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翌朝、僕は目を覚まして驚いた。
何処だここ?
あっそうだ、あまりにも広い城の部屋で目を覚ましたから、一瞬何処にいるか分からなかった。
昨日は殿様とも話が盛り上がり、酒を飲みすぎた。
でも、良かった。
ここの城の人達という仲間が出来て 。
僕はこれから先の旅によって、さらに沢山の仲間が増えることを期待していた。
「うわぁあああっ」
ガバッ
「どうしたんですか?」
それは異様な汗をかいて起きた一之助であった。
「???」
「すごい汗で、うなされて起きましたけど?」
「あっ、なに変な夢を見てしまったみたいです」
「やだなぁ一之助さん、昨日の夜、飲みすぎたんですよ。凄かったんですから」
「あはは、もう覚えてないごんす」
「そういえば、ここから少し離れたところに大きな町があるらしいんですが 良かったら、その町に行ってみるのはどうでやんすかね?」
「あっ、いいですね」
「あれっ、先生は?」
「もう、起きて何処かに行ったみたいです」
襖が開く
「目覚めでございますか?良かったら朝食を、昨日の部屋に用意してあります」
「ありがとうございます」
朝食が用意されている場所に向かっているところ
「あっ、真堂丸 」っと僕は名前をつい呼んでしまう自分に、はっとした。
しまった、本名はまずいんだった。
横を見たがまだ一之助はいなかった。
気をつけなければ、真って呼ぶ癖をつけなきゃなぁ。
「朝食用意されてるみたいです」
「そうか」
「あっ、先生 ご飯 ご飯」
朝食を食べてるところに殿様が入ってきて
「昨日、そなたらが倒した、百足百鬼の連中は今、皆 檻の中です、ようやく、これからここらも変わっていくんですね」
殿様は本当に嬉しそうな顔を浮かべ微笑んでいた。
「こうして、皆が笑いあえる、安全で平和な町を築いていけたらと思っている、お三方よ本当にありがとう」
「私は、大帝国にだって負けない希望を昨夜持ちました、必ずまだ沢山の同じ想いの人達がいるはず、過酷な旅になるやもせんが頑張ってください」
「ありがとうございます」
「私はこれから、やることが沢山あるので、ここで失礼することにする、そなた達の旅の無事を祈っている」
僕は頭を下げた
「あっ、それからここから進むと回米(かいべえ)という、大きな町がある行ってみるといい、しかし、鎖鎌の蛾馬(がば)と言う男には手を出すな、よくない噂をたた耳にする」
「蛾馬、よく聞く名でごんす」
「知ってるんですか?」
「かなりの手練れとききます」
なんだか、また何かが起こりそうな、そんな予感、気を引き締めて行こう。
「それでは」
朝食を終え、僕らは城を後にした。
外に出て驚いたことは、城の人達、更には町の人達が出迎えてくれていて、皆僕らに感謝をしていてくれたことだ。
皆の表情は長きに渡り、縛りつけられていた鎖を断ち切られ自由を手にした、そんな解放感に満ちているものだった。
人は皆、誰もが幸せに生きる権利を持っている
僕らのこの旅はなにかとても大きな意味があり、重要な旅になるようなそんな思いがこの瞬間よぎった。
僕の胸には自然と熱いものがたぎっていた。
「あっし、こんな人に感謝されるの初めてでごんす、気持ちの良いもんですね」一之助が微笑む。
「おーい、お前さんたち」
「呼ばれたほうを振り返ると、あの料理屋さんの主人が」
「本当に強かったんだな、ここにいる人達みんな感謝してるんだぞ、これ食ってくれ」
「ありがとう、ございます」
「旅の無事を祈る」
胸がいっぱいだった、嬉しくて。
そして、ここの人達がこんなに嬉しそうな表情を浮かべていて。
僕は目一杯、見えなくなるまで手を振り続けていた。
「さようなら」
同じ気持ちの人達は沢山いるんだ。
自由と希望、喜びに向け立つ人々。
