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『サーとスーの日常』
しおりを挟むガタンゴトン ガタンゴトン
多網の父ことサー、彼は今、通勤電車に乗っている。
ガタンゴトン ガタンゴトン
朝の仕事場に向かう電車は彼にとっては憂鬱である。
言葉にするならこんな気持ち。
あー家で寝てたいなぁ、週休六日制にならないかなぁ、あー仕事したくないよぅ。
まさに世間の大人様の鏡にならない男サー。
大体、働かざるもの食うべからず、そんな言葉、信じられるか、だったら働かない者は価値がないみたいじゃないか、馬鹿らしい。
まるで人間が作った社会の阿呆らしい縮図じゃないか、朝から一人文句を言う男サー。
働かなくても食ってよしに決まってる。
男は電車に乗りながら文句を言い、かけてる眼鏡をクイッとあげた。
ふぅー決まった。
ヌオッーーーー 男は心の中、突如叫ぶ。
何故なら真横に巨乳の女性がいたからだ。
ダメだ、見ちゃいかん。
ジロジロ見つめるなんて失礼極まりない。
サーは自分を律した。
だが、無償に気になる。
ダメだ、僕には妻、子供がいるんだ、巨乳の女性に目を奪われるなんてとても浅はかな事だ。
世間では結婚してる男性は律しなきゃいけないんだ。
浮気、浮気心は一瞬足りとも浮かべてはいけないらしいんだ。
世間の風潮にどハマりなサー。
一般の人間を支配する世間体様が胸を張り立ち上がる、ヌフゥ~ン。
しかし、気になるサー。
あっ、ダメ。でも、どうしても巨乳ガールが気になるサー。ちょっと見たい。
女性が立つ側の広告に全く興味がないのに、あたかも興味があるように目をやろうとするサー。
無論巨乳ガールをチラ見する為に。
チラッ
あっ、ありがとうございます。
サーは歌った歓喜の歌を、心の中、目一杯に。
0.3秒程見た様な、見ない様な気がしたが、とてもじゃないがそれ以上は申し訳ないような、恥ずかしいような見ていられない。
むしろ、他の乗客が自分のこの心を感じ取り気づき見ているのではないかと考えると気が気じゃないのだ。
大体失礼だ、人様の身体を隠し見るなんて。
サーは正気を保つ様にした。
しばし忘れ、ああこれから仕事かぁと仕事モードに頭を切り替えることに。
すると、自分の視界に巨乳ガールが入りこんでくる。
ヌオッ いけない、サーは心の中叫ぶ。
そんなっ、これ以上僕を誘惑しないで。
せっかく忘れてたのに。
チラッ チラッ 二回程見てしまった。
きょ、巨乳様を。
すっ、すいません サー。
サーはこの時、心から思う。
逆逆メガネーーが欲しいと。
なんだ?それは、皆様そう思ったことでしょう。
なんだ?逆逆メガネとはと?
それはサーが頭の中、発明した作品である。
世の中のチラ見をしたい全ての男性の夢を叶える製品である。
では、どんな製品なのか?
その全貌はこうだ!!
右側にチラ見したい女性がいるとしよう。
この際、右をチラ見するサーの目線は、もちろん右に向くはず、だが逆逆メガネーーは、なんと裏をつき目線が逆に向くのだ。
つまり右を見てる時は左を向いている様に見えているのだ。
これにより遠慮せず、見たいものをジックリ見つめられるのである。
だが、この阿保な男は気づいておらず。
逆のパターンを。
男は仕事のことを右を見つめながら考えている、しかし、そのタイミングの時、男は気づいていないが左側に巨乳ガールが立っているのである、
無論目線は、逆の左側をガン見状態に映っているのである、まさに、遠慮、躊躇なき変態である。
きゃー変態 ピシャン。
全く意識せず男は、その眼鏡をかけていたがために、ひっぱたかれるのである。
イタッ 何故?と。
サーは今や巨乳ガールを忘れ仕事のことを考えていた。
あー、今日会議どうなるかな?怒られないかなぁ、うまくやれるかなぁ、と。
真面目な男サー。
しばらくすると、サーは妄想モードに突入していた。
サーは自分が美しくカッコイイと思っている。
誰かと目があえば思う。
あっ、僕がカッコイイから目があったんだと。
だから結構意識する、あっこんな歩き方してたらダメだとか、こんな言葉の返事じゃダサいとかだ。
正直言おう、これは著者としての意見である。
サーはありきたりの、とりとめのない顔で、さしずめ・・・いや、ここまできたらハッキリ言おう。
ふっつーの顔である。
ドクシュン
サーは勝手に思いこむ、さては巨乳ガールは自分のことを気に入り、僕の視界に?
