冬馬君の秋と冬

だかずお

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『ハロウィンデー』

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チュンッ チュンッ 朝がやって来た。

大喜が目を覚ます。
「ああ、朝か」
それにしても、昨日の人形は怖かったなぁ。
「まだ、みんな寝てるのか」

大喜は再び、もう一眠りつく事に。
あーこの瞬間たまらん。目を閉じる瞬間ほくそ笑み。

くかーっ、最高~~ すやすや。

そう、今日はハロウィンデーだ。
時刻11時をまわったころ、きみ子が目を覚ます。

「しゃーハロウィンデー」気合い満点のきみちゃん。

続いて多網も目を覚ます。
「お化けデー」凄い目覚め方である。

その声に冬馬君と大喜も目を開き「よーし今日は大人を驚かしてお菓子をもらうぞー」気合い爆発である。

さっそく、多網ときみ子が仮装し始める。
「良いなぁ、僕らも何か変身したいな」と、冬馬君と大喜。

「私の変身お化粧グッズ使う?」きみ子がニンマリ

「やったー」

こうして、一時間後四人のお化けがこの世に生まれる。

まずは全身真っ黒、悪魔の多網
「うしゃ、うしゃ、うしゃ、うしゃ」

綺麗な妖精天使、きみきみちゃん
「あなたの幸福私にさずけて~~」
ある意味怖い。

続いては、現代の口裂け男
大喜口裂け~~
「ミィタァなぁー」

最後は泣く子も黙る鬼の子供、冬馬なまはげ~~
「悪い子はいねがぁー」

決まった、四匹の怪物がポーズを決める。

ジャキーンッ うん、最高に決まった。
子供達は既に感無量である。

「よしっ、今日はこれでサーを絶対に失禁させる」
これが四匹の最終目的であった。

「さっそく多網の家に行こうか」と、冬馬君。

子供達はこの仮装はかなり怖いと満足気
「これなら、サー絶対やばいよ」

「うん、間違いなくビックリひっくりかえるよ」

「よーし、もーはやく驚かせたい、出発しよう」大喜が言う。

四匹の怪物は、その格好のまま外に飛び出した。

家を出た瞬間、ちょうど外を歩いていた見知らぬおばさんは言った。
「あっ、かはっ、ビックリしたはぁ」
顔は引きつっていた。

その反応に多網は

ニタリ

笑ふ

今日は同時進行で話は進んで行く。
では、明日初デートのとけたみさんを追ってみようと思う。

前日から彼は物凄く緊張していた。
世間一般の人ってデート前とか緊張してるのかな?
あーなんかドキドキする。
会える嬉しさもあるが、緊張ドキドキする。
と言う、とけたみさんの今朝は「はっ、ひゅっ、明日の小夜さんに会った瞬間なんの会話したら良いの?」そう言って目を覚ましたそうな。

最初なに話そう?

「えっと、朝ごはん何食べました?かな」

「どこでその服買ったんですか?かな」

「味噌汁って美味しいですよね、かな?」

「それとも宇宙人っていると思います、かな?」

「キムチって辛いですよね、かな?」

めちゃくちゃや。

ハッ(何かに気づく顔をしたスー)
そうだ今日僕、服買いに行くんだった。
生まれて初めて自分で買うなぁ。
中々凄い四十を過ぎた男である。

「よしっ、僕の人生は今日から変わる、過去なんかに影響されずに今から新しい自分を歩むんだ、えーいっ
人がどう思うなんてどうでもいいじゃないか、新しい自分を生きるんだい」
良いぞ~~とけたみ、その意気じゃい(誰だ?)

