30 / 85
〜新たなる驚異〜
しおりを挟むヒョオオオオオーー
光堂の足元には、地球でナマケモノと呼ばれる動物の顔に非常に良く似た宇宙人の死体が無数に転がっている。
光堂の見つめる先には真っ黒な塔が見えていた。
その塔はどうにも不思議な形をしており、丁度カタカナで言う所のトの字の形を無数に高く積み上げた形をして建っている。
色は灰色、窓などは一つもなく全体的に丸みを帯びた、まるで芸術作品で見る様なオブジェにも見えるなんとも奇妙な形の建物だった。
「あそこが、この危険区域の中心だな」
その時だった背後から声が。
筋肉質のヒューマノイド(人間の姿)、手には大きなナイフを握っている
「お前余所者だな、良くここに入ってきたな。俺は優しいからな帰してやろう、ただし」
「お前の首を置いていけ、ハヒャヒャヒャヒャー」
「おい、お前。俺は、ある男の情報を求めてやって来た、この星を昔牛耳ってたあいつの事を教えろ、名前は」
「やっ、やめろっ、お前、頭可笑しいのか、あの人の名前をここで呼ぶ事は決して許されない事はわかってるだろ」
「お前たちはまだ奴の支配下らしいな」
「てめぇ、まさかあの方の情報をここに求めに来たのか」
「ああそうだ」
「イカれてるぜ、わかったよ、お前はどうにもイッてるらしいな、あの方は全てお見通しだ、ここで自分の名前が発せられようものなら、すぐに配下の者がここにやってくる、それだけは勘弁してくれ」
「おいお前、ここで一番偉い奴を連れてこい、そいつから奴の情報を聞き出す」
「貴様正気か?あの方は、この宇宙でも絶対に逆らう事は許されない存在なのだぞ、それだけは、この宇宙で生き延びるなら絶対に守らなきゃならないルールなのは承知の筈だろう」
「速くしろ、名を呼ぶぞ」
「貴様、この星にあの方を呼ぶ事だけはやめてくれ、てめぇ一体何者なんだよ」
「なら一番偉い奴をはやくここに連れてこい、さもなくば奴の名をここで発する以外にない」
「まっ、待て分かったよ、ちょっと待て」
光堂は思う、さすがに奴をこの星に呼ぶのは不味すぎるな、奴の配下ですらこられては困る。
しかし、まさかな……光堂は真っ暗な空を見上げた。
ガシャン
その時だった。
光堂の周りを六人のグレイタイプの宇宙人が取り囲んでいた。
手には光線銃を持っている
「動くな、動けば殺す」
「聞こうか、貴様は誰だ?」
「宇宙連合のメンバー、名前をコードーと言う」
「コード、コードーだと知ってるぞ、こいつは連合で数多くの惑星を救った地球出身の奴だ」
「殺せ」
ガガガガガガガガガガガガガーッ
光堂は全ての光線を霊力で弾き、グレイ達に反射させ当て、気絶させた。
「自分から向かうしかないか、あの塔の中に俺の知りたい事を知ってる奴がいそうだな」
その頃
「おい待てよ」道来と神井の後をつける一人の少女
その姿はクリスタルスカルを創った一人の存在、バルベインの姿だった。
「なぁ、ちょっと暇だし付き合ってやるよ」
「どう言う風の吹き回しだかな、好きにしろ」道来が興味無さそうに言った。
「やる気な、お前、本当に隊長かよ、任務じゃないのかよ…まぁ良いけどさ、あんちゃんあんたも連合のメンバーなのか?」
バルベインは神井を見つめる。
「ガキが俺に話しかけるな」
「見た目はガキだが、あたしゃあんたの何万倍も生きてんだよ」
バルベインは神井の独特なオーラに気付いていた。
こいつのオーラどこかで感じた事がある様な、誰だっけ………
「とりあえず、私達の任務は完了と言う事だな、宇宙船で待機するとしよう」
「笑わせるな、俺はこの星で自分の力を試すんだよ、雑魚共と闘ってな」
「好きにしろ」道来は立ち止まらず、神井を置いて、そそくさと歩いて行く。
「おいっ、良いのかよ。あいつ」
「言っても聞かないだろう、放っておけ」
隊長ってやっぱ変わった奴多いわ、バルベインが思った。
神井は一人、その場に座り、目を瞑り、この星の霊気を探る。
「なるほど、あそこに強いのが居るな」神井の視線の先は光堂の向かった不気味な塔
一方タケルと太一の所では。
「あ~、あの財布に入ってたのは俺の小遣いだったのに、腹立つなぁ~」
「ここでは騙される者が悪いのさ、命があるんだ、それだけでも有り難いと思え」
「にしても、本当に信じられないぜ、あの女狐を本当に人間が倒したなんて、その人化物並みに強いっすね」タケルが、こないだ対峙した女狐を思い出し、口にする
「ああ、真の兄貴は強いなんてもんじゃねえ、本当に凄まじかった、後に思えば、本人の無自覚で、霊力を使っていたのかも知れない」
タケルはもう少し真堂丸と言う人間について聞きたかったが、こないだ太一が、かなり怒り出したのを思い出し質問を躊躇した。
「だが女狐は、今の様には、昔は霊力は使えなかったと思う、でも考えると、あの頃から火を自由自在に操ったと聞く、霊力とは知らぬうちに能力は開花されていたのかも知れない、今思うと、あの当時に感じた沢山の謎の辻褄が合う事がいくつか浮かぶんだ」
「尋常ならぬ強さを持った者達の…」
タケルは勇気を振り絞り聞く事にした、その真堂丸と言う人間は今何処に?
