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~ 勝利の雄叫び ~
しおりを挟む真堂丸、道来は鬼達の姿を見つける
「鬼神はどこだっ?」
鬼達の輪のど真ん中に真堂丸が飛んで着地した。
「なっ、なんだてめぇらは?」
「道来殺すな」
「分かっている」
「もう一度言う鬼神はどこだ?」
「ゲハハハハ 頭おかしいんじゃねえかこいつら、鬼神さんに会うだと殺されるぞ、フハハあっちにいるぜ」
二人はすぐに指さす方に向かおうとする
「ゲハハハハ、まぁ、行かせねぇがな」
「なんだ、恨みか?それとも鬼神さんを討って名をあげたいなどと夢見る輩か? それかただの馬鹿か ゲハハハハ」
6匹の鬼が二人を囲む
ギロリ
即座に真堂丸が刀を抜いた。
その頃、倒れてる青鬼は必死に立ち上がろうとしていた。
あの人間達もこのままじゃ、死んじまう。
何とか逃がす手をつくらなければ。
「俺も行くぞ、尚、のの、待ってろよ」
絶対に助けてやる。
ぐぎぎぎぎぎ
ほんの刹那の瞬間だった
二人を囲む鬼達はすでに地面にうずくまっていた。
「腕をあげたな道来」
「ああ、お前達の力になる為必死に腕を磨いた」
二人は鬼神のいる方を向く
「行くぞ」
走ってすぐ
その広場の様な場所は目の前に広がった。
二人は目の前にした、その光景に一瞬黙る
何故なら娘がうずくまる背中が見えたからだ
その後ろに先程の鬼とは比べものにならない凶々しい気を放つ鬼
「でかい、あいつが鬼神か」道来が言う
真堂丸は静かに全体を見渡していた。
鬼神は二人の人間に気づき
「なんだぁ、てめぇら」声が地鳴りの様に辺りに響きわたる。
「その娘を解放しろっ」真堂丸が叫ぶ
「クッハッハッッハ 解放?とっくにしてるさ、希望と言うものからなぁ」
ののは確かに呼吸をしている、だがまるで生気を奪われた別人のよう。
瞳には光が、生きる希望が消えてしまったかの様に変貌している。
「あの者は確かにさっきのおなご」道来が言った。
だが、まるで死人、どういう事だ?
ピカッ ゴロゴロゴロ ゴロゴロ 鳴り響く雷鳴
鬼神が笑う、「邪魔するな、感動の対面を」
「姉の死体とのな」
「なんだとっ、貴様」道来が叫ぶ
「尚姉、尚姉 起きてよ、こんなの嘘だ」
「貴様、その娘の姉を殺したのか?」道来は刀を抜いた。
「あははは、なかなか良い光景を見れて良かったな」
ブチッ
「貴様~っ」道来が刀を抜く
真堂丸が手を伸ばし道来を止める
「冷静になれ、死ぬぞ」真堂丸の真剣な表情は道来の冷静さを取り戻させた。
「それより、てめぇらはなんだ?」鬼神が言う
「俺の名は真堂丸、鬼神よ。大帝国から手を引き、この島の人間を解放し、もう二度と人を傷付けるのをやめろ、そしたら命だけは助けてやる」
ゴロゴロゴロゴロ~~
俺に意見するとはな。
「てめぇが真堂丸か」鬼神の表情は豹変する
「てめぇが女狐嬢を討ち取った人間か、探してたぜ」
「餓鬼が、二度と生意気な口を叩けないようにしてやる」
鬼神が立ち上がる(現在の寸法で言う所の七メートル)を超える背丈が立ち上がったのだ。
「道来あの娘をたのむ」
「分かった」
鬼神が笑いながら「2匹の蟻を殺すとしよう」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオーッ
道来の身体は凍りついた、鬼神の放つ殺気を感じとったからだ。
「こいつは、本当にやばぃ」道来は真堂丸を見つめた。
