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七夕祭りへ
しおりを挟む『 七夕祭りへ』
冬馬君はご機嫌だった。
何故なら、夏休みも近いのもあったが、なによりも今日の夜から七夕祭りということで多網の父の友達の家に大喜と、しかも、きみ子も一緒に泊めてもらうことになったからだ。
今日は金曜日、お祭りは日曜日までやっている、みんなは日曜日まで泊まって居れるのだ。
「ちゃんと多網のお父さんの言う事聞くのよ」
「はーい」
あの婆ちゃん家以来のみんなとの再開
なんだか楽しみだなあ、ワクワクする。
冬馬君は一人ニタニタ笑っている。
いやーやはり出かける前最高の気分だ。
ピンポーン
「あっ、きっと大喜だ」
冬馬君は玄関にかけていった
玄関を開けると久しぶりの大喜
「ひゃっほー始まるね」
「最高、それに久しぶり」大喜も大はしゃぎだ。
二人はさっそく二階にかけあがって行き
「あー来たね、この瞬間最高」
「でも、一つ心配が」
「なに?大喜」
「くる途中気になったんだけどみてよこの空」
「えっ?」
空を見上げるとなにやら降りそうな天気
「ちなみに今台風来てるらしいんだよね」
「えっ?そうなの?こういう時の台風困るな~」冬馬君は空を見上げた、確かに一雨降りそう。
「いやー降る前に多網達、はやく迎えに来ないかな」
「確かに、来る前に雨降って中止になったらやばいね」大喜も心配そう
「もうじきに多網達迎えに来ると思んだけど」
二人ははやくこいと少し落ちつかない様子だ
雨より先に来てくれ中止はやだよー。
「しかし、今年も夏がやってきた 最高にワクワクするね」大喜も夏休みも近いし最高の気分の様だ。
「いやーこの時期の七夕祭り最高だ」
あまりの嬉しさと上がりまくりのテンションに何度も同じことをつぶやく二人だった。
その時
ピンポ~ン
「二人とも、迎えに来たよ」
冬馬君と大喜は顔を見合わせ
「やったー来たー」二人は飛び跳ねるように部屋をでる。
「ちゃんと言うこときくのよー」と正子が言い聞かす様に言ったが全く耳に入って無いようだ。
外に出ると車の中には多網ときみ子の姿が
うわー久しぶりの多網ときみ子の姿
二人も車の中で冬馬君達の姿を見て嬉しそうに手を降っている
「あーこの顔達なんだか和むね」冬馬君は笑った。
「じゃ、よろしくお願いします」
外に出てきた正子が多網の両親に挨拶をしている。
そして、久しぶりのきみ子に正子も手を振り
きみ子も「こないだはどうもありがとう、最高に楽しい旅行だったよ」
「うん、きみちゃんまた行こうね」
「じゃあ、行ってきまーす」
車はいざ出発!!
「しかし、台風来てるみたいだね」
多網の父こと 通称サーが言った(なぜサーなのかを知りたい方は冬馬君の日常より)
「祭り中止にならなきゃ良いけどね」と多網の母 ひょっこり と多網の妹、多美も顔を出した「ちゃー」
さあいよいよ出発 ワクワクワクワク
子供達のテンションは更に高まっていった。
天気は曇り空だったが予定の中止は無い様で、車は多網の父の友達の家に向かっている。
車内では 久しぶりの再開もあってかみんな大はしゃぎ。
あーやっぱいいなあ、みんなで出かけるの。冬馬君は外の景色を眺めて思う。
「んっ?」しかし雲行きが怪しい
「こりゃ降るな」多網父はつぶやいた
空は真っ暗
「父ちゃんこんなシチュエーション怖い話してよ」と多網
「ひやっほーそりゃ最高」
冬馬君達はこの展開大好きだ。
「良いけど、眠れなくなっちゃうよ」
多網父は息を飲む
ゴクリ
息が喉につまり むせた
カハッ
父よ大丈夫か?
