アンブラインドワールド

だかずお

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〜 ルシ・サタンの配下 〜

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この宇宙で絶対に、絶対にしてはならない事がある
それは全宇宙で決められた法や規則など、守らなければならないものを守る事ではない。
にも関わらず、宇宙に住む多くの存在達は、自らそれを率先して破ろうとする事はしない、それはルールとして存在してる訳でもないのに、絶対の法の様なものになっている

それは、この広大な宇宙に存在する四者の存在、闇の王にだけは絶対に逆らう事はしないと言う事
闇の王の手の者が、もし無理難題を申そうとしても、それは絶対に逆らってはいけない、それは死よりも恐ろしい事態に発展する
出されたら最後、その要件だけは何を置いても絶対に飲まなければいけない
そう逆らう事は自らと、自らに関わる者達の死を意味していた

いくら宇宙連合がこの宇宙の秩序を守っているとしても、さしもの彼等ですら、一つ返事で闇の王達と対峙する事は出来ない
それは宇宙を巻き込んだ大きな戦争に発展する事になるからだ
それほどその四者の存在達の力は絶大だったのだ

宇宙はそれでも永らくの間、光と闇のバランスを保って来ていた
宇宙連合の存在は彼等の抑止力となり、永きに渡りこの宇宙は表面上であったとしても、平和に過ごす事は可能であったのだ。

ここ何万年、闇の王達も表ざった大きな事件を起こす事は無かった
ましてや今回みたいに隠す事もなく、堂々と龍神を抹殺、他の星の侵略行為を行う様な事は無かった……
全てのバランスは崩れ始めたのだ、闇の主と言う存在の目醒めと共に

タケルと神井の目の前でうごめく巨大な霊力

ふ~っ、一瞬でも油断したら確実に殺される
落ち着け、落ち着け、呼吸を整えるんだ
目の前に立つ相手は確実に自分より強い相手
タケルは乱れそうになる自分の精神を必死に制御しようとしていた
死は自身のすぐ背後にあった

ゴオオオオオオーー

「貴様等、サタン様に楯突くと言う事がどう言う事か良く分かってないらしいな、お前たち、敵の六人の中で俺が一番弱いからって甘くみてないか?」
相手の手のひらに緑色の針の様な細く尖った霊気が五本程浮かぶ

ちっ、冗談じゃねえ、油断なんか出来ねえよ、この霊力感じちまったらな、タケルはゆっくり後退りしようとする自分の姿勢に気付く

「簡単には殺さないよ、いたぶるだけいたぶり、ありとあらゆる残虐な行為のあと、ようやくお前達は肉体を脱ぐのだが、霊体になったお前達を転生して逃がす様な事もしないつもりだ、我が主サタン様ならなんでも出来るのだ」ニヤリ

こいつ俺達の霊体まで逃がすつもりは無いのか……

「簡単にこの次元からドロップアウトさせ、終わりにするなど、我々サタン様の配下の者はそう甘くはない、魂を奴隷とさせてもらう」

ちっ、こいつら俺たちを殺すだけじゃねぇ、魂を解放させるつもりすら鼻っからねぇんだ
地獄だな……タケルは拳を力強く握りしめた
もう…決めたはずだ
この道に踏み出した時から、大事なものを守るって
こいつらがのさばる宇宙、今まで一体どれ程の魂が地獄を見させられた?
こんな奴等がもし宇宙で出会った仲間達、地球の俺の家族や友達を
ギリッ
負けられねぇ、負けてはならない
もし、俺が諦めたら、何も守れねぇ

「うおおおおおおおおおおおっ」

「おやっ、何かするつもりか?地獄に向かう前に貴様等を地獄に落とした者の名前くらい覚えておけ、俺の名前はルシぺぺ」

ルシぺぺ、そいつはコウモリの姿、緑色の人型の宇宙存在
サタンの軍団にはサタンの信頼する五人の絶対的な存在である力強い幹部がいる。
その幹部が直々にこの星の任務を遂行する為に選んだ屈強な戦士。
ルシぺぺの力は、サタンの配下の者の位置付けとしては、幹部を除き、上、中、下の力の配置があり、中の力の持ち主となる。

