アンブラインドワールド

だかずお

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〜 クラーケンとの死闘 〜

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ゴゴゴゴ、ジュボオオオッ

小人達を乗せたトロッコは無情にもマグマの海に沈んでゆく。

「ふざけんなぁ~~、あいつら最初から自分達は先の無い方を選んで、敵を引きつけたんだ。俺達を守る為に」トロッコから飛び降り、助けに行こうとするタケルを止めたのはペレーとジョー

「しっかりしろタケル、彼らは死んだ、小人達の意志を無駄にしちゃ駄目だ」

「嘘だああああ~~」

「彼等は、俺たちにスカルを託して死んだんだ、俺たちを信頼してくれたんだ、後は任せたって。その気持を無駄にするな」ジョーの頬には涙が流れていた。

「タケル、今ペレー達は小人の意思を継がなきゃならないウキ、ここでタケルが自暴自棄になったら、彼らの意志が無駄になるウキ」

全ては俺が弱いから、きっと小人達はあのコウモリの怪物は誰も倒せないと分かったんだ、だから自分達が犠牲になって俺達を生かした、ちきしょう涙が止まらねぇ。
俺がもっと強ければ。

「ハッハッハ笑わせる、あの小人も、愛だの、情だの、俺達にあのコウモリ野郎をよこせばよかったんだよ」笑い出す神井

「神井てめぇ」睨みつけるタケル

だが、タケルは悔しそうな神井の表情に気付く、こいつ…
事実神井は悔しかった、それはタケルとは少し違う感情だった、その悔しさは小人を助けられなかった事にではない、あのコウモリの怪物を倒す力すらない自分への怒り。

「タケル、しっかりするウキ、もし今スカルを敵に奪われたら地球や、宇宙はどうなるウキ、全宇宙に暮らす全ての存在の人生が地獄と化すことになるウキよ」

「分かった、今俺達に出来る事はスカルを見つけ、手に入れる事だ」

「スカルを必ず手に入れる」
ごめんよ、ブルー、イエロー、レッド、パープル、ブラック
助けてやれなかった。
だけど後は任せろ、必ず約束は果たす。

ガガガガガガガガ

「見ろ、トロッコが地面に着くぞ」

「でも、全く止まる気配が無いウキよ~~」

「みんな飛び降りろ」

ズガアアアアアアンンッ

トロッコは正面の壁に突っ込み木っ端微塵となった。

「みんな大丈夫か?」

「ああ」 

一同はその場所に何か神聖で荘厳な気配を感じる
空気感がこの辺り一面だけ、他とは全く違う…

「見ろ」

目の前の岩の上には、光り輝く、透明なクリスタルスカルが置かれていた。
「こっ、これがクリスタルスカル」

「凄いウキ、近くにいるだけで、こんなにエネルギーを感じるウキ」

「タケルこの鞄にスカルを入れてお前が持て」ジョーが言った。

「俺が?」

「俺達はお前を信頼する、なぁペレー」

「そうウキ」

「多分その扉は出口に繋がってるはずだ、そっから地上に出るぞ」
その時だった、二つの巨大な霊気を持つ者がタケル達の場所に現れる。

ズオオオオンッ

「あっ、北條さん」「マッカース隊長」

「北條さん、クラーケンを倒したんだな」

凄い本当にあのクラーケンを、驚くジョー。

「安心してる暇はねぇぜ、お前達すぐその扉から地上へ戻れ」

「どうしたんですか?マッカース隊長、何を焦っているんです」

「感じねえか?このマグマが唸る音を」

「直にこの遺跡はマグマに飲まれます、私とマッカースさんは遺跡内に残された人達を助けに行きます、皆さんはすぐにそこから地上へ」二人はそう言い、消えた。

「よし、地上に急ごう」
タケルたちは全力で遺跡の出口に向かう。
出口は行きとは真逆に呆気ない程楽に出れた、
スカルの置いてあった、背後の時空間が歪み、外に出られた。

