アンブラインドワールド

だかずお

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〜 降り立つ闇 〜

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現在ペドループ星は夜になっていた。
タケル達は明日、この星を発つ事になっている。

ペドループ星からは沢山の星星と宇宙惑星が見える。
「本当に素晴らしい眺めだなぁ」
タケルは地球では見た事もない壮大な光景に息を呑んだ。

「おいっタケル、本当に明日帰るのかよ?この星に残っても良いんだぜ」パープルが寂し気に言う。

「さすがにこの星は俺にとってサイズが違いすぎるぜ、それに、一応母親も心配してるだろうしな」

「それは心配ないぜタケル」

「なんでだ光堂さん、さすがにあの楽天的な母親も俺がこんだけ帰らないのは、どんな理由にしたっておかしいと疑い始めるぜ」

「お前は居なくなってない、地球で普通通りに生活してるよ」

「なんだって!」

「コピーロボットがお前の変わりをしくれてるんだ」

「コピーロボット?そんなんで本当にバレないんすか?」

「まあ大丈夫だ、宇宙の技術を見くびるなタケル」

その頃地球では「なんかタケル、お前最近変わったよな、お弁当に乾電池持ってきたりしてよ」

「ああ、エネルギー充電だよ」
クラスメートはゲラゲラ笑っていた。

そんな事とは露知らずペドループ星の夜はふける。

「それにしても光堂、任務が忙しいのは分かるウキけど、たまにはみんなに顔をだすウキよ、ペレーはいつ来るかって待ってたウキ、みんなも光堂に会いたがってるウキよ」

「ああ、そうだよな。みんなは元気か?」

「もちろんウキ、マナはヒーリングの技術が更に成長してるウキ、マサは相変わらず酒ばっかりウキ、多村はトンプスさんのもとで宇宙船の操縦を更に学んでるウキ、多村は本当に凄いウキよ宇宙中で宇宙船操縦の技術に関しては十本の指に入る程になったウキ」

「フクレープルの大会に出たのか?」

「そうウキ、宇宙中から宇宙船の操縦のスペシャリスト達が集まる大会、それで十位以内に入ったウキ」

「そりゃ本当に凄いな」

「みんなも本当に光堂に会いたがってるウキよ」

「こっ、光堂さん」かなり緊張した様子のジョーが喋り出す。

あの憧れの光堂さんが目の前にっ、ジョーは今、そんな気持ちなのだ
「ひっ、久しぶりです」

「ジョー元気だったか?」

「げっ、元気です」

「自分はずっと光堂チームに憧れて連合に入ったんです、数々の宇宙惑星の未来を救った本当に最高のチームでした」

「そうか、ありがとよ」

「自分の夢は、いつかあのチームが復活する事です、光堂さん、多村さん、ペレー、マサさん、マナさんの…連合には絶対に必要なチームだと思っています」

「そうか、ありがとう。覚えておくよ」光堂は素っ気なく答えた。

そんな光堂の反応を見て、ジョーは勇気を振り絞り、想いを言葉にする。

「まだ、あの事件を引きずってるんですか?」
あの事件?タケルは話を聞いていて気になっている。

「あれはチームが解散したのには関係ないんだ」

タケルの瞳には、そう言ってる光堂が何処か少し寂し気に見えた。

「まっ、今はそんな事よりこれからの宇宙をなんとかしなきゃいけないウキよ」ペレーが話を遮る様に言った。

「その事について俺に考えがあるんです北條さん」光堂は北條を見る。

「自分はタケルと神井を鍛えるため、そして宇宙の事を二人に知ってもらう為、暫く宇宙惑星を周ろうと思っています」

「なるほどそれは良いですね、二人はまだまだ知るべき事も、学ぶ事も、それに強くならなければならない、私は光堂君なら信頼出来るし、任せたいと思っています」

「ふざけるな、俺はこいつから学ぶ事は何も無い」叫んだのは神井

北條が神井を見つめる「いや、今の君は光堂君の力に到底及ばない、それには気づいてるはずだよ」

神井はクラーケンと光堂の戦闘シーンを思い出す。

「私は地球に帰ってやる事がある、君は独学で霊力を学ばなきゃならなくなる、それだったら光堂君から学んだ方が速くないか?
言っておくが霊力は本当に奥が深い、一個人にはそれぞれの特性がある、それを見出し、鍛え上げるだけでも、一人じゃどうして良いか分からないはずだよ」

「それに神井、俺は北條さんの様に甘くはない、ひたすら強くする事だけをしてやるよ」光堂の挑発する様な視線が、神井をしっかりと見つめていた。

タケルは思う、ひいいいっ北條さんも充分厳しかったんですけど。

神井は光堂の嘘の無い、真っ直ぐな瞳を覗き見る。
「ふんっ、良いだろう、ついていってやるよ」

北條は、ほくそ笑む。

「さて、法助君、私達は地球に戻ってやる事がありますね、スカルにしかり、これからの地球を守る対策を練る必要があります」

「そうですね北條さん、自分も北條さんに力添えをしてもらいたい」

「分かりました」

北條は光堂、タケル、神井を見つめる。

「何かあったらいつでも知らせて下さい、私達は今から地球に戻ります、タケル君、神井君、光堂君から沢山学ぶんだよ」北條は頭を下げた。

「光堂君、二人をよろしくお願いします」

「分かりました、北條さん。任せて下さい」

すると、法助がタケルと神井の顔を近くに来て、何かを確認する様に見ていた。
「ふ~ん、なるほどね、本当に先が見えない、珍しい波動の持ち主達だな」
そう言って背を向ける。