なんとも、めでたい男。
いけない、僕には妻や子供がいるんだ。
ごめん、僕のことは忘れてくれ。
僕には家族が一番なんだっ。
チラッと目をやる
ヌオッ
なんとっ、巨乳ガールは、巨乳ガールではなかった。
その正体は女装した、巨乳オールドメン!!
クハッ
朝から大変な目にあった。
サーは電車を降り職場に急ぐ。
そう言えば、とけたみさんあれからどうなったかな?
もう小夜さんとデートしたんだろうか?何だか無性にとけたみさんのことが気になる。
その頃、とけたみさんはと言うと。
なんと、今日は休みだった。
布団の中でニタニタ笑っている。
「あー最高、今日は布団にくるまり、まだ寝れてるなんて」
あれ以来、とけたみの思考はこうだ。
自分はドラマの主人公、もちろんヒロインは小夜さん。
タイトルはずばり「とけたみラブストーリー」朝、目を覚ますと同時にオープニングテーマ曲「ラブストーリーは突然に」が流れる。
とけたみこと通称スーは世界に浸る、窓を開け、キリッとした表情を浮かべ外を眺める。
「桜が綺麗だぜベイブ」10月である。
そして、すぐさまiPhoneに目をやる。
えっと、こないだの小夜さんとのやりとり、やりとり。ずっとラインを眺めている。
一応ここ最近のこやつの状態を説明しておこう。
家にいる時、食事中、更にはうんこをしてる時、お風呂場にまでiPhoneを手に取りチェックをしている。
奴の言い分はこうだ、小夜さんからのメッセージに遅れると悪いからである。
これにはさすがの父も波平さんのごとし怒鳴ったそうな。
バッカモーン
「これで振られたらパピーのせいだからね」
今は布団の中で、誰にも気兼ねなくiPhoneをいじっている。
小夜の文面を何度も読み返し、この言葉を使うってことは僕のことが愛しいのかな?と、こやつもさすがに多網父の友達である。
あれ以来、二人はラインメールのやりとりはしているが会ってはいない。
スーは一つ心配している、それは小夜からまだ返事が来ていない事。
おかしいなぁ、まだ来ないなぁ。
そのメッセージは5分前に送られた。
文面はこうだ「今日も良い天気ですね、良き一日を」
返事を返さない人もいるであろう文面、それになにより五分前、おおスーよ、ああスーよ。
ずっと、まだ既読にならないなぁと見つめている。
次のデート頑張るぞ。
近々誘ってみよう。
お腹の減ったスーは下に降りて行く、こないだ怒られたのでiPhoneは部屋に残した。
朝食を済ませ部屋にかけもどり、すぐさまラインメッセージを覗く チラッ
あっ、既読になってる。声をあげたスー。
だが、スーを最大級の落胆が襲う。
既読になってるのに返事がない。
まっまさか嫌われたんじゃ?
そこからスーは待った、きっと忙しいんだ、小夜さんは仕事中で返事返せないんだ。
時間は流れる。
今は午後15時
あれからラインアプリは計896回開かれた。
返事はまだない。
スーは思う、おかしいと。
何故なら仕事でも、さすがに昼休みはあったはず。
なのに返事がないなんて、ハッ まさか!!
振られた?嫌われた?新しい人が?
スーは心配しはじめる、居ても立ってもいられないスー。
この時、一大事と言ってサーに2回ほど電話をかけている、無論仕事中のサーから返事はない。
夜の8時、返事のないラインを見つめながら男はゲッソリしていた。
「とけたみ、ごはんよー」
「ちょっと食欲が無い」
布団の中、ラインを見つめる、ちなみに現在計7899回アプリは開かれた。
ハァー小夜さん大丈夫かな?まさか既読した後、体調悪くなったんじゃ?
心配になるが、返事もないのに、また連絡したらしつこい男みたいだし(こーゆう所は気にしている)
すると、メッセージが ピコン
「はひゃー」奴は声をあげ飛び上がる。
その姿はまるで人類が初めて火を目にした時の如し。
すぐさまラインメッセージを覗く。
今日は忙しい一日でした(^^)とけたみさんも明日も頑張ってください。
とけたみはこのメッセージを見て
大泣きした。
小夜さん、なんと美しいメッセージ(普通である)
猛烈に感動しました。何故かiPhoneに敬礼している。
そして、ものの2分もたたぬ間に返事を返すスー。
感動的なメッセージありがとう。
明日一日このメッセージを胸に僕は頑張ります。
そして、絵文字も入れちゃたスー。
女性とラインでやりとりするなんて、産まれて初めてのスーは浮かれていた。
僕は幸せだなぁ。
ふぅー、一安心して、ようやくお腹が減ったな。
「マッマーご飯たべる」
40を過ぎた男は喜びながら下に走って行く。
こうして奴の休日は過ぎて行ったそうな。
めでたし、めでたし。
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