「俺は貴様を殺したかったぜ」
そいつは次元が違った、道来の目の前に既に鬼神がいた。
はっ速い、この巨体でこの速度で動くのか?道来は驚いた、この速さっ、こいつは強いっ
「まずは一匹」
ドゴオオオーン
「ほぉ」
真堂丸が鬼神の拳を刀で受け止めていた。
真堂丸は鬼神の力を感じる事となる、なんて重い一撃
「道来、娘を任せる」
「ああ」
「尚姉、尚姉」
道来は倒れてる女性を見た、だめだ死んでいる。
すぐに、ののを担ぎ逃げだそうとする
「真堂丸、先に行く」
振り返る道来に戦慄が走る
「まさかっ」
鬼神の拳が真堂丸の身体を何発も打ち込んでいる
「グハッ」
「おっしゃあああああああああ」
ドゴオオオーン ドゴオオオーン ドゴオオオーン
真堂丸は木を何本もなぎ倒し吹き飛んでいった「まだまだこんなもんじゃすまさんぞ」吹き飛んで行く真堂丸を物凄い速度で鬼神は追う
道来は助けに行こうとしたが、真堂丸を信じ、先程の言葉に従った。
まずはこの娘を助けねば。
のの、の表情を見つめる道来、瞳は死んでいた。
この娘も心配だ、まずはここを離れなければ。
真堂丸無事でいてくれ。
ゴロゴロゴロゴロ~~
その頃、文太達のいる洞窟内
「太一殿、何かが近づいてる気配を感じないでごんすか?」
「いゃ俺には分からねぇ」
「けっ、一之助こわい事言うなよ」しんべえが言う。
その予感は当たっていた
鬼族の幹部、黄鬼が確かに皆のいる洞窟に近づいていた。
ゴロゴロゴロゴローー
「それにしても、道来さん達大丈夫だよなぁ?鬼神やっぱ、やばそうだ」太一は少し心配気味に言った。
文太は静かに洞窟の外を見つめている
その時だった、「皆とにかく走って逃げるでごんす」
一之助が突然叫ぶ
「一之助さんっどうしたんですか?」
その時太一も何かを感じた。
「何かが近くにいる」
「あっ、あの娘か、青鬼だよきっと」動揺するしんべえ
「散れっ」
一之助が大きな声で叫ぶ
皆はその声に全力で洞窟内を走り出る
「後で必ず合流するでごんす、皆とにかく鬼に見つからないでくれ」一之助の発する深刻さを孕んだ音で、皆は全力で走りこの場所を去る覚悟を決めた。
「うおおぁおーあーっ」走るしんべえ
「一之助さんっ」振り返る文太
「文太さんっとにかく走れ、洞窟を抜けて、とにかく何処かに逃げるでごんす」
「振り返らず進め!!」
皆が洞窟から抜けた直後だった、洞窟の上から大きな岩が落ち洞窟は潰された
ズゴゴゴゴォーンッ
「くつそーもう少しでみんな潰れて死んだのに」
「貴様」洞窟の前、一人残った一之助が刀を抜く
目の前に立つのは黄色い鬼
「鬼ヶ島の人間じゃねえな?」
「そうだとしたらどうするでごんす?」
「くははっ、まあ 喰ってやるよ」
ヒョオオオオーッ
道来はののを担ぎ全力で走っている。
娘 気をしっかり持て 姉のいぬ世界でお前はこれから生きる覚悟を決めねばならぬ。
道来にはこれ以上娘にかける言葉は見つからなかった。
真堂丸 無事でいてくれ……
崖の下を覗き込み鬼神は言った。
「くそが力を入れすぎちまったようだ、人間など弱く脆いものだな」
「これから地獄を味あわせる予定が」
「ああ、俺は強すぎる、女狐よ何故こんな者にお前は」
洞窟の外
キィン キィン キン
「人間のわりにはやるじゃねえか」
「ちっ、なんて馬鹿力な奴でごんすか」
キィン キィン キン
一之助は黄鬼の上に飛んだ
「うおおおおーっ」
「決着をつけに来たか人間」
ズバッ
黄鬼の片方の角は斬られた
が
勝負はこの時点で決まってしまった。
