アンブラインドワールド

だかずお

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〜 新たな旅 〜

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ようやく落ち着きを取り戻したペドループ星

「そうか、お前達はこれから宇宙の旅に出るのか」道来は光堂に言った。

「そうです、この二人に他の惑星を見せたいのと、それと鍛えようと思ってます、無論自分自身もですが」光堂が答える

「ペレー、ジョー、二人はどうするんだ?」

「俺達も行くつもりです、なっペレー」

「えっ?あ~もう分かったウキ、ペレーも行くウキよ」

嬉しくて飛び跳ねるジョー、タケルも一緒に喜んでいる。

「光堂」
道来が光堂の名を突然呼ぶ。 
何かを決めた道来の表情が光堂の視界に入る

「我々も良かったら共に行きたいと思うんだがどうだ?」

喜ぶペレー
「道来隊長が来てくれたら千人力ウキ~~」

「それならもっと安心します」ジョーは再び喜ぶ。

「俺は構いませんよ」

「タケル、神井、二人はどうだ?」

「もちろん俺も良いっすよ」

「どうでもいい」素っ気ない神井、だが神井は感じ取っていた、この男かなり強い。

「決まりだな、太一」

「そうですね」

こうして奇妙な縁で繋がった七人は共に宇宙の旅に出る事が決まったのだ。

「じゃあみんな明日にでも、他の惑星に出発する事にする、今日はペドループ星最後の一日をそれぞれ楽しんでくれ」光堂が言った。

みんなが散り散りになった後、光堂は意識を集中し、ペドループ星隅々まで闇の波動の霊気を察知していた。

すると道来が肩を叩く「少し休め、私がやっておく」

「助かります道来さん」ニコリ

それぞれはペドループ星を満喫している、ペレーは小人族にバナナに似た果物を勧められ大喜び

「これはパトフと言う果物、食べてペレー」

「むひゃ~ありがとウキ~、ちょっと小さいけど旨いウキッ」

ジョーは寝転び、小人にマッサージをしてもらって苦笑い
「流石に小さすぎて効いてるんだか、効いてないんだか」

太一はさっそくパープル、ブルーと酒を飲んで打ち解けている。

「美味いだろこの酒、俺の育った国の酒、日本酒だ」
太一が酒を取り出す。

「うまい、地球留学中に良く飲んだぜ」

「ほ~日本酒を」

神井は一人修行をしている。
俺は誰よりも強くなってやる、そう強くならねばならないんだ
全員俺が超えてやる。

その頃タケルは。

目の前に広がる壮大な宇宙を眺めながらブラックと話していた。

「お前達には助けてもらった、礼を言う」

「何を改まって言ってんだよ、ダチなんだから当たり前だろ」

「ダチか本当に良い言葉だ、俺達もこれから使わせて貰うぜ」

「タケル、お前達はこれから宇宙の旅に出るんだな」

「ああ」

「宇宙は広いぞ、こんな時代だから恐ろしい奴ばかり目立つが、そんな奴らばかりじゃない、こないだまで宇宙はずっと平和だったんだ。地球の人間は知らないだろうけど、この宇宙には数多くの種族、多種多様の存在が生きてるんだ」

「ああ、ブラック達みたいな奴らが沢山いるんだな。宇宙旅行ワクワクしてるぜ」

「本当にいろんな種族が居るぞ、想像、概念を超える連中、タケルが触れた事も無い様な、様々な文明や常識を持つ世界、いろんな術や魔法、能力を使う者達、見たこともない絶景、信じられない様な生命体や精霊、宇宙は神秘と奇跡に満ちている」

タケルは瞳を輝かす「そりゃ楽しみだな」

「沢山見てこい、そして、みんなで力を合わせて闇の主の居ない、平和な宇宙を取り戻そう。もちろんそん時は、俺達も協力する、いつでも遠慮なく言ってくれ、俺達はダチだろう」

タケルはニッコリと笑い、二人は、がっしりと握手をした

「ああ」

ここから見える景色は本当に神秘的で美しく、奇麗だった、でも、小人達と築いた絆と言う架け橋も、神秘的で美しく、何よりも神々しく思えた。

翌朝、俺達は遂にペドループ星を出発する

「じゃあ~な小人達、また会おうぜぇ~~~」

星中の人達が出迎え、喜び、別れに涙していた、短い滞在だったけど、お互いが築いた絆は深く、強かった様で、自然と俺の目頭も熱くなっていた。

じゃあな小人達。

これから俺達をどんな冒険が待っているんだろうか?
恐れや不安よりも期待で胸が踊っていた。

俺達は、道来さん達が乗ってきた宇宙船に乗って、この宇宙を旅する事に決めた。
まさか自分がUFOに乗る時が来るなんて、信じられない
タケルの胸は期待と好奇心で踊っている。

乗り込む時
「あれっ扉は?」タケルがキョロキョロ辺りを見回す。
タケルがUFOの機体に近付いた時、何も無かった壁が変形し、入り口が出現した。

「すげぇ技術だなぁ」

乗り込んだ宇宙船の中は思ったよりも広かった。
周りの壁は銀色で、柔らかい何かに包まれてる様な心地良さがあった、何の材質で出来ているのかは全く分からなかった、地球上には存在しない材料なのだろうか?

