アンブラインドワールド

だかずお

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〜 流れ 変化す 〜

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宇宙中の存在達は理解した、サタンの敗北を。

「信じられねぇ、あのサタンが負けただと……」

「この宇宙はこれからどうなってしまうんだ」

終わることは無いと思われていた、果てしなき程に永き時、保たれていた宇宙の均衡は完全に崩壊する事となる。
そして、この機に地球侵略を企んでいた死神の軍隊が動き出す。
「サタン敗北は、いよいよ闇の主が目覚めたと言う事、これで秩序は大きく変わる、さあ、地球に張られた結界を急いで壊し、地球に突入するとしましょう」死神は叫んだ

「うおおおおおおおおおおーーーーっ」

それを阻止するのは、地球内に住む能力者達と宇宙連合の存在達だった。

舞台はペドスドラコの惑星に戻る。
「龍神様、とんでも無い事になってしまいました、僕等は一体どうしたら?もう闇の主の目覚めを阻止する事は不可能なんですか?」リタが言った。

龍神はリタの瞳をジッと見つめる
「これから起こる事は最大の賭けとなる、成功しても、しなくてもどちらにしても最悪の悪夢が待つ可能性のが大きい」

「そんな……」リタの両膝は地面についた。

「リタよ恐れるな、忘れるな、仲間が居る事を、そして私の身にこれから何が起ころうと悲観してはならぬ、希望は決して無くならない」そう言い龍神は空高く舞った。

「そんな、まさか龍神様」
龍神を止めようとするリタを青龍が止める

「宇宙連合の者達、集めたクリスタルスカルを発動させよ」

クリスタルスカルの側で龍神からの指示を待っていた連合の隊長、ドラとクエヌはすぐ様、クリスタルスカルを発動させる。
このクリスタルスカルの振動は心の内を通じ、全てのスカルの創造者達に伝わった。
もちろんタケル達の仲間バルベインもこの指示を別惑星にて待機していた。

「スカルの解除コードを解くのは今」

クリスタルスカルは眩い光を放ち輝き出す。
その光は天を突き刺すように貫き延びて行く。

この異変に気付いた宇宙中の存在達
「なんだ?一体この宇宙で何がおこっているんだ?」

タケル、光堂達もそれぞれの居る場所で足を止め、天を見上げていた。

「なんだよ、これ……」タケルは次の瞬間に見た光景が信じられず声を上げた。
「まさか、こんな化物と戦うとか言うんじゃねぇよな」
それは白い影だった。
とてつもなく大きな、大きな白い影
巨人?いや、そんなレベルじゃあ無い、その影は惑星ペドスドラコに立っているが、軽く雲を貫き、天まで届く程の大きさだった。
白い影にはうっすらと光の羽がはえている様だった、身体は物質と言うより、霊体の様に実体が無い感じで、まさに影と言う言葉の表現があっている感じだ。
次の瞬間、タケルはその影の前に龍神が姿を現したのに気付く。

「龍神」驚きの余り、気付いたら声をあげていた。

「別次元から私を呼び出したのはあなたですね」白い影は龍神に向かって喋りだす。

「いかにも」

「この宇宙は酷く波動が乱れています、私を呼び出したのはそれが理由ですね」

「この宇宙は今瀕死の状態にあります、あなたの力で再生は可能でしょうか?」

影は言う
「この宇宙がこんな状態にある原因は、あの絶大な力を放つ神ですね」

「その通りです」

「不可能でしょう、ここまで来てしまっては、残念ながらこの宇宙は破壊のプロセスを辿り消滅するでしょう」

「それを阻止したいと言ったならば?」龍神は諦めなかった。

「あなたも見えている筈、一つの可能性がある事、しかし同時にとてつもない苦痛を伴う道になると言う事、冷たい言い方になりますが、いっその事、滅びた方が楽な事も」

「それは選択肢にありません」
引き下がらない龍神の声は大きくなる

白い影はそれを聞き、何かを決めた様だった。
「分かりました、しかし私はここまで来てしまった宇宙を救う事は出来ません、そこまでの力を、この地で私が使う事は許されないのです」

「もちろん、存じあげております、離れ過ぎた超次元から来たものは、他の次元の空間の運命を大きく変える程の変化を与える程の介入はしてはならないと」

「今回は滅びる運命にある宇宙を助ける事になる、そこまでの介入は残念ながら赦されないのです、全ての魂の道を私の判断によって勝手に押し入り、自由意志を汚すことはゆるされません」

