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〜 修行 〜
しおりを挟む北條の修行が始まってから一週間が経過していた
今のところペドスドラコの惑星で大きな変化は起こっていない
強いて言うのなら、大きく変わったのはこの三人かも知れない。
タケル、神井、光堂。
タケル、神井の修行開始の初日の夜だった
二人の修行を終えた北條の前に立っていたのは光堂
「北條さん、もし良かったら自分も鍛えてもらえませんか?この先このままだと自分も力不足」
「分かりました、そう言ってくると思ってましたから既に修行内容は考えてありました。さぁ始めましょう」
こうして三人の修行は開始されたのだ
同時刻、それはボゴドフという惑星での出来事
身長210センチ、体重50キロ、茶色肌のヒューマノイド型(人型)地球で言う、えんどう豆の様な形の顔にある瞳は縦に5つ並んでいる
真っ黒の漆黒を連想させる様なコートを羽織り、その存在は目の前の大地を瞬きせずジッと見つめていた
そいつはルシ・サタンの幹部の一人
「エバーフーミー様、ペドスドラコに送った部下達から一切連絡が途絶えてしまいました」
「ああ、分かっている。奴らは私に忠実な者達、そんな奴らが誰一人あれから連絡をしてこない、考えられる事としては全滅」
「なんと、我々に刃向かうものなどがこの宇宙に?」
「ふふふ笑わせる、広大な宇宙、なかには異端者もいるだろう。ペドスドラコの霊気を、私はずっと探り観察していたから正体も分かる」
「なんと、何処の誰の仕業か分かっているのですか?」
「ああ、あの霊気、前に会った事があるから知っている」
「何処の誰なんですか?」
「あれは間違いない、何処までも一匹狼でこの宇宙を生き続けてる糞野郎、ラルフォート・ナザレ」
「ほぉ、そんな大物が我々の仲間をやったと。では少々懲らしめねばなりませんな」
「はやまるな、この私がペドスドラコに行くのだぞ。どの存在も生き残るのは不可能だろう」
おおっ、なんたる確信に満ちたお言葉、エバーフーミー様
部下達は歓喜の涙を流し頭を下げている、中には土下座をして涙をするものまで
「そんな事より、気になるのはパタリロの単細胞野郎もペドスドラコに来ると言う事」
「ああサタン様の偉大なる大幹部が二人も一つの惑星に集まる任務など前代未聞で御座いますな」
「まぁ良い。じきに出発する、時間をかけて宇宙の旅を楽しむとしよう」
「はっエバーフーミー様」
ペドスドラコの大地に倒れ込む二人の姿、それはタケル、神井
「君達はエネルギー的に確かに覚醒しました、だが、まだまだ雛鳥が卵から孵化したばかりに過ぎない、正直に言いましょう。君達は弱い」
二人は北條に先程言われていた
「二人がかりで全力でかかってきなさい」
「北條さん、俺達は強くなったんだぜ。流石に全力で二人でかかったら北條さんも怪我しちまうと思うが」タケルがほくそ笑む
二人が地面に倒れ込んだのは、その僅か三分後の出来事だった
北條は思っていた、確かに二人は見違える程強くなっている
だが、全力で今の霊力で戦い続ける持続力がない
もって最初の一分、その後はどんどんペースダウンする
二人の修行を見ていた光堂も二人の弱点に気付いていた
二人のエネルギーは覚醒したばかり、まだ使いこなせてはいない
しかし恐るべきは覚者の北條さん
覚者とは覚醒者、それはただ単に、エネルギーが覚醒した者を指すわけではない、意識まで覚醒している者の事を言う
タケルや神井はただエネルギーが覚醒し始めただけに過ぎない
意識まで覚醒した存在、それはエネルギーの覚醒も比ではない、ここまでの域に二人が到達するのは今世では不可能かも知れない……
つまり北條さん以上の力を得るのは正直難しい
光堂の頭にこんな考えが一瞬よぎる
本当に闇の主を止めるそんな事が可能なのか……
俺は何を考えてる、可能かではない、やらなきゃならないんだ
光堂はしっかりと目の前を向き直す
北條が言う
「君達は基本の呼吸が出来ていません、ここから呼吸の修行に入ります」