「さて、次の町はどんな所ざんすかね」
「鎖鎌の蛾馬か」 間違いなく、この二人が蛾馬に出会ったら何か起こりそうだ。
なるべく、会わないようにしたほうがいいなぁ、そんなことを思った。
鳥が鳴く声に耳をすませながら、のどかな田んぼ道を歩き、夕方頃には町についた。
「わあ、ここが回米って町だ」
「凄い栄えてる町でごんすね」
「そう言えば、さっきの殿様がこんなこと言ってたでやす」
私の顔がきく町ならいくらでも私の知り合いと言っていいんだが、回米の範囲は私達の城とは関わりがないのですよ、と。
「そうですか」
ドンッ
「おっと、すまねえ」
一人の男が文太にぶつかった。
すぐさま、歩き出した所、突然、真堂丸が男の手を掴む
「なにすんでぇ」
「とったものを置いていけ」
「なんでぇ、分かったのかい」
それは僕のお金が入った小袋だった
「あっ、いつのまに」
「ほらよ、いいだろうはなしやがれ」
真堂丸は手を放す
「油断、なりやせんな」
気をつけないと。
「今日はもう夕方ですし、宿探しましょう、広い町だし手持ちもあまりないので手分けして探して安い所に泊まりましょうか?」
ということで、僕らはばらばらに宿屋を探すことに。
一之助が歩いている、すぐ横、二人の男の会話が耳に入った。
「なあ、知ってるかい 蛾馬の野郎、今いろんな殺し屋とつながってるらしいぜ」
途端に表情は強張り、一之助は突然足を止めた。
文太の歩いてる後ろでは、悔しがっているあの男が文太を再び見つけ後をつけていた。
「この俺様が盗みを失敗するなんて、あの野郎め、俺がこのままなんて絶対あり得ねぇ、あいつは今いないようだな、次こそいける」
文太の後を静かにつけていた。
真堂丸が歩いている場所では、目の前から一人、異様に背の高い男が歩いてきていた。
一瞬殺気の様なものを感じたが、真堂丸はそのまま歩いて道を進んだ。
しかし、その男は立ち止まり、振り返っては真堂丸の背中をいつまでもずっと見つめ、その場から動くことはなかった。
待ち合わせの時刻になり、三人が再び合流したところ
「すみません」がっくり肩を落とした文太
「また、やられました、お金とられたみたいです」
「あっちゃーやられましたな」
「どうしましょう?」
「俺にも、まだ少し手持ちがある」
「あっしも、少しありますよ」
「みなさん、本当にすみません」
「皆さんの話を聞いたところ、どうやらあっしの見つけた所が一番安いようで、そこに行きましょう」
無事に宿に泊まれ、部屋の中
真堂丸は沢山の危険な依頼や、危ない連中が載っている、太一さんのくれた黒い書を読んでいた。
「それなんでごんすか?」
僕は一之助さんに説明する。
「そんなのがあるんですな、次良かったら見せて下さい」
「ああ」真堂丸は一之助に手渡す
「それにしても大きな町ですね、なんだか 美味しい食べ物でも食べに行きたいです、あっすいませんお金盗られちゃったんでした」
「この付近での依頼者がそれに載っていた、明日行ってみるのもいいかもな」
「わかりました、となると暫くはこの町が拠点になるかもしれないですね」
「一之助さんもそんな感じになりそうですが大丈夫ですか?」
一之助は突然立ち上がり、
「ちょくら、あっし出かけてきます」
それは、どこか真面目な表情を浮かべ立ち上がった 一之助の姿だった。なにか様子が違う。
ガラッ
「なにか、僕怒らせるような事、言いましたかね」
「さあな、俺は一眠りでもするとする」
真堂丸は横たわり
僕はふと、一之助さんが開きっぱなしにした黒の書の項に目がいった。
「暗妙坊主?」何だか、その不気味な名前が、ふと頭に残った
僕も少し旅の疲れをとるか。
さて一眠り。
一之助は先ほどの宿探しの時に何故か蛾馬の居場所を聞き出していた。
彼の足は独り、鎖鎌の蛾馬と恐れられる男の元に向かっていた。
何処だここ?
