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『まさかの決闘』
しおりを挟む車は走る
雨は依然として、降っているが、雷がおさまったおかげで、一同は無事に走っている。
化け物め去ったか
空を見上げ多網の父は思った
サー
王権復古
「わー海が見える」冬馬君は外の景色を見て喜んだ。
「海ずいぶん荒れてるわね」と多網母
今時刻は16時を過ぎた頃
いぜん雨は強いまま
「そういえば今日いく家の人はサーとどんな関係なの?」と冬馬君
「彼は僕の中学からの親友なんだ、今は独身でお父さんお母さんと住んでるんだ」
多網父はかけてる眼鏡をクイッと上げて言った。
ちなみに特にここで眼鏡をクイッとあげたことに何の意味もない。
「へぇーじゃあ、おじちゃんの親友」
「んー親友であり、ライバルかな」
父は眼鏡をクイクイっと二回あげて言った。
ちなみにクイクイっとにもなんの意味もないはずだ。
その後、誰もその会話につっこまず
会話は終わった。
サー
多網は必死にとってた、でっかい鼻くそを 海に 投げ捨てる
そして、17時を過ぎた頃到着
雨はやみ
一同 多網父の親友のうちに。
二階建ての立派な家
小さな庭を抜けおうちに。
ピンポン~ シュル
なんじゃこの効果音?
みんな笑った
多網が「もっかい」また押した
「シュル ピー」
チャイムはいかれてしまったみたいだ。
きみ子は、腹をかかえて笑い出す
「あはははは、あはははは ゲラ ゲラ
良い年こいて、雷にうたれて死にかけたおじちゃんみたい」
サーはギョッとした顔を浮かべ、きみちゃん、嫌だな、そんなの覚えてたのか?
当たり前である。
すると玄関が開く
髪は七三わけ、細身で眼鏡をかけた
父の親友が顔を出した
「あっ、こっ こんにちは 」
照れた表情を浮かべ挨拶をする友達
「私はとけたみ ですどうも あがって ください」サーに似て温和な人柄のようだ。
「おじゃましまーす」
みんなは挨拶をして家に入った
動物で言うマーキングであろうか?
玄関できみ子はスカしっぺをした
内緒だったのだろうが
強烈な匂いがそれを明らかにあからさまにする。
多網はボソリつぶやいた「三発か」
玄関を入ってすぐ右にリビングがあった、大きなテーブルに食事が並べてある。
「いらっしゃい」優しそうな、おばあちゃん 「とけたみの母です」とニッコリ
テーブルの端っこに、髪のない 眼鏡をかけた どこか厳格そうな 爺さんが座ってた 、一瞬壺から出て来たタコに見えた。
「いらっしゃい、まあ座りな」
「なんだか、爺ちゃん家の旅行思い出すね」と冬馬君
子供達は笑顔を浮かべ頷いた。
「じゃあ、さっそく 夕食 で 宴会しようか」と、とけたみさん
みんなは床に腰掛け 賑やかな宴会が始まった。
きみ子と多網 遠慮なしに良く食べる
「おいしい おいしい おいしいよ」きみ子マンネンの笑みを浮かべ笑ってる。
冬馬君達も「いただきまーす」
爺さんが「遠慮しないで飲みなさい」
日本酒をサーと多網母に注いだ
サーはここでは酔ったらまずいと思ったのだろう ほんとにちょびっと口にいれたくらいだ。
「しかし、久しぶりだね もう半年は会ってなかったね?」とけたみさんが言った。
「久しぶりだね、結婚する前は毎日のように会ったのに」サーは懐かしむようにつぶやいた。
「昔はこんな小さかったのに今は家族まで持ってこんな子供も大きくなってね」と 婆さんはニッコリ笑って なぜか大喜の頭をなでている
一瞬つっこみそこねたサーに変わって多網母が「その子は親戚の子ですよと」笑った
その言葉に婆さんはビックリすっ転んだ。
「やあね、わたしったら」
「婆さんは、もうボケちゃってダメだ」爺さんは大きな声で大笑い
「ねえ、今日お祭りやってるの?」
ときみ子
「雨降ってたから、どうかなあ?少しは店でてるかもしれんなあ」
もう出来上がりつつある爺さんの顔は赤くなってきている。
「後で、雨もやんだし祭り 覗こうか?」
と とけたみさん
子供達は喜び大はしゃぎ
そんな時だった
話はある話題に
それは、多網父の命ともいえるボーリングだった。
「まだやってる?」とけたみさんは不気味な笑みを浮かべニヤリ
「愚問を」サーも笑みをうかべた
「でも、今の僕には勝てないよ」
その言葉がサーの魂に火をつけた。
ライト オン サー!!