「北條さん、時間がないんだ、今はそんな基本なんてやってる暇はないんだ」タケルが声を上げた
「タケル君、基本は基礎であり、それが全ての土台になります、それを疎かにすれば、いつまで立っても足元はぐらついているのです」
「呼吸を意識する事は、今この瞬間に鎮座する様になる入り口です、全てのエネルギーは今ここに在り、そのフィールドから行動を起こす者と、今に居ない意識状態で行動を起こす者とのエネルギーには天と地程の差が出ます」
「更に言うと、君達は呼吸をする時に吸っているのは空気だけ、だからエネルギーが循環しないのです」
「良いですか、この世の全てはエネルギー、全ての物は振動していて独自の固有振動数から形づくられています、見えない空気にも生命エネルギーが実は充満しています、今から呼吸をする時に無限と呼ばれるその生命エネルギーを吸い、取り込む練習をしましょう、早速開始します」
それから更に一週間がたつ
その間、ペドスドラコで際立った大きな動きは無かった、しかし龍神が出現すると宣言した時は刻一刻と迫って来ている
その時、宇宙全体の流れは大きく変わるのは間違い無い
リタは自分の飼い龍である青龍と話していた
「あれからペダと黒龍も襲って来ないな」
「ああ、それに他の者達もあまり騒ぎを起こしていない、嵐の前の静けさってところか」
「本当に龍神は来るんだろうか」
「間違いない、あのお方は我にはっきりとテレパシーでそう伝えて来た」
「どう言う意図があるんだろうか?何故この時期に突然出現する時を報せてまで現れるんだろう」
「分からない、ただ何か大きな事が起こる、それは間違いないだろう」
「なんだか、心落ち着かないソワソワする時だな」
北條は修行をつけつつもペドスドラコの惑星の霊気を常に探っていた、何か大きな動きがないかと
光堂は自身の隊長であるホルロとテレパシーでコンタクトをとっている
「ホルロ、地球の周りの霊気に異常はないか?情報を得たんだが、近い未来地球が襲われるかも知れない」
「僕等もそう読んで行動していた、その情報元は信頼出来るのかい?」
「ああ、起こる確率は高い」
「そうか、この慌ただしい時期を狙っての狙いか」
「引き続き警戒を頼む」
「分かった、ペドスドラコで大きな動きはないか?」
「ああ、サタンの手下が現れたくらいだ」
「サタンの手下だって!やっぱりそっちも緊迫した状況と言う事か」
「引き続き、こっちの状況をまた連絡する」
「分かった、そっちも気をつけろよ」
「ああ」
日は流れ、龍神の出現まで一週間となった
「凄いウキ、二人共見違える様に霊力が上がってるウキ」
「ええ、凄い才能」それに、この短期間であそこまで二人を変化させた北條さん、やっぱり只者じゃあない、マナは思う。
「ふぅ~すげぇ、霊力をこれだけ長い間、身にまとっても疲れないぜ」
「タケル君、呼吸法をマスターしてきた様だね、全てに遍在する宇宙エネルギーをしっかりと呼吸により取り込めている」
「さて、私はそろそろ地球に戻らないといけない様だ」
「ありがとう北條さん」
神井は確信していた
確実に俺は強くなった、これ程霊力が取り込めれば長い時間全力で戦える、俺は更にこれから強くなれるだろう
「では、みなさんこちらの状況も尋常ではありません、充分気をつけて下さい」
この時北條は誰よりも速く気付いていた、この星にたった今霊気を消して侵入した強大な存在に
そう、そいつの名はパタリロ、サタンの配下の大幹部
北條は皆の前から姿を消す
「おお、これが龍と共存する星、良い、良いよぉパタリロ パタリロ~」パタリロは歓喜の声を上げ笑っていた
「全て殺してやる」
次の瞬間パタリロの気分は害された、何故なら自身の目の前に一人の男が立っていたからだ
「ナンダオマエ」
パタリロの前に立つのは北條であった
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴオォ~~
~ アンブラインドワールド ~
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