こっから入れたら相当楽だったんだけどな、まぁこの歪みの場所を外から探すのは、ほぼ不可能に近いか、全く良く出来た場所だな、ジョーが思う。

「やったー任務完了ウキ~~」

「俺たちはスカルを手に入れたんだーー」

あまりの疲労に地面に横たわる一同。
やったんだ俺達!!
喜びもつかの間だった。

パチパチパチ 
何者かが手を合わせる、拍手音が耳に届く

「ご苦労様皆さん」
辺りに不気味な声が響き渡った。

「こっ、この声は!」

地面の中から再生し現れたのは、なんとクラーケンだった。

「クッ、クラーケン」

「フッフッフ、奴らは知らなかった様だな。俺は身体のどの部分でも一ミリ以上残っていればそこから再生出来るんだよ、流石に再生するのに大量の霊力を消費したがな」

「だが充分だ、貴様らみたいなカスを始末するにはこれで」

「タケル逃げろ」クラーケンに攻撃を仕掛けたのはジョー

「雑魚が、失せろ」ジョーは殴られ、吹き飛んで行くが、壁に衝突する所をペレーが防いだ。

ズガアアアアアアンンッ

二人共吹き飛ばされ気を失ってしまう。

「ペレー、ジョー」

「さあ、スカルを渡して貰おうか」

「神井、お前の気持ちは決まってるよな?」

「当然だ、決まってんだろ」

「ああ」

「クラーケンをぶっ飛ばす」

クラーケンの前に立つ、タケルと神井

「フッハッハッハ、正気かい?ガキども、いくら手負いと言えども、このクラーケン様と戦うのかい?今度は殺すよ」

「スカルは渡さない、これは小人達との約束なんだ」

「なら力ずくで奪うとしよう」

やってやる、俺達でクラーケンを倒す、それ以外、道はねえんだ!!