俺だって、この期間ずっと修行してたんだ、甘く見るなよ
「うおおおおおおおおおおおっ」

グザッ
「うぎゃああああああああああああああああああっ」
タケルは次の瞬間、大きな声をあげ叫んでいた

肩に刺さっているのは緑色の針の様な二本の鋭い霊気

「痛いだろそれ、眼球潰されるより痛いんだよそれ、恨め、恨め、この俺を、恨め、恨め、弱き自分を」

神井は微動だにせず、先程から一歩も動いていない

「おや、もう一匹の猿は、怖くて動く事も出来なくなっちゃったかな?」

次の瞬間だった
「笑わせるなコウモリ野郎、貴様を真っ二つにするのに力をためてたんだよ」
神井の鋭く尖った霊力がルシぺぺの首元に向かう

「あのなぁ、貴様ごときの霊力が俺の肉体を傷付ける事など出来るわけが」
首元に向かってくる霊力をルシぺぺは止める事すらするつもりは無かった
そう、その霊力をきちんと直視するまでは

キイインッ
ルシぺぺの緑色の針が神井の霊力を止めた
こいつ、驚いた
止めなきゃ、首は斬り落とされていた、俺の首を本当に真っ二つする程の力を持っていた様だな

「なるほど、仲間とは違い、ただの雑魚じゃない様だ」
ルシぺぺは背後に気配を感じる

「うおおおおおおおおおおおっ、くらえ」
タケルの右手が光輝く

先程のガキか?

「てめぇ、俺の能力で浄化してやるよ、くらえ」
右手に光が宿る

こいつ、光の霊力を操る者か

「くらえ、ライト ナックル」

ズガアアアアアアアンッ
無数に繰り広げられるタケルの右手による連打

「どうだ、くそ野郎」

ヒュウオオオオオッ

「悪くない」

「嘘だろ、一発も当たってねぇ」

「恐ろしいガキ共だ、今の一撃でも当てられたら俺の魂は浄化され、この次元からは強制ドロップアウト、つまり肉体は死んでいた。
さらに忌々しい事に貴様の浄化と言う能力のせいで、俺の魂は光の道に転生させられ、流されていく、あっはっはっはっは、お前等気に入ったぜ」