「会社の人は僕がお洒落なんかしたら、きっと馬鹿にするだろうけど、良いんだ。僕は変わる。昔の学校の同級生にあっても馬鹿にされ、生意気だと言われるけど良いんだ(いつの話だ。40を過ぎる男とけたみ)今までの僕じゃないんだ ヤァ~」拳を天にかざす。
そう、人は昨日通りの自分を生きなくたって良いのだ~~、誰に笑われても、僕には自由に生きる権利がある。よーしやる気が出てきたー。

「もう誰にも、腰抜けなんてぇ言わせない」(バックトゥザフューチャーの真似)

彼は自転車に乗り、デパートへ。

「いらっしゃいませ~」

「今日はどんな服をお探しですか?」

「あっ、えっと、そのぅ、あっ、ちょっと、えっと」

「えっ、どんな?」

「あっ、はいっ」(店員さんも困る)

「あのぅ、女性にモテる服が欲しいです」

「あっ、はいっ」(更に困る店員さん)

「こんなのいかがですか?」

「あっ、良いですね(別に好きではないが、良くないとは言えないスー)」

結局断れず試着する。

「どうですか?」

「かはっ」

「凄い似合ってますよ、どうしますか?」

「あっ、えっと、かはっ(断るんだ自分)」

「あっ、良いんですけどサイズが合わないんで」なんちゅーこと割り方、あまいっ。

「あっ、じゃあ他のサイズお持ちしますよ」

「あっ、えっ かはっ」

「じゃあ、お願いします」

ジャーン 再び試着するスー。
一体僕は何をしているんだ?着たくない服を着て。

えーいっ、ハッキリ断るんだ、断るくらい悪い事でもなんでもないじゃないか。僕は何をやってるんだ。

「どうですか?お買い上げになりますか?」

「えーっと、じゃあ一着」

かはっ

値段を見るスーは驚愕した。
「ぬわぁにー、二万円 とぅわかぁいー(高い)」スーは急に腹を押さえ「すいませんトイレどこですか?」

「向こうです」

「ちょっと行ってきます」Bダッシュで行ってしまった。
かのマリオも驚くかも知れない程の見事なBダッシュ。

「ふぅー危なかった」
スーは、ある店の前で足を止める。

目を輝かせ「この服欲しい」

試着

鏡の前でポーズを決め、ニンマリ

「なんかハリウッド俳優みたい」(とりあえずカッコイイはハリウッド俳優と思っている)

スー即決。
チャリーン 御購入。

スーは嬉しかった。
自分で選択して自分で決められた事が。
スーはこんなことをつぶやいたと言われている。
なんか、僕大人になったな。

だが、明日の為の準備はこれだけではない。
次は散髪!!
「行くぞっ、僕」

「明日はスーパーハイパーとけたみになるんだ」

場面は変わり冬馬君達はちょうど多網の家に着いたところ。

ピンポーン

「良い、みんなこう言うのよ、トリックオアトリート」

「どう言う意味?」と、冬馬君

すると多網が「鳥くおう鳥ミートって意味」と、訳のわからない事を言っていた。

するときみ子が「確か、イタズラされるかお菓子をくれるかどっちなんや~的な事を言ってた気がする」

「なるほど、よしっ行くぞ」

するとインターホンから「どちら様ですか?」正孝ことサーの声。
小声で多網が「返事しちゃダメ」
多網の家のインターホンは、声は聞こえるが、外の様子は確認出来ない物だった。

家の中に居るサーは、こう思ったそうな。
「えっ、返事がないなんて、まさかお化け?」
足はブルブル震えて、更にこう言ったそうな。

「えっ、お化けって朝から出るの?」

そりゃ、24時間営業だろぅ、サーよ。あんたも死んだら仲間入りよ。(ヒョエ~誰だ?)