「ふっふっふ、スカルはいただく」

クラーケンの目の前、神井の電気の様に見えた黒い霊気が既に放たれていた。

「くっくっく、これだよ、貴様は俺達に似ている、闇そのものだ」クラーケンは身をねじらせ躱している、その動きには余裕があった。

「貴様は良い使い手になる、どうだ俺たち側に来ないか?」

「それに俺の感だが、貴様から漂うこの死臭、貴様は・・」

「黙れ」

ザアアアンッ

「なにっ?」
黒い霊気は円を描きクラーケンを取り囲んでいた。

「さっきが俺の全力だと?笑わせる」

「死ねクラーケン」ガアアアアンンッ

円は収縮し内側に居るクラーケンを木っ端微塵にしていた。
驚いていたのはタケル、やっぱこいつ凄え。
こんな事まで出来たのかよ。

「やれやれ、これ以上無駄に霊力を消耗したくないと言うのに」
そこに再び響き渡るのは、クラーケンの声。
クラーケンの肉片は集まり始め再生した。

「嘘だろ」タケルが叫ぶ

「貴様はどうやら本当に完全に消さないと死なないらしいな」

「そう言うことだ、さあ続きをやろうか神井とやら」

「俺も居るぜ」クラーケンの頭上タケルの姿

「ああ、知ってる、あまりに遅いんでスローモーションかと思っていた」タケルの首根っこを掴み、地面に叩きつける。

クラーケンがタケルに気を取られたその一瞬の動きを、神井が見逃す筈は無かった。
再び神井の放つ黒い霊気がクラーケンを囲む。

「経験値、お前達と俺の大きな違いの一つだ」
クラーケンは高く飛んだ、その時、タケルと神井は初めて気づく、二人は既にクラーケンの霊気に取り囲まれていたのだ。

「死にな、お返しだ」
収縮する霊気が二人を押しつぶす。

「ぐうぅおおっ」

「貴様しっかり抑えろ、潰されたら俺達は間違いなく死ぬ」

「んな事分かってるよ」収縮する霊気の輪の内側から必死に抵抗する二人。

「クラーケン、お前忘れてんのか?今は俺がスカルを持ってんだぜ、このまま一緒に破壊するつもりか」

「無い頭を使うな笑わせる。スカルは簡単には壊れないんだよ」

「さあ、死ね雑魚共が」

その言葉に神井の表情が変わる、そしてタケルも、死を覚悟した瞬間、小人達との約束が心に浮かんだ。

「うおおおおおおおうっ」

ドガアアアアアアアアンンッ

「なんだと」

二人は霊気の輪を破壊したのだ。
そしてすぐにクラーケンに向かって行く

「神井、全力だ、次で仕留めるぞ」

「言われなくてもそうするつもりだ」

「くらえ、クラーケンこれが俺たちの全力だ」

「ガキ共め調子にのるな」クラーケンの右腕に霊気が集中し色が変わる。

これが最後の力、駄目だったら俺達の敗北

「うおおおおおおおおおおっ」

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ

衝突する3つの力

ガアアアアンンッ
激しい衝撃音の後
砂埃が突風に吹かれ、辺りに舞っている

爆風の中立っていたのは

なんと、クラーケンだった。

「ちきしょうっ、手負いのクラーケンにも勝てなかったのかよ俺達は」タケルは倒れながら、地面を力無く叩いた

「笑わせるな」立ち上がろうとする神井

しかし、タケルは気づいていた、さっきの攻撃を自分よりも直撃していた神井の足は、もう使い物にならないくらいズタズタになっている事を。

「うおおおおおっ」瀕死の状態で、立ち上がったタケル

「貴様ごときが勝てる相手か」

「うるせぇ神井、負けるわけにはいかねぇんだよ、黙って見てろ」

「ぐおおおおおっ」なんと神井も立ち上がる

「馬鹿やめろ、その足じゃ限界だ」

「たわけ、敵を倒す事だけに集中しろ」

「ほぉまだ立つのか、限界は超えてる筈だが、まあ褒めてやろう」
クラーケンの腕が鋭いナイフの様な刃物に変形する

「これで首を切り落としてやるよ」

「貴様、まだ動けるな。俺が奴の隙をつくる、お前は出来る限り最大の一撃をぶち込め」

ザッ 構えるタケル「ああ分かった」

「くらいやがれクラーケン」神井が真っ黒い霊気の球をクラーケンに放つ。

奴の身体的に最後の一発が限界、これで俺の隙をつくり、もう一匹が俺に攻撃でもするのか、果たして俺に隙など出来るかな?

ザッ

タケルがクラーケンに向かい走り始める「うおおおおおおおっ」

ズゥオオンッ
神井の霊球が爆風を生む。

爆風の中クラーケンの上空に影が映る

「ふっ、タイミングがズレてて、目くらましにもならねぇ、丸見えだぜ上だろ」
神井の霊球を軽々と躱すクラーケン

ビュオンッ
クラーケンの変形した腕のナイフが、タケルに牙を向く。
その時、ズゥオオンッ、2発目の神井の霊球が絶妙のタイミングでタケルの攻撃の隙をつくった。

「2発目を放てたとは驚いた、素晴らしい、素晴らしいよお前達、普通の奴らじゃ確かにやられてたな、だが相手はこの俺クラーケン様だ」

一瞬で神井の霊球を右足で弾きタケルに攻撃をしかける

「死にな」

その時だった、一発目に放った神井の霊球が、何処からか跳ね返ってくるかの様にクラーケンに戻ってきた

「まさか!こいつ霊球をここまで操れたのか」

「貴様の負けだクラーケン」

ズガアアアアアアンッ
神井の霊球がクラーケンに直撃する。

それと同時にタケルの霊気を纏った左手がクラーケンに炸裂した

「こいつら、最初からこれを狙っていたのか」

「これは俺達仲間のぶんだ~~~~」

ズゴオオオンッ、タケルの無数の拳がクラーケンに打ち込まれる
「ぐええっ」クラーケンの顔は歪み、吹き飛ばされた。

ゴオオオオオオンッ。

「へっ、やったな神井」

「ふんっ」

しかし、これで立ってたらもう駄目だな、今のが残ってた最後の霊力だ。

ヒュオオオオオオオオッ~

「うっ、嘘だろ」

嘘だろ………

巻き上がる煙の中、なんと、クラーケンは立っていたのだ。
こっ、これがクラーケン、相手は手負いの状態なのに、こんなに差があるのかよ、タケルは拳を強く握りしめようとするが、手に力が全く入らない。
ああ、俺達は負けたんだ、負けた、クラーケンに負けた。

「中々頑張った方だったな、だが俺に勝つには早すぎた、お前達の敗北だ、スカルは貰う」

「そして、お前達も殺す」ギロリ 
クラーケンの指から放たれた霊気の光線がタケルの肩を貫く

「ぐああっ」倒れるタケル

そしてクラーケンの霊気が再び腕に集まり始める。

「まずは貴様からだ神井とやら」

「神井」気付いたら俺は叫んでいた。
神井が殺される。

あいつはもう動けない「やめろおおおっ頼むっっ」

ズガアアアンッ

・・・・・・・・・・・・

「何だ貴様は」
その声に、俺は一瞬閉じてしまった瞳を開く

クラーケンの攻撃を防いでいたのは、なんと光堂だった。

「わりぃ、待たせたな」



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