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第一章 クッキング無双への一歩

帝王との謁見

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 翌朝、俺は妹のために何時ものように朝食の支度をしていた。

「今日は畑で採れた野菜をふんだんに使った煮込みスープと、市場で仕入れたオーガの肉と、黒豆を小麦で練って作ったスティックパン!」

「おはよう‥お兄ちゃん、表が騒がしくて早く起きちゃったよ、、」

「おはよう。そういや、さっきから玄関先が異様に賑やか‥あ。」

 いけない、今日の可能性高いよね‥帝王の謁見

「さっきからお兄ちゃんの事を呼んでいたような気がする‥」

「うん、そうだと思う。今日が帝王様と謁見出きるのかもしれない、、朝食は用意したから食べてね?食器は洗わなくていいから、ちょっとお兄ちゃんは城に行ってくるよ!」

 眠気まなこな妹は「行ってらっしゃい」と言い食卓へ向かう。
 俺は、急いで待たせているであろう玄関口へと向かう、、

 ガチャッ「おお!シモツキ君、帝王から謁見の許可が下りた。今から王城へ向かうが、大丈夫かね?」

 ギルド所長のカリノスさんと、何やらガチガチの鎧で固めた兵士さん達が、馬車を引き入れやってきた。

「取り敢えずこれ、正装の服。時間はまだ余裕あるから着替えてきてくれる?」

「わかりました。良ければ皆さん、此方‥妹と共同で試作した飴玉いかがですか?帝都からこんな辺鄙な場所まで来ていただいたお礼という形で」

 妹と共同で試作した飴玉。これは舐めるとHPが少回復、バフで筋力強化と、半日は走り続けても疲れない効果がある(試作途中改良の余地あり)
 勿論効果も説明した。

「なんと!早速シモツキ君のジョブが生かされるとは!うむ、力がみなぎってくる」

 所長の様子を見て兵士さん達も口に運ぶ

「!ぬお‥」「これは‥」「効果がすぐに現れるだと!?」

「「「昨夜の軍事演習の疲れがない!」」」

 兵隊さんはたいへんだ‥

「これはまだ改良途中でして‥疲れは半日は吹き飛ばしてくれますよ。」

「お兄ちゃん!実は、改良版昨夜完成したんだけれど‥」ヒョコっと妹が顔を出した

 うちの妹は天才過ぎるよ、、考案は俺だけども魔力は殆んど妹のだし‥でも、、、

「いやまだ安全性が確立してないでしょう?後で被験者実験に付き合ってあげるから。朝食を済ませて歯を磨いて、学校へ向かいなさい」

「もう食べ終わったし、歯も磨いたし、準備万端だよ!」

「そうか、じゃあ気を付けてな」

「うん、行って来ま~す!」

 うーん笑顔が眩しい‥

「仲睦まじい兄妹ですな私も、故郷の息子達に会いたい、、、」

「ワシは隣国に越した孫達に‥」

「我輩は‥実家が近いからって疎遠になってたけれど、久々に母ちゃんの顔を拝もうと思うであります!」


 兵士さんも命掛けた仕事をこなしていくなか、愛する家族に逢えないのは辛いよね‥
 つい涙腺が緩みそうになる。

「あーシモツキ君、そろそろ着替えてきてくれないとヤバイかも‥」

「!今支度してきます」


 (((我々はシモツキ殿と仲良くなりたい!!)))

 ~3人の兵士さん達は、いつの間にか俺を尊敬の意を現していた。彼らは酒場で共に呑んだり、駄弁りたいと思っていた~
 
 ※たった今、会話したくらいでこんなに惚れられてしまうのには実は、シモツキのスキル(目利き)がある。
 本来このスキルは、スキルを持った者にしか扱えないが、兄のシモツキが天才と絶賛する妹であるナガツキの魔力と、シモツキ本人の調理スキルで作られたものであるが為、食べさせた相手にもスキルが付与されるのである。

 つまり兵士達は無意識に(目利き)を発動し、心から仲良くなりたいと思ったのだ。
 当の本人は全く知らず、急いで正装に着替えている。

 後に‥この3人の兵士さん達からどんどんと人脈が広がるのは、もう少し先の話。


 因みに、ギルド所長カリノスは「やるなあ‥」
 スキル(目利き)で現状を把握し感心していた。


 ~数分後~


「これ、着方あってます?」
 
 若干ぶかぶかで質の良い生地に慣れなく、違和感まみれに思えた。

「サイズが少し大きかったか、まあ大丈夫!さあ馬車に乗って、王城まで突っ走るよ」

「あ、はい‥(あ、手綱はギルド所長がやるんか)」

「「「我々も今なら最新記録の乗馬捌きができそうです!」」」

「「「「では!ヒャッハーッ!!」」」」

 所長も叫ぶんか~い

 謎のハイテンションで俺を乗せた馬車と兵士さん達が率いる愛馬達が爆走と王城へと向かう

 もしや‥飴玉の効果強すぎたのでは?
 このまま粗相を犯してみんな仲良く打首にならないか、ハラハラしたがなんの音沙汰もなく無事帝都中心にそびえ建つ大きな城、サンサイ城。

 ‥まあ音沙汰もなくというか、通りすがりの皆さんポカーンとしてただけだけどね。
 パニック起こされなくて良かった?よな‥

 そして案内兵に王の謁見の間へ案内された

「此方でございます」
 
 扉が開かれる

「よくぞ参ったさあ此方へ来なさい」

 取り敢えず作法が解らんからカリノス所長の真似をして帝王の前で跪く

「おもてをあげい」宰相さん?が叫ぶお前が言うんかーい!