それに文太の兄貴と言う存在も気になっていた。
「あの、太一さん」
その時だった。
「まずいことになったぞ、タケル」太一が呟いた。
「え?」
一刻ほど時は戻る
光堂は塔の中に居た。
「聞いたぞ、貴様は連合のコードー、中々の有名人じゃないか」
「レプティリアン(人型爬虫類)か」光堂が言った。
「我々に何か用かな、それにしても、連合がこの星にのこのことやって来るとは」
「だが一つ君に提案がある、どうだ我々と組まないか?」
「なんだと?」
「君の知りたいのはあいつの事だろ」
「ああ」
「退治したいのか?」
「さあな」
「我々は奴を消滅させたい」
「おっ、おいっ、それはまだ時期尚早、そんな事を言ったら」仲間のレプティリアンが止める。
「随分強気じゃないか、この星は奴のものだろ」
「いや、この星は今は我々が占拠している、あいつはもうこの星とは関係ない」
「おっ、おいっ、正気か、やめろ、俺たちにそんな覚悟は出来てない」仲間のレプティリアンが動揺する。
「良いんだよ、これから闇の主がお目覚めになる、そうすればあいつはもう敗者も同然だ」
「馬鹿待て、落ち着け、まだあの方に楯突くのは、はやすぎる」
「どうだコードー君、我々は闇の主につく、そこは連合とは折り合わないだろう、ただあの憎き伯爵を始末するのは手伝おうではないか」
「連合がこの星に来てるということは、我々を守ってくれるのだろう、さあ今こそ奴を」
光堂がため息をつく
まじで名前出しやがった
「ふぅ~」
こりゃかなり厄介な事になりやがるな。
「連合が味方になるのなら、この名を口にしても、守ってくれるのだろう、お前達も闇の主、復活の今こそ奴を叩こうと、そうなんだろ」
「お前はミスをした、俺がここに来たのは連合の任務ではない、個人的な理由からだ、それに連合は奴を…」
「なんだとおおおおおおおおおおっ」
「つまり連合は関係ない」
「ちきしょおおっ、名前を口にしちまったじゃねえかあああっ、俺達はおしまいじゃねえかよぉおぉっ」
「馬鹿野郎、てめぇどうすんだ!!!」
仲間達がパニックになる
その時だった、その場に居る全員が、何者かの視線を感じる、とてつもなく不気味で全身に悪寒の走る程の冷酷な視線、それはまるで、魂までも無気力に枯れさせ、心の中まで余す事なく見渡し監視されている感覚。
そう、全てはあいつの手の中
血のように真っ赤な、赤い瞳は確かに全てを見ていた。
辺りに声が響き渡る。
「伯爵様に無礼な発言を放ったな」
ゾクッ、震え上がるレプティリアン達。
「伯爵様が闇の主に敗北するだと、まあ良い、今すぐにこの私が伯爵様の変わりに貴様らの星を滅ぼしにいく」
「なっ、なんだと」
その瞬間、バイザラの惑星に真っ赤な巨大な円盤が現れた。
「まっ、まじか、まさかあれだけで本当にこの星を滅ぼしに来やがった」レプティリアン達は物凄い勢いでこの星から逃げようとしていた。
それと同時に光堂がその場に居るリーダー格のレプティリアンを捕まえ、何かを問いただす。
「俺の質問に答えろ」
「ああ、こうなりゃ俺たちはもうお終いだ、知ってる事なら話してやる」
ゴゴゴゴゴゴゴゴオオーー
「なんだって?」
その頃、船内に待機するペレーとジョーも異変に気付く
「ぎゃああ~っ、なにウキかぁ~あの真っ赤な円盤~」
「あの赤い円盤はまさか!!どうやらまずいことになったな、すぐにみんなを集めてこの星から逃げないと」
「みんなはホールゲートを持ってるか?」
ホールゲートとは、場所の磁場を記録すると、その場所にワープして移動出来るアイテム。
「誰もホールゲートで、この船内の磁場なんて記録して無かったウキ、それに考えても見るウキよ、あの光堂がそんな機械持って歩く訳ないウキ~(面倒くさがり)、それに何より、あの時代錯誤の侍、道来隊長がホールゲートなんて使う訳ないウキ~、あの人が持ってるのはせいぜい刀くらいウキ~」
「たっ、確かに」妙に納得するジョー。
「こりゃ俺がみんなの居場所を感知して、この船でみんなのもとに行く方がはやいな」
「行くぞペレー、自動操縦に切り替えろ」
「了解ウキ~~~」
赤い円盤から黒い光が放たれ、そこから一人の存在が降りてきた。
それを遠くから見ていたタケルと太一。
「なんなんだよ、あいつ」
「タケル、今はあいつらとは絶対に関わるな、殺される。どうやら奴らの狙いは俺たちって訳では無さそうだ、ここは一旦船に戻るぞ」
「はっ、はい」タケルは振り返り思う、あいつ恐ろしいくらい強い、全身が震えていた。
道来とバルベインもこの異変に気付いていた。
「まじかよ、あの赤い円盤、本物のあいつの配下じゃん、こりゃかなりやばいな、でどうすんだい道来」
「状況を見る」
「ひょえ~怖くないんだな、あんたも相当ヤバイな」
赤い円盤から降りた者、そいつは人間の姿なのだが、死んだ人間の様に血の通わず、とにかく真っ白い肌、そして異様なのは、鋭い牙に真っ赤な瞳。
「ああ、伯爵様に私の血を吸わせてあげたい、憎き闇の主、宇宙の王は伯爵様一人で充分、それにしても相変わらず汚い星だ、今日でこの星は滅亡だな」
ニタアアアアアアアアアアッ
~ アンブラインドワールド ~
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる