冬馬君の秋と冬

だかずお

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『恐怖の山道停車』

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車は、夜の山奥に停車中。ひょえー怖すぎる、この状況。
子供達も身体を寄せ集め「掛け布団、欲しい」と多網。
サーは、テンパりまくっている「近くにお化けがいるかも」
「こりゃ、今はあんまり外は見れないね」冬馬君が言った。
真っ暗な森が、不気味に目の前に広がっているからだ。
その時、変な音が パキッ。
「えっ、何?今の音」きみ子が驚き叫ぶ。
「まさか、幽霊?」大喜が肩をすくめる。
「ぬおおおおおっ、気のせいだよ、気のせい」サーが自身に言い聞かすようにシャウトする。

パキッ

「ぎゃまーああああああ、なんとめるーーっ」
子供達は訳の分からないサーのシャウトに驚いた。
「でも、確かに音がする」冬馬君も、さすがに怖くなってきた。
「動物だよ、動物」サーは、もはや下を向き、目をつむっている。

ブリッ

「うわぁー、なんでんかんでんミルフィーユ」またも、訳の分からないシャウト。

「出たった」きみちゃんの屁だった。

すると、多網が「あっ」何かを思い出したように、「トランクに毛布ある」

「えっ、良くそんなのあったね、でも欲しい」と大喜
「こんな、時の為に入れて置いた」多網よ、どんなシチュエーションをあんたは、想像してるんだ。

だが、誰が取りに行く。
「父ちゃん」
父は、その呼び掛けに気づかない様に、死んだふりをしていた。絶対にヤダ。

「おじちゃん、お願い」きみ子もサーにすがる。
サーは生き返り
「ちょっと、おじちゃん今、風邪ひいちゃったから、厳しいな」メチャクチャである。

冬馬君と大喜は思った。サー相当怖いんだ。
こんな時、清香が居たら冬馬君はカッコつけて、いの一番に、僕が行くよ、なんて言っていただろう。
大喜も、アミがここに居たら、「僕も」と言えた。

すると多網が「みんなで行けば、怖くない」
「そうだ、みんなで行こう」冬馬君も奮い立つ。
「毛布さえ、あれば、車の中で、かぶって過ごせる」大喜の一言にサーが思ふ。

欲しい、毛布 

今、このシチュエーションの必須アイテムではないか。
「風邪ひいちゃったから、パパに貸してよ」とサー

この時、誰からも、まったく返事は返ってこなかったと言われる。

「行こう」ガチャ 車のドアを開ける。真っ暗森の中 外に出た。怖い話をさっきまで聴いていたせいか、余計怖く感じる。
子供達は、すぐさまトランクへ。
「急げ~~」 この時、興奮のあまり、きみ子は三十七発こけた ブリッ プリッ プシュー やった短期間、自己最多記録更新。ちょっと、嬉しい、きみちゃん。
その音の数だけ、ビビったサーの身体は振動した。
うおっ、うおっ うおっ うおっ うおっ。
ビクッ ビクッ ビクッ ビクッ ビクッ

子供達は、毛布をゲットし、車に走って戻って来た。
「やったー、これで一安心」大喜びである。

ああ、子供達が、羨ましすぎるサー、自分も後ろの席に行き、一緒に毛布にくるまり、まざりたかった。
だが、いきなり後ろに行って、まざったら、明らかに
自分が怖がっていることがバレてしまう(もう、みんなにバレているだろうが、サーは、分かっていない)何とか良い方法はないものか?サーは必死に考えている。
その時、まさかの事態が。
ザーッ ザーッ 「あっ、雨だ」しかも、かなり激しい。まさか、この流れは?
冬マニアの皆様なら、お分かりであろう。
どうして、こんな時にっ。
サーは祈る、どうか、雷様だけは来ないでください。

子供達は、毛布もゲットしたし、このシチュエーションに喜んでいた。
「良かったー雨降る前に、毛布とって来て」
ザーッ ザーッ 
子供達は毛布にくるまっている。
「あーぬくい、これなら怖くない」と、きみ子

サーは隣にも誰も居ないし、怖すぎた ガクガク ブルブル。

「父ちゃん、さっきの怖いCDかけて」
この時、サーは寝たふりをし、全く聞いてないふりをしていた。
車は山の中、停められている。
サーは一刻も早く、ここから立ち去りたかったが、怖くて運転出来ずにいた。

ザーッ ザーッ 雨は、激しさを増す。

「ひゃー、この状況、何だかワクワクするね」冬馬君が毛布をかけながら、ニンマリ。

多網も、顔まで掛けた毛布から、顔を覗かせニンマリ。
サーは正直、毛布を奪いたかった。そして、思ふ。
人は、こんな理由から争いを始めたんではないか。
わたしは平和主義サー、奪うなんて、出来ない。
せめて、自分も仲間に入れてくれ~。
サーは悲しげな表情で、後ろを見るも、誰一人、気づいていなかった。

そして、奴はいよいよやってくる、そう、サーの大の苦手な雷様

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオー

「あっ、この音は」一同驚く、まさか?