「いやいやお前が言うのかい!余のセリフだろう?何故言った!せっかく帝王らしくキメてやろうと思ったのにバカ!」

「帝王‥らしくいきましょうあなた様は城下町では陽気な優しいおじ‥帝王様と親しまれてますぞ」


「はあ!?何それ、嬉しいけども余をおじさん?おじいさんどっちかによっては処すぞ!?」


「まあまあ帝王様今は目の前のお客人を」

「きみねぇ‥んんッ嗚呼、失礼した」

 あの宰相できる‥俺はあの宰相さんとツッコミ合戦をしたくなったのは秘密

「まあ余らはな‥シモツキ君だっけ?」

「はい、シモツキと申します」

「うむ。余ら王族も貴族もキミの意思を尊重するからのう?本当は今すぐに我が宮廷料理人になって貰いたいのじゃが、、」

「おや?帝王様、私らが作る料理ではご不満でしたか、それでは暫く休暇をとらせて貰っても‥」

「待って!違う、キミ達が作る料理が嗜好なの!ただシモツキ君も入ったら面白そうな事になるんじゃないかって。」

「しかし、シモツキ殿には私共が束になっても勝てませんよ、、暫く休暇を‥」

「ごめんて!有給消化はしっかりさせるから」

 やはりあの宰相できる!

「あのう帝王さま?私としては冒険者になってFランクからコツコツ経験を積みたいんです」

「うむ!先程も申した通り、余らも無理に引き込まぬし、お主の意思を尊重するぞ。でも‥Fランクからでよいのか?余の一声ならSランクから始められるが」

「ちょっ、帝王さま?それは、我々ギルドからして他の冒険者から反感を買いますので‥」

「ふむ?そうなのか、余が直々におもてだって伝えれば‥」
「帝王?奥さまに以前似たような事でお叱りになられていた筈ですが」

「‥なーんてな?余はFランクからコツコツ経験を積むのはどんな身分の者であろうと大事だとおもうぞ!良し、では代わりに何か困り事が有れば余を頼れ!城の行き来は自由にしてやるから」

 え、今日逢ったばかりなのに?信頼され過ぎでは?
「あのう帝王さま?とても有難いお話ですが今日お目にかかって少し話しただけのこの田舎者の私を、お城の行き来自由は流石に‥迷惑では御座いません?」

「ハッハッハ!いつでも遊びに来なさい。余は最近誰も構ってくれなくて暇なんじゃ‥暫くはお主は冒険者として基本的な事を学ばなくてはならんじゃろうが、いつでも来なさい。夜中でも大歓迎じゃ!」

「帝王様‥私もシモツキ殿の城を行き来は大歓迎ですがね、我々は暇ではないのですよ。誰か様が仕事を押し付けてくるわ、直ぐサボるわで‥」

 愚痴愚痴と宰相さんは帝王様に文句交じりのお説教を開始した!!

 やっぱりあの宰相さんできる‥!

 ~閑話休題~


「では、我々は戻ります」
「頑張って冒険者として腕を上げてみせます」

「うむ、余はこれからが超楽しみじゃあ」

「カリノス殿、シモツキ殿、我ら帝王様の元で働く者共はこれからの活躍に陰ながら応援させて貰います。シモツキ殿、頑張っ!」

「はい!」

 宰相さんの握り拳頑張っ!ポーズにつられちゃったよ(笑)

「「失礼します」」


 ~馬車にて~

「手綱は流石に帰りは任せたんですね。」

「あー、行きはなんか自分でやった方が早いだろうなと思ってね。ところで、どうだった?初めての帝王との謁見は?」

「いやあ‥なかなかフランクなお方で。あと、宰相さんがなかなかの強者だなあ‥と」

「フフッ、きみは見る目がなかなかいい。城の行き来は自由にって、許可を貰えただろう?あの帝王様の事だから1ヶ月以内に一回は顔を逢わせてあげて。アポはいらんし全然顔パスだろうから」

「はあ‥やはり1ヶ月過ぎると帝王様暴走しちゃう感じですか?」

 クククッと愉快に笑う所長

「まあ私は馴れたけれどね。定期的に顔を見せてあげて、ただ初めは冒険者としての基礎訓練として、一日実戦講習を受けてその後‥キミはパーティー勧誘で引っ張りだこになるだろうから1ヶ月はお会いできないさ。フフッ」

「‥取り敢えずソロで活躍できるよう、基礎を早く熟知できるように頑張ります」

 俺はこの国に生まれて良かったなと
 つくづく思うのであった。





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