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賞金首

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 とある酒場にて、男は計り升の酒を仰ぎながら一点に気を這っていた。

「親父、つまみ適当に持ってこい」

「へえ‥お侍様、その前にツケを払って頂かないとあっしの店は赤字で潰れてしまいやす‥」

「あ?儂の刀の錆びになりたいのか、そうか表へ出ろ!」

「ひいっ!勘弁をおおっ!」

 真っ昼間から酒場には旗本の七光りの腰抜け侍が入り浸る‥と聞いていたが本当のようだ。


「おい、へっぽこ侍」

「おん?お、お主!儂を愚弄したな!?旗本の三万石の長男ぞ!?」

「お前が家督を継いだら御家取り潰しは秒読みだろうよ。お上から斬り捨ての許可は出ておる、遥々江戸から此処まで来たんだ首出せ。」


「な、儂を斬り捨てるだと‥!父上は?お上に取り下げ願いを‥」

「お前の親父は此処へ来る道中に斬った、馬鹿な息子の親も命は惜しいんだな。首に100両掛けられてたんで私に100両渡して見逃して貰えるようととりはかって来やがる。」

 まあ、斬って首は御所に送ったがな‥


「お前さんら親子は散々御上を盾に楽しんだんだろう?年貢の納め時って奴だ」

 そう私が良い放つや否や馬鹿息子は店内で刀を抜く。


「おいおい‥刀の扱い方を知らない坊っちゃん狭い店ん中じゃあそんな抜き型しちゃいけねぇよ」


 私は逆手斬りで正眼構えの奴の持ち手の指を数本斬る。

「ギャアアッ!儂の指が!!」

「店主、すまんが片付けといてくれ幾らか置いておくから。」

「へ、へい‥あ、お侍様こんなにお代は頂けません。」

「店を汚したんだ、この分は取って置け!おい、行くぞ。」

 右親指、左人差し指、中指負傷の馬鹿を外へ連れだし人気のない雑木林へ向かう


「さて、お前さんの首を届けたら私のお役目は終わる。‥前に直れ」

「怨めしい‥!」

 辞世の句は怨めしいと‥


 御所に首桶に入った親子の塩漬けされた首を提出、また彼らの死ぬ直後、場所、日時と事細かく紙に記し提出。


 これにて計200両の金須を手に入れ、江戸へと戻る。
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