文太と真堂丸

だかずお

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~ 現る ~

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なあ知ってるか?

なんだよ

あの鬼神が死んだらしいぞ

まっ、まじかよっ  どうして?

それが決闘で斬られたらしい

おっ、おいっ   嘘だろ?あの鬼神がか?

そんな奴がこの世にいたのか?

誰だよその斬った奴?


真堂丸
あの女狐を討ち取ったって言われてる あいつが鬼神も……

すげえ

こりゃあひょっとしたら

時代が変わるかもしれんぞ

信じらんねぇ

夢みたいだ

大帝国の支配が終わるかも知れないのか?

ああ

俺たちも立ち上がろうぜ

おっ、おおよ  真堂丸さんの力になりたい


場所は変わり
そこはかつて真堂丸達が激闘を繰り広げた場所の城

「清正隊長」

「ああ、聞いた すぐに姫に報告だ」

「姫、光真組 清正報告に参りました」

「知っておる、先程隊長から聞いた。彼らがやってくれたのだな」

「はいっ、彼らがあの悪名高き伝説の怪物であり、大帝国の幹部でもあった鬼神を討ち取りました」

文太    真堂丸

納言の脳裏には、あの日会った彼等の表情が浮かんでいた。

「お前達はずっと闘ってくれてたのだな、人々の為」

ありがとう  文太 真堂丸

「彼らには大恩があります」

「光真組、清正 来る時、彼らの力になる為 今日も精進してまいります」
それを聴き、納言が微笑む

あの絶望の最中、お前達は私の前にあらわれた
そなたらは、絶対的強者である暗妙坊主と烏天狗を前に、私を助けると言ってくれたのだ。
私の命があるのはそなたらのおかげ
この納言出来ることすべて全力で尽くし、二人の力になると決めておる。
この国には希望があるのじゃ
沢山の愛すべき人々が住んでおるのじゃ。

そこはかつて女狐によって支配された町

「おいっ、大同」

「おう、なんだ元郎」

「見ろよこの号外」

大同は一瞬言葉を失ってから、落ち着きを取り戻したあと「まじか、 真堂丸殿達がやったのか」

「ああ、本当にすごいよあの人達は」

「鬼神ったら、女狐を育てた怪物じゃねえか、あの人達はやっぱ半端ねぇ」

「ああ、俺たちに希望を教えてくれた人達だ」

「大同さーん、元郎さーん」
その声は乱

「すげえ事が起こったあの人達が」

「ああ、知ってるよ、一足遅かったなぁ」
微笑む二人
と同時に心の、内決意を固めていた。
これから大帝国が本気で動き出す
そう決戦は近い
俺たちは命にかえてもあの人達を援護する

「さてと」立ち上がる大同

「あれ、大同さんどこに?」

「ちょっくら森へ」
歩き出す大同

「変な大同さん」

「おいっ、乱 結婚後、奥さんとうまくやってるのか?」

「もちろん、時々喧嘩しますけど」
元郎も立ち上がる

「大切にしろよ」
さてと俺も行く

「えっ、元郎さんも?変な二人」

大同お前、森に向かって、修行するんだろ、二人の力に少しでもなるために。

俺もすぐ行くよ

鬼神が倒された情報は国中を駆け巡った。
これは、この事実が人々に希望を与えると流した、菊一や、鬼ヶ島の人々や、鬼達が発端となり流れた情報

彼らの伝えたもの

彼らが伝えたかった想い

それは

あきらめるな
希望は今こうしてここに在るのだ

大丈夫

彼らがここにいる

その頃、麻呂の隠れ家で文太達は過ごしていた。

沢山の話をした

一山さんのこと

僕らの出会い

「俺は君たちに会えて良かった」
不思議だ、彼らからお前を感じるんだ一山
麻呂は文太に地図を渡す
「次はそこに向かうんだ、すぐ支度して行くと良い」
菊一は麻呂の様子のおかしさに気づく何故こんなにすぐに?

