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~ 出現 ~
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町から外れ、山路を抜けたところにその家はあった。
一之助は藁ぶき屋根の家の前に立ち、呼吸をととのえると目をしっかり見開いた。
扉が開くと体格の良い、身体中、傷だらけの男が中から顔を出す。
「蛾馬とはお主のことか?」
「何者だ?」
「一之助と申す、ひとつ聞きたいことがある」
「・・・・」
「お主、殺し屋との繋がりがあるときいた」
「それで」
「暗妙坊主の居所をききたい」
「フハハハ」
蛾馬は突然笑いだす
「あの人はこの国一の殺し屋と言われる男だぜ、何の用だ?仇討ちか?」
「答えろ、何処にいる?」
蛾馬の目つきが一瞬で変わった。
「殺されたいか? 貴様」
「おいおい、揉め事かい?」
部屋の奥から出て来たのは背が異様に高い男
その男は殺し屋稼業に生きる長身の座黒(ざくろ)と呼ばれ恐れられている殺し屋の一人だった。
「帰りな、残念ながら俺たちは 暗妙坊主の居場所なんて知らねえのさ、それにお前が太刀打ち出来る相手じゃねえよ」座黒は鼻で笑うように一之助の目を睨みつけ言った。
「それから、兄さん ちったあ腕がたつようだが、この町で俺たちに関わらないほうがいいぜ」
一之助は二人が自分の聞き出したい情報を知らない様子を確認すると、静かに振り向き 歩き出し、その場を後にした。
「それにしても蛾馬さん、今回はどんな殺しの依頼ですか?」
「このガキだ」
「この町一のお金持ちの息子、こいつを消してくれと依頼が入ってる」
「簡単な仕事だ、それはそうと気のせいかもしれないが蛾馬さん、町でヤバイ奴を見た」
「ヤバイ奴?」
「昔、戦で一度 化け物のような男に出会ったんだが、あいつは間違いなくそいつじゃないかと思う」
「そいつは誰だ? 」
「真堂丸」
「何だと驚いたな、やはり生きているのか」
「あれには絶対に関わらないことをお勧めする 確かに町にいるのはあいつだった、この世には絶対に手を出しちゃいけない連中がいるのが事実」
「これは、本当だったんだな」
「なんだ、こりゃ」
男は蛾馬の差し出した一枚の紙を見て驚嘆した。
「これは、大帝国の特別手配書、あの野郎、大帝国に手を出したのか?まじでいかれてやがる」
「ふふっ、奴等の城に潜入したらしいぜ どうやら、この手配書は本物だったようだな」
「ふはははっ、イカれてるぜ、奴を消せば大帝国から、かなり優遇されることになるな、今一番勢力を伸ばし力のあるのは大帝国に間違いない、あそこは必ず天下をとる」蛾馬はそう言い、立ち上がり自身の持つ鎖鎌を研ぎはじめた。
「あんたも本当にいかれてるぜ、大帝国が味方ならあいつを相手にしても怖くねぇ、こりゃあ、面白くなってきた相手は真堂丸か」
座黒の手足は震えている。
「まあ、あんたほどの男なら闘いたくなるのも無理はない ふはははっ、奴の首を大帝国の土産に持っていくとするか、やってやる、やってやる」
一人空を見上げ 暗い道を町のほうに向かって歩いている 一之助
「菊、作助 そっちはどうだい?こっちは空が綺麗だよ」頬には一筋の涙が伝っていた。
翌朝
「あれっ、一之助さん帰って来ませんでしたね?」
僕は戻らない一之助さんが少し気がかりだった。
「真堂丸、今日はこの依頼書に書いてある、住所に行ってみるんですよね?」
「そうだな」
僕らはさっそく支度をして、依頼主の元へ向かうことに。
住所の書かれたその場所はとてつもない大きな敷地を持っていた。
「こりゃあ、大金持ちですね」
「何者だ?」
警備をしている男達が声をあげる
「依頼を受けにやって来ました」
「依頼? ああ、あの依頼か、まさか、あれを解決出来るつもりでここに来たのか?」
「解決って、まあ そうですかね」
その言葉を聞き、警備の男達は顔を見合わせ、何やら救われた様な顔を浮かべた。
「それなら、腕は立つようだな」
中から話を聞いていたのか、すぐに主人が出て来る顔は青ざめ何処か震えている様子。
「話はきいた、こちらに来てくれ」
僕らが案内されるまま屋敷の中を歩き、ついて行ってる最中
突然、真堂丸が僕の前に手を出した
「えっ?」
突然不意をつき飛びかかってきた、四人の男達
だが、彼らは一瞬のうちに地面に倒れこんでいた。
僕には真堂丸が刀を抜いた事すら見えなかった。
それほどの速さ。
「こりゃあ、驚いた本物の手練れだ」
屋敷の主は手を差し出し、君たちに依頼をさせてもらおう。
どうやら、試されていたようだ、広い座敷に着き。
僕らは、依頼書を見せた。
「これを見て来たのか。実はな、これはもう解決してあるんだ」
「えっ、そうなんですか?」
じゃあ、今は特に依頼はないのだろうか?
「だが、今、私は恐ろしい情報を掴んだ、私の息子の命を狙う殺し屋がいるようなのだ」
「お主らに、息子の護衛と、その殺し屋を捕らえるのを依頼したい」
「金はいくらでもだす」
そんな成り行きで僕らは、その家に住み込み、主の息子を護衛することとなる。
真堂丸はさっそく護衛を開始する為、屋敷に残り
僕は一度、一之助さんと合流する為、泊まっていた宿に向かうことに。
町では、今日もスリを続ける男が
「よしっ、今日も完璧だ このスリの天才 しんべえ様よ へっへっへ」
そんな時、文太の歩く姿をしんべえは見つけた。
「あの男、こないだ俺が財布をスってやった男だ。俺を探していやがるか?まあ、暇だし後をつけてみるかな」
町を歩いていると、一之助さんの姿を見つけ、すぐに声を掛ける。
「良かった、すぐ見つかって」
僕は一瞬、一之助さんがいつものあの明るい雰囲気ではなく、どこか、深刻な表情をしているのが気がかりになった。
「一之助さん」
「文太さんか」
「僕達、とある依頼を受けてそこの屋敷に住むことになったんです」
一之助は、また一人 旅立つつもりでいた。
今の自分には人間の優しさが心に染みすぎていつか、誰にも言わんとしといた余計な事を話てしまうかもしれない。
一之助はいつも逃げていた。
気がついたら、他人と深い仲になるのを避けていた。
過去の傷を知られたくなく、何よりも自身の心に渦巻く復讐と言う濁った心を見せたくなかったのかも知れない。
この青年は優しすぎる。
今の自分には・・・そこまで自身の心を開く勇気がなかった。
「あっしは」
言いかけた時だった。
「依頼はとある殺し屋から、息子を守ってくれって感じなんですが、やっぱり大変ですよね」
その言葉に一之助の心は立ち止まる。
「殺し屋」
「あっしもお供させて貰おう」
「じゃあ、行きましょう」
柱の影、しんべえは全てをきいていた。
「こっ、殺し屋。一体あいつらは何者なんだ?こりゃあ、やばいのには関わらねえほうがいい、だが金の匂いがするな よっ、よし」
小心者のしんべえだったが無類の金好きであった。
皆は屋敷で合流し、いつ来るとも分からない、殺し屋の殺気に注意している。
子供の近くに一之助が隠れて付き、常に監視をし、子供の面倒を見ながら一緒に過ごす文太
屋敷全体を見張る真堂丸
僕は全く不安ではなかった、間違いなく殺し屋がこの子に到達することは出来ない、到達するには、真堂丸の包囲網をくぐり抜けなければならないからだ。
共に彼と生活する中、いかに彼の察知能力がずば抜けているか尋常離れしているかを他の誰よりも僕が一番わかっているからだ。
時刻は丑三つ時を過ぎた頃
屋敷から少し離れた外にはしんべえが立っている
「あいつらの依頼主がまさかここの家だったとは信じられねぇべ、俺もなんとかして仲間になれないか、こりゃあたんまり金がもらえそうだ」
しんべえは一日も欠かさず、屋敷の近くに来ている。
とある、座敷の部屋
真堂丸と一之助は座っていた。
「先生」
「ああ、毎日この屋敷の近くに立つ奴がいる」
「あっしが行ってきますかね」
「いや、大丈夫だ」
「さっすが、その者が素人である事を分かっていやしたね」
「一体先生は何者なんですか?」
「俺の名は」
突然真堂丸の目つきは変わった
「来た」
一瞬で二人は立ち上がり外に飛び出す。
殺気
なんと、殺し屋は堂々と隠れもせず一人、門の前に立っていた。
「すいません、ここの主の息子の命を頂戴しにきた」
警備についていた門番の三人の男は既に斬られていた。
ヒョオオオー
夜中の不気味に鳴り響く風と共に立っていたのはあの長身の男。
男はニヤリと笑っていた。
一之助は藁ぶき屋根の家の前に立ち、呼吸をととのえると目をしっかり見開いた。
扉が開くと体格の良い、身体中、傷だらけの男が中から顔を出す。
「蛾馬とはお主のことか?」
「何者だ?」
「一之助と申す、ひとつ聞きたいことがある」
「・・・・」
「お主、殺し屋との繋がりがあるときいた」
「それで」
「暗妙坊主の居所をききたい」
「フハハハ」
蛾馬は突然笑いだす
