冬馬君の秋と冬

だかずお

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『多美炸裂』

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最近彼らは目立っている。

そう、今回もサーシリーズのよう。
もしかしたら、タイトルが『サーと秋と冬』に変わるんではないかと、サーは期待していた。あっでも冬馬君に悪いかな テヘッ。
なんぢゃ~~。

さあ、新鮮な鮪の様な一日が始まった(なんちゅー例えじゃ)。
彼の出勤の朝は毎朝、あー起きたくない から始まる。
良い子の一般の方々はくれぐれも真似しないでいただきたい。

ちなみに、娘の多美はこうだ。

チャーーーーーーーーーーー~~ッ
(あたい産まれた~~ 毎朝、喜びと、歓喜の雄叫びをあげる)

ちゃーー~~~~~~~~~~ッ

ちなみにどうでもいいが彼女のライバルはサザエさんのイクラちゃんと言われている。

多美はこないだテレビを観ながら思った。

ちゃーーーんっ

私に似てるではないか、私の真似か?
いや、間違いなく彼のが先輩である。
その時から、多美の中でイクラちゃんは永遠のライバルと格付けされたのだ、コヤツできる。
ただのガキじゃない。
しかし、彼の他の特技を知った時、多美は衝撃のあまり失禁されたと言われている。

その特技とは?

そう

バブ~~~~~~~~~~~~~ッ

である。

多美はそれ以来、自分もこの世界で生き残る為に新名言をうみだせばなるまいと、心に誓った。

実は今朝は、その新名言、初お披露目の日なのであります。

多美は呼吸をして、気分を高めている。
さあ、来いっマミーーーーーーーーーーッ

ふしゅー

そんな中、いよいよ母がやって来る

いっ、今だ。

響け多美の新名言!!
届け母のハートにズキュンッ!!

「バオバブ~~~~~~ッ」

きっ、決まったか?

チラッ

「やーね多美、なにイクラちゃんみたいな事言ってるの」

ハッ

多美、産まれて初めての屈辱を知る。

この、この、わたくしめが パクっただとーー。
事もあろうに、あのイクラをパクっただと~~

貴様こそタイコさんに髪型が似てるんじゃワレ~~
タエコだったか?
多美の髪の毛は逆立ち、豹変した。
そして、後から部屋に来る父サーをみては、お前も仕事行くところなんかが、ノリスケに似てるんじゃいワレ~~

八つ当たり、もうメチャクチャである。

すると母が「はいっ、多美 牛乳」

多美は最高の笑みを浮かべ「マッマ」と言われたそうな。
本能のおもむくままに生きるおなご 多美。
チューチュー 

チャーーーーーーッ

昼過ぎ、多美は黄昏れていた。
外の青空を見ては、考えること、それは。
イクラである。
どうして、彼はあの歳で、あんなに有名なのに私は。
同じ子供じゃない。
彼は街角インタビューで、もし「イクラちゃん知っていますか?」と聞かれたら大体の人は、あっサザエさんの?ってな具合に知名度がある。
国中の有名人。
それに引きかえ。この私、多美は?
街角インタビューで多美ちゃんって知ってる?
と聞かれたら、間違いなく誰も知らない。
あっ、あの多網の妹ってならないじゃない!!
多美は怒った。
どうして私はイクラちゃんより有名じゃないの。

私に何か新たな技を、世界を沸かせるパワーを。
イクラを嫉妬させる名言を!!

その夜、兄の多網は普段から録りためているサザエさんのDVDを観ていた。

多美は一緒に真剣に観入っている。
その時である、多美は知らなかった、彼のこの特技を。

ハーーーーーーーイーーーーーッ

なんて調和のとれた、ハーーーーーーイーーーーーーーッ

多美はあまりの感動に泣いた。
イクラの素晴らしさに泣いた。
そして、感動のあまり漏らす。

私はまだまだあまい。

オーゴッド 私にイクラに負けない必殺技を。
多美は祈った。
そして、閃く。
こっ、これならイクラ様に(今や様付けに格上げされた)

そんな中、サーが仕事から帰って来た。
「あーっ、この瞬間たまらん」

多美は父を見つめている。
ふーっ、見ててイクラ様、私のあみだした奥義。

「ただいま多美」

「エクソシスト」

多美こんしんの一撃

「良い子だねー」

チーン

父は他に何の反応もせず、去っていく。

ばっ、ばかなあああっ 普通は普通はよおっ、これで驚くだろうがよおっ、この多美様がエクソシストって叫んだんだぞ。
多美は怒っていた。
あー物事が思い通りにならない腹ただしさ。
うまくいかぬ歯痒さ。
悔しさを知る。

ムッ、今、横には母が

多美はあきらめなかった、私は負けない
イクラ様を超える。

「エクソシスト」

「はいはい、寝ましょうね」

チーン

なんだっ、なんだっこの反応

多美のイクラ様を超える計画は見事な程、失敗なされたそうな。

めでたし、めでたし。

だが、久しぶりに目立てた多美は満足なされたそうな。

ちゃん ちゃん


あれっ?僕の話じゃなかったの?サーはガックリしていたそうな。


場面は変わり、冬馬家では。

冬馬君は隆とお風呂に入っている。
二人は風呂を最高のリラックス場所にしようと話をして計画を立てていたのだ。
今日が実行の日である。

ジャーン お風呂場で色を変え、光る置物

「すごーい」興奮する冬馬君

「まだまだ、これだけじゃない」ニンマリ隆

バァーーーーンッ

「お風呂場で音楽が聴けるこれっ!!」

「ぬおおおおん~~」更に上がる冬馬君

「そして、かける音楽は、波の音などが入っている癒し音楽シリーズ、これでどうだっ」

「ひゃああああっ」目をキラキラ輝かせる

二人はさっそくシャワーを浴びて、電気を消し、浴槽に浸かる。

「カハーーッ、この季節の風呂はたまらん」
浴槽の湯には温泉の素まで入っている。
ぬかりなし、この日の為に準備は完璧に整っていた。

二人は湯に浸かり「カハーーッたまらん」お風呂場に流れる音楽は波の音。
僕らは今、南の島に来てるんだい。
「あーっ幸せ」二人はほくそ笑む。

「今度みんなが泊まりに来た時、これ使おうっと」そんなことを考えると、冬馬君の気持ちはますます高まる。

二人はしばらく最高リラックスモードで湯に浸かっては幸せをかみしめていた。

風呂からあがり、隆はビール
ゴキュッ ゴキュッ ゴキュッ
「あーっあーっあーっあーっあーっあーっ、生きてるよ~~」

冬馬君はコーヒー牛乳

ンゴキュ ゴキュッ グビ グビッ

「あーっあーっあーっあーっあーっ 僕冬馬」

やはり、親子である。

こんな、のほほんとした生活を過ごしている冬馬君達であった。

ありふれた日常の有り難さに心安らぐ、そんな一日



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