アンブラインドワールド

だかずお

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〜新たなる驚異〜

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ヒョオオオオオーー

光堂の足元には、地球でナマケモノと呼ばれる動物の顔に非常に良く似た宇宙人の死体が無数に転がっている。

光堂の見つめる先には真っ黒な塔が見えていた。
その塔はどうにも不思議な形をしており、丁度カタカナで言う所のトの字の形を無数に高く積み上げた形をして建っている。
色は灰色、窓などは一つもなく全体的に丸みを帯びた、まるで芸術作品で見る様なオブジェにも見えるなんとも奇妙な形の建物だった。

「あそこが、この危険区域の中心だな」

その時だった背後から声が。
筋肉質のヒューマノイド(人間の姿)、手には大きなナイフを握っている
「お前余所者だな、良くここに入ってきたな。俺は優しいからな帰してやろう、ただし」

「お前の首を置いていけ、ハヒャヒャヒャヒャー」

「おい、お前。俺は、ある男の情報を求めてやって来た、この星を昔牛耳ってたあいつの事を教えろ、名前は」

「やっ、やめろっ、お前、頭可笑しいのか、あの人の名前をここで呼ぶ事は決して許されない事はわかってるだろ」

「お前たちはまだ奴の支配下らしいな」

「てめぇ、まさかあの方の情報をここに求めに来たのか」

「ああそうだ」

「イカれてるぜ、わかったよ、お前はどうにもイッてるらしいな、あの方は全てお見通しだ、ここで自分の名前が発せられようものなら、すぐに配下の者がここにやってくる、それだけは勘弁してくれ」

「おいお前、ここで一番偉い奴を連れてこい、そいつから奴の情報を聞き出す」

「貴様正気か?あの方は、この宇宙でも絶対に逆らう事は許されない存在なのだぞ、それだけは、この宇宙で生き延びるなら絶対に守らなきゃならないルールなのは承知の筈だろう」

「速くしろ、名を呼ぶぞ」

「貴様、この星にあの方を呼ぶ事だけはやめてくれ、てめぇ一体何者なんだよ」

「なら一番偉い奴をはやくここに連れてこい、さもなくば奴の名をここで発する以外にない」

「まっ、待て分かったよ、ちょっと待て」

光堂は思う、さすがに奴をこの星に呼ぶのは不味すぎるな、奴の配下ですらこられては困る。

しかし、まさかな……光堂は真っ暗な空を見上げた。

ガシャン 

その時だった。
光堂の周りを六人のグレイタイプの宇宙人が取り囲んでいた。
手には光線銃を持っている

「動くな、動けば殺す」

「聞こうか、貴様は誰だ?」

「宇宙連合のメンバー、名前をコードーと言う」

「コード、コードーだと知ってるぞ、こいつは連合で数多くの惑星を救った地球出身の奴だ」

「殺せ」
ガガガガガガガガガガガガガーッ
光堂は全ての光線を霊力で弾き、グレイ達に反射させ当て、気絶させた。

「自分から向かうしかないか、あの塔の中に俺の知りたい事を知ってる奴がいそうだな」

その頃
「おい待てよ」道来と神井の後をつける一人の少女
その姿はクリスタルスカルを創った一人の存在、バルベインの姿だった。

「なぁ、ちょっと暇だし付き合ってやるよ」

「どう言う風の吹き回しだかな、好きにしろ」道来が興味無さそうに言った。

「やる気な、お前、本当に隊長かよ、任務じゃないのかよ…まぁ良いけどさ、あんちゃんあんたも連合のメンバーなのか?」
バルベインは神井を見つめる。

「ガキが俺に話しかけるな」

「見た目はガキだが、あたしゃあんたの何万倍も生きてんだよ」
バルベインは神井の独特なオーラに気付いていた。
こいつのオーラどこかで感じた事がある様な、誰だっけ………

「とりあえず、私達の任務は完了と言う事だな、宇宙船で待機するとしよう」

「笑わせるな、俺はこの星で自分の力を試すんだよ、雑魚共と闘ってな」

「好きにしろ」道来は立ち止まらず、神井を置いて、そそくさと歩いて行く。

「おいっ、良いのかよ。あいつ」

「言っても聞かないだろう、放っておけ」

隊長ってやっぱ変わった奴多いわ、バルベインが思った。

神井は一人、その場に座り、目を瞑り、この星の霊気を探る。
「なるほど、あそこに強いのが居るな」神井の視線の先は光堂の向かった不気味な塔

一方タケルと太一の所では。
「あ~、あの財布に入ってたのは俺の小遣いだったのに、腹立つなぁ~」

「ここでは騙される者が悪いのさ、命があるんだ、それだけでも有り難いと思え」

「にしても、本当に信じられないぜ、あの女狐を本当に人間が倒したなんて、その人化物並みに強いっすね」タケルが、こないだ対峙した女狐を思い出し、口にする

「ああ、真の兄貴は強いなんてもんじゃねえ、本当に凄まじかった、後に思えば、本人の無自覚で、霊力を使っていたのかも知れない」

タケルはもう少し真堂丸と言う人間について聞きたかったが、こないだ太一が、かなり怒り出したのを思い出し質問を躊躇した。

「だが女狐は、今の様には、昔は霊力は使えなかったと思う、でも考えると、あの頃から火を自由自在に操ったと聞く、霊力とは知らぬうちに能力は開花されていたのかも知れない、今思うと、あの当時に感じた沢山の謎の辻褄が合う事がいくつか浮かぶんだ」

