社会では変人な俺は仙人見習い

tukumo

文字の大きさ
上 下
45 / 86
付喪仙流の物と者の橋渡し

年越しの宴会

しおりを挟む
 -師父の庵にて-


「「「「「乾杯!!」」」」」


 今年もあと数日ときたある日の夕刻にて、
 師父の住みかで宴会をしていた。


「さちえさん?それ度数強いのでこっちのシャンパンなんてどうです?」

「甘いですか!?」

「はい甘くて炭酸がしゅわしゅわしてますよー」

「呑みます!」

 ふぃ~危ない、さちえさんが最初に呑もうとしたのがチューハイだった。

 度数は強くはないが、如何せん呑みやすくて悪酔いしやすい。

「のう八仙。どうしても駄目かの?」

 ダル絡みしてくる美さんの要望とは

「絶ッッ対駄目です!なんであんな物に執着するんですか?そもそも所持するだけでも危ういのに‥」

「あーん!いけずう~!!善いではないか、マカロフ一丁くらい!弾セットで格安だったんだ!」

 聴きました?皆さん、お使い頼んだらロシアン銃マカロフ買い込んできやがったのですよ。
 ‥処分しましたよ勿論跡形も無くしてね。
 美さんにはまだ伝えてなかったな。



「馬鹿か?こんな御時世にこの国では必要あるまい。全く、お前は道教崩れ愚か者と変わらんな。それでも天仙か?」

「‥それを腐れ縁のお前の口から云われたからには今の話は無しだな!あの屑と一緒にされたら困るからな!」

 邪仙人師父に諭される天仙人美さんて‥

 そんな二人のやり取りに苦笑いしつつ俺はふととある方向に目線を移す。

「‥ねえマリア」

「ングングッハー!はい?」

 俺が視たのは幻か?否、現実でおきておる。

 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 おれは 目の前の付喪神マリアがジョッキを持ったと思ったら 
 いつのまにか空になっていた

 な… 何を言っているのか わからねーと思うが

 おれも 何故人形がジョッキを空にしたのか
 わからなかった…

 頭がどうにかなりそうだった…

 幻術だとか超吸収だとか

 そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

 もっと人らしいものの片鱗を 味わったぜ…



「あ、えーっとマリアも酒呑めるの?」

「はい、呑めますよ!」

 即答!? え、その身体?どうなってるの??

「‥‥(駄目だこんな光景は始めてだ如何せん付喪神と人の橋渡しをしてきたとは云え、まだまだ素人。付喪神って飲み食いできるっけ?)」

 そんな俺の考えを 
 読み取ったのか、師父が会話に入ってくる


「嗚呼、八仙は妖怪は人に化ける事が出来るのは知っているだろう?」

「‥はい、完全に人の姿はまだ視たことありませんが創作でなら存じ上げてます。」

「どうやら物でも付喪神化したら最初は液体から取り入れてやがて人間と大差無い固形物も食事ができるようになるんだ。」

 マジすか。付喪神凄いなあ‥

「いや、でも食事というよりは吸収なのでは?」

 マリアを観ながら思う

「そうだな最初は吸込みからだやがて想像の口が生えてくる。」

 何それ怖い

「マリア、因みに味覚ってあるの?」
 
 師父のご教示は有り難い

 理解したなら後の疑問は本人に聴いてみるべきだよね。

「はい、最近特にですかね味覚が研ぎ澄まされた感じがしましてこのビールが美味しいです!」


「付喪神化が進んで意思を持ちはじめたんだ中々此処まで善な付喪神妖怪に成長するのは観られないからな八仙、お前にはこれからも橋渡しを任せた。」

「はい!マリア、そのビールが呑めるならこっちの西洋のビールもお勧めだよ。」

「へえ、ゴクゴク‥ハーッ!美味しい!!」

 心を持った人形ってこんなに笑うんだ



 俺は改めて運命とやらに感謝した。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

社会では変人な俺は邪仙人

tukumo
ファンタジー
仙人それはあらゆる縛りを捨てた存在。  生物に存在する寿命を取り払り、ほぼ年を取る事も無く長い時を生きる存在。  人の俗世に嫌気がさし、人との関わりを断ち、山の頂、秘境へと閉じ籠りし存在。  生物の持つ欲求を捨て去り、生命としてより高みへと昇らんとする存在。  仙術を用いて超常の現象を引き起こす存在‥。 なんて御託並べてみたものの、仙人は半分人間性は残しているし。 道徳は耳にタコができるくらい身に付けないと外道に墜ちちゃうから。 数多の修行を乗り越えて昇仙し、新米ながらも邪仙人となった山村八仙は今日もマイペースに修行に明け暮れていたがとある宴会の前日、師の計らいで守護していた地域の土着神の協力の下、異世界へ精神修行へと飛ばされる。 そんなマイペースな邪仙人の不老長寿で強き精神力を追い求めて現代社会には理解できない彼の変わった異世界転移先の日常とは!? 社会では変人な俺は仙人見習いの続編でございますが此方からお読みいただけても楽しめるように投稿して参ります。

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました

七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。 世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。 それが、この世界の 絶対のルール だった。 そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。 異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。 ※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜

月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。 蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。 呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。 泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。 ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。 おっさん若返り異世界ファンタジーです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生仙境記《てんせいせんきょうき》

曇天
ファンタジー
三池 三咲《みいけ みさき》は死んだあと、 仙人が住むという仙境《せんきょう》に昇天し仙人となり、転生する。 自らが仙人となった意味を探し旅をするうち、仙境に迫る危機に巻き込まれていく。

処理中です...