冬馬君の秋と冬

だかずお

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『お見合い大作戦』

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今は子供達だけが、とけたみ家にいる。

「結局二人ボーリングに行っちゃったね」半ば呆れ気味の冬馬君

「あれじゃ、絶対に失敗するわ」きみ子が言った。

「明日は私達が何とかフォローするしかない」きみ子が立ち上がる。

頷く子供達

「よーし名付けてお見合い大作戦だぁー」

「おーっ」

すると ガラッ

玄関のドアが開く音

「いゃあー僕達ともあろう者が」とサー

「今はボーリングをやってる場合じゃなかった」
ようやく思い出し戻ってきた二匹。

「よしっ、とけたみさん今日は色々話を聞くよ」

「ありがとう、やっぱり持つべき物はサーだよ」

なんぢゃそりゃ。

「今はどんな気持ち?」と大喜

「うーん本音はやっぱり緊張するよ、だって僕みたいな奴なんか女の人にモテるはずなんてないし、きっとこれが最初で最後のチャンスだと思う、僕だって彼女が欲しいと思ってたけど、出来た試しがなかったんだ、だからこれを機に変わりたいんだ」

「ぬおおお」親友の本気の気持ちにサーが立ち上がる。
「絶対に成功させよう」

子供達も立ち上がる
「僕達はスーの味方だよ、みんなで手伝う」

みんなの気持ちにとけたみさんは泣いた。
「ありがとう、ありがとう みんなは最高だよ」

「よしっ、僕は明日絶対にお付き合いが出来るように成就させてやる」

「おーっ」

「本当にお見合い相手の写真みなくて良いの?」サーが言う。

頷くスー「うん、見ない」

「分かった、スー明日は絶対にストライクだ」

「うん、ターキーやってやる」

こんなとこで、ボーリング表現かい。

「やっぱりスーはお付き合いしたら、結婚したいの?」と冬馬君

照れながらスーが「出来れば子供も二人は欲しい、そしてこうゆう未来をつくりたい」

「自分の大きな家の庭、走り回る子供達、そしてモデルも真っ青な可愛い奥さんが、スーさん私あなたに会えて良かった、そして僕がすかさず、僕こそあなたに出会えて良かった、そして子供達が、僕大きくなったらパピーみたいな男になる、そして僕は子供を抱きしめ言う」


「ストライク~~」

冬馬君は思った なんぢゃこいつ~~。

多網は眠っていた。

するときみ子が「スーおじちゃんはどんな女性でも良いの?」

あっけにとられたスー

「考えたことなかった」

皆ビックリである。

「でも強いて言うなら、こんな僕を好きになってくれるなら条件は少ないよ、例えば髪の色は黒髪、僕より年下、料理が上手で掃除好きで、優しくて、可愛くて
おっとりしてて、えーっと」

ありすぎや!!

