文太と真堂丸

だかずお

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~ 決意 ~

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ヒョオオオ~~   ヒョオオ~~

ギィィ  ギィィ
舟は暗闇の中を進んでいる

「まず、着いたら あてがある 一旦そこにかくまってもらうことにしようと思うがどうだ?」

「分かりました」
菊一の提案に皆は頷く

常に細心の注意を払うんだ
お前達は女狐だけじゃなく鬼神までをも倒したんだ
大帝国、国中の猛者がお前達の命を狙うはず
特に真堂丸、強さや名声を求め、お前を狙うものも沢山あらわれるだろう。

今まで無名だった一斎の名も白竜を斬り、国中に響き渡ることになる、そいつが大帝国の幹部だと人々が知れば、人々は更に希望を削がれるだろう

更にはあの骸までもがお前の命を

内地に着いてからが最終決戦の始まりだ。
ここに居る誰をも大帝国は許さない。
菊一が真っ暗な海を見つめる

だが新しい芽も生まれるはずだ
「どういうことです?」

「もし、人々が大帝国の幹部が次々に敗北したことを知れば、人々の意識が変わる」

「なるほど、大帝国も絶対に逆らえない存在ではない、もしかしたらと」

「そうだ、新たな希望に目を向け立ち上がる人間が増えるはずだ、一つの問題は、人々がお前達がこれほどの大幹部を倒したことを知らないことだ、そこで仲間を通じ、その噂を国中に流すことにする」

「大帝国の幹部は今や半分以下とな」ニヤリ
人々が立ち上がれば、可能性は見えてくる

「信じらんねぇ、本当に信じらんねぇ  あの大帝国の脅威が終わる日が来るかも知れないんだ、本当に本当に」太一の心から希望があふれていた。

こんな想い 

こんな気持ち

長く長く忘れていた。

本当に世界が変わる

世界は変わるんだ

「確かに絶対無敵、逆らうことは不可能だと思っていた、十人の幹部をこいつは倒してんだ、いけるんじゃねえか、今ならあの大帝国を」興奮するしんべえ。

皆の心に灯る可能性という光

どうやら陸が見えてきた。
「どこで敵が見張ってるかも知れない、皆気を抜くな」道来が言った。

「けっ、鬼ヶ島って地獄から帰って来たんだぜ、なんで戻ってきた場所の方が、よりおっかねえ場所になっちまうんだよ」強張るしんべえ

「真堂丸」と道来が横に居る真堂丸に突然声をかけた。

「ああ」

二人は刀に手を置く

「道来さん、真の兄貴 まさか?」

既に敵が

「皆、気を抜くな」ガルゥラも二人が見ている方を見ている

真堂丸は陸地の暗闇を見つめた
常人には真っ暗で全く何も見えないのだが。
菊一と一之助の表情も険しい。

「気配がもれてる」

「気配を隠してるわけではなさそうでごんすね」

「俺には全く分からねぇ、俺がおかしいのか?」としんべえ

「僕もですよ」文太が言う

「やっぱ、おかしいのは奴らだな」


ギィィ   ギィィ
舟はどんどん得体の知れない者が待つ陸地に向かっている

ザッ

真堂丸が立ち上がり叫ぶ
「貴様何者だ」

ヒョオオオ~~

ザッ 暗闇から一つの影がぼやけて見えた気がした。

「舟を近づけて大丈夫か?」と菊一

「ああ」頷く真堂丸

「皆俺の後ろにいろ」

「強いぞ」
真堂丸のその言葉に皆の気が一気に引き締まる


ザッ 

暗闇に一つの影
だが、良く見ると その影の周りに10人程の人間が倒れている

「お前がやったのか?」真堂丸が問う

「いかにも」

うっすらと光がその者の顔を照らす

一瞬文太は驚くことになる
その者の両目は刀傷にて塞がれていたのだ。

「ほぉ、驚いた 俺は目が見えんが 本当にお前は強いな、久々に震えがくる」

「あんたもな」

「お前の強さを感じるかぎり、達人なんて言葉は遥か遠くにかすんじまうね」
男はニヤリと笑う

ふぅー
ため息をつく 、菊一

「麻呂か」

「ああ、約束通り迎えに来たぜ」

「じゃあ、そこに倒れてるのは」

「ああ、手の早いやつらだ、大帝国の兵、気を失ってるだけだ」

「まぁ安心しろ、まだ鬼道や大部分の大帝国の人間に、お前達の居場所は知られていないようだ、一人がこ奴らに監視をするように命じ走って行った、そいつは逃しちまったが、こいつらは倒してここにまとめておいた」

