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『盛り上がるバー』
しおりを挟むカウンター席に座りだす一同。
きっ、綺麗な人だなぁ、なんとそんな事を冬馬君までもが思っていた。いっ、いかん僕には清香がいるんだ。
多網は何故か口に薔薇を加えポーズを決めている。
だが、何よりもあさましかったのがこの二人。
自分がお姉さんの立っている近くに座るんだと席の奪い合いである。(お姉さん動くだろがい)
小声でスーが「サーは奥さんに子供までいるんだからはしたないよ」
「ちょっと話すくらいなら良いんだよ」と必死な雄サー。
さっとその席に多網が座る。
「あっ」驚き叫ぶサーとスー「僕の席が」
すると大喜も冬馬君に耳打ちで「あのお姉さん綺麗だね」と言っていた。どうやら、みんな思っていたようだ。
きみ子は思っている、私には遠く及ばないと。
「初めてですよね」お姉さんスマイルに男性陣は皆やられたズキュンッ、このお店選んで良かった。
するときみ子が「お姉さんいくつ?」
オヤジ二人は思ふ、でかしたきみちゃん。実は知りたかったのだ。
「私は今28です」
「そっ、そーなんですか」不自然にハニカム二匹。
すると多網が「名前?」
「ケメ子です」ズキューンッ「え?」って、ときめいて良いのだろうか、一瞬のためらい。
「なあんて、サツキです」(何だったんだ?さっきのケメ子ってのは)。
今店内には冬馬君達、一組だけであった。
サーとスーは思う、よし、お姉さんがずっとここに居てくれる。絶対他の客入って来るなよぉ。
こりゃ花火あがっても絶対二人は外に出ないだろうな、冬馬君は思う。
スーは普段は女性に喋りかけたりあまり出来ないのだが、今日は旅行と言うテンションもあり頑張ったった。
「あっ、えっと空って綺麗ですよね」(なんじゃそりゃ)きみ子が頭を抱える。
苦笑いのサツキさん。「なんかお兄さん面白いですね」その言葉にスーの胸は爆発寸前。お兄さん?40過ぎの私にお兄さん?そうだ40なんてまだまだ若造、青春真っ只中ではないか!!
「僕の名前はスーです、以後よろしく」
ムカッ、なんだかスーばっかり喋ってずるいとサーも「僕はサーです、ここまで運転したのは僕です」(アホか)。
「あははは、サーさんとスーさんて面白い」
やった、僕の名前のが先に言われたぞサーは思う。
スーは歯を食いしばっていた。冬馬君と大喜はずっこけた。なんじゃこいつら。
冬馬君達はジュースと食事を注文、だがオヤジ二匹は決して料理を注文しなかった。
えっ?何故かって?サツキさんが厨房に入り話せなくなってしまうからだ。
1分でもお話ししていたいのじゃー。
きみ子はひっくり返った。凄えと。
サツキさんが厨房に入り居なくなると「あんな人が彼女だったら幸せだろうなぁ」スーが小さな声で囁く。
するとサーも「そうだね、僕には奥さんが居るから今回はスーを応援するよ」
「えっ?」そんな友の気持ちに嬉しくなるスー。
「じゃあ僕らも」と意気込む子供達。
こうしてまさかの展開、スーの恋愛成就大作戦が決行されたのである。
厨房から戻るサツキさん。
「はいどうぞ」多網が頼んだのはハンバーグ定食。
ヨダレを垂らすサーとスー、そうだもし頼んだのならサツキさんの手料理が食べれたんだ。
それでも頼めない二人は半ベソをかいていた。今は1分でも多くお話しが重要だ。
ちなみに冬馬君と大喜はカレー、きみ子は豚丼であったそうな。
「ねえ、サツキさん、こん中で誰が一番タイプ?」きみ子のその質問に顔を真っ赤にするスー、ちなみにサーも真っ赤であったそうな。
「そうだなぁ」指を指されたのはなんと!!
