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此処で極めたり
俺が極めるわけ
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とある山奥、「‥‥‥‥」長年雨に打たれ滑らかにそして若干荒く削られた岩の上で座禅を組むひとりの青年。
容姿は流行に疎いシンプルな短髪で独特な着流しにジーパンを履き、首には業務用タオルを掛け、黒い導士靴を履くこの変人‥
彼の名は山村八仙、人里での名と違う。
彼の極めんとする「道」での通り名である。
仙人見習いである八仙は今日もマイペースに修行に明け暮れていた。
深い瞑想に入り込んだ彼の背後から迷いのない真っ直ぐ落とされる鉄拳!
「‥‥‥っ?師父なんですかいきなり殴るなんて」
(のんびり修練)をモットーに、彼の師父である七代目山本付喪仙人の元で基礎仙術と武術と道徳を學び、けして焦らずの精神でこの数年で付喪の名を引き継ぐくらいの実力者になれたのだが。
「お前は仙氣を感じられているが掴めていない。もっと氣を練らんか!」右手は拳を固めたまま左手には酒瓶を握り時折グビグビ飲むこの見た目40歳半ばあたりの男か女かわからない華奢なひとが俺の師、付喪仙人である。(年齢不詳)
「はい、でも殴るにしても強かあないですかね?たんこぶできました」
「あ?1割も力出してないぞ見習いだから手加減している」
そう、師父の言葉通りまだ見習いなのだ。
お伽噺に出てくるような仙人になるにはまだまだ修行不足であり、
そもそも齢23と若僧である。
しかし、見習いとはいえ導士から仙人にこの短期間でなれたのは奇跡と言うべきだろう。
実際、俺の師父も「稀に現る物好き」と評価?していたのだ。
「氣を練り呼吸と連携させることにより初めて仙氣となる‥お前はそれを身をもって日々着実にできているそれは良い、が、いつまでも不老長寿にはなれん、だから‥」
「さらに肉体と精神をバランス良く鍛え周囲に眼を配れ気配を探れ‥ですね?」
「そうだ、お前は精神が弱い。陽を浴び沢山氣を取込み練って蓄えあとは良く學び、良く食べ、良く休み良く動いて良く眠れ。」
「亀‥いえ、精進します!」
「‥‥‥うむ」
俺はリアルな仙人も同じ考えだなぁと若干首を傾げる師父を眺めながら師父と出会った日を思い出す。
あれは今から9年か10年前になる。
当時、中学生で虐められていたのを機に親の協力の元、地区が逆方向の学校へ転校し良い先輩には恵まれたことに感謝しつつ、自分のたるんだ容姿や肉体とはまるで幼い己れの感情にモヤモヤする下校途中。
たまに寄る近くの河原で木刀で素振りをする師父と何回か遭遇する間にたまに話す程度の関係になったのが縁、この時の俺は常人より劣っていたが、日々をなんとなく生きるのであった。
現在をみたらきっと驚くんだろうなと師父と会話するなかフッと微笑む。
俺が仙道を進むきっかけは一人立ちした新天地で偶々師父と再び出会った事だった。
俺成りの生き方を模索するなかで何か感じ取れた‥気がしたのである。
「なあ、お前はどうしてこの道を進むんだ?」
師父が珍しくそう問いかける
「そらあ、師父が教えてくれた生き方が俺に合っているからですよ」
俺はちょっとどや顔で返した
「‥‥‥グビグビ」返答なく酒を煽る師父
「え、照れてます?」そしてからかう俺
「私は、お前がこの先どう生き抜くか見物だと思う」
正直戸惑うが妙に神妙で柔和な表情をみると絶賛してくれているんだろうか。
「ありがとうございます」素直に礼を述べる
「あ、来週また放浪してくるから酒の買いだめしておけよ」
「は?またですか!?今月中半月は何処か流れていたじゃないですかー!」
「最近は短くしているだろう」
「でも‥探すの面倒なんですが」
そう、我が師付喪仙人は放浪癖があるそれに此方から探して顔を会わせないと基本音信不通になる
「大丈夫、今回はお前に連絡よこすから、な!」
「‥いきなり公衆電話や不明着信でくると対応しがたいんですが?」
師父は基本スマホや電子機器の類いは持ち歩かない、公衆電話や旅先で仲良くなった知り合いの家から電話を掛けてくるので正直びびる。
「まあまあ、今回はここから南の海岸沿いにいるから2~3日でここに戻る。」
カラカラと嗤う師父それを聞いてため息を吐く俺
「解りましたじゃあ2日後辺りにここに酒持って来ます」
「うむ、頼んだじゃあ、行ってくる」
そういうやいなやとあっという間に南下するもうゴマ粒くらい先にいるし‥
「縮地使ったな師父‥」
縮地とはゼロ距離から一瞬で前進できる仙術の一つ。
古武術で使われる縮地とは違い、極めると何千、何万里向こうに障害物回避せずとも行ける。
「‥さて、今日はアパートに帰るか」
久々に湯船に浸かり1杯やろうと思うんだ
容姿は流行に疎いシンプルな短髪で独特な着流しにジーパンを履き、首には業務用タオルを掛け、黒い導士靴を履くこの変人‥
彼の名は山村八仙、人里での名と違う。
彼の極めんとする「道」での通り名である。
仙人見習いである八仙は今日もマイペースに修行に明け暮れていた。
深い瞑想に入り込んだ彼の背後から迷いのない真っ直ぐ落とされる鉄拳!
