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『冬馬君と鼻水』
しおりを挟む今は授業中の冬馬君
清々しい青空の下、突如刺客現る!!
ズズッ
んっ?
なんじゃ、にんじゃ、もんじゃ?
鼻水がニュルっと垂れてきた。
ハッ ティッシュ持ってない。
周りの人が自分が鼻水を垂らしそうになってるのに気づいてしまうんではないかと、焦って隠す冬馬君。
ズズッ 静かに鼻をすすった。
フゥ~。
が、再び ニュル 奴は鼻の穴から姿を現した「やあ」
バァー!!駄目だ勢い良く飛び出てきた奴を吸うだけじゃもう間に合わない。
とっさに腕で鼻水をサッと拭き取る。
誰かに見られたんではないかと、もうヒヤヒヤものである。
チラッ 大丈夫。誰も気づいてない。
四方八方からの目を警戒している。
なんだか落ち着かない、いつ鼻水がまた顔を覗き込ませてくるのか?焦ってしまう。
あっ、あっ くっ来るっ。
ニュルル「ヘロー」必死に吸うが、すぐに奴は現れるニュル「こんばんちは」
ヤバい、ヤバい、ヤバい平静を保ちながら鼻水を必死に吸っている。
ああーティッシュで拭き取りたい。
思いっきり鼻をかみたい。
ズズッ 必死に鼻から息を吸いこみ鼻水が垂れるのを防いでいる。
が、その時だった。
隣の席の女子が「冬馬君、消しゴム貸して」
ぎょっ、何故このタイミングに。
冬馬君は顔を見られない様にしながら「はいっ」と消しゴムを渡した。
鼻水は今にも垂れ落ちそうだったのだ。
必死に吸うが、すぐまた垂れ落ちてくる。
こーゆう鼻水が水の様な日がたまにある。
まさに、鼻水の滝。
ヤバい落ちる ポタッ ノートに落ちた。
その時「消しゴムありがとう」
「あっ、はっ鼻水じゃなかった、はいっ」焦った冬馬君は変な返事をしてしまった。
今は垂れ落ちてくる鼻水をせき止める為、指をうまく鼻下に置き堪えていた。
はやくっ、はやくっ授業終わってくれ。
チラッ ハッ。
隣の女子がジッと冬馬君の顔を見ていた気がした。
こんな時、余計に自意識過剰になってしまう。
まさか自分が鼻水が垂れそうなのを堪えているのを既に気づいている?
ズズッ、こうなったら隠すのをやめていっそのこと垂れ流すか?いや、それはまずい、明日からあだ名が鼻水馬君になってしまう。(もうちょいましに命名すると思うが)頑張って隠すんだ自分。
ズズッ、手は鼻水でビショリ濡れていた。
今は手すら動かせないし、言葉も発せられない。
やばい、非常事態レベル4だ。
冬馬君は自分の危機にレベルをつける癖があった。
レベル1は洋服にシミがついた時レベル。
レベル2は強いて言うなら虫に襲われた時であろうか。
ちなみに最大レベルは5であり、5はうんこを漏らすレベルである。
ポタッポタッ 腕をすり抜け鼻水は下流に向かう。
冬馬君は窓際の席だったから、窓の方を向いては顔を必死に見られない様に隠していた。
ズズッ あーっ、ティッシュ ティッシュが欲しい。
顔が歪む。
あー今が自分の部屋だったら。
ティッシュで鼻をかみまくってる自分を想像したら笑った。鼻を誰にも遠慮せず、かめる有り難さを噛み締めている。
今や鼻水を指じゃ抑えきれず、腕を不自然に鼻下にあてている。
心の中はこうである、ぬぐおおおおおおおおおうっ、垂れるんじゃねええええええっ。
イライラのあまり、机の上に落ちた鼻水を指でこねくり回してやった。
くらいやがれ、ざまぁみろ。
鼻水はきっとこう言っているだろう「効かないよー」
冬馬君は今や動けない、動けば明日は鼻水馬君になるからだ。
あががががががががが、たっ頼む。
我にティッシュを!!神様僕にティッシュを。
チラッ はっ。
その時、なにか視線を感じる。
メーデーメーデー 危険レベル4.5突入。
全身警戒態勢に入れ。
ダンゴムシの様に身体を丸め顔を見られない様に隣を見た、チラッとね。
なんと隣の席の女子は冬馬君をガン見していた。
ぬっ、ぬおおおおおっ 心が悲鳴をあげる。
ドギューーンッ 西部劇のガンマンならまさに今、心臓を撃ち込まれた瞬間であろう。
冬馬君はすっげー不自然にダンゴムシの姿勢を保ちながら窓側を向く。
今の彼の名前は名付けてダンゴ鼻水冬馬である。
心の中、バレてないバレてない絶対にバレてないんだ。
そう必死に思っていた、いや願っていた。
「ねぇ、冬馬君」
ビクッ、顔は隣を向けない。
やっ、やばい、今の状況はまさに死んだフリをしていたガンマンが相手に気づかれ声をかけられているシュチエーションだ。
やばすぎる、ええーいっこうなったら。
死んだフリぢゃい。
ダンゴムシは硬直している。
「ねぇ冬馬君」
やっやばいっ、これ以上は無理だ。
両腕を鼻下に添えた異様なポーズをとるダンゴムシ(遂に改名される)君は言った「ぬぁに?(なに?)」
彼女は一瞬ギョッとした表情を浮かべ言った。
「ねぇ、ティッシュあげようか?」
チーン バレていた。
冬馬君は今にも泣き出しそうな表情を浮かべ頷いたと言われている。
「うっ、うん」
最初からそうしていれば良かった。
ティッシュ貸しての一言が言えない冬馬君であった。
キンコンカンコン キンコンカンコン~~
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