20 / 85
〜 遺跡内で待ち受けるもの 〜
しおりを挟むタケル達の目の前にそびえ立つ様に構える遺跡
入り口らしき正面には、無数のドクロの首が侵入者を監視でもするように両側に入口まで並べられていた。
「なぁ、思ったんだけど、あそこがメインっぽいけど、さっきから、この遺跡入り口が沢山あるじゃねーか」タケルはまるで入って下さいとでも言ってる様に無数に存在する入り口に気付く。
「逆に怖いだろ?こんだけある入口、何か罠が仕掛けてあるんじゃないかと、それに何処が正しい入口なのかと」
「レッドが言ったようにあれらの入り口は全部フェイク、あそこから入ると最終的に辿り着くのはマグマの海」
「マグマ?」
「そう、この遺跡内にはマグマが流れている」
「なんちゅう遺跡ウキか!ペレー帰るウキ」
「おいっ待てペレー、遊園地のお化け屋敷前で怖気づく気持ちは分かる(凄い例えだなジョーよ、どうやら彼の惑星にはお化け屋敷があるようだ、ジョーはお化け屋敷が嫌いだった)だがな、これは現実の任務、俺たちは中に入らなきゃ行けないんだ」
「入りたくないウキ~黒楽町に行った時と同じくらい嫌ウキ~(ブラインドワールド参照)」
「大丈夫だペレー、俺たちがいる」小人達がガッツポーズを決める。
突然ブルーが転び、そこからバランスを崩した全員、横一列ドミノ倒しの様に倒れた。
「絶対嫌ウキ~、頼りにならないオチウキ~」
「ペレー静かに!敵の見張りがうろついてるぞ」ジョーが気配を感じペレーの口を塞ぐ。
辺りにはクリスタルスカルを狙う者達が沢山居た
「急いだ方がよさそうだな、入り口はここだ」遺跡の中の一つの石にブラックが触れた途端地面に小さな入り口が開く。
「それにしても、なんちゅー察知力だよ、連合の奴らもオーグの集団も、みんな正答の入り口から入っていやがるぜ」
入り口は短期間で何度も開いた形跡があった事にブラックは気付く。
て事はオーグの奴ら俺たちが入るのを確認しているのに、見て見ぬふりしていやがるのか?
イエローは辺りを警備するオーグの集団に目をやる、ほとんどが気づかないふりをしていたが、そのうちの数名がニタニタ笑っていた。
「わざとですね、知っていて監視してる者も居るようですね」北條が言う。
「ああ、奴ら俺たちが遺跡に入ったらすぐにクラーケンにテレパシーを送るぜ」パープルがオーグ達を睨みつける様に見つめる。
「怪物クラーケン」ジョーの足が震えた。
「そんなにヤバイのかクラーケンって奴?」タケルはジョーの身体の強張りに気付く。
「連合が長らく指名手配してた宇宙の危険人物の一人とでも言っておこうか、出会ったら最期、無敵のクラーケンと言われている」
「タケル君、神井君、私からの一つの命令です」
「命令?」
「クラーケンに出会ったら、何が何でも逃げる事を考える事、絶対に戦ってはいけません」
ギリッ、神井が鋭く研ぎ澄ました霊気を北條に向ける
「貴様俺を舐めているのか」
北條の首元、神井の鋭く尖った霊気が首を切り落とさんばかりに向けられていた。
「神井やめろっ」止めに入るタケル
「今の君では勝てないと言っているんです」
ザアアアンッ
北條の霊気が神井に放たれた瞬間、神井の尖った霊気はかき消された。
「君は確かに強い、だがこれくらいでかき消される霊気じゃクラーケンには通用しない、今は死に急ぐ時では無いでしょう、現状を認め、直視することもまた強さです」
「ちっ」
北條は歩き出す「行きますよ、タケル君、神井君、遺跡の中ではきっと想像を絶する恐怖と向き合う事になる、覚悟しなさい」
俺はこの時、北條さんのこの言葉に怖くなった、想像を絶する恐怖?何が待ってるんだ?本当に生きてまた地球に帰れるのか?