あっそうだ、あまりにも広い城の部屋で目を覚ましたから、一瞬何処にいるか分からなかった。
昨日は殿様とも話が盛り上がり、酒を飲みすぎた。
でも、良かった。
ここの城の人達という仲間が出来て 。
僕はこれから先の旅によって、さらに沢山の仲間が増えることを期待していた。
「うわぁあああっ」
ガバッ
「どうしたんですか?」
それは異様な汗をかいて起きた一之助であった。
「???」
「すごい汗で、うなされて起きましたけど?」
「あっ、なに変な夢を見てしまったみたいです」
「やだなぁ一之助さん、昨日の夜、飲みすぎたんですよ。凄かったんですから」
「あはは、もう覚えてないごんす」
「そういえば、ここから少し離れたところに大きな町があるらしいんですが 良かったら、その町に行ってみるのはどうでやんすかね?」
「あっ、いいですね」
「あれっ、先生は?」
「もう、起きて何処かに行ったみたいです」
襖が開く
「目覚めでございますか?良かったら朝食を、昨日の部屋に用意してあります」
「ありがとうございます」
朝食が用意されている場所に向かっているところ
「あっ、真堂丸 」っと僕は名前をつい呼んでしまう自分に、はっとした。
しまった、本名はまずいんだった。
横を見たがまだ一之助はいなかった。
気をつけなければ、真って呼ぶ癖をつけなきゃなぁ。
「朝食用意されてるみたいです」
「そうか」
「あっ、先生 ご飯 ご飯」
朝食を食べてるところに殿様が入ってきて
「昨日、そなたらが倒した、百足百鬼の連中は今、皆 檻の中です、ようやく、これからここらも変わっていくんですね」
殿様は本当に嬉しそうな顔を浮かべ微笑んでいた。
「こうして、皆が笑いあえる、安全で平和な町を築いていけたらと思っている、お三方よ本当にありがとう」
「私は、大帝国にだって負けない希望を昨夜持ちました、必ずまだ沢山の同じ想いの人達がいるはず、過酷な旅になるやもせんが頑張ってください」
「ありがとうございます」
「私はこれから、やることが沢山あるので、ここで失礼することにする、そなた達の旅の無事を祈っている」
僕は頭を下げた
「あっ、それからここから進むと回米(かいべえ)という、大きな町がある行ってみるといい、しかし、鎖鎌の蛾馬(がば)と言う男には手を出すな、よくない噂をたた耳にする」
「蛾馬、よく聞く名でごんす」
「知ってるんですか?」
「かなりの手練れとききます」
なんだか、また何かが起こりそうな、そんな予感、気を引き締めて行こう。
「それでは」
朝食を終え、僕らは城を後にした。
外に出て驚いたことは、城の人達、更には町の人達が出迎えてくれていて、皆僕らに感謝をしていてくれたことだ。
皆の表情は長きに渡り、縛りつけられていた鎖を断ち切られ自由を手にした、そんな解放感に満ちているものだった。
人は皆、誰もが幸せに生きる権利を持っている
僕らのこの旅はなにかとても大きな意味があり、重要な旅になるようなそんな思いがこの瞬間よぎった。
僕の胸には自然と熱いものがたぎっていた。
「あっし、こんな人に感謝されるの初めてでごんす、気持ちの良いもんですね」一之助が微笑む。
「おーい、お前さんたち」
「呼ばれたほうを振り返ると、あの料理屋さんの主人が」
「本当に強かったんだな、ここにいる人達みんな感謝してるんだぞ、これ食ってくれ」
「ありがとう、ございます」
「旅の無事を祈る」
胸がいっぱいだった、嬉しくて。
そして、ここの人達がこんなに嬉しそうな表情を浮かべていて。
僕は目一杯、見えなくなるまで手を振り続けていた。
「さようなら」
同じ気持ちの人達は沢山いるんだ。
自由と希望、喜びに向け立つ人々。
「さて、次の町はどんな所ざんすかね」
「鎖鎌の蛾馬か」 間違いなく、この二人が蛾馬に出会ったら何か起こりそうだ。