「でも、やっぱり人間なら、それでいい」

皆はずっこけた。
てことは、こっち側はもう誰でも良いってことだな。

これで、お見合い相手が半透明の幽霊じゃなきゃ合格と言うことだ。
あとは相手の気持ち。
冬馬君がふと思う、これでお見合い場所にゴツイ男が座っていたら笑うだろうと。

「とにかく明日は気合い入れて行くっ」

その、とけたみの言葉に皆の気持ちが引き締まる。

「行くぞーみんなでストライク~~ッ」

やっぱスゲー掛け声。

夕方、とけたみさんのお父さんお母さんが帰ってきた。
どうやら、皆の為にデパートに行き美味しい物を沢山買ってきてくれたようだ。

「すいません、わざわさ気を遣わせてしまい」サーが言う。

「いえいえ、わざわさうちの子の為に皆さん来ていただいて」お母さんがにっこり

「今日はパーットやりましょう、遠慮しないでやって下さい」とお父さん

「では、かんぱーい」

「まさか、うちの子がお見合いなんて、孫の顔見たかったんですが、もう諦めてたんですけど、こんな機会いただいて」

スーのお父さん、お母さんも孫の顔が見たいようだ。

「やっぱり、私達のが先に逝ってしまうから、息子が一人だと寂しいんじゃないかって、そんなことが心配になる年ですからね」

その両親の言葉にスーの瞳にうっすらと涙が浮かぶ。
いつまでも側に居ないんだ、そんなことを考えるとスーは泣きそうになってしまう。

もし、僕が結婚でもしたら、この家は、もっと賑やかになる。
スーは再び誓う、明日はストライク!!
両親には迷惑ばかりかけたから、一回くらいは親孝行したい。

その夜は賑やかに宴会は続いた。

明日は個室で、お見合いだったのだが、助言の欲しいスーの希望により、個室は辞め、隣にサー達が何気なく知らない人のごとく座り、話が聞けお見合いを観察出来る様な場所として静かなレストランとなる。

「みんな明日はよろしく」

その日は、22時過ぎには皆 眠りにつくことに。

夜、ふと目を覚ます冬馬君はトイレに。
するとリビングの明かりがついている。

「あれっ?」

中を覗くとスーが

「あれ、まだ起きてるの?」

「ひゃあっ」スーは声にビックリしてすっ転んだ。

「なんだ、冬馬君か、ビックリしちゃった」

「寝ないの?」

「いやぁー恥ずかしい話、緊張しちゃって寝つけないんだ、女性と話すなんてあんまりしないからさ」

「そう言えば、冬馬君は好きな子とかいるの?」

突然のスーの質問にビックリした冬馬君
清香の顔が頭に浮かぶ。
「いっ、一応」

「やるなぁ」スーが微笑む

「デートに誘ったりなんかしたの?」

ドキッ
「まっ、まあデートと言うか、遊びに行ったり」

「すごいね、僕よりよっぽどしっかりしてるよ」

「そんなことないですよ、スーは今まで恋に落ちたことはなかったの?」

「そりゃ、あったさ。だけど話かける勇気もなかったり、頑張ったけどふられたり」

「好きな子がいるってのは素晴らしいね、大切にするんだよ」とけたみことスーが言った。

「はいっ、じゃ僕はそろそろ寝ます」

「うんっ、おやすみ」

冬馬君は振りむき「明日頑張って下さい」

「ありがとう」

スーは優しくて良い人間だなぁ、冬馬君はそんなことを思う、明日うまくいきますように。


そして、いよいよ翌日。
朝起きると、スーはすでにスーツ姿
かなり、緊張している。

「かっこいいスー」大喜と多網がスーを盛り上げる

「スーおじちゃん、決まってる」きみ子も満足気

友の緊張したスーツ姿と晴れ舞台にサーは泣きそうに、そして「ストライク決めよう」と言ったそうな。

この時、サーは良いアイデアを思いつく。
そう、名付けてマル秘アイテム大作戦。
このことは誰にも言わなかった。

そして、いよいよ車に乗り込み出発である。

子供たちは「ひゃーなんだかワクワクする」盛り上がっている

実はスーは朝からトイレに32回行っていた。
もちろん毎回噴射するわけでもなく、トイレに入っては出たり、三滴ほどチッチを出して ちょっと出たと言っては行き来を繰り返していたと言われる。

