちょん、と主人の髪飾りをつついた。
「スカウターの調子、どう?」
実はこれ、アクセサリーでなく魔道具なのだ。対象の状態、能力等を鑑定、測定し、分析結果を数値化して装着者に伝える装置で、読み取った情報を内部に保存できる優れもの。ついている宝石は全て高純度の魔晶石だ。
「順調だ。……が、なんでこんな派手なの持ってきた? あと、スカウターじゃなくてアナライザー」
「それが一番高ランクなんだってさ」
まあ、ランシエナの城の工房で作られたものだから、値段についてはアレなのだが、仮に売りに出せば、ちょっとした城の二つ、三つ買える程度の価値はある。
「ちゃらちゃらして気になる……」
「いーじゃないの、夜会なんだから。ちょっとくらい派手にしたって」
「……」
「似合ってるって。で、有望株はいた?」
いちいち鑑定魔法を使うより手間がないし、あらかじめ基準値を設定しておけば、条件にあう対象を見つけてくれるからと説得してつけさせたのだが、本当はつけてるとこ見たかっただけというのは、ナイショだ。
「ふむ、有望株な……。まず、あの眼鏡の子爵令息」
「ああ、ありゃ俺でも分かるわ。独学で魔術式解析とか、マジ人間か? 育種か匠種じゃねぇの?」
「あとは、竜騎士志望のウィズリー卿の姪」
「おお、あの格好いい女の子。ああいうの、男装の麗人って言うのかねぇ?」
人を見る目のない節穴王子は分かってなかったようだが。
「可能性としては他にも二、三人いたが、この二人ほどではないな」
「あの妙に自信満々て感じの、ナントカ伯爵の息子はどうよ。ほら、もとの嫡子が家を継げなくなって、最近、養子にきたっていう……」
「確かに少々適性はありそうだが……。跡継ぎとして伯爵家に入ったなら、ランシエナに引っ張るわけにもいかんだろう」
「波風立ててまで獲得するほどの人材じゃねぇか」
「ところで、王子のお守りはどうした」
「ギクッ」
唐突に指摘されて、ケイツビーの毛がぴっと立った。
「……バレてた?」
「白々しい。からかって遊んでいたくせに」
「ゴメンナサイ……」
「まあいい。一応、不測の事態にそなえて、殿下には追跡用のタグをつけてある」
「抜かりなし、か」
レティウスにグラスを渡し、いかにも主人に侍る小姓と言う顔で傍に立ったケイツビーは、ちょん、と主人の髪飾りをつついた。
「スカウターの調子、どう?」
実はこれ、アクセサリーでなく魔道具なのだ。対象の状態、能力等を鑑定、測定し、分析結果を数値化して装着者に伝える装置で、読み取った情報を内部に保存できる優れもの。ついている宝石は全て高純度の魔晶石だ。
「順調だ。……が、なんでこんな派手なの持ってきた? あと、スカウターじゃなくてアナライザー」
「それが一番高ランクなんだってさ」
まあ、ランシエナの城の工房で作られたものだから、値段についてはアレなのだが、仮に売りに出せば、ちょっとした城の二つ、三つ買える程度の価値はある。
「ちゃらちゃらして気になる……」
「いーじゃないの、夜会なんだから。ちょっとくらい派手にしたって」
「……」
「似合ってるって。で、有望株はいた?」
いちいち鑑定魔法を使うより手間がないし、あらかじめ基準値を設定しておけば、条件にあう対象を見つけてくれるからと説得してつけさせたのだが、本当はつけてるとこ見たかっただけというのは、ナイショだ。
「ふむ、有望株な……。まず、あの眼鏡の子爵令息」
「ああ、ありゃ俺でも分かるわ。独学で魔術式解析とか、マジ人間か? 育種か匠種じゃねぇの?」
「あとは、竜騎士志望のウィズリー卿の姪」
「おお、あの格好いい女の子。ああいうの、男装の麗人って言うのかねぇ?」
人を見る目のない節穴王子は分かってなかったようだが。
「可能性としては他にも二、三人いたが、この二人ほどではないな」
「あの妙に自信満々て感じの、ナントカ伯爵の息子はどうよ。ほら、もとの嫡子が家を継げなくなって、最近、養子にきたっていう……」
「確かに少々適性はありそうだが……。跡継ぎとして伯爵家に入ったなら、ランシエナに引っ張るわけにもいかんだろう」
「波風立ててまで獲得するほどの人材じゃねぇか」
「ところで、王子のお守りはどうした」
「ギクッ」
唐突に指摘されて、ケイツビーの毛がぴっと立った。
「……バレてた?」
「白々しい。からかって遊んでいたくせに」
「ゴメンナサイ……」
「まあいい。一応、不測の事態にそなえて、殿下には追跡用のタグをつけてある」
「抜かりなし、か」
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