急に席を立ち上がり
眼鏡をクイッと下げ(下げるんかい)
外に出た。
しばらくして、戻るサーこと多網父
背中にはリュック
「まさか?」
カバンの中にはボーリングセット一式。
「あなた、祭りになに持って来てるの?」呆れた母
ちなみにここまで、まったく出番のない多網の妹、多美が存在感を示したかったのだろう
「ちゃー」と突然叫んだ
以上
「まさか、持ってきてるとはな」
とけたみさんは突然立ち上がり二階へ
降りてきた時には ボーリングの試合の時の 姿に変身してた。
速かった。
婆さんはそれを見て、またずっこけた
ズデデーン
「ひく気はないらしいな」サーは手袋を装着
「こりゃおもしろいことになって来たね」とボソッと大喜
もはや彼らの頭に祭りはない
「行こうか」と多網父
「悔しくて寝れなくなるぜ」と、とけたみさん
誰だよ。
この二人ボーリングになると別人だった。
普段の温厚な雰囲気はもうない
二人は外に向かい
子供達は面白い展開に大はしゃぎ
「見に行こう」
すぐさま後を追った。
多網の母も 行くことに
「じゃあ、多美ちゃんは爺ちゃん達と待ってようね」と爺さん
「ちゃー」前回からハマってる多美の突然の突き
前に見事に大喜をうち抜いた、多美の恐るべし、小段突きが 今回爺さんの股間をうち抜いた。
「ぐうはっ」爺さんは声をあげ
多美は笑い 母の背中にひょいと乗った
「すいません、すいません」謝る母
「いいんじゃよ、いいんじゃよ」
うずくまる爺さんは顔を真っ赤にしてる
蛸壺に入りそこねたタコの様にクネクネしている。婆さんは 後ろで大笑い
「すみま せーん」逃げる様に玄関を飛びたした、多網母の 「せーん」のところの声は見事に裏返っていた。
そして
一同ボーリング場に
しかし手馴れている
一瞬の無駄のないゲームのエントリー
まるで海外旅行で旅慣れしてる搭乗手続きのベテランかの如し。
二人は自分達以外のエントリーは認めなかった。
みんなは先にトイレに行った。
大喜だけが サー達の試合開始の瞬間を座って見ている
とけたみさんが立ち上がり
レーンの前で目をつむり深呼吸
まだか? まだか?
長い あーじれったい
かれこれ 二分は動かなかった。
そして、目を見開き
球をサッと持ち上げ
勢いよくピューンとレーンに飛び出した
そして叫んだ
「スーーーー」
大喜はずっこけたのである
生まれて初めてずっこけたのである
なんちゅーかけ声
そしてゲラゲラ笑った。
ストライク
地面に拳を突き出し 叫んだ
「っしゃー スー スー スー 」
もうさっきまでのとけたみさんは居ない
大喜は死にそうだった、笑い死ぬ
試合終わる前にこっちが終わってしまう。
その時、みんなトイレからやってきて
「あっ、凄いストライク」
そして、何よりも凄い顔を真っ赤にして苦しそうな大喜 に目がいった。
「どっどうしたの?」と冬馬君。
「みっ、みっみてれば わ か る」もはや言葉を発するのが難しいようだ、何かにやられたみたい。
冬馬君は息を飲んだ「なんだ?何がおこなわれたんだ?」
多網の父は静かにレーンに向かい
目をカッと見開いた
小走りに走り
「さっしゅっ」とつぶやき投げた
球は持ってない
なにやってんだ?冬馬君は思いプッと吹き出した。
それを見ていた とけたみさんが
「ふっふ、イメトレか」
一人つぶやくのを冬馬君はしかと聴く
そして、球を持ち
走った まさに空に向かって羽ばたく鳥
「サーーーーー 」
でたーっ!!!
球はみるみるカーブ そして
見事ストライク
「っしゃー っしゃー サー」
両手を天にかざし喜ぶ多網父
もはや、母はその場にいるのすら恥ずかしかった。
きみ子は腹を抱えてゲラゲラ笑ってる
「あはは 猿だ 猿だ」その顔は野生の猿そのものだった。
そしていよいよ
来た
大喜は身構える また見れる
もはや一投一投が奇跡
いや、珍事か。
走った
すっ凄い
階段の後ろから助走してる
あまりのバカさ加減に再びきみ子は声をあげて笑った「ゲハハハ バカだよ バカだよ~」
あんたもだ。
そして
「スーーーー」
それを聴いた瞬間 冬馬君は噴火した
顔を真っ赤にして一瞬で噴火した
それを見て大喜も噴火した
大爆笑である
見事である
このレーンでは
得体のしれない二匹の生物が
「サー」 「スー」と言い 飛んだり跳ねたりしているのである。
さすがの多網もそれを見て
「ブハッ」とむせた。
すっ ストライクーっ
歓喜に包まれる とけたみ もはや名前に「さん」づけは記されていなかった。 両手を下に突きだしグルグル回り
スー スー スー あー快快快快快快
スースースー
サーはそれを見て物凄い形相を浮かべている
そして スーは
もはや とけたみ でもなかった。
サーに両手で指さし言った
「スー」
なんじゃ?
「あーっ サー サー」と顔を真っ赤にして怒る多網父
もう子供達は大爆笑
冬馬君は本気で思った
猿か?お前等は猿か?
いや猿に失礼である
そして、サーはスーにサーサーと指を指し言い返した
スーもサーにスー スーと言いかえす
もはや訳が分からん。
命をかけた二匹の試合は続く
しかしこれはまだ序章にすぎないのである。
試合はこの後凄まじい加熱をみせる
いや正確に言うと試合と言うより サーとスーがである。
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