「それならば、ここの物質次元に普段から行き来出来る自分なら許される訳ですね」龍神は言った。

「そうです、それがあなたの判断でしょう。ここの世界に近い波動のもの、住んでる者なら、当たり前に介入は赦される」

「自らの魂を捧げよう、闇の主の目覚めを数年遅らせる事が可能なら」

「目覚めは止められない、それなら遅らせるくらいなら可能、貴方はそう考えたようですね、確かにそれなら可能、しかし、その先は……」

「信じているのだ、この宇宙に存在する者達の意志と力を」

白い影はそれを聞き、動き出す
「私がここで使える全力の力を使います、それでもあの巨大な力を眠りにつかせる事は出来ません」

「分かっています、だからこそ自分の全てのエネルギーを注がせてもらう」

「分かりました、数年、闇の主を眠りにつかせる事は、可能でしょう、あなたの魂と引き換えに、良いのですね?」

龍神は巨大な白い影を見つめる
「もちろん」

そして、それは起こった。
龍神と白い影のエネルギーは宇宙中に広がり、闇の主を包んだ
その瞬間、闇の主は思う?
なんだ?
なんだ????
次の瞬間、闇の主の意識は完全に閉じていった。

それらの変化を感じ取った宇宙中の存在達は声をあげる
「奇跡だ、助かったんだ、闇の主は消滅したんだ」

しかし、ペドスドラコの惑星に居る者達だけは気付いていた、龍神と言う巨大なエネルギーを持つ存在が、同時に、この宇宙から消えた事、闇の主のエネルギーは消滅したのではなく、残っている、このエネルギーはいずれ復活する事、そして現在もこの惑星で、終わる事なく続き、激化している光と闇の戦と言う実状。

「うっ、嘘だ、嘘ですよね……」
サタンの忠実なる大幹部の一人、エバーフーミーは涙している。

「許さぬぞ、闇の主、よくもサタン様を」
凄まじい怒りは共に連れて来た部下を、即座に全員皆殺しにしていた。

レインボードラゴンと戦っていた鬼神達は一旦戦いを止め、レインボードラゴンから離れている。

「流石にあの龍神の使いは強いな」蝿王蛇は言う

「闇の主もどうやら抑え込まれたらしいね」女狐は真っ黒の着物の袖をなおしながら不愉快極まりない表情を浮かべる。

「連合の奴らめ、うまくやりやがったな、それにしても女狐嬢、さっきからクラーケンの霊力が完全に消えてるがまさか」

「あっはっは、鬼神。簡単な事さ、奴は光堂と言う男に敗北した。ただそれだけの事」

「なるほど、これから闇の時代の幕開けの為、この宇宙を恐怖に包みたい我々の取るべき行動は決まったな。連合の若きホープ光堂の首をとる、このまま連合の思い通りにはさせまい」

「それは、面白い。さぁ行こう光堂のもとに」

薄暗い空を見上げ涙しているのはリタ
「龍神様が…居なくなってしまった」

「落ち込んでいる暇は無いぞリタ、この惑星での戦場は続いているんだ、一瞬たりとも気を抜くな」青龍は辺りを見回す、既に周りを闇の波動を放つ者達が取り囲んでいた。
闇の波動を放つ者達がリタと青龍に遅いかかった時だった。
背後から白い炎が

「良かった、無事だった様だな」
白龍はリタと青龍を見る

「白龍」

「青龍、無事で良かった」

「龍神様はこの宇宙から消えて無くなった、もう存在していないのだ。これから我々の出来る事をやるとしよう」
白龍は真っ直ぐ、しっかりと、二人の瞳を見つめていた。

その頃タケル達は
「ありがとうマナさん、さっきから傷治して貰ってばっかで助かってるぜ」

「大丈夫、その為に学んだ技術だから」

「マナさん、龍神は死んだんっすか?」

「この宇宙には既に存在しなくなったのは確か、闇の主は再び眠りについたわ」

「龍神はこの事を言っていたんだ」
タケルが龍神との最後の会話を思い出す。
そして、その直後だった。
タケルの目つきが変わる

「マナさん、俺達の傷はもう大丈夫っす、すぐに他の人達を助けてやって下さい」

この時、マナの額から汗が流れ落ちる。
マナも気付いていた、これからすぐここに現れるであろう、恐ろしい程の霊力を放つ存在に。
「私も手伝うわ」

「駄目だマナさん、分かってるはずだ、ここに居たらどうなるかは。今出来る唯一の策は」
タケルはこの間も、その霊力が向かってくる方向から一切目を逸らさなかった。

「分かったわ、タケル君」必ず助けを呼んでくる

必ず、だから、なんとか持ち堪えて二人共
マナは全力で走り出した。

「しっかし、神井。笑っちまうよな、なんだよこの展開は、俺達は相当ついてない星の下に生まれたのか」

「逃げるなら、今だぜ」

「笑わせるな、さっきも言っただろ、このレベルからは逃げる事すら不可能だと」

「それに俺が逃げるだと、笑わせるな」

「ははっ、お前のそのプライドと、考え方はやっぱヤバイぜ、だが正直、頼もしくもある」

タケルは分かっていた、最初から気付いていた、誰かはこいつと残って戦わなければ、一人の人間すら逃げる事は不可能だった事を。そして、その役は最初から自分がやると決めていた。

タケルと神井の目の前に立つのは、主を失って怒り狂っていたエバーフーミーだった。



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