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子供達だけの留守番
しおりを挟む夕方16時過ぎには正子は家を出た
「じゃあ二人共留守番よろしく」
その後、直ぐに家のチャイムが鳴るではないか。
「あれっ、忘れ物かな?」
冬馬君が「誰ですか?」と返事する
「俺だよ」
玄関を開けると、何と大喜が立っていた
冬馬君は驚き「どうしたの?」
「暇だから泊まりに来ちゃった」
「やったー」冬馬君は喜び、多網も柱の所から顔を出して覗いていた。
ヒョコッ チラッ
大喜がそれに気付き「多網久しぶり」
「まさか多網までいるとは」
「それだけじゃないよ、今日は大人達が居ないんだ。子供だけで留守番する所なんだ」冬馬君が言った
「それは楽しそうだ良い時に来たよ」
大喜もワクワクしている、このシュチュエーションにみな喜んだ。
「それより見てよこの空」大喜が空を指差す
空の色はいつもの空とは違い真っ暗だ
「これは天気荒れるよ」
大喜も家にあがり、子供達は大人が居ないで自分達だけだという事に興奮し何だか嬉しかった。
今日は僕らがこの家の王様だ~~ニンマリ
多網は大喜が来たのが嬉しかったのか、なんなのか?急に腕立て伏せを始めている。苦笑いの二人。
夏の午後、何だかジメジメ暑い日である。
三人は部屋が蒸し暑かったのでクーラーを付けて涼んでいた。
かーっ、たまらんっ。
「しかし空 真っ暗だったね」
「昼間は天気良かったんだけど」と大喜
冬馬君は昨日の夜、布団で多網と色々語った事を大喜に話した
「それは面白そうだね今日は三人でやろうよ」大喜も今日の夜、仲間に加われるのが嬉しそう
多網は何故か得意気に頷いている
冬馬君は外の様子が、ふと気になりカーテンを開けてみる、外は真っ暗
この状況で子供達だけの留守番
冬馬君はワクワクした、何だかこのシチュエーションが最高に面白
、嬉しい。
三人共しばらく喋らずジッと外を見つめている、本当に空は真っ暗だった。こりゃ、天気は荒れそうだ。
冬馬君と大喜はオモチャで遊び、多網は冬馬君の漫画を読んでいた
気付けば時刻は19時を過ぎた頃
「そろそろお腹空いたからご飯にしない」冬馬君が言う
夕飯はシチューが作ってあり、三人はTVを観ながら食べ始めた
この時間には珍しく夏休み特集の映画がやっている。
それはホラー映画だった
「夏はこういうTV番組、沢山やってて結構一緒に観てるね」と冬馬君が大喜に言った
「ホラー映画か、グットタイミング」大喜が笑って画面を見入る
「こないだ四人で入ったお化け屋敷に比べれば全然恐くないよ」
大喜のその言葉で冬馬君は清香の事を思い浮かべ、胸がドキッとした。
「そう言えば多網はこういうの大丈夫なの?」大喜が多網を見る
横には、さっきからあまり動いてない多網がいた
結構怖がりなんであろうか?
