冬馬君の秋と冬

だかずお

文字の大きさ
上 下
10 / 72

『冬馬君変身』

しおりを挟む



学校から帰って来た冬馬君。
「ただいま~」

「やったー帰ってきたー」学校を終え家に着いたこの瞬間のなんとも嬉しい気持ち。
何だかホッとする瞬間である。
仕事が終わって帰ってくる大人も、こんな気持ちになるのだろうか?
そりゃ、人によるかぁ~~。
とにかく、ニンマリ冬馬君は大ご機嫌。
すると、正子が「ちょっと買い物行ってくるから、留守番してて」

「はぁーい」

ガチャ

冬馬君は家で、一人になる空間が結構好きだった。
誰にも、何もいわれず、見られず、自分の自由な絶対空間を持った様な気持ちになるのだ。

冬馬君は笑った「ふっふっふ、きたーっ」
そして、叫ぶ

「冬馬ターーーイムッ」

キョロキョロ 辺りを見回す。

ニヤリ

こないだの多網家では、消化不良であった。
そう、あの鏡の前の喜劇ならぬ悲劇。
まさか、サーに見られるとは。
思い返しては、恥ずかしく、気まずい気持ちになる。

「よしっ、今日こそ 思う存分続きができる」

チラッとね よしっ誰もいない

鏡の前に立ち、さっそく

「ジャッ、シュッ(口での効果音)」

ニヤリ

ポーズを決め

「俺は最高だぜ ベイビィーー」

きっ、決まった、僕は今、憧れのアニメの主人公になってる。
嬉しさのあまり、その場で飛び跳ねる。

だが、冬馬君は今回は油断していなかった。
チラッ チラッ

よしっ、誰もいない。

冬馬君の秘密の花園、続行可能!!

ニヤリ

バッ、冬馬君は両手をいっぱいに広げ、叫んだ
「必殺、パンチパーマ パーマーー」(なんちゅー必殺技名じゃい)

そして

「ベリーロングヘアー キック」(なんぢゃー)

「ドガあああん ボガンー」

冬馬君は興奮する

シャッ シャッ シャッーーッ

ぬおおおおんーーっ

嬉しすぎる ひょーーーーーーー。

冬馬君は良いアイデアを思いつく。
アニメの主人公はロングコートを着ていたのだ、そう、父ちゃんのロングコート借りちゃえ。

バーン

ぬおおおおんーー

決まっている

いや

決まりすぎている

冬馬君は片手を果てしない天に向けかざす。

そして、反対の腕を前に突き出し言った。

「俺の心は騙せない」

ズギャャアアアアンッ

きっ

ハッ

決まりすぎたーーーーーっ

気分を良くした冬馬君

主人公の肌は結構白かった、それを真似したかったのだ。
冬馬君は、なりきりたかったのだ。
主人公の彼の様に。
うむ、そしたら、絵の具で顔を白くしちゃった。


バアアーアーンッ


ぬおおおおんーーーーーーーーーーーーっ

もはや、さなぎから蝶に生まれ変わった、そんな感じ。

これは新生冬馬君なのか?

力がみなぎる

気持ちが高まる

熱いっ

あつすぎるっ

僕はもう冬馬じゃない

スーパーヒーロー冬馬だ!!(冬馬じゃないか)

ポーズを決め、跳ぶ バンッ

しゃあああああっ、そして叫んだ。

「俺のパンチは光より速いぜ シュパアアンッ」

冬馬君はあまりのご機嫌ぶりに一瞬気を失いかけるが、まだ一番の決めポーズと、大技を繰り出していない事に気付く。

息をのんだ、集中しなければ

ばアンッ ドガああん(口でやっている)
一応敵にやられてる、シチュエーションらしい。

「くっ、やるじゃねえか、魔王 よしお め」(名前が魔王のイメージと全くあっとらん)

冬馬君は立ち上がる

「もう怒ったぜ」

「くらえ必殺」
この必殺技のポーズが難しいのだ。
冬馬君は集中した。
足を限界まで開く ぐぎぎぎぎぎっ。
股が引きちぎれない様に気をつける。

そして、そこで片腕を頭につけ、片腕を腰につけ(もう一度言おう、なんちゅー漫画だ)

叫ぶ

「ウルトラ ハリケーン パンチパーマ パーマ ストレート 縮毛矯正」(なんてネーミングセンスじゃいー)

ズギャャアアアアンッ

冬馬君はそのポーズのまま、あまりの高ぶり、ロマン、そして嬉しさのあまり笑った。

「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはーー」

ハ?

冬馬君は見た

鏡に映る、もう一つの顔を

この時ばかりは祈ったと言われている
頼む幽霊であってくれと。

だが無情にも、その顔は結構頻繁に見る顔だったそうな・・・

うんっ、正子の顔

「あっ、いっ、一体何これは?」

我が子とは思えない異様な姿の子は振り返る

「ぎゃっ」正子は驚き声をあげる

振り返った奴の顔は、絵の具で塗りたくられた真っ白な顔

それに、着ているのは、身体のサイズに全く合ってない地面に引きずられている隆のロングコート


びりっ ビリバリ ビリリッ

あっ!!

あっけにとられた二人は声をあげる

うむ それは

冬馬君の開ききった股のズボンが破れた音だったそうな。



チーーーーーーーーーーーーんっ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冬馬君の夏休み

だかずお
青春
冬馬君の夏休みの日々 キャンプや恋、お祭りや海水浴 夏休みの 楽しい生活 たくさんの思い出や体験が冬馬君を成長させる 一緒に思い出を体験しよう。 きっと懐かしの子供の頃の思いが蘇る さあ!! あの頃の夏を再び 現在、You Tubeにて冬馬君の夏休み、聴く物語として、公開中!! 是非You Tubeで、冬馬君の夏休み で検索してみてね(^^)v

冬馬君の夏

だかずお
大衆娯楽
あの冬馬君が帰ってきた。 今回は夏の日々のお話 愉快な人達とともに 色んな思い出と出会いに出発!! 祭りやら、キャンプ 旅行などに行く 夏の日々。 (この作品はシリーズで繋がっています。 ここからでも、すぐに話は分かりますが。 登場人物などを知りたい場合には過去作品から読むと分かり易いと思います。) 作品の順番 シリーズ1 「冬馬君の夏休み」 シリーズ2 「冬馬君の日常」 シリーズ3 「冬馬君の冬休み」 短編 「冬休みの思い出を振り返る冬馬君」 の順になっています。 冬馬家族と共に素敵な思い出をどうぞ。

冬馬君の春と夏

だかずお
青春
冬馬君の過ごす生活の日々 旅行に遊びに恋愛、沢山の思い出を冬馬君達と一緒に創ろう!! どこかほのぼのする感動の名作シリーズが再びかえって来た。 この作品はシリーズで繋がっています。 ここからでも、すぐに話は分かりますが。 登場人物などを知りたい場合には過去作品から読むと分かり易いと思います。) 作品の順番 シリーズ1 「冬馬君の夏休み」 シリーズ2 「冬馬君の日常」 シリーズ3 「冬馬君の冬休み」 短編 「冬休みの思い出を振り返る冬馬君」 シリーズ4 「冬馬君の夏」 シリーズ5 「冬馬君の秋と冬」

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...