「じゃあ、その逃げた奴が鬼ヶ島に来てた幹部だろうな」とガルゥラ

「久しぶりだな、ガルゥラ」

「ふん、俺は人間とは相入らん」

「相変わらず」

「用も済んだ、俺はこれから一人、最後の決戦に向け準備をする、貴様らせいぜえ俺の足を引っ張るなよ」
ガルゥラは去って行った。

「全く人間嫌いは変わらねぇな」
笑う麻呂

「まぁ、あんなだが時が来たらちゃんと駆けつけてくれるさ」
菊一が言った。
「悪りぃな紹介が遅れた、奴は麻呂  一山や俺らの仲間だ、奴にかくまってもらうつもりでいた」

「おまえ達の預かってた馬車もすぐそばにある、それに乗って俺の隠れ家に行くぞ、そこで計画を練るとしよう」

「しかし、お前達が数々の白い刃を討ち取った奴らか、全くとんでもない命しらずだな」

「一山に変わり礼を言う」
その言葉を聴き、微笑む菊一

「さあ、急ごう」

時同じく
ゴオオ  ゴゴゴオオオー

「高ぶるな、たまらねぇ、いよいよ闘える」

ザッ
「もう、熟しただろ? 鬼神はどうだった? 俺を楽しませられるか?」

「次の対面は即ち決着を意味する」

「どちらかが死ぬ時だ」
さて、鬼ヶ島を抜け、一山と繋がりのあるあいつらが向かいそうな場所か
ゴオオオオオオオオー
骸は歩き出した。

権力の象徴として建てられた巨大な城
その最上階に
伝書鳩が届く
鳩の首は速攻に斬り落とされ、手紙を手にする白い影

最上階の更に奥

そのまた奥
ここは何者も信用しない鬼道によって作られた沢山の罠がある
この扉の奥からは幹部とて進入は許されない
その奥の場所は誰一人として中を知る者はいない、そう鬼道以外は。

「鬼道様、手紙はこちらに置いておきます」

ギィィイイイイッ

大きく分厚い頑丈な鉄の扉は開く
信じられないことに更にその奥にも同じような扉が十程連なっていた。
「女郎蜘蛛からの報告」
手紙を読む鬼道の目つきは変わる

「なんだと、鬼神が負けただと」

「真堂丸」

「許さん、許さんぞ」
男は声にならない声をあげ叫んだ。
貴様ら一行を調べ上げ、皆殺しにしてやる
大帝国に逆らえばどうなるかを教えてやろう
明日の幹部集会
まずは裏切り者の一人だな。

雷獣は幹部の招集を受けた場所に向かっている。
分かっていた
自分が殺されるであろうことを
あの秀峰がそう手はずを踏んでいるはずだ

では雷獣は何故向かうのか?
今大帝国は真堂丸達により、数々の幹部は敗北し、この上なく弱体している

この幹部の招集時
俺が残りの幹部を少しでもかたづければ、最大の機会を生める

大帝国失墜

ふっ
俺も馬鹿だな
実はどうでも良くもあった
大帝国の支配を終わらせたいが為に己が今、命を賭け動いてることではないことに雷獣本人は気づいていたからだ。

では何故?

俺の同郷の真堂丸
あの野郎が人の為に命を賭け動いていた、本当に信じられなかった。
あの野郎が他人と一緒に馴れ合い行動するなんてな。

文太

俺もあいつと会い、変わっちまった様だな。

なんでだろうな?

俺はよ、お前達に会ってから

人も殺さなくなった

全ての人間も俺が味わったよう同じ苦痛にあえと人間を苦しめることをやめた


そう


お前達に会ってから

人間が悲しく泣き叫んでる姿を見るより
笑ってる姿を見たくなったんだ
同じ人間の手による、過去にされた数々の行為を俺は許すつもりはねぇ

正直   この国の人間達の為に今、命を賭けてるんじゃねえ


本当におかしいよな

俺は

文太、真堂丸  お前達が二人これから生き延び
二人が笑って暮らせるように

命を賭けたんだぜ

本当
笑っちまうよな

俺は大馬鹿野郎さ

二人で生き延びろ

文太

真堂丸


ここで俺がすべてを終わらせる


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