そして映画が始まる、三人は食べるのを忘れ映画に夢中である
すると突然
ザーッ
「あっ雨が降り始めた」冬馬君が雨の音に気付く
雨は強い勢いで降り始めている
「結構強い雨だ」
ザーッ ザーッ ザーッ
プルルルルル
突然電話が
三人は、一瞬驚き 顔を見合す
冬馬君が電話に出ると正子だった
「雨強いけど大丈夫?」
「こっちは大丈夫だよ、あっそう言えば大喜も来たよ」
「さっき大喜のお母さんから電話あったから知ってるよ、ちょうど私と入れ替えだったみたいだね。三人で留守番大丈夫?」
「うん、大丈夫。任せてよ」
電話をきると、廊下は暗かったから、怖くなり、走って二人の居る部屋に戻った
ちょうどテレビはCMになっており、雨の勢いはさっきよりも激しくなっていた
ザーッ ザーッ
「この映画結構怖いね」大喜が言った
「多網は恐くないの?」
「恐くない」
多網は明らかに強がっていた
何故なら顔がさっきから引きつっていて、誰が見ても恐がってる事がすぐに分かる。
多網の変なプライドが二人の年下の前で恐がる事を許さなかったのだ。
多網は顔を引きつらせ、笑った ニカッ
あまりの分かりやすい態度と表情に、二人は笑う
映画も中盤にさしかかった頃、怖くなってきた冬馬君が、二階から布団持ってきてかけながらみんなで観ようと提案した。
こんな時、身体を包むものがあると何だか安心するのだ。
「そうしよう、そうしよう」大喜も掛け布団が欲しいところであった。
多網は心の中ではその案は最高だとでも思ってたのだろうが
「しょうがない」とだけ呟いた。いたって平静を装う男、多網。
しかし、二階に一人で布団を取りに行くのが既に怖くなっていた冬馬君は多網に頼んだ
すると多網はギョッとした顔をする。どういう意味かは分からなかったが、急に うーーーっと言ってお腹をさすり始めた
どうやら、お腹が痛くて動けないから自分は行けないと言うジェスチャーの様だ。
仕方なく、冬馬君は大喜を誘う、一緒にとりに行こう
「分かった」
ザーッ ザーッ
雨の勢いは留まる事を知らない様子である。
二人は二階に布団をとりに行くことに、すると何故か一番後ろに多網もついてきているのだった
きっと二人共、二階に行ったら、下の階に一人で居なきゃならないから怖くなってついてきたのであろう。
たいした六年生だと思い冬馬君は心の中で笑った
しかし、いつもは二階に行くなど何でもない事なのに、こういう番組を観たりした後は怖くなり、もろに影響受けているのは面白い。
怖い番組を観た後、髪を洗う時 怖いあれである。
三人は二階から布団を持って来てみんなで、かぶりながら映画の続きを観ている。
映画のクライマックスシーン
多網は気付かれない様に目をつぶっていた
それに気付き、横で見ていた二人は可笑しくなる
映画は終わり
「あーっ恐かった」
その時 ゴロゴロ
「雷だ」
一同ビックリ
「遂に鳴り始めたか」大喜が言った
光った ドゴォーン
今のは近かったぞ
今の、物凄い音に冬馬君も大喜も布団に潜る
多網はキョロキョロしていた
「これは相当近いよ」冬馬君はこんなに凄い落雷の音を聴いたのは初めてだった。
暫く雷は凄まじい音を鳴り響かせ
そして、いきなり部屋の電気が消えた
「うわーっ」三人はビックリ仰天
「落ちた ブレーカー」多網は今にも失神しそうな、か細い声で言った。
もう、もはや体裁など取り繕ってる余力は多網にはないようだ。
みんなは布団にもぐっている、身体の周りが布団によって覆われてるのは、なんだか安心する、そして横をみれば二人共いる。
随分長い間、雷が鳴っていた様に感じる
ようやく今は雷はおさまり、雨だけが降っていた
雨はさっきよりは弱まったが以前勢いは強い。真っ暗の中、三人はまだ布団をかぶっている
「そうだブレーカーあげに行かないと」
「多網分かる?」
多網はもう眠っていた
二人も今日はこのまま眠る事にした
雨の音が夏の夜に響いている
気付けば三人はスヤスヤ眠りについていた
初めての子供達だけの留守番の夜
グウグウ スヤスヤ
ふと冬馬君が目を開けるとまだ夜だった
ブレーカーが落ちて、電気が切れクーラーが消えた暑さのせいで目が覚めたのだ
両隣りでは大喜と多網は寝ている、雨はまだ降っている
まだかなり強い ザーッ ザーッ
今は一体、何時なんだろう?
布団から顔を出し時計を見ると夜の12時をまわった所
冬馬君が起きたのに気づき多網も目を開けた。どうやら暑かった様だ
多網はムクっと立ち上がりブレーカーを探し出し元に戻した
電気はつきクーラーもまた復活
多網は満足気な笑みを浮かべ、ついた電気をちゃんと消したが、まだよっぽど眠いのか、またすぐに眠りについた
冬馬君は雨の音に耳を澄ませる
ザーッ ザーッ ザーッ
まだ親は家に帰って来てないのだろうか?