何故か母親の顔が頭に浮かんだ。
俺は死ねない
まだ死ぬ訳にはいかない
「おいっタケル」それはパープルの言葉だった。
「お前無理して着いてこなくても良いんだぜ」
「何言ってんだパープル」
「いや、マジでだ。お前が命を懸けてまで遺跡に来る理由はあるのか?」
「北條の言った事は正しい、お前ら、中で待ち受ける事がどんな事か知らない、それに相手は本物の怪物だ、ほぼ生きて帰れないと思えって言ってるんだ、それでも来るのか?」
「あっ、当たり前だ」
「ふんっ」神井は一人歩き、中に向かう。
「タケル、ペレーもそう思うウキ、こっから先はペレーの任務とは違うウキ、ここに居ても良いんじゃないウキか?」
「馬鹿野郎ペレー今更何言ってんだ、俺も行くに決まってんだろ」
皆がこう言うのにも訳があった、入り口の中すぐ、沢山の連合のメンバーの死体がごろごろ転がっていたのだ。
なんだよここは?
入り口を入ると、まっすぐの薄暗い道が暫く続く、周りの壁は石が積み上げられた様につくられている。
タケルには一つ、気になる事があった。
それは地面、天井、右側、左側、壁一面に無数の穴が空いているからだ。
「ここの場所の担当は俺の出番だ」レッドが言う。
「みんな、この長い廊下に空いてる穴、ここから無数の空気の玉が発射される様になってる」
「なんだよ空気の玉くらい」ジョーが進もうとする。
「待て」ビュオンッ
ジョーはあまりの音にしゃがみ込んでいた。
「この威力は簡単に鉄を貫通させる」
「ひいいっ、死ぬとこだぜ」
「どうすれば良いウキ」
「大丈夫だ、俺の持つこの宝石をこの穴にはめ込めば」
ガシャ ピピピピピピピピピピピピピピピピピピッ
ガコオオンッ「止まる」
「なんだ、良かったぜ」
このとき気づく者は気付いていた、そう俺たちは簡単に通れた。
この宝石で罠を止める事が出来たから……
なら先に通った者達はどうやって?
簡単だ、実力で通ったんだ、この先、こんな罠を抜けられ無かった弱者は居ない。
「まだ俺の担当は続く、多分先に入った者もここでバラバラに別れたはずだ、第二の難関、迷宮の空間」
「迷宮の空間」
タケルは目の前を見て驚き、声を上げた「なんだよここ」
目の前には、百を超える扉が横一列にずらりと並んでいる
「どこ選べばいいんだよ?」
「俺について来い」
その内の1つの扉を選んだのだが、驚く事に百メートル歩けば無数の道に別れている「多分奴らの多くはここで迷ってるはずだ」レッドが敵が居ないか警戒しながら道を案内する。
「それより北條さん」ジョーが叫んだ。
「そうですね、敵が我々の遺跡に入ったのを確認したのか遺跡内に結界を張りましたね」
「結界?」
「そうです、この中では今磁場が乱れ、テレパシー、テレポーテーション系統が上手く使えない状態になりそうですね」
「て事は?」
「そう、はぐれたら連絡は取れない、それにどうやら相手は我々を生きて返すつもりは無いみたいですね」
「逃がすつもりは無いって事か」
ちっ、マッカース隊長ともコンタクトがとれないか「ペレー」
「分かってるウキ、マッカース隊長の匂いを探ってるウキ」
こんな時にクラーケンに遭遇したらまずいっ、焦るジョーは必死に霊気を探ってみたが、結界のせいで上手く感知出来なかった。
「ったく、こんな不気味な遺跡に、クラーケンのセット、生きた心地がしないぜ」
「こんなとこでクラーケンに襲われたら本当に大変ウキよ、そう言えば光堂は何してるウキか?来るウキよね?それにこのペドループ星にはもう一人隊長が来てる筈ウキ」
「ああ、あの人か」
ヒュオオオオッーー嫌な冷たい風を感じる
その時だった一同に戦慄が走った。
真っ暗な闇の中、上空に異様な気配、それは絶望に似た空気、あまりの迫力にペレーは座り込んでしまった。
「やっ、やばいウキ」
嘘だろ、なっなんなんだよこれ、俺、修行したよな?強くなったよな?
あまりの恐怖にタケルの足は動かなかった。
そこに見たのは、圧倒的に強い強者の姿
高い高い天井にぶら下がる一つの生命体
絶対に関わってはいけない者がそこには居たのだ。
クラーケンはニヤリと笑っている「ようこそ、我が元へ」
あっあいつがクラーケン?
