冬馬君の夏

だかずお

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『夏休み始まる』

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今は登校中の冬馬君

あれから、何度も学校に行っては、
いまや、言われたことはなんだかもう気にならなくなった。

人に言われたことで引っかかるものを他でもない自分自身が信じてたり、相手に言われたことを、自分がそうなのかもしれないって受け入れることで悩んだり傷ついたりしていることがあることに気づいたのはなんだかちょっと面白い発見でもあった。
まるで人の口を使い自分が信じてることを腹話術のように使って言わせているようだ。

今回の件では、自分が信じていたことに
クラスメートの一言が気づかせてくれた、そんな思いがした。

自分が思いこんでる勘違い人それぞれ沢山ありそう。

「自分が自分をどう思ってるか大切なことだなぁ」 
一人つぶやき、横で寝転ぶ野良猫を見た。
猫はアクビをうかべている。

人にどう思われようが構わない、そんな気持ちになった。

何より今、冬馬君の心は、はずんでいる
なんと明日からいよいよ待ちに待った夏休み
今年はどんな思い出がつくられるのか?
どんなことが待っているのか想像したらワクワクしてきた。


今年も大喜と多網泊まりにくるかなぁ
旅行もキャンプも、
そうだ夏清香家族とキャンプに行けたら くうっ~
朝からハッピーな冬馬君。

こういう時は気分がよく、
普段より会話がはずんでしまう。
自分がいかに普段、
気分がのってないのかに気づき笑ってしまった。

そして ついに キンコンカンコーン
チャイムがなった。

冬馬君はあまりの興奮と嬉しさに机に立ち上がり
「冬馬ファイ ファイ ファイ」
もちろん想像のなかでだが。
こんなことしたら、みんな唖然とするだろうなと一人想像し微笑んだ。

帰りは慎司、山ちゃん 三郎君と話ながら帰った。

「みんな、夏休み予定ある?」と三郎君

「まだないなー」「僕も」

「僕はおばあちゃん家」と山ちゃん

「夏休み、良かったらみんなであそこ行こうよ」
三郎君が指差したのは、丘の上に立つ、この近所で有名な幽霊マンションと呼ばれるところだった。

「行こう」みんなは行く気満々。

「じゃあ、また連絡するね」

「じゃあねー」

冬馬君は家に帰る道、足ばやになった。
さっそく大喜と多網に連絡だ。
初日から飛ばそう
「シャー」
一人テンションマックスだった。

「ただいまー」
あーこの瞬間 この瞬間なんだよたまらん。
家について呼吸をととのえた、夏休み来たーっ。
一ヶ月の自由時間

冬馬君は一人うなった。
「うーうーうーしゃ しゃしゃー」

目の前に立つ人影、正子はぽかんと冬馬興奮ダンスを目にしてしまった。

「あんた、何やってんの?」

「あははは」
苦笑いを浮かべさっそく、電話口に向かう。

毎度のこのパターンこの瞬間、冬馬君は嬉しくて仕方が無い。

プルルルルル
「電話でろ、大喜」

しかし、誰も出ない。
せっかくだから、留守番電話にメッセージを。

つづいて、多網だ

プルルルルルルル

「あれっ、出ない」

「んっ?あっ、多網の声」

「ブーッとした 後に 伝言 ブリッ」

冬馬君は一瞬思った、なんだこのメッセージ留守電は。
というか、間違いなく多網の母ちゃん気づいてないな。

この後に伝言するのか、「あっ、えーっと多網、良かったら今日からうち泊りに来れば、じゃあまた」

「なんだあ、誰もいないのかぁ」

「漫画でも読むかなぁ」

今年もやって来た、もう最高の瞬間
部屋の中を行ったり、来たり、喜びにあふれていた。
はやく、連絡こないかなぁ。

「そうだ、パパが今年もキャンプ行こうって、清香ちゃんの家族も誘ってどうか?って」

それを聴いた瞬間、
冬馬君は宇宙を飛び出し、更には宇宙空間をパンチで突き破り
天国の天使達と手を繋ぎコサックダンスをしていた。

「うん、行く 行く」

あまりのはしゃぎっぷりに笑う、正子。

夕方になった頃

「あれ?おかしいな誰からも返事がない、まっまさか?」

冬馬君は一人想像した。
多網はもう中学生、さすがにもう泊りに来ないのも・・・

大喜からも連絡がない。
みんな、忙しいのかな?
夏はいつも、すぐさま返事来て学校終わって来てたのにな。

冬馬君は少し寂しかった。
今年はもう、みんな来ないのかな


ミーン ミン ミーン
蝉は元気に鳴いている。

その時だった プルルルル

冬馬君は電話口にかけだした。
「大喜かな?多網かな?」

「もしもし」

「あっ、夏休みの塾の紹介させていただいてるんですが?」

「シャー」
怒りの冬馬君、訳も分からない言葉を発して電話を切った。
もう二度とこのお宅にはかからんだろう。

みんなどうしちゃったんだろう。

冬馬君はせっかくの夏休みが始まる前の最高の瞬間を一人祝うことにした。

この日の為に蓄えたお菓子を、リビングのテーブルに広げ、更にはジュース、漫画まで用意して、準備万端。

「うひょー、これ食べながら漫画最高」

寝っ転がって食べ始めようとした瞬間。

プルルルル

すぐさま、電話口に向かった。

「もしもし、冬馬」

「あっ、大喜」

「これから、支度してすぐ泊りに行くよ」

「ひやっほう」冬馬君はあまりの嬉しさに叫んだ。

そして大喜も
「夏休み」

二人声を合わせて
「最高」

電話をきったあと、冬馬君は自らがあみだした、喜びの表現その名もプリプリダンスを始めた。

身体を揺らしけつがプリプリ揺れることから命名されたこのダンスは嬉しい時に発動される。

プリプリプリプリ
身体も揺らし プリプリダンス

プルルルル


「もしもし」

「ブリブリブリリリッ」

「こりゃ多網だ」冬馬君は笑った。

電話は切れた。

一体何だったのか謎だが、分かったことがある。
あれは、きっとすぐ行くの合図だ。

冬馬君はジャンプしたー。

うわー 海に花火大会にお祭り、それにキャンプに旅行。
今年はどんな夏になるんだろう。
もうワクワクは止まらない。

そして、今日からみんな泊りにくる

「やったーやったー」

冬馬君は声をあげてリビングに走った。
お菓子は食べないで待っていよう。


いよいよ、冬馬君達の夏休みは始まった。



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