tukumo 短編集

tukumo

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おまえは誰だ?

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 お盆も地域によってはとっくに終わった真夏の午後9時を回る頃、ふと自分の目が霞んできたので目薬をとりに寝室へ向かう。


「だれだ!」

 寝室の扉を開けると真っ黒い人影が立っていた驚いた私は廊下に立て掛けてあるった金属バットを手に取り改めて問いかける。

「盗人か?なんにせよ不法侵入だ、警察を呼ぶから余計な抵抗はよせよな」


「………」


 妙だ…先程から目の前の奴は動かないし一言も喋らないそもそも、いくら目が眩んで暗い部屋とはいえ視界の認識はできる。


「なあ一つ聞きたいんだが何処から入った?窓も割れてないようだし天井も大きさ的にもあり得ないだろうし…」

 私は何もただただこちらを向く奴に得たいの知れない恐怖を覚えた

 金属バットを構え、続けて質問する


「なにが目的なんだ?金か?それとも」

 私の質問に少し間をおいて奴はボソッと答えた

「おまえは誰だ?」

「は?」何を言っているんだろうか

「私からすれば人様の家に勝手に入ってきたあんたが誰か知りたい」

 若干苛立ちを覚えながら捲し立てる

「私ハオマエでおまえがワタシだ…」
 そういうとスーッと目の前の奴は消えていった。

「…どういう意味だ?一心同体ってことか、それともいや、そもそも本当になんだったんだ?消えたぞ」


 怖い、という感情より不思議と奴の言葉の真の意味を知りたくなった。


 ―60年後ー

「それで儂な、最近その言葉の意味を身をもって知ることになったんじゃよ」


「ふーん、そのお化けは結局なんだったの?」

「お化けではないのう、あれは儂であり儂でないものという奴じゃよ」


「よく解んな~い」


「フフフッいずれ解る時がくるさ、切なくてやるせなさやもどかしさという感情も同時にのし掛かってくるだろうがね。」



 私が視ているものは私が経験し得るものである
 どんな姿形になろうがね。

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