皆が部屋に向かった後だった
「麻呂どういうことだ?しばらくここに居るもんだと思ったが、何を隠してる?」

「ああ」

「彼らを逃す」

「逃す?なんのことだ?」

「長年の感覚とでも言おう、予感がする」

「ああ、お前の昔からのあれか」

「この場所に長く住んでるから分かる、木々が叫んでる、この場所にとんでもない奴がすぐに来る」

「なんだと、殺気なんて感じねぇぞ」

「それとは違う」

「確かなのか?」

「さあな、でも俺はずっと直感を信じここまで生きて来れた、外れた事はない」

「今の自分で在れたこと、お前にも感謝している」

「すべての経験や出会いが今の俺にならせてくれたんだ」

「なに言ってやがんだ、お前ほどの男が負けるつもりか?」

「お前も一緒にここを離れよう、お前の戦力を今失う訳にはいかない」

「おい菊一   今さら俺の命欲しさで大事な事を忘れるな」

「俺がここに残らなきゃならない」

「今すぐ出りゃいいだろ、ほらっ」
菊一は歩き出す

「お前ならどうした?」

「俺はあいつらが気に入った、仲間を生かす為、お前が俺の立場なら同じことをしたろ?」

「真堂丸君は確かに強い、俺以上だ、だがこいつには勝てないだろう」

「一山が見つけた希望を今失うわけにはいかない、時期が来れば真堂丸君ならいつの日か、可能性がある、だが、今は駄目だ」

「俺が時間を稼がなきゃならない」

「てめぇ死ぬつもりかよ」

「すぐに向かえ」

菊一は一人になり拳を強く握りしめた。
俺は無力だ、大切な仲間を救う力もねぇ

ちきしょう

ちきしょう

一山お前ならどうした?
俺はまだこうしていなくなった、お前に頼ってるんだな。
俺にしかできないことが、必ずある

しっかりしろ

しっかりするんだ

菊一は前を向いた。
麻呂ほどの男が勝てない野郎?
そんなのそうそういやがらねぇはずだ、予感が外れてくれれば。
皆の部屋に向かう菊一

「お前達、出発だ」

麻呂はすでに皆を外で出迎え待っていた。
「君たちに会えて良かった、一山から聞いた通りの人間だったよ」

「こちらこそお世話になりました、麻呂さんまた絶対に会いましょう」

「ああ」麻呂は微笑んだ

「ほらっ、お前ら行くぞ」

皆は馬車に乗り込む。

「菊一彼らを頼む」

「ああ」

「そして、これを」
それは二十年前、一山と三人で修行してた時、ある村の子供を山賊から救い、その時感謝を込めもらった貝殻

「綺麗だなぁ、くれよ麻呂」

「これは生涯誰にもやらん俺の宝だ」

「絶対に誰にもやらんぞ」

「・・・・・・・」
菊一は一瞬言葉を発せなかった。
この行為に、麻呂の行く末を見た気がしたからだ。

「行け」

「ああ」

最後の別れに言葉はなかった

覚悟を決めた者の姿
自分達の為に死ぬ気でことに望む友
てめぇも一山も最高の奴だよ、誰がそう思わなくても俺が知ってる

あばよ
大好きな
最高の友

馬車は走り出す

「真堂丸君、文太君達悪いな 後は君たちに任せることになる、菊一をよろしくな」麻呂は空を見上げ一人つぶやいた。

「良い人生だった」

「彼らの命はここで終わらせやしない」

「来てみな」

ヒョオオオオーー
仲間をこの先、追わせやしない


馬車の中
「なんだよ、もっとあそこに長くいるもんかと思ったぜ、なんだか急だよなぁ」としんべえ

僕らも少し不思議に思ったが。
菊一は何も言わなかった。
ゴゴゴゴゴオオオー

彼らが去って30分か
麻呂は家の入り口の方をゆっくりと向く

ザッ

何者かが家の外に立つ

スバアアアンッ

凄まじい斬撃と共に
突如扉を斬り飛び出したのは麻呂


シャッ
何者かはその斬撃を躱す

「ちっ、出来ればこれでケリをつけたかったがそんなに甘くはないか」

「うひょーおじさん強いね、感動したよ」

「人を探してるんだ」

「残念だな、ここには誰もいない」

「嘘だね、大帝国からここと聞いてるから確かだ」

大帝国の者か
ちっ、悪い方の結果だったな
これほどの手練れ
出来れば大帝国の者であってほしくはなかった
麻呂が心の中思う

「嘘は良くないよ、だっておじさんいきなり斬りかかって来て何か隠してんでしょ?教えてくれなきゃ斬るよ」

「教えてくれたら、命は助けてあげるよ」

「小僧、お前に教えることは何もねえよ」

「そっか、じゃ たたかおっか」

麻呂の前にに立つ男の正体
それは
一斎であった。


馬車は走っている
「ちょっと止めてくれ、忘れ物をしたから俺は一旦麻呂の元に戻る、向かう場所の地図は覚えてある、お前達先に向かっていろ」
僕らは菊一さんの様子が少しおかしい事に気づいた
何かあったんだ

「僕らも、一緒に行ったほうが」

「いや、先に行くんだ」

「分かりました」

菊一を降ろし馬車は再び走る
敵が何者であれ、確認を俺はとらなければならない、麻呂、俺も行く。
仲間を、友を置いては行けなかった。

スパンッ

ズバアンッ

「うん、やっぱ強いよ、おじさん一山さんより強いんじゃない」

「あははは、笑わせる  あいつはここ十年もう大して戦える身体じゃなかった」

「えっ?」

「身体は度重なる戦でボロボロだったんだ、動けて全盛期の半分くらいか」

「うひょー、じゃあ一つ聞きたい 僕と全盛期の一山さんどっちが強い?」

「刀を抜けよ、見てやる」

「やったー」

馬車は走っている

その時
突然真堂丸が立ち上がる

「真堂丸」叫ぶ道来

「行ってくる、ここにいろ」
道来の額から汗が流れていた。

こんな時に……

「道来殿、まさか、間違いないでごんすよね?出来れば勘違いなら」一之助も立ち上がる

「えっ?」

みんなのこの慌てぶり

一体何が?

起こってるんだ?




ザッ

馬車から出る真堂丸


「よう」

「久しぶりじゃねえか」

「ああ、そうだな」










        「骸」





ゴゴゴゴゴゴオオオオオオオーー










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