アンブラインドワールド

だかずお

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〜 別れ道 〜

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タケルの瞳に映った光景それは……

目の前でジョーが神井に殺されてる?

嘘だ、ジョーが死ぬ訳ねぇ、なにより神井がそんな事する訳ねぇ。

「正直うっとおしかったんだよこいつ、他の奴等は見失ったがこの機会に皆殺しにしてやる、それに俺はタケルの事も大嫌いだ。素直に俺に殺されろ」

「てめぇ、正気かよ?これは幻想でお前は偽物なんだろ?」

「残念、リアルだよ。ジョーはたった今俺に殺され死んだ」
嘘だ・・・・・・
ジョーが死んだ?ふざけんな、よりによって仲間に、神井に殺されただって?

「てめぇ、神井、頭イカれたのか?」タケルが全身に霊気を纏う。

「いや、本心だ。そろそろここらでタケル、お前の事も殺そうと思ってる、お前は仲間である俺の事を傷つけられはしないだろう」

「大人しく俺に殺されな」

ズガアアアアアアンンッ
「なにっ?」
タケルは神井の顔面をぶん殴った。

「お前偽物だろ」

「どうして俺が偽物と?」

「わりぃな偽神井、神井は俺の事、タケルなんて呼んだこと一度もねえよ」

「それに仲間を殺す様な奴を俺がぶん殴らないと思ったのか?」
霧が晴れると、そこにはみんなが立っていた。

「タケル無事ウキか?」

「ペレー、みんなも」

「タケルのその顔(涙が出てる)、一体どんな幻覚に襲われたんだか?まぁ無事で良かった」パープルが笑う。

ふぅ~幻覚で良かった。

「神井以外、無事にみんな幻覚の試練突破だな、大したもんだ」微笑むパープル「さあ先を急ぐぞ」

タケルはパープルを持ち上げていた。

「正気かよパープル」

「何を興奮してるんだタケル、あいつなら見捨てて良いだろ?」

「俺の友達のパープルは、例え神井にだって、そんな事言う奴じゃねえよ」タケルが叫ぶと、再び霧が晴れる。
そこに立つのは仲間の姿。

タケルは三度叫んだ「神井てめぇ偽物だな?」

「ふざけんな糞め」

「パープル、ペレーが居ねぇぞ」

「後ろに居るだろ」

「居なきゃどうする?」

「探すしかねぇだろ」

「良かった本物だぁ~」タケルはようやく安心して、地面に座り込んだ。

「良かった、どうやら無事みんな抜けられた様だな」

「よしっ、進むぞっ」

進んだ先、一同の前に姿を現す、3つの扉

「パープル、正解の扉はどれだ?」

「3つの扉全て幻覚、どれでも無い。みんな急いで指示どおりに進め」

「確かに急いだ方が良さそうだな」ジョーが走り出す。

「どうしてだ?」

「タケルはまだ背後に迫る敵の霊力を感知出来てないか、かなり強い奴が俺たちのすぐ後ろに来ている」

「何だって」

「みんな走れ!!」

パープルの指示どおりに洞窟の中を進むと、眼下にはマグマの海が広がっていた。

「最後は俺だ」ブラックがみんなの前に飛び出る

「と言っても案内する程のこたぁねぇ、目の前にある二つのトロッコどちらかに乗るだけだ」

「でどっちなんだブラック?」

「小人達は全員右側に乗り込んだ」

「そっちか」

「いや、お前たちは左側に乗れ」

「何?」

「なんだどっちが正解とかじゃないのか?」

「そう言う事だ」

「二手に別れて敵を混乱させるって事なんだな。んで、このトロッコに乗ればスカルに辿り着くのか?」

「ああ、辿り着く場所にスカルがある」

「そうか、じゃまたすぐに会おう」
タケル、神井、ペレー、ジョーは左側のトロッコに乗り込む。

「さあ進め、このトロッコは百キロは出るぞ、お前たち、振り落とされるんじゃねえぞ下はマグマの海、落ちたら即死だ」

