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ある人との再会
しおりを挟む翌日 冬馬君と大喜は今公園で遊んでいる。
起きてから外で遊ぼうという事になって二人で遊びに来たのだ
慎司にも電話をしたが今日は慎司は用事があって来られなかった。
昨日大喜と清香の家に遊びに行った話や、弟が慎司に会いたがっていた話などを電話で話したら慎司も嬉しそうだった
冬馬君と大喜はご機嫌で今日もら朝から遊んでいる
突然、冬馬君はハッとした。
学校の同じクラスメイト達が公園に来たのだ。
冬馬君は学校では家にいる時や大喜達と遊んでいる時とは様子が違った。
自分でも何故だか分からないがあまり喋らなくなるのだった
公園に来たのはクラスでも結構騒がしくしてる子達である。
何故だか気まずくなり見つからない様に違う方を向いて遊ぶ様にしていた。
こういう瞬間夏休み気分から一気に現実に戻された様な、そんな気分になる。
冬馬君は自分の様子をクラスメイトに見られたくなかったので大喜に他の場所に行こうか?と促した
大喜はどうしたの来たばっかじゃん?と言った
もちろん冬馬君の心持ちなどは知る由も無い大喜
さっきまであんなにはしゃいでたのに、今やさっきみたいに遊べなくなる自分がいた
その時
「あれ冬馬じゃねえ」
冬馬君はドキッとした
「誰それ?」
「バカ同じクラスじゃん」
「ああ、あのパッとしない奴か」
冬馬君は気付いていない振りをしていたが常に聞き耳を立てていた
そして自分の言われ様にちょっとしたショックも受けていた。
「おーい冬馬」
クラスメイトが話かけてくる
「やっ、やあ久しぶり」冬馬君は言った
大喜にクラスメイトと話してる自分を見られるのがなんだか嫌だった。
「何してんだ?」
「いっ 今親戚と遊んでるんだ」
「よろしく」と大喜に向かって挨拶をした。
「冬馬一緒にみんなでサッカーやらないか?」
全くやりたくなかった
しかし、やらないと言うのが言いづらくて少し困っている冬馬君
「大喜どう?」と冬馬君は聞いた
「別に良いよ」
やりたくなかったが、断れない冬馬君は、いやいやずっと付き合うことに。
結局終わった頃には夕方だった
実際みんなでやったサッカーは楽しかったし、クラスメイトと遊べた事も喜ばしかった
今の気分は、と言うと、正直やって良かった
だけど自分がはっきり自分の気持ちを表現出来ない事にジレンマも感じていた。
その日は大喜は明日用事がある様なので家に帰って行った。
冬馬君は家に帰っては色々考え事をしていた
自分がクラスメイトにどう思われていたかとか、人前で自分らしくいられない事などを考えてため息をつく。
夜はそんな事を考えて過ごしていた冬馬君
公園に行くまでは何も考えずに楽しんでいたが今は胸に何か重い鉄球を抱えてる様で嫌だった。
その日は眠る前も色々考えては何か嫌な気持ちになっていた。
そのうち考えても別に仕方が無い気になって気付いたら夢の中だった。
夢の中では学校で授業を受けている
周りのクラスメイトが自分の事を見て何かヒソヒソ話ている夢をみて気まずくなり、ハッとして目を覚ました。
何だか後味の悪い夢だ
朝目を覚ますと、セミの鳴き声が耳に入る
もう朝か
その日は朝起きると、学校がもう明日に迫ってるようにも感じた
夏休み気分も吹き飛んでいた
結局夏休みも終わったらまた学校というものがやって来るんだなと思っては、ハァーとまたため息をついたのであった
冬馬君は朝ご飯を食べた後、こないだみんなで花火した川辺に行く事にした。
鞄に漫画を入れてジュースを持って川辺に向かう。
昼間見る川辺は、こないだとは全く違って見える、夜見た川辺の雰囲気とは全然違う。
人が居ないし静かだから最高だった
川辺に座って川を眺める、川の流れる音がとても心地が良い
冬馬君はボーッと川を見つめてるのであった。
すると一人の男の人が目に入る
冬馬君はあの人をどっかで見たことがあった様な気がしたが思い出せなかった。
その男の人はチラチラこちらを見ている
やっぱり知り合いなのだろうか?
