冬馬君の夏

だかずお

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『虎鮫代ちゃんのノートから』

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三人は虎鮫代ノートに興味津々。

「まっ、まずは落ちついて、布団敷こう」と冬馬くん。

みんなは布団を敷き始める。
ああ、普段一人の時は自分の布団だけで部屋はすかすかな感じがするけど、二人が泊まりに来てる時は部屋いっぱいに布団が敷き詰められる。
この部屋の光景が何だか、冬馬くんをウキウキさせる。

みんなが泊まる日は本当に最高のひと時だ。
今は部屋が布団いっぱい敷き詰められている。
三人は言った「みんなで過ごすこの夜の時間やっぱたまらない、しかもすっごいノートまである」

「でも、勝手に見ちゃっていいの?」と冬馬君。

すると多網がノートを指差し一言「あっ」

なんとノートの表紙に、見つけた人は覗くべしと書かれてある。

すげぇ、ノートのタイトルが虎鮫代ちゃんの謎で、見つけた人は覗くべしか、謎でもなんでもないよなぁ~。

「じゃあ、見よう」

三人は布団の上にごろ~んと寝そべり。至福タイム

「あー冬馬の部屋で過ごす夜、落ちつくぅー」と大喜。

キャンプ、旅行でしばらく外で過ごし帰ってきた後での、過ごす、過ごし慣れてる冬馬部屋にいつも以上に落ちつき感を感じたりしていた。

「では、見よう」

三人の胸は高まるばかり。何が書かれてるんだろう?

多網がつぶやくように読みはじめた。
「私の謎、意外かも知れないけどわたし、虎鮫代ちゃんの一番の大好物は肉である」

うっわぁー全然意外じゃないよー。
しかも、結構どうでも良かった。

「私虎鮫代ちゃんは、みんな分かると思うけど、ジャイ子ちゃんのファンだ」

いや、絶対わからんし、しかもベタなとこつくなぁー。
他にアニメのキャラはごまんといるだろ。

「ちょっと恥ずかしいけど、虎鮫代ちゃんが最後にオネショしちゃったのが」

冬馬君と大喜は思った、なんちゅーノートを書いてるんだ彼女は・・・

「幼稚園の頃でした」

意外に普通であった。

「ここで虎鮫代ちゃんのまるばつクイズ、読んでる人は一緒に答えてね」

「一応やるか」と大喜
すでに一応になっている。

苦笑い頷く冬馬君。

「私、虎鮫代ちゃんの趣味は鮫の写真を見ることである、マルかバツか?」

冬馬君、大喜は言った。
「なんか名前からして好きそうだよね」

「マル」

「ブー」

「正解はバツ、みんな名前でひっかかると思った ふふっ ふふふっ」

一応脳はくっついていたらしい。

「私の趣味はサンマの骨集めである」

冬馬君と大喜は思った。

知るか!!

「あーもーどうせまるなんでしょ」


まるだった。


「これは、上級者向けよ、私、虎鮫代ちゃんの舌はどうしてまわるでしょう?」


うわぁーこれに関してはもうすでにマルかバツの二択ですらない。
だがこの謎は一応気になった。


「多網答えは?」と冬馬君

「書いてない」

うわぁーでたよ、肝心なところが見れないってやつ。
三人はいようにヤキモキした気分になった。


次のページにめくり、冬馬君達は笑った。


何故なら虎鮫代ちゃんのタイプの男のケツが大量に図として描かれていたからだ。
なんと、それに十ページ以上ついやされとった。
丸型のケツ、四角いケツ、尻でかお化けの可愛いケツ、ピラミッド逆型などまであった。

ぶぶーっ、虎鮫代ちゃんって変わってるよね
と大喜。

まぁ、今更であるが。


次のページには虎鮫代ちゃんの好きな服の絵が描かれていた。
何故か、メイド服があり。
いっとう気になったのは喪服まであったことだ。

「なんだよ、このノート」と大喜。

が、ページをめくると。


この先、危険たちいるなの文字。


三人はなんだっ?と興味津々。

その時、虎鮫代ちゃんの呪いであろうか?
外は突然の風

ガタガタ ガタッ

何このタイミングの風? と冬馬君。

「見ちゃう」と多網が勢いよくページをめくる。

「くわっ、なんじゃこりゃあ!!」驚く三人

虎鮫代ちゃんの抜けた歯が沢山くっついている。

どうでもいいかもしれないが、虫歯は異様に黒かった。

ある意味怖いぞこのノート。

ここにて、多網はページを閉じた。

「この先は立ち入らないことにしたんだね、
多網」と大喜は苦笑い。

居なくなった後もこんなにも虎鮫代ちゃんに振り回されるとは、恐るべしであった。

ちなみに、余談だが、もしページを進めていたら、虎鮫代ちゃんのプロマイドコーナーに入っていた。

みんなはごろーんと寝返り天井を見つめた。

「あー夏休みって本当に最高」ニッコリ冬馬君

いつまでもこうしていたい。

こんな時、本当にくだらないとは分かっているがこんな事をちょびっと考える。
ああ、みんなが帰る時、寂しくなるだろうな。

でも、そんな後のことはどうでもいい。
今を感じ生きよう、そんな事を考え目の前を見つめた。

その日の三人は虎鮫代ちゃんのノートのおかげかは分からないが深い語りをしていた。

「みんなふと考えるときない?」と冬馬君

「なにを?」と大喜

「一体僕らってなんだろう?って」

大喜は笑った。
「すごい質問だね」

「でも、不思議じゃない?」

「うーん、考えたことない」

「多網は?」

多網は鼻くそをくっていた。
ポカンと大口をあけ、鼻水をたらして出てきた言葉は「猿」であった。

それはお前である。

「僕達は知らないことだらけだ」と冬馬君

「先生が前に言ってた、僕らは同じ生命だから命を大事にしなきゃ」ってと大喜。

「そうだね、僕命を大事にする」と冬馬君

「自分も人も大事にしよう」

「動物も自然も地球も」と言い多網はブッコイタ ブリ~ぷシュー。

何故だかその夜はこんな会話をした三人。


生きてる

それはありがたいことだ

いろんな事が体験出来る

そして、三人にとって何よりもありがたいことは

今日こうして存在していることだった。

「みんな、ありがとう」と冬馬君

大喜も多網も「こちらこそ、ありがとう」
ニッコリ笑った。

「よし、夏休み全力で爆発しよう~」

「おーーーっ」

僕らは生きている

思いっきり本気で遊ぼう!!

そんな思いが三人の心の中、ベリーダンスを
していた。

まだまだ、夏は始まったばかり。

どんな思い出になるだろう。

三人の胸は興奮と喜びで高まっていた。



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