冬馬君の春と夏

だかずお

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下痢サー

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サーは朝仕事行く前に必ずトイレに行く。
これは長年のサーのルーティンなのである。
これはとあるサーの一日。
サーは焦って朝食を食べている、今日はいつもより少し準備が遅れてしまっていたのだ。

「行ってきます」息子の多網が学校に向かう。
いつもは自分が先に家を出るのだが。

「急がなきゃ」
サーの頭にトイレがよぎる、時間がなくても、どんだけモノが出なくても、このルーティンはやってしまう。
全く出る気配はなかったが、とりあえずトイレに入り便座に座り、ホッと一息、行ってきます、なのである。

ガタンゴトンガタンゴトン
サーの中では電車の椅子に座れたらラッキー、もし角の位置に座れたなら超ラッキーなのである。
ちなみに今日はスタンディングアンラッキーであったそうな。
その時だった、サーの表情が一変する。

「ぐぎぎぎぎっ」

腹がっ、顔が歪む。
ムンクの叫びも真っ青である。
うっ、トイレに行きたい。
何故さっき行った時に出なかった?我が老廃物達よ!!
電車で立っているのが落ち着かず、変な姿勢になる、クネクネクネ、変身芋虫サー。
そんな時に満員電車、電車は揺られ~~
何度も駅に止まる度に降りようかと思ったが、遅刻は出来ない。
サーは頑張った、踏ん張った、地団駄踏んだった。
波が去った瞬間は、一瞬聖地に辿り着いた様なそんな感覚になるのだが、すぐに次の波を怖れて身体は強ばる。

「くっ、くる奴がくるっ」
こんなBGMが頭に流れる「大波がくるぞう~~、耐えろ、耐えろ、じゃなきゃ車内は糞まみれだぞぅ~~」(どんなBGMじゃ)

ガタンゴトンガタンゴトン電車は揺られ~
はひゅ、はひゅ、サーの腹も揺られ~

「きっ来たっ、こっこれはデカイ波だっ」

歯を食いしばり、姿勢はダンゴムシが丸くなる瞬間の様な型になっている。
耐えろ耐えるんじゃ~サーよ!自らを鼓舞した。
耐えられなきゃ、ズボンは糞まみれだぞ。
こんな時、周りの人の会話が妙に耳につく。

「昨日あの番組みた?」

「みたみた、CM多すぎじゃない」

「ぐぎぎぎぎっ」真横で凄まじい形相を浮かべる男を見て、学生は黙り込んでしまった。

「ひいいいっ」

ようやく仕事場の最寄り駅に到着
男は鉄砲玉の如し、電車から飛び出した。
ビュウオンッ、階段を走りかけ降りる、その姿はまさに疾風
トイレ発見
バッ、男は叫んだ「ぬおおおっ」
トイレ行列
なんでこんなに人気があるんだよおおおっトイレめええっ。
ちきしょおおおっ、こんな人気者ならもっと作ってくれ!
男は走り改札内を出た、こうなりゃ職場のトイレじゃ~~。

「はひゅ、はひゅ、はっ、へっ、ホッ、ぐぎぎぎぎっ」
男は便器を思った、世界中の誰よりも。
便器様~~っ
会社のトイレが視界に入る。

「ようやく出会える、あの方に!!」

「はひゅっ、はひゅっ」

トイレの入り口の扉を開けるとそこには部長が

「ぶっ、部長」

「君、あの書類出来てるかな?」

「あっ、えっ、そのっ」今それどころじゃ無いんだよ、漏れそうなんじゃ。
目の前に誰よりも恋い焦がれた便器様がいらっしゃると言うのに。
何故っ、はっ、はやく ぐぎぎぎぎっ。
便器の部屋の扉は開き、姿まで見えると言うのに。

「あっ、それはですね、またのっ後ほど」

凄まじい形相になっている
部長も、この顔に一瞬ひるんだが
「なんだねその顔は、後ほどじゃなくて、出来てるのかね?」

ブチッ「それどころじゃねえんだよ、こっちは漏らすか漏らさないかなんじゃ、糞ぶちまけるぞ」
と叫びたかったが、さすがにそれは出来なかった。

「出来ております」

「ならはやめに提出してくれよ」

部長は去って行く。
サーの顔は光輝く

「やった、憧れの便器様っ」

その時だった。

ガチャ

後から来た人が入っていった。



ビチャッ



チ~~~~~~~ンッ


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