アンブラインドワールド

だかずお

文字の大きさ
上 下
7 / 85

〜 恐るべしラルフォート 〜

しおりを挟む

ラルフォート・ナザレ
奴は道化師の姿を好む、化粧で厚く被われた表情は自身の内面とは裏腹に終始笑っていた。
男なのか女なのか?はたまた両性具有なのか?誰も知らない。
一つ言える事は、奴は肉体を持ち13万年程生きている。
これまで奴のしてきた所業は地球に愛や希望と言うエネルギーが根付こうとする時に必ずその根を根絶やしにしてきたこと。
奴は人間の恐怖、憎悪、罪悪感を好んで食す、食すと言っても文字通り食べるわけではない、そのエネルギーを自身のエネルギーに取り込み生きながらえているのだ。
そう、今と言う時期はラルフォートにとって最大のエンターテイメントの時、人間はこれから来る地獄を知らない、食す、食す、食す、最高の美味たる食事を。熟せ、人間の負のエネルギーよ、私と闇の主の為に。世界を闇で包むのだ。
ラルフォートは誰ともつるまない、今は自身が主と呼ぶその存在を敬愛するのみ。

北條とラルフォートは真っ黒の球体に包まれていた。

「てめぇ、神井、北條さんはお前が倒すんだろ?良いのかよ放っておいて」タケルが叫ぶ

「あのピエロ野郎が北條より強ければ、俺がそいつを殺すまで」

「てめぇはどうしてそこまで力を?」

「話はそこまでだ」

タケルの背後から聞こえる声

「光堂さんっ」

「タケル、今のお前に出来ることはない。とにかくここから出来るだけ遠くに逃げろ」

「やだよ、俺だけ逃げるなんて」

「こいつは予想以上に厳しい状況になった、もし北條さんが今死ねば、地球は終わる、俺は神井を倒し、すぐに北條さんを助けに行く」

「なら光堂さん、俺がこいつとやりますよ。その間に北條さんを」

「ハッハッハ笑わせるな、お前がこの俺と?カスみたいな霊力しか持たないお前が俺を?アッハッハッハ滑稽すぎるぜ」

「タケル、残念だがそれは出来ない、今お前を失う訳にはいかないんだ」

その時だった、一同を凍りつかせる出来事が目の前に起こる。

ボトッ ボト ボト ボトッ グシャッ
北條とラルフォートを包んだ黒い球体から何かの塊が細切れになり落っこちて来たのだ。

「え?」それを目にしたタケルは一瞬何を目にしてるのか分からなかった「なんだこれは?」
頭が理解する前に、タケルは嗚咽していた。
「グエエッ」

「うっ、嘘だろ」光堂が立ちつくす。
神井も予想以上に速い決着に驚いていた。
そう、それはバラバラになった北條の肉体であったのだ。

「君達滑稽も滑稽、この私に立ち向かうなんて事はしてはいけないの。ユーアンダスタン?」

うっ、嘘だろ 北條さんが死んだ。光堂は動けず、その場に立ち尽くしていた。
嘘だろ·······

「ピエロ野郎、次は俺が相手だ」神井が叫んだ瞬間、ラルフォートが不気味な笑顔を神井に向けた。
ラルフォートの顔に描かれた化粧は笑顔、どんな時にも不気味な笑みを終始こちらに向ける、それはまるで他の感情が欠落してるかの様、相手の心が全く見えず、行動と相容れ無い、その笑顔が不気味で恐ろしかった。

ニカッ 
「君、素質あるね、君の波動は闇を主体に動く、私の家来にしてあげるね」ニカッ

「ふざけるな」神井が叫んだ瞬間、ラルフォートは既に神井の背後にいた。

「勘違いしないでね、お願いしたんじゃないよ、命令したんだ」
ズゴッ 
鈍く嫌な大きな音が鳴り響く。
「私の奴隷として生きるしかない」神井は地面に倒れ込んだ。

あの神井が一瞬で、ラルフォートここまで強いとはな。
光堂が拳を力強く握りしめる。
俺が今唯一出来る事、命に代えてタケルを生かす。
「タケル逃げろ、ここは俺が時間を稼ぐ」