「あの人はこの国一の殺し屋と言われる男だぜ、何の用だ?仇討ちか?」
「答えろ、何処にいる?」
蛾馬の目つきが一瞬で変わった。
「殺されたいか? 貴様」
「おいおい、揉め事かい?」
部屋の奥から出て来たのは背が異様に高い男
その男は殺し屋稼業に生きる長身の座黒(ざくろ)と呼ばれ恐れられている殺し屋の一人だった。
「帰りな、残念ながら俺たちは 暗妙坊主の居場所なんて知らねえのさ、それにお前が太刀打ち出来る相手じゃねえよ」座黒は鼻で笑うように一之助の目を睨みつけ言った。
「それから、兄さん ちったあ腕がたつようだが、この町で俺たちに関わらないほうがいいぜ」
一之助は二人が自分の聞き出したい情報を知らない様子を確認すると、静かに振り向き 歩き出し、その場を後にした。
「それにしても蛾馬さん、今回はどんな殺しの依頼ですか?」
「このガキだ」
「この町一のお金持ちの息子、こいつを消してくれと依頼が入ってる」
「簡単な仕事だ、それはそうと気のせいかもしれないが蛾馬さん、町でヤバイ奴を見た」
「ヤバイ奴?」
「昔、戦で一度 化け物のような男に出会ったんだが、あいつは間違いなくそいつじゃないかと思う」
「そいつは誰だ? 」
「真堂丸」
「何だと驚いたな、やはり生きているのか」
「あれには絶対に関わらないことをお勧めする 確かに町にいるのはあいつだった、この世には絶対に手を出しちゃいけない連中がいるのが事実」
「これは、本当だったんだな」
「なんだ、こりゃ」
男は蛾馬の差し出した一枚の紙を見て驚嘆した。
「これは、大帝国の特別手配書、あの野郎、大帝国に手を出したのか?まじでいかれてやがる」
「ふふっ、奴等の城に潜入したらしいぜ どうやら、この手配書は本物だったようだな」
「ふはははっ、イカれてるぜ、奴を消せば大帝国から、かなり優遇されることになるな、今一番勢力を伸ばし力のあるのは大帝国に間違いない、あそこは必ず天下をとる」蛾馬はそう言い、立ち上がり自身の持つ鎖鎌を研ぎはじめた。
「あんたも本当にいかれてるぜ、大帝国が味方ならあいつを相手にしても怖くねぇ、こりゃあ、面白くなってきた相手は真堂丸か」
座黒の手足は震えている。
「まあ、あんたほどの男なら闘いたくなるのも無理はない ふはははっ、奴の首を大帝国の土産に持っていくとするか、やってやる、やってやる」
一人空を見上げ 暗い道を町のほうに向かって歩いている 一之助
「菊、作助 そっちはどうだい?こっちは空が綺麗だよ」頬には一筋の涙が伝っていた。
翌朝
「あれっ、一之助さん帰って来ませんでしたね?」
僕は戻らない一之助さんが少し気がかりだった。
「真堂丸、今日はこの依頼書に書いてある、住所に行ってみるんですよね?」
「そうだな」
僕らはさっそく支度をして、依頼主の元へ向かうことに。
住所の書かれたその場所はとてつもない大きな敷地を持っていた。
「こりゃあ、大金持ちですね」
「何者だ?」
警備をしている男達が声をあげる
「依頼を受けにやって来ました」
「依頼? ああ、あの依頼か、まさか、あれを解決出来るつもりでここに来たのか?」
「解決って、まあ そうですかね」
その言葉を聞き、警備の男達は顔を見合わせ、何やら救われた様な顔を浮かべた。
「それなら、腕は立つようだな」
中から話を聞いていたのか、すぐに主人が出て来る顔は青ざめ何処か震えている様子。
「話はきいた、こちらに来てくれ」
僕らが案内されるまま屋敷の中を歩き、ついて行ってる最中
突然、真堂丸が僕の前に手を出した
「えっ?」
突然不意をつき飛びかかってきた、四人の男達
だが、彼らは一瞬のうちに地面に倒れこんでいた。
僕には真堂丸が刀を抜いた事すら見えなかった。
それほどの速さ。
「こりゃあ、驚いた本物の手練れだ」
屋敷の主は手を差し出し、君たちに依頼をさせてもらおう。
どうやら、試されていたようだ、広い座敷に着き。
僕らは、依頼書を見せた。
「これを見て来たのか。実はな、これはもう解決してあるんだ」
「えっ、そうなんですか?」
じゃあ、今は特に依頼はないのだろうか?