冬馬君だった ズギュンンッ
胸はときめいた、僕がもしもっと大きかったら、このお姉さんと手を繋いで花火を見ていたのかも。
そんな事を考えると胸がドキドキした、大人になるってなんか良いかも。いつか大きくなったらこんな女性とデートしたい。冬馬君は大人になる事がなんだか待ち遠しくなった。
ハッ、そうだ僕には清香が居るんだ、でもこのお姉さんも綺麗だなぁ。
誰よりも肩を落としていたのはスー。僕選ばれなかった。
「でも、スーさんの目元もちょっと好きかも」
サツキさんのその言葉にスーは天界に飛んでった。
あは~~~~~~ん 告白されたった(されとらん)。
なんだかちょっと悔しいサー。
すると外から花火の音が ドォーンッ「あっ花火だ」と大喜。が、全くうわの空の二匹、ここには花火よりも美しい存在ナイアガラフォールスがおるんじゃー(なんだぁー?)。
だが子供達もこのバーレストランの中の展開の方が気になっていた。
するとサツキさんが一言「せっかく花火やってるのに見に行かなくて良いんですか?」
この質問はチャンスだときみ子がスーの足を踏む。
「スー今こそ本領発揮、はやく何か言わないとお店閉まってもうお別れだよ」そのきみ子の囁きに。
急に焦り今しかないとスーはきみ子の思っていた三百歩先を行ってしまった。
「僕と結婚して下さい」一同はずっこけた。
「えっ?」運良くサツキさんは聞いていなかった、慌ててスーの口をふさぐサー。
その後も会話は続き、スーは終始ご機嫌。
すると突然おじさんが店に入ってくる。
ピクンッ 突然目つきが変わる二匹「ちっ」舌打ちをしたそうな。
「カウンター空いてる?」更に眉間にシワをよせる二匹、本当に分かりやすい奴らである。
「今日も綺麗だねサツキちゃんは」その言葉に鬼の形相と化した二鬼。
「僕がもうちょい若ければプロポーズしたんだけど」
その言葉に口から牙をはやす。
そのおじさんはサーとスーを見て「あらおじさん方もサツキちゃんのファンかな」
プチん ツノがはえた。
その顔は地獄の鬼、二匹の鬼が即席麺の如し簡単に出来上がった。へいお持ち、即席鬼の完成だよ!
美味しいよ(嘘つけ、犬も食わんわん)奮発して二匹もいるよ。
その顔を見ておじさんは走って逃げて行った「あっ今日は予定があったんだ」可哀想なおじさんである。
こうして鬼はサツキさんの顔を見て即座に天使に変わった。ヘイ即席天使一丁上がり。
サツキさんとの楽しい時間は続き、盛り上がり喜ぶスー。
そんなスーの様子を見ていたサーはスーの肩を叩き二人トイレに向かった。
「なんか電話番号でも聞いてみたら」サーがスーに促す。
「でも急に失礼じゃないかな?」
「聞いて駄目ならしょうがないよ、これで聞かずにサヨナラなら後悔するんじゃない?」
「確かにそうだけど、うーんそうだね。聞くだけきいてみようかな」
「スー頑張れよ応援するから」二人は緊張しながらも意気込んでトイレから出て来てカウンターに。
スーが下を向きながら突然「あのぅ良かったら、ぼっ、ぼくに連絡先を教えてください」と手を出した。
緊張の瞬間がスーを包む
今回こそは。
「えっ?」
「は?」
頭真っ白になる
上を向いたスーはひっくり返りかける
何故なら目の前にはゴリラが立っていたからだ。
「だっ、誰?」
「僕店長のゴリ助」
「サツキさんは?」
「もう帰りましたけど」
男は泣いた。
せっかくの出会いが、そして花火はたった今終わった
ドォーーーーンッ たーまやーーーーーっ
チーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ
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