サーは自分に言い聞かせる。
大丈夫、大丈夫、絶対にお化けじゃないはずだ。
こんな昼から出て人をおどかす程、暇なお化けは居ないはずだから(どんな理由じゃい)

多分・・・風だよ。

ピンポーン

「ひゃあああっ」サーは叫んでしまう。

「もぅ、デリカシーのない風だな、驚かせないでよ」

「誰ですか?」

返事はない。

サーの背筋は凍りつく。
「やっぱり暇人なお化けさん?」

「あれっ、暇人って、お化けは人じゃないのか?いやっ待てよ、人間が死んだらお化けになるなら、暇人お化けで良いのか?」もはやテンパるサーには良く分からなくなってきた。

ピンポーン

ヒャァアッ、せっかちな幽霊だ。
「これは大変だぞ」

冬馬君達は突然、コンビニでオヤツのお菓子が欲しくなり買いに行く事に。
「今のうちに買っておこうよ」

「そうだね、せっかく仮装してるし」きみ子がこっちが近いと歩きだす。

恐る恐る、外に出て玄関を開けたサーはビックリ。
「やっぱり誰もいない、お化けだったんだ」
ブルブル ブルブル。

でもどうして?昨日ピーマン残したから、そのせいかな?それとも、うんち躊躇ちゅうちょなく流したからそのせいかな?(どんなお化けじゃ)。

「いや待てよ、今日はハロウィンとか言うイベントだから、そのせいでお化けのテンションがあがってるんだ、なんて日だ」サーは鍵を閉め、チェーンまで付けた。

どうか、お化けが通り抜けの術使えません様に(ふっつーに出来ると思うが、その前に通り抜けの術って)

ちなみに今、多網の母と多美は買い物に行っている。
家にサーは一人である。

「どうして、こんな時に一人なんだ。とりあえずテレビ付けよう」ポチッ

ハロウィン特集で昼の恐怖映画がやっている。

ギャーーーーーーーーーーッ マッマ!!

ピッ 即消した。

するとピンポーン

「うひゃっ、また来たな、暇人お化け」

「くっそー僕も大人だ、お化けに文句の一つくらい言わないと、サーの名がすたる」勇気を振り絞るが、怖くて立てない。

ピンポーン

「えーいっ、頑張れサー」自分で鼓舞して、眼鏡をクイッとあげる。

ギイイイイイッ
ガチャ

「トリックオア トゥリート」

「おっかし おかしくりぃー」

なんかそこ変だぞ、多網。

目の前に立つ四匹のお化け。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすぎるのもあるうおおおおおおおおおおーーッ」
訳のわからない悲鳴をあげ、ひっくり返るサー。

その悲鳴に子供達も驚いた。
「うぎゃああああああああああああああっ」

しかし、倒れるサーの様子に大笑い。

サーはようやく、気づく。「あれっみんな?」

「サー驚きすぎだよ」と、大喜。

「あっはっは、へっへ、ワザとだよ、うけた?」サーの大人気ないプライドが顔を出す。

「そう言えば、さっきチャイム押した?」

ここで、子供達はドッキリ作戦に切り替える事に。
「いや、押してないよ」ニンマリ冬馬君。

「やっぱり、オカシイなぁ」サーは再び怖がっていた。

子供達は顔を見合わせニンマリ、サードッキリ作戦に変更じゃーー。
面白い事になりそうだ。


その頃、とけたみこと、スーは散髪中

あーっ、やっばますますハリウッド俳優化して来た。
自分ヤバイ(確かに)

だが、あんまり鏡で自分の顔ばっか見てると散髪してる人にナルシストと思われるのがなんだか恥ずかしくて、居なくなってはチラリ、居る時にはどこを見ていれば良いのか分からないし、気まずいので目をつぶっていた。

そして「出来ましたよ」

「ヌオッ」

つるッパゲのトゥキンヘッド完成。
スキンではない、あえてこう言おう、トゥキン。

になっていたら笑えた。
失礼、どうでも良い嘘である。

良い感じの七三分け。

スーは心の中ガッツポーズを決める、しゃー完璧。
ブラピ、とけたみピッド(スーはブラッドピッドが好きなのか?違う、実はそれしか知らないのである)

明日のデートは絶対に成功させる。

待っててね、このブラピ、じゃなかった。
このとけたみピッドが明日君をときめかせて見せる。
あっ、スーピッドが(どっちでもええわ)

徐々にデートの時が近づいてくる。

スーは明日一体どうなる事か?
ただでは終わらない気はするが・・・乞うご期待。


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