霊力を学んだからこそ良く分かる、あいつはやばいっ、やば過ぎる。
なんだよ、くそっ、頭にラルフォート戦が浮かんじまう。
クラーケンは既にタケル達の目の前に立っていた。
「さあ小人共、俺をスカルへ案内しろ」
「ふざけんな、誰がおめえの願いなんか叶えるか」
「願い?笑わせるな、これは命令だ」
ピクッ「ん?」
クラーケンの背後、霊気を向けているのは神井。
「なんだ貴様は?」
「てめぇを殺す者だよ」
なんだこいつの匂い、何処かで嗅いだことのある様な懐しい匂い…
「死にな」ズバアアンッ、神井の霊気がクラーケンを真っ二つにした。
「馬鹿野郎、神井、そいつにそんなのが効くわけねーだろ」叫んだのはタケルだった。
「御名答」クラーケンが真っ二つになったのは残像
すぐに神井の背後に姿を表す「死ねよ糞ガキ」
「ん?」
クラーケンの背後に再び神井の姿はあった、このガキ、最初の攻撃はわざと?
「死ぬのはお前だよ」
ズガアアアアンッ
すっすげえ、これが神井の全力の一撃?驚くタケル、こんなのくらったら、まず生きてられねぇ、やっぱこいつは強い。
ヒュオオオオオ~~ッ
パチパチパチパチ「いやぁ~驚いた驚いた、良い攻撃するね、もう少し速度があったら良い線いってたんだがね」
「くそおおーーっ」俺の全力の一撃が全く効いてないだと。
「それにしてもお前、闇の力を使っているな、感じるぞ、お前の根底から流れる、怒り、不安、恐怖」
「それに貴様、お前のその匂い、何故だか懐かしい気がする」
ザッ
クラーケンと神井の間に立ったのは北條
「クラーケンとやら、我々はスカルを小人さん達に返す為に、スカルへ向かっています、我々の邪魔をしないでもらいたいです」
「なんだ貴様は?」
「私の名は北條、地球からやって来ました」
「地球人か。で?俺の邪魔をしたらどうなるか分かるよな?」
「さあ、した事が無いので」
「地球人風情が死ねよ」北條はクラーケンの攻撃を躱し、クラーケンの目の前に立つ。
「邪魔をするならどうなるか?それはこっちの台詞でもあるんですよ」
なんだっこいつは?
こいつの霊力、底が見えない。クラーケンは相手が只者で無い事を察知する、こいつは厄介な存在だ。
北條とクラーケンが対峙する。
同時刻、遺跡内
「マッカース隊長、大変です大変です、とんでもない事が遺跡内で起こっています」
「ああ、俺も気づいちまったよ、この場所はじきに跡形も無くなるんだろう」
マグマにのまれて…
~ アンブラインドワールド ~
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
おっさん、ドローン回収屋をはじめる
ノドカ
SF
会社を追い出された「おっさん」が再起をかけてドローン回収業を始めます。社員は自分だけ。仕事のパートナーをVR空間から探していざドローン回収へ。ちょっと先の未来、世代間のギャップに翻弄されながらおっさんは今日もドローンを回収していきます。
INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜
SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー
魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。
「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。
<第一章 「誘い」>
粗筋
余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。
「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。
ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー
「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ!
そこで彼らを待ち受けていたものとは……
※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。
※SFジャンルですが殆ど空想科学です。
※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。
※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中
※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が怒らないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ガチャ戦機フロンティア・エデン~無職の40おっさん、寂れた駄菓子屋で500円ガチャを回したら……異世界でロボットパイロットになる!?~
チキンとり
SF
40歳無職の神宮真太郎は……
昼飯を買いに、なけなしの500円玉を持って歩いていたが……
見覚えの無い駄菓子屋を見付ける。
その駄菓子屋の軒先で、精巧なロボットフィギュアのガチャマシンを発見。
そのガチャは、1回500円だったが……
真太郎は、欲望に負けて廻す事にした。
それが……
境界線を越えた戦場で……
最初の搭乗機になるとは知らずに……
この物語は、オッサンが主人公の異世界転移ロボット物SFファンタジーです。
怪獣特殊処理班ミナモト
kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。
牛汁屋物語
ゲルマでちゅぶる
SF
土居昇は真清田次郎のバッキンガムストラトスを喰らい吹っ飛んだ
宙に舞い 鈴鹿山脈や生駒山を越え シケイン商店街で気絶しているところを千林露彦に助けられた
牛汁を飲まされた 土居昇は伝書鳩に生まれ変わり 関目高殿で研鑽を積む
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる