冬馬君の夏

だかずお

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『機内は楽しいな』

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いよいよスペイン、バルセロナに向けて出発。
空港内のフードコートでご飯を食べている冬馬家

「何だか、こっちのご飯恋しくなりそう」と言って大喜はラーメンをすすっている。

ズズズッ

冬馬君は大好物のカレーに更に豪勢にカツがのったカツカレーである、パクッ ムシャムシャ

「かはーっ、たまりませんなぁ」

多網は何故かたこ焼きと炒飯、なかなかの組み合わせである。

「これ」

きみ子は夏の名物 冷やし中華だった。

正子は、って一体どこまで、掘り下げるのだろうか。

どうでもいいが、サーは沢庵をくちにほうばっていた。

「ねぇ、見て」フードコートの外は出られるようになっていて、頭上を飛行機が気持ちよさそうに飛んでいる。

「うわぁーかっこいいな」と目を輝かした大喜。

「ひゃーあれ乗るんだね、楽しみー」ときみ子。
きみ子も海外は初めて、子供たちにとって初飛行機だった。

その言葉を聞いた多網父 サーは急に焦った。
ハッ、あれ乗るんだった、船乗るんじゃないんだ。

ここ空港だし、それちゃうな。

「えっあんなの乗れるの?」

「科学信じていいの?」

サーはテンパりだした、何故ならサーは幽霊、雷だけでなく高い所も嫌いのだ こわいー。

その時だった、「おじちゃんどうしたの?顔青いよ大丈夫?」きみ子の指摘。

ハッ 、サーは必死に隠そうとした。
私のイメージを崩してたまるか「やだなーきみちゃん、おじさん飛行機乗るのなんか全然怖くないよ」

その言葉に皆理解した。
あっ飛行機乗るのがこわいんだと。

「あの翼が折れたら落ちる」とボソリ多網が。

「ひいいい一、やらなきゃいけない仕事があったんだー」と立ち上がるサーを隆が必死になだめた。

「大丈夫、大丈夫 馬より利口ですから」

どんな例えだ隆よ。

「あっ、そうなの」何故か安心した、サー。

阿保か?

「まっ、酔っぱらって寝ちゃえば、すぐ着きますよ」

「あっ、それなら飲もう 」スーは頑張って飲み出した。

正子が「じゃあ、みんな準備は良い?そろそろ時間だし飛行機の乗る場所行くよ」

「おーっ」

いよいよ、スペイン バルセロナに向けての冬馬家族達の旅行が始まる。

子供たちは飛び跳ね大興奮。

いよいよ搭乗口

ここまで来ると日本人は少なく外国人のほうが多かった。

突如不安になる隆
「ああ、もうここでは言葉が通じないんだな、大丈夫かな生きていけるかな?」

サーはガクガク震えていた こわい。

「わたし、空をとぶ、 今日空を飛ぶ」

もはやキチガイである 笑。

「超たのしみなんだけど」きみ子が叫び屁をこいた。

プリッ

あっ、シンプルなやつだ。

それを聞き笑った白人の女の子「オー オナラ~」

日本語やんけ

その子の親は聞いてないフリをしていた。

「ゲハハ見事か?」ブリッ と、またこくきみ子。

まさに、国際問題ぼっぱつか!!

ボフッ

白人の女の子も屁をかました。

きみ子はゲラゲラ笑い出し「かはっ、たまらん」

何故か二人は熱い握手をかました。

そう、分かり合うのに言葉など要らん。

ただ要るのは 純粋なオナラ

どんなメッセージだ。

「いよいよ、空飛ぶんだね」と冬馬君

「ふぅー新たな旅行始まる」と大喜

ほじくった鼻くそを宙になげ笑う多網

さーっ行くぞ スペイン

みなは、チケットを手に持ち、いよいよ搭乗が始まる

冬馬君はこの瞬間のワクワクと期待感を忘れないだろうと思った。
みんなでの海外旅行本当に胸が踊っている。

みなは飛行機に乗り込み始め

飛行機内の入り口で出迎えてくれる綺麗なキャビンアテンダントさんを見て一瞬サーの不安は消えたが見えなくなるとまた不安が出てきた、やあ!!

うー飛行機こわい。

隆は心の中、復唱している、ビーフ ビーフ ビーフウッ。

子供たちは横一列に座った、窓側から冬馬君ついで、大喜、多網、 通路を挟んできみ子。

「かーっ、この出発する瞬間のたまらない、嬉しさ」と大喜

「長旅になるね」ときみ子

「スペインには和室はないよね」と冬馬君

「確かに少し恋しい」きみ子も同調した。

「しかし、長時間飛行機だから、退屈にならないようにトランプ持ってきて良かった」大喜がいった。

「みんなで書いたしおり役立った」と多網。

ニヤリと笑った多網カバンから怖い話の本を取り出した。

ひょーと笑う子供たち。

しおりに書いといて良かったね。

うむ、抜かりなし。

後ろの列では、なんと窓際 サーに多網母、多美ちゃん、横に正子、隆だった。

サーは震え、こんなの見るかと窓を閉めた。

すると、白人のキャビンアテンダント出現

「プリーズ オープン」キラキラキラキラ

うっ、美しい

「オーケーイエッサー」

あなたーピシャン奥さんにはたかれた、サーだった。


ビーフ ビーフ ビーフ 1人練習する隆


あなた、何それ?遂につっ込まれた。 


ビーフだよっ・・・


シートベルトサインがつき、いよいよ離陸。

「みなさん、シートベルトしてください」

日本語をしゃべる添乗員さんに涙を流しそうになる隆、ああホッとした。まだ、ここは言葉が通じる。

飛行機は加速しだし、いよいよだと、興奮高まる子供たち。

そのとき

「あなやひゆなはらやまなはよからやたなはらやなにゆなはらやにはやにたやなははやなとやひぬへら」 突然奇怪な叫び声

これはっ?