その時だった「見つけたぞ、小人共」背後に居たのはコウモリの怪物スターク。

「トロッコを出せ!!」二つのトロッコはマグマの上を走る線路に飛び出した。

バッ
スタークは迷わず小人達が乗るトロッコを追い始める。

「貴様らがこの遺跡の道案内人の小人どもだな」

その光景を見てタケルは焦る、あいつら敵を引きつける為にわざと小人だけで乗り込んだんだな。
くそっ、死ぬんじゃねえぞ。

物凄い速度でマグマの上を走るトロッコ
「ウキ~~~このトロッコ速いウキ~~」

「ちっ、こりゃ自分達の心配もしなきゃまずいぜ」ジョーはすぐ目の前に迫る大きな左カーブに目をやる。
下には煮えたぎるマグマの海が、音を立てて流れ動いている

「みんな体重をこちら側に集めろ、じゃなきゃカーブで落っこちるぞ」

「ひいいい~~っウキ~」

カーブが迫ってくる。

「今だ~~、一斉に体重を寄せろ~~」

ガガガガガガガガガガガガガガガガーーーンッ
半分の車輪を浮かせ傾きながらトロッコは曲がりきる。

「なんとか助かった、小人達は?」

「あっ」タケルは思わず声をあげてしまう。
なんと、小人達のトロッコに、空を飛べるスタークが追いついていた。

「まずいっ」

「ちっ、貴様自分達の方に集中しやがれ」神井が叫ぶ。

「確かに今は神井の言う通りだ、タケル前を見ろ」

「え?」
なんと目の前には線路がなかった。

「なんだと~~~」「死にたく無いウキ~~~」

「うわあああああああ~~~っ」

下に落下して行くトロッコ、マグマの海がどんどん目の前に近づいてくる。
ちっ流石に霊気を纏っても今の俺の実力じゃ数秒も防げない、駄目だ死ぬ。
みんなを守れない。

「死にたくないウキ~~~~」

ガコオオンッ
「え?」
なんと落下した真下、マグマの直前に線路がありトロッコは再び走り続ける。

「焦った、熱気で線路が見えなかった」

「なんて設計、こりゃ、心臓に悪いぜ」

「トロッコ内に顔を隠せ」

ジョーのその言葉で前方を見ると、目の前に大きな岩が。

バッ
皆一斉にトロッコ内に顔を引っ込める
トロッコは、大きな岩二センチ下をすれすれで走り抜ける。

「ふぅ~しゃがんでなきゃ、今頃首が吹っ飛んでたぜ」

「みっ、みんな、次は何ウキ~~~、あれ見るウキよ~~」

なんとトロッコの線路が90度垂直上空に伸びていた。

「今度は何だってんだよ」
ガガガガガガガガッ
トロッコはゆっくりと上空に登って行く。

「これまさかジェットコースターみたいにこの先くだるとかそんなオチは無いよな」

「いやタケル、くだるならまだましだったぞ」前方を指差すジョー

「なにっ!まっ、まじかよ、てっぺんから先の線路がねぇ」

「絶対に嫌ウキ~~~~~」

「こりゃいくら隊長命令でも来なきゃよかったぜ」

「ちっ」舌打ちする神井

「このまま放り出されて下に線路が無いなんて落ち無いだろうな?さっきみたいにあるんだよな」ジョーは叫ぶ

「ペレーお前目良いだろ、真下見えるか」

「ジョー馬鹿言うなウキ~死んでもこの状況で真下なんか見たくないウキ~」
くそっ、こりゃかなり高い所まで登ってきた。
下が遠いっ、こりゃまるで死へのカウントダウンだぜ。
すると遺跡内の壁の天井が見えてきた。

「こりゃ、この遺跡で一番高い所じゃねーか」叫ぶタケル

「みんな、見るウキ~~」
ペレーの指差す方を見ると、大きな骸骨の顔が洞窟の天井に石で作られていた。
そしてなんと、その骸骨の顔が動き、喋りだす

「良くぞここまで辿り着いた勇敢な者達よ、クリスタルスカルはもうすぐそこだ、だが最後の試練として、ここから落下してもらう、運のない者もまたスカルを手にする資格はない、幸運を祈る」