スーは昨夜、寝ずに頭の中で何度も今日のシュミレーションをしていた。
そして必死にプロポーズの言葉を考えていたのだ。
決めた言葉はこれらである。

「私のピン(ボーリングの)になってください」

うん、意味わからん。

「ヨーホレヨーヒッヒー、アルプスで式あげよう」

アホウである

「僕と君はこうなる運命だったのだ」

キザだ

自分が一番気に入ったのはこれ

これは、自分の中でほぼ99パーセント決まったプロポーズそれは

両人差し指を相手に向け

そして、言う


「ストライスーーーーーーーーーーーーーーッ」

自分のあだ名はどうしてもいれたいタイプのようである。


そんなこんなで、お見合い場所に着いてしまった。
まっまだ心の準備がっ

「スー気合い」ポツリ多網

「スーファイトー」冬馬君と大喜

「次は40年後」ときみ子

グサッ

「緊張させてどうするのきみ子~~」

「あっ、ごめん ごめん 」

「じゃあ、行くよ」立ち上がるスー呼吸を整えた。

すると肩を叩かれる

振り向くとサー

「友よ、絶対にうまく行くさ」

「ありがとうサー」

二人はガッチリ握手を交わす。

先にスーと両親が店に向かう。

すぐさま、知らない人を装い、三人の後を追う冬馬君達

「最初のミッションは何としても、スー達の近くに座らなければならない」サーも本気である。

「よしっ、ゴー」すぐさま後を追う。

ガラッ

「いらっしゃいませ」

その瞬間だった、一同は驚愕す

何故なら倒れこみそうになるスーを支える父

なんだ?どうしたんだ、何故にスーはあんなに落ち込んでるのだ?

一同は前を見た



「ヌオッ」



そして声を失った、何故なら目の前にいたのは正真正銘






























ゴリラだった




彼は昨日確かに言っていた

「人間なら自分は誰でもいい」と。

ああ、なんと言うことだ


ゴリラだったのである


気を失いかけているスーは頑張った、全力を振り絞り、必死に声を絞り出したのだ。


「こっ、こん に ち は」


ゴリラはスーを睨みつけ言った


「ウホッ」


ああ、友よ


ああ友よ


どうしてお見合い相手は人間ではなく、ゴリラだったんだい?

どうして40年以上を経てようやく掴んだ出会いのチャンス


何故


出現してしまったのはゴリラだったんだい?


ああ友よ

ああ

友よ

されど友よ

あのゴリラは雌かい?

もう、この際、雌ならいいのではないかい?


友よ

君のお見合いする相手はゴリラ

僕の親友がゴリラとお見合いする

昨日随分緊張してしまったね。


スーは頑張った、せっかくお見合いに来てくれたんだ
「あの、名前は?」

全身体毛、真っ黒ゴリラは言った

「 さ ゆ り」

しゃっ、喋った

「うっ、生まれは?」

躊躇なく奴は答えた

「アフリカ」

スーは思った、こやつどうやってこの人間社会に馴染んで、お見合いにくるまでに至ったんだ?

「あの、失礼ですがどうやって、言葉を?」

「自主練」
ゴリラは言った

そして
「ワタシキレイ?」

「ぬおっ」
なんだ、この口裂け女がするような質問は?

なんと言えばいいんだ?
変な返事をしたら、KOさせられるんではなかろうか?

「うっ、きっ きれい じゃなくて 可愛い」
うおーっ、スーよ正直に頑張った。

ゴリラは言った

「おじょうずなんだから」


すると突然ゴリラは笑う

「さて、合格」
なんと、ゴリラは着ぐるみだったのだ。

ってか気付こうよ。
ちなみに、サーとスー以外は皆気づいていた。

他の人の驚きはゴリラが居たからと言うより、何してるんだ?この人だった。


「すいません、ビックリさせて」面をとると中から女性が。

スーは一安心、良かった。お見合い相手ゴリラじゃなかったんだ。きっと中から可愛い人が。

が、ゴリラの下から現れたのは、しわくちゃの婆さんだった。

再び落ちるスー

「あっ、ああ」


「私、サヨの母の五里羅ゴリラです」

ぬおっ、やるなこの名前。
だから、ゴリラに変装したのか?

「サヨはこれから、来ます」

ガラッ

すぐさま振り返るスー

「サヨさんっ?」

振り向くとそこには

猿人がいた

「ぬおっ」

「軽いジョークです」面をとり彼は言った。

「私はサヨの父のアウストラロピテクスです」

なんぢゃーめちゃくちゃや~~


そして、ガラッ

「もう二人やめてよ恥ずかしい」そこに立つのは


ジャワ原人であった。


ら笑った。

一人の女性
「すいません、父と母が」

スーはその姿を見て一目惚れした。

いよいよお見合いが始まる





つづく
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