「君、その白いロングコートにそのマーク、ああ聞いた事あるよ、連合に優秀な地球出身の子が居るって、えーっと名前は確か」

「コードー」
ラルフォートの耳元で聞こえたその声は、既にラルフォートのすぐ近く、光堂はラルフォートの顔の真ん前に居た。

「速いっ」

「消えなラルフォート」
空気を切り裂く様な物凄い音がした直後、ラルフォートの首を光堂の霊波動が吹き飛ばしていた。
首のないラルフォートが動かず立っている。

「やったぜ、光堂さん」

「馬鹿野郎タケル、逃げろと言っただろ」

首のない道化師の手足がプラプラ動き始める
「バインっばあアン」なんと次の瞬間、首が再生したのだ。

「闇の力は無敵、それにひきかえダサいね北條とか言うのは、何も出来ずに死んだクックッククッは~愉快、爽快、リフレッシュ」

「しかし、コード君、君がさっきから逃がそうとしてる、その子、何か大切な子?」

「は~~なる程、なる程、そういう、大切なものなら先に殺しちゃおう」

空を斬る様な音が耳元でしたと思った瞬間
タケルは自分の首元近く、何かを感じた。
それは本当に一瞬の出来事。

タケルの首の真横、ラルフォートの拳を止めていたのは光堂 

「それを俺が却下する」

「光堂さん」

「コード君。確かに優秀、雑魚ではない、だが君はまだ若い、戦闘に関しては経験不足。私と戦うには、ちょい速すぎる、連合にも強いの居るだろ、隊長クラスと一緒に行動するべきだったね」

「さようなら光堂君」

「ただじゃ死んでやらねぇ、タケル全力で逃げろ」

「貴様、私と一緒に自爆するつもりか」

「ああ、そうだよ」

その瞬間だった。
信じられない事が起こったのだ。

「我則 宇宙なり 我万物と一体なり」

「それ即ち無限なり」

辺りに響き渡ったのは北條の声

ヒョオオオオーーーーーーーーーーッ
凄まじい光が辺りを包んだ。

北條動く




~ アンブラインドワールド ~


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Gender Transform Cream

廣瀬純一
SF
性転換するクリームを塗って性転換する話

仇討浪人と座頭梅一

克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。 旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。

MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』 洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。 その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。 突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。 その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!! 機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!

もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR
SF
 『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。     (アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)

ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!

EPIC
SF
――Vtub〇r?ボイス〇イド?……的な美少女になってしまったTSおっさん Fall〇utな世紀末世界観のゲームに転移してしまったので、ゲームの登場人物に成りきってる系(というかなってる系)実況攻略でタクティカルに乗り切ります 特典は、最推し美少女キャラの相棒付き?――  音声合成ソフトキャラクターのゲーム実況動画が好きな、そろそろ三十路のおっさん――未知 星図。  彼はそれに影響され、自分でも音声合成ソフトで実況動画を作ろうとした。  しかし気づけば星図はそのゲームの世界に入り込み、そして最推しの音声合成ソフトキャラクターと一緒にいた。  さらにおまけに――彼自身も、何らかのヴァーチャル美少女キャラクターへとTSしていたのだ。  入り込んでしまったゲーム世界は、荒廃してしまった容赦の無い世紀末な世界観。  果たして二人の運命や如何に?  Vtuberとかボイスロイド実況動画に影響されて書き始めたお話です。

銀河のかなたより

羽月蒔ノ零
SF
「僕は人生に、希望など持ってはいない……」 将来を悲観することしかできない高校生、日奈太(ひなた)のもとに、突然宇宙船が現れた。 船内には3人の異星人が乗っており、ある重要な任務を負って地球までやって来たらしいのだが、着陸の際、船長のフィーモが誤って記憶削除装置『ワズレイ』を作動させてしまい、日奈太の記憶を一部削除してしまった。 「……あれ? なんでこんなところにいるんだっけ?」 自分の目的をすっかり忘れてしまった日奈太。 果たして彼は、失った記憶を取り戻すことができるのか!? この宇宙には、高度な文明が築かれた星が無数に存在している。 我々の知らないその世界では、一体どんなことが巻き起こっているのだろうか!? 『エネルギー資源の不足に悩む星に、優しい異星人たちがある贈り物を届けようとやって来るのだが……』 『原子力発電によって生じる核のゴミ。この処理方法を、自分たちより数段階進んだ文明を持つ星に相談してみた。すると……』 『謎の惑星が近づいてきた。もしかすると、神話に記された文明を授けし神々の住む星かもしれない。……しかし、やって来たのは、神などではなく……』 『自由とは?』 『幸せとは?』 そして、猛スピードで地球へ向かう、巨大な小惑星! 衝突すれば、地球はたちまち死の星に……!! またしても訪れた世界の危機。 立ち向かうは、あの5人。……と、3人の異星人たち!? そして明かされる、衝撃の真実……。 『地平線のかなたで』の続編です。  表紙:Free-PhotosによるPixabayからの画像

「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち
SF
 港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。  遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。  その第1次上陸先が苫小牧市だった。  これは、現実なのだ!  その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。  それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。  同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。  台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。  新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。  目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。  昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。  そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。  SF大河小説の前章譚、第4部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】

しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。 歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。 【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】 ※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。 ※重複投稿しています。 カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614 小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/

処理中です...