「じゃーん、すげえだろ最新式だせ」太一が自慢気に笑う。

「いまだにこれに時代錯誤を感じるのは私だけだろうか」
刀を腰に、着物を着ている道来が運転席に近付こうとするのを太一が止めた。

「道来さんは絶対にイジっちゃいけねぇ、もう三機墜落させてるんだから」それを聞きゾッとする一同。

あはは洒落にならん、一同苦笑い。

「しかし最新式って言っても、運転式の機体にこだわるんですね」

「運転式の機体?」首を傾げるタケル。

「よくぞジョー言ってくれた、確かに今は機体を意識にリンクさせ、操り、操作する宇宙船もたくさんあるが、これは男のロマン。これをハンドル式で、自分の手で運転するのが楽しいんだ」太一が言う。

「タケル、地球人が言うところのUFOは最新のものは意識を同化させて運転するんだ、だから操縦管などはない、だけど人間と同じ様に古いタイプが好きな者達も多くいる」

「ちょっと違うかも知れないけど、地球の車のオートマよりマニュアル派って所の感覚かもな」光堂が言った

「そうそう、なんでも新しくて便利なら良いって訳でもないんだぜ、それに本当に凄い操縦士なら、意識をどんだけ使って運転出来る最新式を使ってる者にも、古い機体を乗りこなして勝ってしまう、それほど素晴らしい運転技術を持つ者もいる、まあ今日は自分が運転するから、みんなはくつろいでくれ」

運転席に座る太一の姿は実に時代が噛み合ってなく、それもまた奇妙な光景であった。

「着物にUFOか」タケルが笑いを堪えている

面白がったペレーが写真を取りまくっているんだが、これまた猿がカメラを撮ると言う奇妙な光景、俺の常識は吹き飛ばされ、ただただ笑い出してしまった。

「ペレーはカメラ好きウキよ、この原始的な所が」

「カメラが原始的ねぇ」苦笑いのタケル

その時だった「約束だ、俺に修行をつけろ」

「さすが神井、もう修行か」光堂はほくそ笑む。

その言葉を聞いたタケルも、いても立っても居られなくなり
「俺も」

「随分熱心な事だな、分かった。まずは肉体内にあるチャクラを意識し、コントロールから始めるとしようかね、しばらく瞑想だ」

「笑かすな、チャクラの為の瞑想だと、俺が知りたいのは実践だ」

その時、道来が立ち上がる。

「良いだろう、私が君の力量を測ってやろう、ただし私に負けたら素直に瞑想を始めるんだ、瞑想は君が思ってる以上に奥が深い、生半可な気持ちで力を覚えてもコントロール出来ないと困る事を身体で教えよう」

ザッ、道来の霊気が神井に向かう。

ヒュウオオオーー

神井はこの瞬間、相手との力量の差に気付かされる事になる。

「分かった筈だ、この時点で、理解したはずだ、私には勝てないと。この差を埋めるには、まずは全ての基盤のチャクラコントロールから始めるんだ、君はまだ霊力のほんの触りを学んだだけ、これ以上の大きな霊力をコントロールするには基盤がしっかりしてないと危険だ」

道来の言葉は説得力があった、近くで見ていたタケルもすぐに自分と道来の力量差が果てしないものだと気付かされたからだ。

「と言う事だ、嫌ならこれ以上は教えない、結局基礎練が目指す場所の最短ルートだ、どうする神井?」

「ちっ、はやく教えろ」

こうして俺達の、瞑想をして、チャクラをコントロールすると言う基礎の修行が始まった。

「まずは今日一日、ただ目をつむってなるべく何も考えないようにして、今この瞬間に意識を根付かせる練習からだ、思考と一つになってる意識状態からじゃ生み出せるエネルギーが弱い」
そう言い光堂は別の部屋に向かった。

なんだか楽な修行だな、さっそくタケルは目をつむる。
だが、すぐに思考が浮かび、いろんな考えが頭をよぎる
「全く集中出来ない」タケルは叫んでいた。

「思考が浮かぶのは問題無い、その思考を観察して、そのまま放っておけばいいんだ」太一が言った

「分かりました」タケルが再び呼吸に意識を向ける

別の部屋

「光堂、一つ聞く」

「なんです道来さん?」

「あの者達は?」

「きっと、縁ってやつですよ」

「何故彼らと一緒に居るんだ?」

ヒョオオオオオーー

「自分の口からは言えないっすね」光堂は歩き出す

その言葉に何かを感じる道来「・・・・・・」

「もちろん気づいているだろう光堂」

「神井の事だ」

「ええ」

「あいつからは闇の波動しか感じない、かなり危険なのは承知な上で育てるんだな」

「はい」

「正体は?どこまで知っている」

「正体ねぇ」光堂が窓の外の景色に目をやる

「さあ、もし自分の直感が正しければ、想定するのはかなり最悪のケースかと」

「くっ、ふっふっ」道来が笑い出す。

「いかれてるよお前も、任務を許可したお前の隊長も」

「いよいよ始まるな、この宇宙の存亡をかけた戦が、物質界だけではなく、霊界まで影響を与える凄まじい時代となる、この果てしなく長い宇宙の歴史上始まって以来の出来事だろう」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオ~

「ええ」光堂の表情が引き締まる。

誰も止めることの出来ない巨大なうねりは既に大きな音をたてて廻っていた、全宇宙、目に見えない次元の世界、全てを含め、それらは確実に歩みを進めていた



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