「カミナリだぁー」誰よりも大きな声をあげたのは、二人の子を持つ男、サーであった。

たっ、頼む そら耳で、あってくれ。
これは、雷の音じゃない、そう、きっと猫がないているのだ。(それは、さすがに 無理がありすぎるだろ、サーよ)
サーは、ちょっと目を開ける、すると ピカッ 空が光ったのだ。
一瞬、驚きのあまり 気を失いかけ言った「雷様が来た」

ついに、奴が来てしまった。
これで、幽霊まで来たら、雷に金棒 最強ツートップである。
それだけは、避けなければ。いや、待てよ まさか これは、幽霊の仕業なのか?
まずは、幽霊に立ち去って、もらわなければいけないんだ。 ぐぎぎぎぎっ 歯をくいしばるサー。
こうなりゃ、ちょっと覚えたお経で。
怖がるだけが、僕じゃないんだ。

くらえっ

「なんミョー ホーレン ソウソウ」これしか、知らなかった。しかも、全くあっとらん。
ひたすら、これを連呼する。
これを、はたから見ていた子供達は、サーが、ホーレン草お化けに取り憑かれて、気が狂ったと思い。
皆、毛布にもぐる。「やばいよ、サーが取り憑かれた」

えーい、じゃかしい 雷様がキレる
バリバリ バリバリ~~

「どみゃーやなはらなたやなひなやはらぬやたなはらゆにのりなたゆらはなゆ」サーはあまりの驚きに、ウンコとションベンを同時にもらすところだった。

その、意味不明の叫びに、子供達は、いよいよサーがおかしくなったと、皆怯えている。

「やばいよ、サーが幽霊に取り憑かれた」大喜が言った。

「なんとかしなきゃ、でも、どうする?」きみ子も、焦っている。

ザーッ ザーッ 降り続く雨

「怖がってるだけじゃだめだ、幽霊を追っぱらおう」冬馬君が立ち上がる。

「そうだね」皆に気合いがはいる。

「まずは、必殺」多網が叫び、ケツを父サーに向けて

ブリッ ぶっこいた。

「どみゃー」驚くサー

「効いた」大喜が確信する。幽霊に屁はきくんだ。

その言葉に「オンドリャー」
「必殺 きみ~~ さく裂クラッシャーブリブーぶっこき」名前だけで、冬馬君と大喜は恐ろしくなる。
こりゃ、幽霊さん即死ではなかろうか?
いや、すでに死んでるのが 幽霊なら 死なんのか?どうなる?成仏して、天に帰るのか?

とにかく「おりゃー」
ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ ブリッ 

ぬぐわあああああー 再び、叫ぶサー

「よしっ、僕らも」冬馬君と大喜も
「くらえー ダブル オナラボム」

プスッ 出なかった 無理に力んだせいで、うんこが顔をだすところであった。

その時

雷様が本気をだす、ピカッ 辺りがものすごく明るくなる

「どひゃー」さすがの子供達も驚き、一斉に毛布にもぐった。

バリバリバリバリ ドーン

ものすごい、音が辺りに鳴り響き、その雷はサーの、脳天に直撃 サーの身体は、アニメ感電シーンのように、ビリビリ動きまわっている

「ぎゃー」あまりの恐怖に叫ぶ、子供達
「サーが悪魔に取り憑かれた」

無論、実はサーに雷など直撃してはいない、サーの脳内で勝手に起こっていることである。
子供達は、しばらくサーをほうっておく事にした。
何故なら、雷のせいでこうなってる事に冬馬君と大喜が気付いたからだ。

ザーッ ザーッ 
「しかし、強い雨、そー言えば 今何時?」きみ子が時計を見る。

時刻は23時をまわっていた。
みんなは、毛布にくるまりながら、外をチラッと見つめる、辺りは本当に真っ暗 

「でも、最初の雨降る前の音、一体何だったんだろうね?」大喜がふと、気になった。

「あれは、本当の幽霊だったりして」冬馬君が苦笑いしながら言う。 ゾッ

「とにかく、目をつむって寝よう、朝になればサーも復活するよ」子供達は朝を待つことに。

「このシチュエーション楽しい」ポツリと多網

確かに、何だか怖いけど、みんな一緒だし ワクワクする。

「じゃ、ここで 今怖い話」その多網の提案は、さすがに却下された。

端っこの、きみ子は何だか、右隣の外が気になる。
毛布を右肩いっぱいかける為に力強く引っ張る。

すると、端っこの多網の毛布が、はぎとられた形となったではないか。

「ぬわっ」焦る多網 思いっきり、引っ張り返す

「どしゃー」今度はきみ子の毛布がなくなる

「何しとんじゃわれー」すごい言葉遣いである。

その瞬間だった。

コン コン 

「えっ、何この音?」 まさか?

「ぎょえーっ」多網、まさかの意外な悲鳴

皆も、何かに気づいた。 コン コンッ

「ぎゃあー」子供達が一斉に悲鳴をあげ、見ると 何と、車の外に人影が、ドアを叩いているではないか。
みんなは、驚き 毛布の中に一斉にもぐった。

「おーい、何してるんですか?」

えっ、人の声?

何と、先ほどのサーの会社の同僚の人
その声にサーも意識を取り戻す。

「いやー、たまたまコンビニ行こうと、通ったら サーさんの車が停車してあるんで、ビックリしまして」
サーには彼が仏様に見えた。 ピカーン

冬馬君達が、事情を説明すると、親切に山道を抜けるまで、車で先に先導してくれたのだ。

無事に明るい街に着いた時は、サーは嬉しさで泣きそうであった。

こうして、無事に多網家に帰った一同であったそうな
めでたし、めでたし。

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