「おいおいマジかよ」

「みんなもうすぐ天井だ、こりゃまじで下に落っこちるぞ」
どうする?下に線路が無かったら。
タケルはトロッコから身を乗り出し、恐る恐る眼下を眺めた。

「線路が真下にない」

次の瞬間トロッコは線路から放り出され、垂直に落ち始める。

「うわあああああああ~~」「ウキ~~~~~~」
タケルは落ちながらも、目を開き辺りを見ていた。

ハッ
何かに気付く

「神井、全力で霊気をマグマの海に放て」

「どうやら貴様も気付いたらしいな、あの右に見える線路だ、全力で貴様も放て」

「分かってらぁ」

ジョーは気付いた、まさかこの二人、霊気をマグマの海に放ち、その衝撃で右に見えるあの線路まで、このトロッコを飛ばすつもりか?
無茶だ、あの距離までトロッコを届かせるのは。

「うおおおおおおおおおおっーーーー」

ズガアアアアアアンンッーーーー

「すっ、凄いウキ~~~トロッコがマグマに落ちず飛んでるウキーー」

ヴオオオ~~~ンッ

目の前に線路が見えて来た「頼むっ、届いてくれ」

もう少しっ、残り五メートル程の所、トロッコは落ちて行く。
マグマの海が再び目の前にひろがって行く。

「くそっ、駄目か」ジョーが拳を強く握りしめる。

「まだまだーーーーーっ」

タケルと神井は諦めていなかった、再び霊気をマグマに放つ。

「うおおおおおおおおおおっーーーー届けっ」

ガコオオンッ、トロッコは再び勢いづき線路に乗っかった。

「やったーーー」「やったウキ~~~~」

「やったな神井」「ふんっ」

喜びもつかの間、あまりの出来事に気付かなかった。
タケル達のトロッコが線路に乗った瞬間、すぐ横の線路に、もう一つのトロッコが見えた。

それは小人達の乗るトロッコ。
そのトロッコに、コウモリの怪物が乗り込んでいるのが見えた。

「小人達~~~」叫ぶタケル達

「心配すんな、こっちは大丈夫だ」
ガコオオンッ 次の瞬間、円を描く様に敷かれるレールにより、2つの互いのトロッコは左右に徐々に離れていく
まるで互いの運命がどんどん離れて行くかの様に。

「本当に大丈夫なのかよーー」小人必達に向かって、タケルは必死に大きな声を出す。

向こうの声は聞こえなかったが、小さな小さな小人のピースサインと笑顔をトロッコ内から顔を出し、こちらに伝えてくれたのが見えた。
それは大丈夫、安心しろと言うサインを、最後の力を振り絞り、小人達が見せてくれたものだった。

「コウモリ野郎、こっち来やがれ~~」叫ぶタケル
二つのトロッコは右と左にどんどん離れて行く。

その時だった「俺たちはよぉ、お前たちとダチになれて嬉しかったぜ!!スカルを任せたぜ、ありがとよ」
小人達の声が聞こえた。

「馬鹿野郎、今そんな事どうでもいいだろうが」
次の瞬間、訳が分からなくなった。
頭が真っ白になった。
心臓が動いてるのか、止まってるかも良く分からず
目にしてる光景が現実なのか、夢なのかも分からなくなる

え・・・・・・・

ゴオオオオオオオオオオオオーーーーーンッ

小人達の乗ったトロッコの先の線路は無く、トロッコがマグマの海に弧を描き落ちて行く瞬間の光景が、タケルの瞳に飛び込んでいた。
その光景は、ゆっくり、スローモーションの如く時が流れてる様に見えた

「放しやがれ小人共~~」スタークの雄叫びを響かせながら、小人達のトロッコはマグマに落ちて行った。

ズボオオンッーー

「イエロー、ブルー、レッド、パープル、ブラーック」

次の瞬間、トロッコは跡形も無く溶け、マグマの海に沈んで行ったのだった。



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