なるべく、会わないようにしたほうがいいなぁ、そんなことを思った。
鳥が鳴く声に耳をすませながら、のどかな田んぼ道を歩き、夕方頃には町についた。
「わあ、ここが回米って町だ」
「凄い栄えてる町でごんすね」
「そう言えば、さっきの殿様がこんなこと言ってたでやす」
私の顔がきく町ならいくらでも私の知り合いと言っていいんだが、回米の範囲は私達の城とは関わりがないのですよ、と。
「そうですか」
ドンッ
「おっと、すまねえ」
一人の男が文太にぶつかった。
すぐさま、歩き出した所、突然、真堂丸が男の手を掴む
「なにすんでぇ」
「とったものを置いていけ」
「なんでぇ、分かったのかい」
それは僕のお金が入った小袋だった
「あっ、いつのまに」
「ほらよ、いいだろうはなしやがれ」
真堂丸は手を放す
「油断、なりやせんな」
気をつけないと。
「今日はもう夕方ですし、宿探しましょう、広い町だし手持ちもあまりないので手分けして探して安い所に泊まりましょうか?」
ということで、僕らはばらばらに宿屋を探すことに。
一之助が歩いている、すぐ横、二人の男の会話が耳に入った。
「なあ、知ってるかい 蛾馬の野郎、今いろんな殺し屋とつながってるらしいぜ」
途端に表情は強張り、一之助は突然足を止めた。
文太の歩いてる後ろでは、悔しがっているあの男が文太を再び見つけ後をつけていた。
「この俺様が盗みを失敗するなんて、あの野郎め、俺がこのままなんて絶対あり得ねぇ、あいつは今いないようだな、次こそいける」
文太の後を静かにつけていた。
真堂丸が歩いている場所では、目の前から一人、異様に背の高い男が歩いてきていた。
一瞬殺気の様なものを感じたが、真堂丸はそのまま歩いて道を進んだ。
しかし、その男は立ち止まり、振り返っては真堂丸の背中をいつまでもずっと見つめ、その場から動くことはなかった。
待ち合わせの時刻になり、三人が再び合流したところ
「すみません」がっくり肩を落とした文太
「また、やられました、お金とられたみたいです」
「あっちゃーやられましたな」
「どうしましょう?」
「俺にも、まだ少し手持ちがある」
「あっしも、少しありますよ」
「みなさん、本当にすみません」
「皆さんの話を聞いたところ、どうやらあっしの見つけた所が一番安いようで、そこに行きましょう」
無事に宿に泊まれ、部屋の中
真堂丸は沢山の危険な依頼や、危ない連中が載っている、太一さんのくれた黒い書を読んでいた。
「それなんでごんすか?」
僕は一之助さんに説明する。
「そんなのがあるんですな、次良かったら見せて下さい」
「ああ」真堂丸は一之助に手渡す
「それにしても大きな町ですね、なんだか 美味しい食べ物でも食べに行きたいです、あっすいませんお金盗られちゃったんでした」
「この付近での依頼者がそれに載っていた、明日行ってみるのもいいかもな」
「わかりました、となると暫くはこの町が拠点になるかもしれないですね」
「一之助さんもそんな感じになりそうですが大丈夫ですか?」
一之助は突然立ち上がり、
「ちょくら、あっし出かけてきます」
それは、どこか真面目な表情を浮かべ立ち上がった 一之助の姿だった。なにか様子が違う。
ガラッ
「なにか、僕怒らせるような事、言いましたかね」
「さあな、俺は一眠りでもするとする」
真堂丸は横たわり
僕はふと、一之助さんが開きっぱなしにした黒の書の項に目がいった。
「暗妙坊主?」何だか、その不気味な名前が、ふと頭に残った
僕も少し旅の疲れをとるか。
さて一眠り。
一之助は先ほどの宿探しの時に何故か蛾馬の居場所を聞き出していた。
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