「待ってくれよ、法助さん。あんたは何故スカルを創ったんだ?」タケルが言った。

法助は微笑む「私の意志では無い、宇宙がそう望んだからだ」

「また会おう」
そう言って二人は消えた。

「ふぅ、いつ見ても北條さんの時空間移動は完璧だな」光堂が言った。

「光堂さんは出来ないのか?」

「出来ないわけじゃないが、俺はあの手の技は苦手なんだ」

「さっきも北條さんが言ったように霊力には色んな特性がある、それは人間の性格の様に多種多様なんだ」

「ジョー、少し簡単に説明してくれ」光堂が言う。

「はいっ光堂さん。霊力には本当に沢山の技術がある、例えばヒーリングと言い人の傷を癒やす回復させる能力、結界などを張れる防御系統の能力、こないだのマッカース隊長の様な攻撃に特化した能力、もちろん今のは大雑把に言っただけ、その能力は無限にある、攻撃特化にしても、人により表現方法も違うし、中には守護霊を操ったり、龍を操ったり、憑依に長けたりしてる者もいる、ちなみに自分は感知タイプ、霊力を感知したり、惑星全体の気を読んで、その惑星の状態なども感知したりもできる、無論それらも感知能力の一部の能力って訳さ」
タケルの頭はこんがらがった。

「まあ、徐々に分かっていくから大丈夫だよ、とりあえず今伝えたかったのは、霊力には色々な表現方法や能力があるってこと」

「人によって強い特性は一つなのか?」タケルが聞いた。

「いや、そんな事はないウキ、人によるウキ」

「北條さんの様に移動系、防御系、回復系、なんだって出来る人も居るしな、もちろん北條さんにも苦手なところはあると思うが。だがすべてが出来る、そんな存在は稀だ、自分の特性を見つけ鍛え上げるのが一番自然で良いと俺は思ってる」光堂が言った。

俺は何なんだろうな?タケルは思う。

「まあタケル、焦らず、ゆっくり自分のペースで進めば良いですよ」ブルーが眼鏡をくいっとあげる。

「ああ、そうだな」

「でも光堂、次は何処行くウキか?」

「そうだなぁ、二人には宇宙を見せたいからまずは」

「あのっ、良かったら自分達もついて行っても良いですか?光堂さん」そう言い出したのはジョーだった。

「自分達?ペレーもウキか?」

「最高じゃないかペレー、大好きな光堂さんと一緒に旅が出来るんだぜ」

ペレーは思う、絶対に危険な旅になると。

「いや、そうでもないウキよ、絶対大変ウキ~、いつもただじゃ済まないウキよ」

「いいじゃないかペレー、マッカース隊長もこの任務の後は、自由行動を取っても良いって」

「そうウキけど」

「まっ、俺は構わないぞ」光堂が言う。

「二人ともきてくれよ、そりゃ最高だ」タケルの声は喜びと共に大きな声になる。

その時だった、先程までリラックスしていたジョーの身体が震えだした、次の瞬間、光堂の表情が一瞬で変わる。

「ペレー、マッカース隊長は帰ったのか?」

「もうとっくに帰ったウキ」

「もう一人この星に隊長が居たよな?」

「レットクリフ隊長の事ウキか?あの人ならマッカース隊長より絶対に先に帰ってるウキよ」

ふぅ~、光堂は小さなため息をつき、喋り始める。
「今ここに居る者じゃ勝てる者がいない、そんな化物がここに現れる」

ジョーの額からは大量の汗が流れ落ちていた。
「嘘だろ、せっかく危機を乗り越えたって言うのに…さっきのクラーケン以上の霊力だ…」
こんなに近くに来るまで、感知タイプの自分が、この霊力に気付かなかったなんて…霊力を隠すのにも非常に長けてる、こいつはかなりの手練れだ。

「どれほどの大群が来てるウキか?ペレーは感知苦手ウキ」

「ペレー大群じゃない、一人だ」光堂が言った。

ズゥウゥゥゥオオオオオオオンッ

タケルはようやく相手の霊力を察知出来た。

え?

嘘だろ、まじかよ・・・・
ここに居る、みんな既に霊力も体力も消耗してる状態
くそっ

え?次の瞬間、大きな闇に辺り一帯が飲まれた気がした。

「しっかりしろ」光堂の声が耳に響く
「ウッ、ウキッ」我に返るペレー。

「意識をしっかり保てみんな、ペレー、今意識を持っていかれたら二度と戻って来れなくなっていたぞ」光堂の言葉にぺれーはゾッとする。

「クラーケンやられたのかい?」

「せっかく妾が出向いたと言うのに」

「貴様何者だ?」光堂が叫ぶ。

「妾の名は女狐、そなたらもう死んだと思え」

ヒュオオオオオオオオオッヒュオオオオオオオオオッーー
ペドループ星に再び闇が降り立った。



~ アンブラインドワールド ~

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