確かに見たことがあるような
しばらくして、その男の人はこちらに近寄って来た。
「おうい! 君は確か?」
「僕の事覚えてるかい?」
やっぱりどこかであった事がある様、冬馬君はハッと彼の事を思いだした。
それは夏休み始まったばかりの時、大喜と慎司で川に遊びに来て出会った、好きな女性に告白をしたあの男の人であった。
「久しぶりです今分かりました」
「一人で黄昏て川を見てるなんて君も若いのに渋いね」お兄さんは笑っていた
「別にただ川を見ていただけです」冬馬君は気まずそうに、そう答えた。
お兄さんは冬馬君の顔の表情や態度から何か悩み事でもあるんだろうと思ったが、特に何も触れなかった。
二人は暫く座って川を眺めていた
「君達には本当に感謝してるよ」
「あの時、結果は振られたけど気持ちを伝えないで自分の中でずっとうやむやに抱えこんでいないで良かったと思ってるよ」
「自分自身と向き合えた気がするんだ」
冬馬君には何故かその言葉が響いた
「なかなか言いたくても言えない事とか言いづらい事あるからね」
「お兄さんにもあるの?」
「もちろん、女性に対してだけじゃなく、友達だったり家族にだったり職場の人にだったりたくさんあるよ僕は人前だと弱いから」
冬馬君は自分だけではなかった事に安心した みんな色んな弱さを持ってるんだと知った。
「でもあれ以来なるべく自分の意見はハッキリ言おうって心がけてるんだ」
「恐くないの?」
「恐いさ、嫌われるんじゃないかとか、こんな事言ってこんな風に思われるんじゃないかとか」
「でもいつまでも自分の本当の言葉を胸に隠し続けるのと、嫌われても良いから気持ちをハッキリ伝えるの自分はどっちが良いかを考えたんだ」
「僕はどっちでも良いと思う、ただ色んなことにぶつかった時、自分はどうしたいのかを自分に聞いて自分に正直にしてみようってあれ以来思って行動してるんだ、なかなか正直に出来ない事のが多いけどね」
「でもおかげで最近自分の気持ちがスッキリしてるんだ」
冬馬君も自分でどうしたいんだろうと自分に聞いてみた
やっぱり自分の気持ちや思った事、感じた事をなるべく、人にちゃんと伝えられる事は伝えたいと思った。
自分のしたいようにやってみようと。
お兄さんを見てて感じたのは、自分の弱さを隠さず認めてさらけ出していた。
そこに冬馬君は強さをみたのだった
全ての自分を受け入れてる、弱い自分も、駄目だなと思う自分も。
それを受け入れてる。
何だか素敵だなと感じた
今まで出来る事なら自分の弱さを認めず隠して見つからない様にしては、変わろう変わろうとしてきた冬馬君と真逆な生き方がある事に驚いた。
自分が弱いなんて認めるのが嫌だった
しかしお兄さんはそれを全肯定してる、見つめて生きている
そこに弱さは微塵も感じなかった。
弱いなら弱いで良いじゃないか、そう初めて思えた瞬間。
少し胸のつかえが取れた様に感じた
「お兄さんはその後、好きな人は出来たの?」冬馬君は気になって聞いてみた
「あはは、あの娘程の恋はまだないな、でも女性は沢山いるから焦ってはないよ」笑って言っていた。
「僕は出来たよ」
何故だかお兄さんに話したくて聞かれてはいなかったけど言ってみた。
「本当に?その目は本気だね」
冬馬君は清香との出会いのいきさつや彼女の雰囲気などをお兄さんに話した。
お兄さんは自分の事のように真剣に聞いてくれている
それがなんだか非常に嬉しかった
「何だか良いなー僕よりしっかりした恋愛をしてる気がするよ」
「そんな恋してることが最高だね」
お兄さんと話してるのは面白かった。
何でも話せるような気がする
「僕はちょくちょくこの場所に来てるよ、何やら縁があるみたいだからまた会えるよ」お兄さんは嬉しそうに言った
人の出会いや縁は不思議だと、また感じる
まさかまた会うとは思いもしなかったし、むしろ忘れていた。
そんな人と偶然また再開してこうして話している
偶然何て本当はないんだろうな、子供ながらにそう直感で感じたりもした。
「さてそろそろ帰るよ」
お兄さんはそう言って立ち上がる
「友達二人にもよろしくね、またな」
もう会えるか分からない
もしかしたら人生で二度と会わないかもしれない
そう感じ自然に心から「ありがとう」
その言葉が自然に出る
二人は手を振って別れた
冬馬君はお兄さんの背中をずっと見つめていた
そして目の前の川を見る冬馬君
さっきの気分とは大分違う、今はスッキリした気分で川を見れている
お兄さんに会って良かった
蝉は今日も元気に歌ってる
夏の夕暮れ
さてとお家に帰ろう
軽くなった足どりで、夕焼けに照らされ、家路を歩いた。
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