冬馬君は雨も強いし両親は大丈夫なのだろうかと、帰りの遅い事を心配していた
普段いる人達が居ない事が少し冬馬君を心配させる
今日は遅くなると言ってたから、まあ大丈夫だろうと考えてはいたが。
すると大喜も目を覚ました
「暑い、何だか眠気がさめたよ」
今までクーラーが消えていて、今ついたばかりだったからまだ部屋は暑かったのだ
冬馬君は大喜が起きた事に喜んだ
「ちょうど目覚めちゃってどうしようかと思ってたんだよ」
二人は毎度の如く、色々話しタイムだと言って、色んな話をする事に。二人共、話たい事は決まっていた
前回清香の家に泊りに行った時に知りあった、アミと清香の事である。
大喜が言う「またあのメンバーで遊びたいね」
それは最高だ
「前回みんなで行ったお化け屋敷怖かかったね」
冬馬君は四人で遊んだ事、清香の家に泊まった事などを思い出しては、あの時は何て夢の様な時だったんだろうとシミジミ思った
二人は思う、早くまた会いたい
「また何か計画を立てよう」
大喜もアミの事がよっぽど気に入っている様だ
二人は清香とアミの話が出来る事が嬉しかった。
何だかこの強い雨をBGMにしてクーラーの効いた部屋で布団をかぶり夜中に語り合うのもまた面白かった
いつもとは違い、二階ではなくリビングルームで寝てる事もまた雰囲気が変わって新鮮だった
違う場所で寝るだけで、何処か知らない所に泊まっている様な感じすら味わえる
二人の会話は尽きない
突然冬馬君が面白いアイデアを考える
「大喜、二階に恐いマスクがあるんだけどそれ被って多網をおどかさない」
「それは良いアイデアだやろう」
二人は多網を起こさないように、そうっと二階に上がった
冬馬君はマスクを被り
大喜はそれを見て「これは怖い心臓止まるんじゃないか」と言って笑みを浮かべている
マスクはドラキュラ男のマスクだった
「さあ行こう」
二人は多網の元に向かう ワクワク
どう驚かすか作戦を練った。
大喜がまず一人多網のもとに行き
「大変だよ多網起きて」
多網は目を開ける パチリ
「冬馬が居ないんだよ消えちゃた」
多網は目を見開いて驚いている
そして、すぐにリビングルームを二人で見回し探しまわる
その時、冬馬君は廊下に立っていたのだ
ドアの隙間からちょうど多網に見えるようにたっている
冬馬君は既に多網が驚くのを想像しては笑いを堪えるのに必死だった。
多網が目の前に見えるドアの隙間の外に立つ人影に気付く
そして目が合った・・・・
多網はあまりの恐怖に体が硬直
「あっ あ あ あ ああ」
横で見てる大喜は笑いを堪えるのが限界の様だった
多網は口をパクパクさせて指をさして、大喜に必死に廊下の外に立つ異形な姿をした男の存在を伝えようとした。
そこで、冬馬君はいきなりドアを開け多網に向かって走って行った
「おおおおーっ」冬馬君が唸る
多網はいきなり「なまかさは」と意味の分からない言葉をはっし、見たこともないような顔をして凄い高さまで飛び跳ねた
そして気絶
二人は大爆笑だった
そして多網を起こし正体を見せた
多網の脚は、ガクガク震えている
「多網そのガクガクよっぽど驚いたんだね」冬馬君は言った
ビックリしたと思われたくなかった多網は「かき氷 食べて ガクガク」と意味の分からない弁解にならない弁解をしていた
三人は笑いあった。
その後も、激しく降り続ける雨の音を聴きながら、三人は布団の中で語り合っていた
その日は遅くまで賑やかな夜だった
子供達だけの留守番
とっても面白かった
夜に大人が家に居ないと言うのも自由に出来て良いなと思った、冬馬君
初めての子供達の留守番はこうして幕を閉じたのであった。
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