「‥‥‥っ?師父なんですかいきなり殴るなんて」
(のんびり修練)をモットーに、彼の師父である七代目山本付喪仙人の元で基礎仙術と武術と道徳を學び、けして焦らずの精神でこの数年で付喪の名を引き継ぐくらいの実力者になれたのだが。
「お前は仙氣を感じられているが掴めていない。もっと氣を練らんか!」右手は拳を固めたまま左手には酒瓶を握り時折グビグビ飲むこの見た目40歳半ばあたりの男か女かわからない華奢なひとが俺の師、付喪仙人である。(年齢不詳)
「はい、でも殴るにしても強かあないですかね?たんこぶできました」
「あ?1割も力出してないぞ見習いだから手加減している」
そう、師父の言葉通りまだ見習いなのだ。
お伽噺に出てくるような仙人になるにはまだまだ修行不足であり、
そもそも齢23と若僧である。
しかし、見習いとはいえ導士から仙人にこの短期間でなれたのは奇跡と言うべきだろう。
実際、俺の師父も「稀に現る物好き」と評価?していたのだ。
「氣を練り呼吸と連携させることにより初めて仙氣となる‥お前はそれを身をもって日々着実にできているそれは良い、が、いつまでも不老長寿にはなれん、だから‥」
「さらに肉体と精神をバランス良く鍛え周囲に眼を配れ気配を探れ‥ですね?」
「そうだ、お前は精神が弱い。陽を浴び沢山氣を取込み練って蓄えあとは良く學び、良く食べ、良く休み良く動いて良く眠れ。」
「亀‥いえ、精進します!」
「‥‥‥うむ」
俺はリアルな仙人も同じ考えだなぁと若干首を傾げる師父を眺めながら師父と出会った日を思い出す。
あれは今から9年か10年前になる。
当時、中学生で虐められていたのを機に親の協力の元、地区が逆方向の学校へ転校し良い先輩には恵まれたことに感謝しつつ、自分のたるんだ容姿や肉体とはまるで幼い己れの感情にモヤモヤする下校途中。
たまに寄る近くの河原で木刀で素振りをする師父と何回か遭遇する間にたまに話す程度の関係になったのが縁、この時の俺は常人より劣っていたが、日々をなんとなく生きるのであった。
現在をみたらきっと驚くんだろうなと師父と会話するなかフッと微笑む。
俺が仙道を進むきっかけは一人立ちした新天地で偶々師父と再び出会った事だった。
俺成りの生き方を模索するなかで何か感じ取れた‥気がしたのである。
「なあ、お前はどうしてこの道を進むんだ?」
師父が珍しくそう問いかける
「そらあ、師父が教えてくれた生き方が俺に合っているからですよ」
俺はちょっとどや顔で返した
「‥‥‥グビグビ」返答なく酒を煽る師父
「え、照れてます?」そしてからかう俺
「私は、お前がこの先どう生き抜くか見物だと思う」
正直戸惑うが妙に神妙で柔和な表情をみると絶賛してくれているんだろうか。
「ありがとうございます」素直に礼を述べる
「あ、来週また放浪してくるから酒の買いだめしておけよ」
「は?またですか!?今月中半月は何処か流れていたじゃないですかー!」
「最近は短くしているだろう」
「でも‥探すの面倒なんですが」
そう、我が師付喪仙人は放浪癖があるそれに此方から探して顔を会わせないと基本音信不通になる
「大丈夫、今回はお前に連絡よこすから、な!」
「‥いきなり公衆電話や不明着信でくると対応しがたいんですが?」
師父は基本スマホや電子機器の類いは持ち歩かない、公衆電話や旅先で仲良くなった知り合いの家から電話を掛けてくるので正直びびる。
「まあまあ、今回はここから南の海岸沿いにいるから2~3日でここに戻る。」
カラカラと嗤う師父それを聞いてため息を吐く俺
「解りましたじゃあ2日後辺りにここに酒持って来ます」
「うむ、頼んだじゃあ、行ってくる」
そういうやいなやとあっという間に南下するもうゴマ粒くらい先にいるし‥
「縮地使ったな師父‥」
縮地とはゼロ距離から一瞬で前進できる仙術の一つ。
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