冬馬君の夏休み

だかずお

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キャンプの夜の巻

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温泉に向かう為一同テントの張ってある川辺から、車道の方に歩いてあがっている。
辺りは真っ暗、大人たちもこれは結構暗くて恐いねなどと話している。
子供達はみんな離れない様にして固まって歩き、冬馬君は清香の近くにいれる事が嬉しくて恐いという気持ちはなかった。

慎司「本当に真っ暗だね」

大喜「怖い話してから、これじゃなくて良かったよ」
確かに怖い話した後にこの道を歩いたらそうとう歩くの厳しそうだ 冬馬君もそんなことを思った。

清香のお父さんがじゃあ怖い話でもしながら歩こうか?と笑いながら話す

「やだ」と清香

「冗談だよ」苦笑いの清香お父さん

「話してよ」 慎司にくっつきながら清香の弟が言っていた。
しかし、辺りは本当に真っ暗で懐中電灯がもし消えたら何も見えなくなってしまうだろう。
ガサッ 何か左の山の中から音が。「恐いよ」慎司にしがみながら清香の弟がデカイ声を急にだしたので
冬馬君も慎司も大喜も清香も、みんな体がビクッとする程驚いて大人達の真横にくっつきに行った。

正子「動物よ」
清香の母「急に音なるからビックリしますね」

誰も気付かなかったが、実はさっきの物音を誰よりも内心驚いていたのは、他でもない隆だった。
腰抜かすかと思ったよと心の中で腰ぬかさず、ホッとする隆。
しばらく真っ暗の山道を歩くと明かりが見えてきた。
子供達は、ほっと一安心

「あれが温泉です」と清香の父が指差す
他に人が入ってる気配はなかった。
どうやら無料で使える場所らしい、ありがたい。
男湯と女湯に別れていて
「さあ入ろう」
扉をガラッと開けると目の前は川が流れていた。
暗くてよくは見えなかったが、川の流れる音ははっきり聞こえている。

冬馬君「こりゃ最高だ」
皆温泉に飛び込んだ
大喜「いやー極楽」
慎司「生き返る」
清香の弟「なくすまー」
なくすまーとは全く意味が分からなくてみな大爆笑だった。
隆「まさかこんなとこにこんな良い温泉があるとは知らなかったなぁ」
清香の父「24時間入れるんですよ」
素晴らしい、一同川の流れに耳を澄ませ、あったかいお湯に心も身体も癒されていた。
あー極楽だ
お風呂からあがり女性陣を待っていたが、なかなかでて来ない。やはりこういうのは女性は長いなと大人達は話ていた。
温泉の入り口の所に自動販売機があったので、ジュースを買って飲んで待って居る男性陣。
自動販売機の明かりの回りにはたくさんの虫が飛び回っている
しばらくして女性陣がでてきた
あー良い湯だった
髪の濡れた清香の顔は何ともまた美しかった。
冬馬君がお風呂に入りながらずっと隣が気になっていたのは言うまでもない。
あの濡れた黒髪に大きな瞳
冬馬君はまだ目をじっと見つめる事は出来なかった。
さあテントに戻ろう
帰り道 清香のお母さんが「ねえ空見上げてごらん」
空には満天の星
言葉を失うくらい綺麗だった。
自分の住んでるところではこんな綺麗な星は間違いなく見れない。
広大に広がる黒いキャンパスに星がこれでもかというくらい散りばめられて光輝いている

みんなでこの星を見てる

自分の大好きな人達と

あまりの美しさに一同足がとまっていた

星の光に照らされている
清香の顔も冬馬君には女神様のように見えていた
天には星 地上には清香そんな心持ちだった。
こんな事を大喜達に言ったら笑われるだろうと思ったが。

しかし本当に綺麗だ

「 一生忘れない思い出だ」冬馬君は言った
みんなニッコリ笑ってる
そしてテントの場所に戻ってきた。
あー良かった、夜道から見慣れたこの場所に戻りみんなは一安心
大人達はまた乾杯を始め、子供達はトランプをみんなでやろうと大人達に提案した。
その日は遅くまで、みんなでトランプをして盛り上がっていた。
隆も清香の父もお酒を結構飲んで良いご機嫌である
途中清香の弟は疲れたのか、さすがに眠ってしまった。

「さてそろそろ寝るか、そう言えば明日何時に帰るんですか?」隆がきく
冬馬君はドキッとした。
明日はお別れなんだ急に胸がしゅんとする。
さっきまでの時間が夢のように感じた。
ああ、さっきの温泉に行く前くらいの時間帯に戻りたい、そう本気で思っていた。
ああ、お別れの時が近づいてきてる そう感じずにはいられない

寂しい・・・

「そうですね、遅くとも夕方に家に着く様にはしたいですね、そちらは?」

隆「こっちも決まってはないんですが、大体夕方には着きたいからそちらと同じくらいに出ようかな」

「そうですか」
冬馬君だけでなく大喜も慎司も清香も寂しそうだった。
この楽しい時間が終わりに近づいてるのが、お別れが近づいてるのが寂しかった。

「さてそろそろ寝るよ」と正子

「はい」子供達が返事をする
冬馬君はチラッと清香をみた。

「明日にはサヨナラか寂しいね」清香も寂しそうに見える
向こうも同じように感じていたんだ、それは嬉しかった。
「うん寂しいね、でもまた会えるよお休み」冬馬君はそういうと何だか元気がでた。
何も、もう会えないわけじゃないきっと、また会える。

「うん」清香も笑った

お休み
皆テントに入って行く
時刻は深夜1時をまわっている
森の虫は休みもせずまだ合唱をつづけていた
いよいよ明日は清香達とお別れ
楽しいキャンプは終わりに近づいていた。

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