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『恐怖のドライブ旅先バージョン』
しおりを挟むチーーーーン
沈んだスーを連れ一同は店を出た。
あーなんだろ、このがっくし感、連絡先聞いても所詮駄目だったんだろうけどさぁ、このパターン腑に落ちなさ過ぎる、この虚無感はンパないと、一目見れば伝わる形相をスーは浮かべていた。
ああ、もうこんな出会い一生ないんじゃないか?
ゲッソリしているスーの姿に一同は笑っていた。
小夜さんの事は、もうすっかり忘れてるんじゃないか?
単純な生き物なのだろうか男は?
いや人によるだろう、ただ一つ言える事は此奴はそうみたいだ。
ああ、しっかし可愛いかったなぁ、振られてもいないのに何だか猛烈な失恋をした様な変な感じ。
明日も来ようかなとスーは真剣に考えていた。
何だったんだろうさっきまでの至福感に満たされた時間は?僕は女好きなのか?(まあそうであろう)
「仕方ないよ、でも今日は旅行、最高の時間は続くよ、はやく泊まる場所に帰ってくつろごう」大喜の言葉に頷くスー
「そうだね、旅行に来たんだよね、僕ちょっと寄り道してたみたい」(なにげに詩的名言か?うん、普通である)
「さっきの24時間スーパー寄って行きたい」と、きみ子。 一同は泊まる場所に帰るまえに再び昼間来たスーパーに寄る事に。時刻は21時を過ぎたころだった。
ここからスーパーまですぐ近くの距離だが、子供達は昼間と同じ様にテンションアゲアゲで歌っている。
「夜の車の中ってやっぱり何かワクワクする」と、きみ子
「しかも旅先」
冬馬君も、きみ子の意見に納得。
そして多網が「お化け出そうな場所だし」と続けざまに囁く
その言葉にビビり、またも同時にビッと背筋が伸びるサーとスー(やめてよ幽霊ネタ)
一同はスーパーに到着。
「なんか同じ場所でも昼間と夜時間が違うと、雰囲気が変わってちょっと違う場所に来た様な気もするよね」そんな事をサーが言う。
みんなはスーパーで年明けを祝う為、お酒やジュース、食料を買い込み(ちなみにサーとスーはしっかり夕食を買っていたそうな、こんなことならさっきサツキさんの手料理を食べてれば良かった)。
そう、今夜は旅先で年越しになるのだ。
「なんかこれから泊まる場所に帰ってくつろげるのワクワクするね、まだまだ寝ないよ」冬馬君が嬉しそうに言う。
「おーーーーーっ最高の年越しにするぞー」皆も気合満々である。
必要なものを買い、再び車に乗り込み、自分達の泊まる場所に帰っている。
ブゥーーーンッ
賑やかだった町から一変、辺りには段々家などがなくなり電灯が距離をあけてポツリ立つ物寂しい風景に。
「ほんと真っ暗だなぁ、自分のうちの方とは違う」あまり外が視界に入らないよう、視線を下に向けながらスーが言う。(すでにビビっとる)。
サーは既にさっきの24時間スーパーの明かりが恋しかった。
where is 電灯?さっきのスーパーが泊まる場所の隣にあったら安心なのに(どんだけ怖がりなんじゃ)
その時「父ちゃんこれかけて」息子多網の言葉にビクッと心臓が止まりそうになるサー、何故なら彼は気づいたからだ、絶対に怖い話のCDだと。
サーは機転を利かす。
「それこないだのやつでしょ?そんなに怖くないから他のにしようよ」(しっかり自分は怖がってない様な言い方でアピール、自身の自画像を保つのは忘れない)
そう、前回会社の同僚の家に書類を取りに行ったときに、かけたCDだろうとサーは咄嗟に思ったからだ。
すると「大丈夫だよおじちゃん」きみ子はニンマリ。
「最近はスマートフォンって便利だから」と、言ってユーチューブ開きーの、稲川淳二開きーの、動画を再生したのだ。
「うひょー便利ー、最高だねこれ」冬馬君と大喜が言った。
多網も文明の進化と便利さに目をかっ開く「知らないのが聴ける」ニヤリ
実はさっき多網は、純粋に音楽のCDを手渡していたのだ。
サーの勘付きが全く外れていた結果、見事に望まぬ怖い話を引き寄せた。
恐ろしやサーの引き寄せ力。
こうして、車内はいつもの展開になる。
スーは心の中、洒落にならないよこの場所で怪談話なんかと、思っていた。だが自身の自画像が汚れるのを嫌う誇り高き男は言う
「この場所に最適だね」
「スー怖くないんだ、凄い」ときみ子
するとサーも負けじと
「あー良いねここで稲川さん聴けるなんて」が、実は二匹の男根からはチッチが1滴出ていたそうな。
車が進むにつれてどんどん明かりは消えていき、遂に山道に入る。ここからが怖いんだよ、サーとスーのか弱きハートはブルブル震えている。
このシチュエーションで容赦なく怪談は語り続けられる。
「うひゃー怖い」子供達は話を聴きながら盛り上がっている。
はやく泊まる場所に戻り安心したい、スーは目をつむり必死に耐えていた。
ぐぎぎぎぎ、ここはお化け屋敷かーー!