「尋常ならぬ強さを持った者達の…」

タケルは勇気を振り絞り聞く事にした、その真堂丸と言う人間は今何処に?
それに文太の兄貴と言う存在も気になっていた。

「あの、太一さん」

その時だった。

「まずいことになったぞ、タケル」太一が呟いた。

「え?」

 一刻ほど時は戻る  

光堂は塔の中に居た。

「聞いたぞ、貴様は連合のコードー、中々の有名人じゃないか」

「レプティリアン(人型爬虫類)か」光堂が言った。

「我々に何か用かな、それにしても、連合がこの星にのこのことやって来るとは」

「だが一つ君に提案がある、どうだ我々と組まないか?」

「なんだと?」

「君の知りたいのはあいつの事だろ」

「ああ」

「退治したいのか?」

「さあな」

「我々は奴を消滅させたい」

「おっ、おいっ、それはまだ時期尚早、そんな事を言ったら」仲間のレプティリアンが止める。

「随分強気じゃないか、この星は奴のものだろ」

「いや、この星は今は我々が占拠している、あいつはもうこの星とは関係ない」

「おっ、おいっ、正気か、やめろ、俺たちにそんな覚悟は出来てない」仲間のレプティリアンが動揺する。

「良いんだよ、これから闇の主がお目覚めになる、そうすればあいつはもう敗者も同然だ」

「馬鹿待て、落ち着け、まだあの方に楯突くのは、はやすぎる」

「どうだコードー君、我々は闇の主につく、そこは連合とは折り合わないだろう、ただあの憎き伯爵を始末するのは手伝おうではないか」

「連合がこの星に来てるということは、我々を守ってくれるのだろう、さあ今こそ奴を」

光堂がため息をつく
まじで名前出しやがった
「ふぅ~」
こりゃかなり厄介な事になりやがるな。

「連合が味方になるのなら、この名を口にしても、守ってくれるのだろう、お前達も闇の主、復活の今こそ奴を叩こうと、そうなんだろ」

「お前はミスをした、俺がここに来たのは連合の任務ではない、個人的な理由からだ、それに連合は奴を…」

「なんだとおおおおおおおおおおっ」

「つまり連合は関係ない」

「ちきしょおおっ、名前を口にしちまったじゃねえかあああっ、俺達はおしまいじゃねえかよぉおぉっ」

「馬鹿野郎、てめぇどうすんだ!!!」
仲間達がパニックになる

その時だった、その場に居る全員が、何者かの視線を感じる、とてつもなく不気味で全身に悪寒の走る程の冷酷な視線、それはまるで、魂までも無気力に枯れさせ、心の中まで余す事なく見渡し監視されている感覚。
そう、全てはあいつの手の中

血のように真っ赤な、赤い瞳は確かに全てを見ていた。

辺りに声が響き渡る。
「伯爵様に無礼な発言を放ったな」

ゾクッ、震え上がるレプティリアン達。

「伯爵様が闇の主に敗北するだと、まあ良い、今すぐにこの私が伯爵様の変わりに貴様らの星を滅ぼしにいく」

「なっ、なんだと」

その瞬間、バイザラの惑星に真っ赤な巨大な円盤が現れた。

「まっ、まじか、まさかあれだけで本当にこの星を滅ぼしに来やがった」レプティリアン達は物凄い勢いでこの星から逃げようとしていた。

それと同時に光堂がその場に居るリーダー格のレプティリアンを捕まえ、何かを問いただす。

「俺の質問に答えろ」

「ああ、こうなりゃ俺たちはもうお終いだ、知ってる事なら話してやる」

ゴゴゴゴゴゴゴゴオオーー

「なんだって?」

その頃、船内に待機するペレーとジョーも異変に気付く

「ぎゃああ~っ、なにウキかぁ~あの真っ赤な円盤~」

「あの赤い円盤はまさか!!どうやらまずいことになったな、すぐにみんなを集めてこの星から逃げないと」

「みんなはホールゲートを持ってるか?」
ホールゲートとは、場所の磁場を記録すると、その場所にワープして移動出来るアイテム。

「誰もホールゲートで、この船内の磁場なんて記録して無かったウキ、それに考えても見るウキよ、あの光堂がそんな機械持って歩く訳ないウキ~(面倒くさがり)、それに何より、あの時代錯誤の侍、道来隊長がホールゲートなんて使う訳ないウキ~、あの人が持ってるのはせいぜい刀くらいウキ~」

「たっ、確かに」妙に納得するジョー。

「こりゃ俺がみんなの居場所を感知して、この船でみんなのもとに行く方がはやいな」

「行くぞペレー、自動操縦に切り替えろ」

「了解ウキ~~~」

赤い円盤から黒い光が放たれ、そこから一人の存在が降りてきた。
それを遠くから見ていたタケルと太一。

「なんなんだよ、あいつ」

「タケル、今はあいつらとは絶対に関わるな、殺される。どうやら奴らの狙いは俺たちって訳では無さそうだ、ここは一旦船に戻るぞ」

「はっ、はい」タケルは振り返り思う、あいつ恐ろしいくらい強い、全身が震えていた。

道来とバルベインもこの異変に気付いていた。

「まじかよ、あの赤い円盤、本物のあいつの配下じゃん、こりゃかなりやばいな、でどうすんだい道来」

「状況を見る」

「ひょえ~怖くないんだな、あんたも相当ヤバイな」

赤い円盤から降りた者、そいつは人間の姿なのだが、死んだ人間の様に血の通わず、とにかく真っ白い肌、そして異様なのは、鋭い牙に真っ赤な瞳。

「ああ、伯爵様に私の血を吸わせてあげたい、憎き闇の主、宇宙の王は伯爵様一人で充分、それにしても相変わらず汚い星だ、今日でこの星は滅亡だな」


ニタアアアアアアアアアアッ



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