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『サーとスーの会話』
しおりを挟む「かんぱーーーーーーーいっ」
ゴキュッ ゴキュッ プハーッ
彼らの宴は始まった。
この瞬間がまた、たまらんばい。
ビールに美味しい料理を食べる、まさに至福の瞬間のひと時である。
多網ときみ子はヨダレを垂らし、カルビを焼いている
じゅううううっ
「お肉さん、ありがとう、美味しく食べさせてもらうからね」きみ子がお肉様に感謝の祈りを捧げている。
ピカーン 目が光る。
焼き加減、完璧!!
ジュウウウッ。
くんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくん
鼻が凄まじい速度でヒクヒク動いている。
今や!!私のカルビを取り上げる瞬間は。
サッ 先に多網が取って食べてしまった。
モグモグ、最高の笑みを浮かべている多網。
「オンドリャああああああーーッ」
「まあまあ、きみ子いっぱいあるから」冬馬君と大喜が飢えた猛獣をなだめる。
サーとスーはビールをぐびり、キムチを口にほうばり。語り始めている。
「しかし、今日は本当に助かったよ、40過ぎて生まれて初めてのデートだから緊張しちゃったよ」
「小夜さんも、僕みたいなのとデートして楽しかったのかなぁ」
「スー、そんな自分を僕みたいななんて過小評価しちゃあ自分が可哀想だよ、スーは最高だよ」
「ありがとうサー」
なんだか熱くヒートアップして来た二人。
「ああ、でも小夜さんとお付き合い出来たら、大嫌いな仕事も毎日頑張れちゃう気がするんだけどなぁ」
愛する女性のパワー絶大なり。
「サーは最近仕事どう?」
「あはは、毎日怒られては帰ってきて、ため息の日々だよ、でも職場に友達が出来たんだ、今度みんなで飲みに行こうよ」
「それは是非。サーも一緒だね、僕も毎日怒られてばかりだよ」
サーとスーも大変だなぁと冬馬君と大喜は思う。
「愚痴を言ってたってねぇ、なんの解決にもならないから笑顔だよ」と、スー。
「大抵ひきつった笑顔だけど」付け加えて笑う。
「サーとスーは仕事辞めたいって思った事あるの?」大喜が聞く。
「そりゃあ、毎日」見事に二人の声がハモる。
「どうして辞めないの?」
「まあね、お金のめんとか、家族養ったりしないとさぁ」サーが言う。
「辞めてどうしたいってのが結局ないのかもね、自分で一から新しい事業とかやるのも良いなぁなんて思うけど、全てを投げ出しやる勇気がないんだねぇ」サーが続けた。
「大人になるって大変だねぇ」と、冬馬君
「それは違うよ、冬馬君。僕らがそう生きてるだけで生き方なんて自分で選べば良いんだ、冬馬君や大喜には沢山可能性があるんだから、楽しくやれる道を探せば良いんだよ、大人になるのだって結構良い事もあるんだよ」スーが言う。
「じゃあ、サーとスーにだってまだまだ可能性があるね」
「そうだった、自分で自分の可能性を疑ったらそこで終わりだもんね、僕らも目一杯やらなきゃね」と、サーとスーは意気込む。
いつだって夢は逃げない、僕らが夢を捨てない限り、夢はいつでもそこで君を待っている。
立ち向かえ、勇気ある人々よ(誰だよ 笑)
叶えることだけが大切なのではない、そこまで全力を尽くし向き合い、悩み、歩んだ道のりこそ、かけがえのない経験であり宝ではないか。
一度きりの、この人生 挑戦から逃げてるだけじゃ、あまりに勿体ないし、きっと死んで後悔する。
笑われたっていい、馬鹿にされたって良い、失敗したって構わない、突き進め!!
初めからやらなきゃ、何もないではないか!!
サーとスーは興奮して立ち上がる。
「サー サー サー」 「スースースー」
既に酔っとるのか?コヤツら。
多網ときみ子は黙々と焼肉を食べている。
「うまっ」
「やっぱり人生楽しまないと」
「そうだ、そうだ」
グビッ グビッ ビールが良く進む。
「泣いても、笑っても、恨んでも、怒っても、一度の人生なら、笑っていたい」
ニカッ
二匹は不気味な笑みを浮かべた。
ギョッとする冬馬君と大喜
だが、その笑顔は結構笑えた。
今や冬馬君達は、お肉を食べるよりこの二人の動向をチェックしてる方が楽しかった。
「スー、今年もまだあるし、旅行また行こうよ」
「こないだの旅行、楽しかったね」
(あのボーリングしかしてない伝説の旅行である(「冬馬君の夏」)より。
二人は気分を良くしたのか、褒め合い始めた。
「やっぱ、スーは美男子だよね」
「そんなぁ、サーこそ俳優さんみたいだよ、ジョニーデップも真っ青」
「えへっ」二人は、はにかんだ。
「デート見ててビックリしたよ、特に酔った後、世界のプレイボーイもビックリのトークテクだったよ」
「いやぁ、そんなことないよ」
スーは内心思う、やっぱ僕はトーク凄いのかと、自分は天才なんだと。
サーも内心思っていた、やっぱなぁ僕相当イケメンだよ。スーは僕の顔見てはカッコイイなぁって羨望の眼差しを向けてるって、昔から思ってたんだよぉ。
二人は思う、自分のどんなところが素晴らしいのかと。
うまく、聞き出そうとする二人
「僕のトークどの辺が、どう良かった?」
ギョッとひっくり返りそうになるサー。
まさか、そこまで突っ込んできたか。
「えっ、そのあの、なんと言うか、あっそうだ、カタカナ使ってたところ」
冬馬君と大喜には全く訳が分からなかった。
カタカナ使うって?
だが、スーは「カタカナかぁ、やっぱなぁ」自分に惚れ込みはじめる。
僕程になるとカタカナでトークが成立しちゃうんだ。
「モウイッパイビールノム?」(あっカタカナ使ってる、うん訳分からん)
すると、サーが。
「僕の顔の特にどの部位が(部位って)俳優っぼい?」
スーは後ろにひっくり返りそうになる、まだこの話題?
「えっ?何処が?しかも部位?」
まさか、まだこの話題を追求されるとは厄介だ。
「あっ、いっ、そっ、そのっ、足のすね毛とかが特に俳優っぽい」(顔じゃねーし)
冬馬君と大喜はひっくり返った。
「ああ、やっぱり」すね毛、すね毛ねぇ。サーはその答えに満足気であった。
近々すね毛にパーマかけよっかな。
縮毛矯正も良いかもね。
既にクルクルパー(マ)が頭にかかっとるのではないか?サーよ。
するとスーが「どうして僕のトークがこんなに凄いか秘訣知りたい?」
サーはビールを吹き出しかけた。
コヤツ自分をトークの天才と思い込んどる。
調子に乗らせ過ぎたか?
話をそらそうとするサー「ビール飲めば?」
グビッ
「僕、昔っからそうなの、うまいんだよねトークが」
「えへへ」苦笑いサー。
「やっぱね、センス?生まれ持ったなにか」
話をそらそうとするサー「お肉焼けたよ」
「ヤケマシタカ?」
出た~秘技カタカナ。
するとサーも眼鏡をクイッとあげ、チラッとキメ顔でスーを見る。
きっとスーは今、僕の事 相当カッコイイと思ってるはずだ。
気分はスター。
そして「どんな時に僕の顔カッコイイと思う?」なんちゅー質問。
文字通り、肉を吹き出してしまったスー。
「あっ、えーとっ、笑ってる時」適当に答えた。
ニンマリ「えへへ」不気味な笑みを浮かべている。
きっとサーにとって、この笑顔が良いと思っているのだろう。
その時だった。
後ろの席から笑い声。
「さっきっから、超ウケるんだけどあのオッサン達の会話」
ギョッとする、サーとスー。
急に小さく縮こまる シュルルルルッ、一気に蝿サイズと化す。
「カタカナトークとかって意味分からないし」
「それに、俳優も真っ青って、鏡見ろよ」
若い女の子達の声。
顔がピクピク引きつり慌てふためく二人。
きっ、気まずい。
はやく店から逃げ出したい気分の二人。
怖いよ、マッマ!!
冬馬君と大喜も何だか小さくなる。
「えっ、でも私達をこんだけ笑わせたんだから確かにカタカナトーク凄くない」
「確かに」
ピクン 耳が動く。
自信復活
「トウバクン、ニクタベレバ?」 「食べレバー、なんつって」
後ろから笑い声が起こる。
見たかサーよ、僕の凄さを。
チラリ得意げにサーの顔を見るスー。
ぐぎぎぎぎっ。。
サーは眼鏡をクイッと三度あげ、目を輝かせ女子達のほうをチラッ、そして得体の知れない笑みを浮かべた
。
ニンマリニヤニヤ
ギョッとしたので一応言った。
「まぁ、ハンサムってことにしといた方が良いよ」
サーは得意げになりスーを見てこう言った。
「僕の方がハイスコア」
「なんだとー じゃあ、この続きはボーリングで勝負だ」
「望むところだ」
結局こうなる、いつもの二人。
多網ときみ子は、まだ黙々と食べていたとさ。
めでたし、めでたし。
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