「やるな、俺の角を、だが、これで貴様の心臓を貫ける、じゃあな」黄鬼の刀は一之助の心の臓の前に突きつけられた。
ズバッ
一之助はギリギリの所でかわしたが刀は地面に落ちていた。
「首をはねる、じゃあな」
「ふふふっ」
「何が可笑しい?」
「皆が逃げれた、この時点であっしの勝利、良かったでごんす、あっしは最初っから死の覚悟など出来ていた、あっしのやるべきだったことは仲間を生かすこと」
「あっしの勝ちだ」
「笑わせるテメェが死んで勝ちとはな、じゃあ死ね」
スパアン
首は斬られすっ飛んだ。
地面に落ちたのは黄鬼の首
「ふぅーっ」また命びろいしたでごんす。
後ろに立っていたのは太一
「ちっ、殺さざるをえなかった、ったく、俺が戻らなきゃ死んでたぜお前、まあ奴の注意を引きつけてくれてたおかげでなんとかなった。
「ふぅーっ」一之助はゆっくり息をはいた。
ゴロゴロゴロゴローー
道来は先ほど青鬼のいた場所に戻って来ていた、のの、の無事を青鬼に伝える為に。
だがその場所に青鬼はいない
のの、は自分の家を見て、何も言わず入っていく。
道来は黙って背中を見つめていた。
真堂丸のもとに戻らねば。
森の木の上に登り隠れてるしんべえ
「こりゃやべえ、鬼に見つかった時点で殺される、はやく真堂丸達と合流しなきゃな」
全くとんでもねぇ事になってきやがった。
遠く後ろから話声が「なんか人間の匂いがしねぇか?」
「ああ、なんかするなこの森の中じゃねえか」
ひぃぃぃぃいっ
しんべえは鬼が近づく前に一目散に逃げ出した。
鬼神は崖下を覗きまだ笑っていた、奴は確かにこの下に落ちた。
この高さから下の激流にのみ込まれりゃ助からないだろう。
「くっくっく」鬼神は去っていった。
その頃、文太は逃げた後、すぐに一之助のもとに戻っていた。
「文太さん?」気づく一之助
「いゃあ僕にも手助けできないかと」
一之助と太一は文太を見て笑う
「そんなんぢゃあ余計危なかったでごんすよ」
文太が手に持つのは石「あはは、焦っちゃいました」
「後はしんべえが心配でごんす」
「はい、探しましょう」
三人はすぐにしんべえの走った先に向かいだす。
道来はなぎ倒された木の先に辿りついた、辿りついたそこは崖
「まさか?」
すると後ろから声が
「あきらめろ、仲間は死んだ、確かにここから落ちたのを俺は見た」
その声の主は青鬼だった。
真堂丸が死んだだと?
「当たり前の結果だ。ののや尚はどうなった?」青鬼が叫ぶ
「姉は殺され、先ほどの娘は今うちにいる」
青鬼はそれを聞き軽く頭を下げ、歩きだした。
道来は崖の下を覗いた
ゴオオーオオオー 遠く下の海が渦をまいている
ここに落ちただと
真堂丸
その時
ウギャア~~~~~グガァー~~~~~~
「何だこの声は?」道来が驚き声にだす。
「お前たちお終いだ、侵入者を全員狩れと鬼神が今島中に叫んだ」
青鬼の脚は震えていた。
道来は目をつむるとすぐにまた開き、洞窟内に残る仲間の元に走り出した。
同時刻この雄叫びを聞いていた、しんべえは震え上がっていた
「嫌な予感がしやがる、こぇえよ、真堂丸おめぇ今何処にいやがんだよ、まさか鬼神に負けちゃいねえよな?」
全身はガクガク震えていた。
グオ~~~~オオオオオオオオオオオオオオオー
鬼神の勝利の雄叫びは島中に地鳴りと共に鳴り響いていた。
島の上空は不気味な雲に覆われている。
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