運転中のサーは目をつむりたかったが必死に開き耐えている(阿保閉じるな死ぬぞ~)
「うわぁー外真っ暗だよ」冬馬君はチラッと外を覗いてはすぐに視線を車内に戻す。
「こんな時外に人が立ってたら怖い」ポツリ囁く多網の言葉に子供達は身を寄せ合い、運転中のサーは目を閉じかけた。
ぐぎぎぎぎ~~、隣でスーは思ふ、今サーじゃなくて良かったと。
車は真っ暗な山道を進む、稲川氏は語り続ける。
「この話怖いね」冬馬君と大喜が言った。
サーは今の気分を変える為に突如「ねぇチャーハン食べたくない」唐突すぎる内容である。
「そうめんも食べたい」スーも話にのる。
二人の話を見事に遮り稲川さんが語る「その時白い顔した女の人が」
ぐぎぎぎぎ~~「かっ、カレーも良いよね」
「らっららららラーメンも良いな」気分を変えようと必死である。
「あっ」突然叫んだきみ子の声に二人は失禁しかける。
「お化けなんかいないよー」
「気のせいだよ絶対気のせい」(まだきみ子は何も言っとらん)
「さっきあの道右曲がってたよ」
「え?」
「やばいよ何あれー」突如大声をあげ驚き叫んだのは冬馬君
あまりの恐怖にサーは目を閉じ車は急停止(阿保)
「どうしたの?」大喜の問いかけに冬馬君は指を指す「あれ?」
なんとちょうどスーの真横にお地蔵さんが。
「ぬおおおおおっ出たー、石のお化け~~~」(可愛そうなお地蔵さん)
「ささささサー速く車出してよ」真横に立つお地蔵さんに気が気じゃないスー。
「奴が僕を見てるんだよ」(そりゃそーだ首は曲げられないからな)
「ヤバイよ、僕を見るなよガンタレるなよ、ちょっとは遠慮して違う方、向けよ」(向いたら逆に怖いわ)
スーのその慌てぶりに子供達も大慌て
「絶対にお地蔵様に呼ばれたんだよ、ヤバイよ~」お地蔵さんは思ったそうな、はよ行けじゃかしーわい。
その時、ナイスなタイミングで稲川さんは言った
「出た~幽霊」
「あぎゃーたなはやまにらやたなはやまたなやわまなはらわらやなやわやなら」車は全速力で走り去ったそうな。
ようやく、泊まる場所に辿り着いた時、安堵の為サーとスーは思った、ここは天国じゃと。
玄関に入り、明かりをつけた時は泣きそうになる、おお明かりがあると。こうして二人は普段当たり前にあるものの感謝を思い出すのであった。
「ありがとう~~電気ぃぃ~~~~っ」
「よーし、露天風呂入ったり、今日はとことん遊ぼう」ニンマリ冬馬君が言う。「しゃーファイ ファイ ファイ」あがるきみ子と多網、大喜「おーーっ」
こうして旅先でみんなで過ごす大晦日の夜は始まる。
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