「?」

「もし、サタン様の配下になるなら命は助けてやろう、そして今回の我々に刃向かったと言う行為を多めにみてやろう」

「どうだ?地獄より生還出来るチャンスだぞ」

「笑わせんなよ、俺はてめぇらのやり方が気に食わねぇ、お前立ちの配下なんて、願い下げだよ」タケルの右手が再び光りだす

「なるほど、もう一人のお前はどうだ?お前の性質は闇の波動、我々に近いではないか」

「コウモリ野郎、覚えておけ、俺は誰の配下にもなりはしねえんだよ」

神井の左腕が黒紫色の波動を纏う

「おいっ、神井ここは共闘だ、こいつはあの時、俺達が戦った万全じゃ無かった状態のクラーケンより強い」

「ほぉ、あのクラーケンと戦った?クラーケンは俺よりかは強い筈だが?」ルシぺぺの両手に五本ずつの緑色の針の霊気が浮かぶ

「知った事か、貴様との共闘など俺には必要ない」飛び出す神井

「馬鹿野郎」

「あっはっはっはっは、せっかく、地獄から抜けれる道を提示してやったってのに、自ら地獄に舞い戻るとはな」

緑色の針が二人に向かい出す

「さあ、ショータイム」

タケルと神井の横で戦うラルフォートは五対一で戦っている

「お前、馬鹿なのか?我々五人を一人で相手するって、我々一人一人が幹部には及ばないが次の上のクラスに属す実力を持つ」

ズガアアアアアアアンッ

相手の拳をラルフォートは両腕でガードするも
同時に四人は背後から攻撃を開始する

「ラルフォート君、貴様は何故この星に来た?どんな目的がある?」

「言えよ、楯突いた時点で生かすつもりは無いがな」

ズガアアアアアアアンッ

地面に倒れ込むラルフォートはピクリとも動かなくなる

「おやおや、もう死んじまったのか?」

同時刻

リタを尾行していた光堂は、何かがリタを襲おうとしている殺気に気付く

それはペダの口から吐き出されたスペーサードラゴンのグワイ

光堂は上空を見上げる

あいつか、リタを殺そうとしている奴は
スペーサードラゴンの背後の方に立つ気配
あいつを今捕えておきたいが、近づいてくるあのドラゴンを先になんとかしなきゃな

「おいっ、リタ」光堂が叫ぶ

「光堂」探していた光堂の姿を発見し、驚くリタ
「こないだの事、謝りたくて」

「今はそれどころじゃない上空を見ろ」

「え?」

グワイは大きく口を開き、何かを吐き出そうとしている

「リタ、俺はドラゴンに詳しくない、あいつは何をしようとしている?」

「あれはスペーサードラゴン、火だ、あの種族は口から炎を吐く」

「くそっ」

ズギャアアアアアアアアアアンッ
辺り一帯が炎に包まれる

「信じられない、スペーサードラゴンは本来大人しい性質、何故人に向かって炎なんか吐くんだ」

「リタ、あの龍はどうやら、操られてるか、なんかしらされてるみたいだ、こないだの子龍の様に」

「一体何故、誰がこんな事を?」

光堂は再び上空を見つめ、そこに立つ男を見上げる
あいつを今逃がす訳にはいかないな

再び口を開くグワイ

くそっ、こいつをなんとかしなければ
光堂の手のひらに霊球(霊力の球)が浮かびあがる

「待ってくれ光堂、このスペーサードラゴンは僕に任せてくれ」

光堂はリタの表情を見た
「分かった、任せる」
そして街中の人々に向かって叫ぶ

「この場は危険だ、あの道を通って真っ直ぐ逃げろ」

「誰かぁ助けて家の子がーー」

光堂は霊球を飛ばし柱を破壊する
「大丈夫か?」

「ありがとうございます」

「リタ、俺は追う奴がいる、ここは任せて良いか」

「ああ、任せてくれ」

バッ
光堂は上空に高く飛び上がる

「おい、ペダ、何者かが俺達の方に向かってやって来るぞ」

「なんだあいつは?」

「どうする」

「黒龍、あいつをまずは手始めに殺すとしようか、いや待て、面倒事は避けるに越した事はないか」

ギロリ
「流れに身を任せるとしよう」

ザッ
ペダと黒龍の前に立ったのは光堂

「お前達、街中に火を放たせるとはどう言うことだ?」

「おやおや、我々がやった証拠でも?あのドラゴンは何処からか勝手にやって来て、我々のものではない」

「フラッグペダで間違いはないな?」

「おやおや、何故自分の名前を?」

光堂はある物を投げた
「そいつは子龍の額に埋め込まれた爆弾、こいつを調べさせて貰って、先程持ち主のお前の名前まで割り出せた」

「貴様、何者だ?」

「連合の一員、コードネーム コードー」

「連合だと…しかし、この爆弾とあのスペーサードラゴンとなんの関係があると言うのかな?確かにこの爆弾は自分が購入したものだが、それがどうしたと?」

光堂はペダを見る

「何故リタを殺そうとしている?」

ああ

こいつは勘付いている

「黒龍、こいつを殺すとしよう」

「ああ、簡単な事だ」

ゴゴゴゴゴゴオオオオオオオーーーッ

大きく不気味な黒い龍が動き始めた




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