そう身内の悲鳴 サーであった。

大爆笑の子供たち

「あははは、あの年であれはないよ」と遠慮なしに笑うきみ子 容赦ない。

出番のない多美も何故かここだと思い叫ぶ

「ちゃー」

冬馬君は感動した、「みんな空を本当に飛んでるんだね」

「うわぁー」子供たちの感動の声

多網は泣いていた。

「多網そんなに感動したの?」と大喜

感動的シーンだと思いきや、イスの角に股間をうっただけであった。

「すごい、田んぼや車があんな小さく見える、なんだかプラモデルの模型みたいだ」冬馬君感動中。

「うわぁー感動やぁー」ときみ子

サーは目を閉じていた、外はみちゃまずい、失禁しちゃう。
少しの揺れで心臓が飛び出しそうだった。

20歳の時にコーヒーカップでちびりかけた男の名はサーである。
そやつが今空を飛んでいる。

サー サー サーッッッ。

遂に景色は見えなくなり下は雲になった。

「すごい、僕ら今 雲の上なんだっ」と大喜

「日本じゃない」と多網

ビーーーーーーーーーーーーーーーーフッと隆

まだやっとるんかい!!

子供たちはイスの前につく、画面に夢中

「すごいっ、これ映画みたり、ゲームが出来る」ときみ子

しばし、これらに夢中になる。

「あーっ、これまだ新しい映画だ」と冬馬君。

飛行機の中、快適に過ごす子供たち。

しばらくすると、何やら大きな台を引きずりながらやってくるキャビンさん。

隆は思った、きたーっ、あれは食事だ。
これで、あの練習は役に立つ。

正子に「食べたいのはビーフだろ?俺に任せろ」

あっ、ちょっとは頼もしいのねあなた と思う正子。

ついにきた

隆はすかさずいった。


ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーフッ


「ホワット?」


ビーーーーーーーーーーーーーーーーフッ


「ノー アイム アスキング ドリンク」

そうドリンクを配りに来ていたのだった。

もちろんそんな単語は奴には通用しない

ビーーーーーーーーーーーーーーフッ


ちなみにこの時の会話を和訳するとこうだろう。

「何飲みますか?」

「うーーーーーーーーーーーーーしーっ」

「ちがいます、飲みものです」

「牛」

イかれてるぞ隆。


多網の母が「飲みものみたいですよ」と一言

ハッと冷静になる隆

正子がすかさず「オレンジ」

「オッケー」

おお伝わった。

隆はビールが飲みたかった、だがビールはビールで良いのか? 分からんかった。
言葉につまる隆。
ええい、勇気をだせ、隆 焦ってでた言葉は

「おっさけー(お酒)」だった。

ホワット?

ストレートに表情に表れるキャビンアテンダント

眉間にシワが寄った。

はっ、怒ってる、日本じゃここまで顔にださないんだが、もういい、なんでもいいよー、要らないよ~泣きそうになる隆。

その時、横に座る外国さんが「ヒィ セッド ビアー」
何と隆の気持ちを通訳してくれた。

「オッケー」

隆は嬉しかった、「オーありがセンキュー」おお、もはや隆語。

それでも、何故か出てきたのはワインだったとさ。

くはっ!!

子供たちは楽勝だった。

きみ子は指をさした「これっ」

「オッケー」

「じゃ、僕これっ」

「オッケー」


おお 隆 おお隆 ああっ隆。


サーは必死に眠ろうとした、寝れば寝れば、起きたらバルセロナだ。

サーは忘れてるが、乗り換えがあるのである、だから起きてもまだ乗るよ~~

三時間後

サー以外は爆睡だった。

そして遂に来た、食事。

隆は気合いを入れた。

この時の為に、一か月練習したんだ。
(他に練習するシチュエーションはいくらでもあったろうに)

「エックスキューズミッ、 フイッシュ オア チキン?」


ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーフッ


隆は撃沈した。


ホワット?



かはっ!!


ちなみにきみ子と多網は、二つくれと言ったそうな。

食事を済ませ、くつろぐ子供たち。

「一体、今、夜なのか夕方なのか分からないね」と大喜

「確かに、時間の感覚がない」冬馬君が言った。

空の上、一体今は何時何だろう。

と言うか、時間とはなんなんだろう?と笑ってしまった。

多網はグッスリ寝ている

「それにしても、よく寝るなぁ多網は」と きみ子

「ごはん食べる時だけ、起きて食べたらすぐ寝たよ」冬馬君は笑った。

それを聴きサーは我が子ながら羨ましかった。
いいなぁー自分も寝たい。
この時サー一睡も出来ていない。

サーーーッッッ

すると、ピッ

「とう機は、ただいま気流の悪いところを通過しておりますので、シートベルトを着用してください」

サーは青ざめた、あっ墜落するんだ!

どんだけネガティヴや。

サーはいろんなコトを思い浮かべはじめた。

あっ、あのアイスたべのこしちゃったな
あっ、あのパンツ買ってから3回しかはいてない
あっ、ボーリングやりたいっ。
あっ仕事いかないでいいんだっ かはっ!!


最後にこころの中叫んだ 「マッマ~~」


飛行機は阿保どもを乗せてゆく



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