冬馬君の夏

だかずお

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『サーとスーとカミナリさん』

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テレビは喋る 怖ぁーい話を

みんなは雨の中
布団にくるまり静かに見ている


ザーッ ザーッ

「なんだか雨強くなってきたね」
と冬馬君

「こりゃ 今のこの状況かなりおもしろい」と大喜はニッコリ

きみ子も多網もニッコリ 布団をかけて観ながら盛り上がっている

サーとスー はブルブル 布団をかぶってる

夏の夜のみんなで観るDVDはつづく

そんな時だった

外が光る


ピカッ


「うわぁっ」

「あぁ~」

なんとも頼りない声をあげたのは言うまでもない
サーとスーであった。

サーは思った
一日にこいつ(雷)に二回も出くわすなんて くそぉ。
こわくない、こわくない 立ち向かうんだ 雷なんてこわくない。

スーは心の中思った
かっ、雷様きたーっ
慌てるな、慌てるなこのシチュエーション 最悪のタイミングだが
こわくない こわくない
雷でチビって漏らしてしまったのは、もう一年も前のことじゃないか。

そうだったのかスーよ。

彼らの心の雄叫び

子供達は映像に声をあげた

「怖い~」

一瞬カミナリに気をとられテレビを忘れてた二人
その声にハッとし映像チラリ

「なひゅーほーっ」同時に同じ奇声をあげた二人 ミラクルである

子供達はジロリ

「飲む 飲む」とサー

「飲む 飲む」とスー

二人のコンビネーションはなかなか凄かった うまく怖がったことをごまかしたのである。
いや、決してうまくはないが。

だがカミナリ様は黙っていなかった

まるで こう言ってる様だった

見よ サーとスー私の威力を ! !


ドガァン バリバリ バリバリ
凄まじい音

さすがの子供達も声をあげた

「うわぁー」

「ビックリしたぁこりゃ近いよ」

だが横を見た 冬馬君はビックリして再び声をあげた

「うわぁっ」

サーとスーは直立 起立 礼 をしている

「私がわるうござんした」

「すいませんでした」

その姿にきみ子が
「やばいよ、おじちゃん達取り憑かれちゃったんだよ」

「えーっ」

あまりの雷の音で放心状態の二匹いや二人は 何度も何度も繰り返してるのである

「すいませんでした」

「私が悪うござんした」

それは二人が仕事でよく使うフレーズだった。

「やばいよ、おじちゃん達」ときみ子

そんな中、多網は塩を台所から持ってきた 「これだけあれば」

だが、まさかの事態が

子供達は慌てて布団から出ていた

そんな中今日一番の怖い映像がテレビから

「それがこの映像である」

テレビと目が合った四人

「うわぁー」

「ぎゃー」

四人はいっせいに布団にもぐりこんだ

ハッと我にかえるサーとスー

テレビに映る幽霊と目が合った

「どひーーーーぃーっ」

「うわぁー なくすまー」

ああ意味分からん悲鳴

そして、 空は再び光
もう一発かまされた

サーとスーにはこう聴こえた

ピカッ (私の攻撃を)

ゴロゴロ ドカン バリバリ バリバリ
(骨の髄まで受けよー くらえー)

どんなカミナリだ。

雷は家を突き破り
見事彼らの頭に落っこちた

100点満点である

二人はよくある 漫画でガイコツになりビリビリ動いてるあの状態になった。

「ぐがぁーー」

「もう許して~」

「なくすまー」

「スー スー スー ススー」

「サー サー ササァーッ サー」

ちなみに言っておくが実際 雷など落ちていない、彼らの頭の中に落っこちたのだ

しかし、家中の人が起きてきた

ガチャ「どうしたの?」 「なにがあったの?」 爺さん 婆さん それに多網母

「逝くよ 逝くよ」とサー

「ここはどこ 天国?」とスー

「おじちゃん達、おかしくなっちゃった」ときみ子

しかし、家族は知っていた
カミナリによる一時的な副作用であることを そう見慣れていたのだった。

「ホッとけばいいのよ」と多網母

「毎度のことじゃ」と爺さん

多網は塩をこれでもかと盛っていた

子供達も「じゃあ、寝ようか」

「うん」

「サー スーお休み」

何故かニッコリ笑い手を振るサーとスー

この光景が何より一番怖かった

そして、サーとスーは再びアニメのキャラがカミナリに撃たれてガイコツになる状態を繰り返したのち気絶する様に眠ったとさ。

部屋に来た子供達

「やっぱ、こんな和室に来ると冬休みの婆ちゃん家旅行思いだすね」と冬馬君

「楽しかったなぁ」きみ子が言った。

「また行きたい」と多網

「それにしてもあの二人、大丈夫?」
と大喜

「やっぱ、取り憑かれちゃったんだよ」

事情のよくわからないきみ子は二人がまさかカミナリによってあんなになったとは知る由も無い。

雷も二人の予想以上の反応に満足したのだろう
もう、鳴ることはなかった。

雨は弱まったが、まだ降っている

「今日お祭りどうなるかなぁ」
冬馬君はやっとメインを思い出した
そう、お祭りに来ていたのである。

「雨やんだらお祭りやるかな?」と大喜

「まあ、せっかくの夜」
多網がニッコリ

そして

「夜中の語り合い」
子供達はいっせいに叫んだ

彼らの夜は始まったばかりだった。



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