「だが、今、私は恐ろしい情報を掴んだ、私の息子の命を狙う殺し屋がいるようなのだ」
「お主らに、息子の護衛と、その殺し屋を捕らえるのを依頼したい」
「金はいくらでもだす」
そんな成り行きで僕らは、その家に住み込み、主の息子を護衛することとなる。
真堂丸はさっそく護衛を開始する為、屋敷に残り
僕は一度、一之助さんと合流する為、泊まっていた宿に向かうことに。
町では、今日もスリを続ける男が
「よしっ、今日も完璧だ このスリの天才 しんべえ様よ へっへっへ」
そんな時、文太の歩く姿をしんべえは見つけた。
「あの男、こないだ俺が財布をスってやった男だ。俺を探していやがるか?まあ、暇だし後をつけてみるかな」
町を歩いていると、一之助さんの姿を見つけ、すぐに声を掛ける。
「良かった、すぐ見つかって」
僕は一瞬、一之助さんがいつものあの明るい雰囲気ではなく、どこか、深刻な表情をしているのが気がかりになった。
「一之助さん」
「文太さんか」
「僕達、とある依頼を受けてそこの屋敷に住むことになったんです」
一之助は、また一人 旅立つつもりでいた。
今の自分には人間の優しさが心に染みすぎていつか、誰にも言わんとしといた余計な事を話てしまうかもしれない。
一之助はいつも逃げていた。
気がついたら、他人と深い仲になるのを避けていた。
過去の傷を知られたくなく、何よりも自身の心に渦巻く復讐と言う濁った心を見せたくなかったのかも知れない。
この青年は優しすぎる。
今の自分には・・・そこまで自身の心を開く勇気がなかった。
「あっしは」
言いかけた時だった。
「依頼はとある殺し屋から、息子を守ってくれって感じなんですが、やっぱり大変ですよね」
その言葉に一之助の心は立ち止まる。
「殺し屋」
「あっしもお供させて貰おう」
「じゃあ、行きましょう」
柱の影、しんべえは全てをきいていた。
「こっ、殺し屋。一体あいつらは何者なんだ?こりゃあ、やばいのには関わらねえほうがいい、だが金の匂いがするな よっ、よし」
小心者のしんべえだったが無類の金好きであった。
皆は屋敷で合流し、いつ来るとも分からない、殺し屋の殺気に注意している。
子供の近くに一之助が隠れて付き、常に監視をし、子供の面倒を見ながら一緒に過ごす文太
屋敷全体を見張る真堂丸
僕は全く不安ではなかった、間違いなく殺し屋がこの子に到達することは出来ない、到達するには、真堂丸の包囲網をくぐり抜けなければならないからだ。
共に彼と生活する中、いかに彼の察知能力がずば抜けているか尋常離れしているかを他の誰よりも僕が一番わかっているからだ。
時刻は丑三つ時を過ぎた頃
屋敷から少し離れた外にはしんべえが立っている
「あいつらの依頼主がまさかここの家だったとは信じられねぇべ、俺もなんとかして仲間になれないか、こりゃあたんまり金がもらえそうだ」
しんべえは一日も欠かさず、屋敷の近くに来ている。
とある、座敷の部屋
真堂丸と一之助は座っていた。
「先生」
「ああ、毎日この屋敷の近くに立つ奴がいる」
「あっしが行ってきますかね」
「いや、大丈夫だ」
「さっすが、その者が素人である事を分かっていやしたね」
「一体先生は何者なんですか?」
「俺の名は」
突然真堂丸の目つきは変わった
「来た」
一瞬で二人は立ち上がり外に飛び出す。
殺気
なんと、殺し屋は堂々と隠れもせず一人、門の前に立っていた。
「すいません、ここの主の息子の命を頂戴しにきた」
警備についていた門番の三人の男は既に斬られていた。
ヒョオオオー
夜中の不気味に鳴り響く風と共に立っていたのはあの長身の男。
男はニヤリと笑っていた。
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