あんたが怖い。
「昔ね僕が大学の時友達と旅行した時の話」
子供達は身体を寄せ集めワクワクして聴いている
「ちょっと古いホテルに泊まって夜中に部屋で友達と話をしてたんだけどついつい盛り上がっちゃって」
プッ(多網の屁)
「夜中なのにうるさくなっちゃってね、隣のお客さんが壁をトントンってしたから、あっ、やばいと思ってしずかにしたんだけど話てるとやっぱり盛り上がってまた声が大きくなっちゃって、するとドンドン ドン」
「ついにおこらしたみたいで、僕らは寝ることに」
ブリッ (多網の屁)
「翌日 帰る時 隣を見てビックリ、なんとドアノブのとこにカバーがかけてあって、その隣の部屋は開かずの間。
中を覗くと部屋は荷物でうまってて誰もいなかった、僕達はゾッとしたよ」
「こわいっ」と子供達
ザーッ 突然雨が降ってきた
「凄い雨」と多網母
その時空は突如光り出す
「ひゃあっ」
可愛い声をあげたのは、サーこと多網父 彼は雷がこわいのだ。
サーの内面の声
「やばいなぁ、まずいなぁ、光ったなぁ、頼むから鳴るな、おとはだすなぁ、音はよぉ」
わたしもこう見えても二人の子を持つ男 雷くらいで 声をあげるなど 今更出来ん よし 私は雷ごときでびびらんぞ
よしっ サー 父は気合いをいれるために心の中一人連呼した
サー
サー
サーッ
「しかし、凄い雨だなぁ、雷も鳴るよ今光ったもん」と大喜
「雷くらいこわくないわよ」ときみ子
父は思った
きみちゃんは強いなー
こりゃビビる訳にはいかない
私の威厳ちゅーもんもある
サー
父は一人心の中叫んでいる。
その時
また光った
すごく光った
最高に光ったもん
ピカ~っ 辺りは眩しいくらいに明るくなる
「わきょー ぬくしゃはあああああっ」
えっ?
みんなは雷の光よりも異様な奇声に目を向けた。
父はしまった、と焦り。
「かほっ、なんだ隣の車 危ないなぁ」
うまく?ごまかした。
「がははははっ、雷が怖いのかと思ってビックリしちゃったよ、おじちゃん」きみ子がデリカシーのない笑い声をあげる。
しかし、言われんまでも冬馬君はおぼえていた多網の父が雷が嫌いなことを。
案の定、鳴りはじめた
ゴロゴロ
再び父の内面
きたか、きたか あらわれたな 化け物め、ちくしょう ひゃー さっ さぁぁぁっ。
「ついに鳴った」ポツリと多網
ピカー
ゴロゴロゴロゴロ
叫び声をあげそうになったが
「ぬくしゃーぐぎぎぎ」父は闘った。
「ぬああっ、ああ良い天気だ」
もはやテンパり、喋ってる言葉の意味は全く分からんかった。
しかし、時は来たり
最強の宿敵
運命の相手がついに来たり
ビカー
光る効果音からして違う
ドドン ドドン ドんぱち~~ぱちー
雷は歌った、思うがままに声を荒げて歌った
まさに多網父にささげる賛歌である
その時雷は車を突き抜け
多網父の脳天に直撃
多網父は身体を震わせ声をあげた
うわああああああああああああああああーさああああああああーっ
車ごと雷を帯びて、弧を描くように海に飛び出し、父の背中からは羽がはえている ママ先に逝くよ、ママっ。
父の目は真っ白
その時
「あなた あなた」
ハッ 車の中信号待ちをしていた
そう父の妄想
「あれっ雷は? 」
「車に落ちてみんな死んだんじゃ」
なんちゅー発言だ。
「落ちてないわよ」
ホッとした父
じゃあ私は叫び声はあげなかったな、良かった。
その時後ろから
「おじちゃん、あんな声あげて雷こわいの?」
「サー」
父はアクセルをふかし
友の家に向かった
車は祭りに向かって突き進む。
サーーーーーーーーーーーーーッ
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