クッキング無双  (不定期更新)

tukumo

文字の大きさ
上 下
1 / 16
第一章 クッキング無双への一歩

妹は天才なんだぜ

しおりを挟む
 ‥できる兄の朝は早い。魔法使いを目指す妹のナガツキは、都立ローズ魔法学校へ通っている。
 兄の俺がいうのもなんだが、天才なんだ‥!
 
 本来は寮暮らしなのだが、自宅が近い事と自宅に籠って、アルバイトで錬金術師をやっている。
 
 最早‥錬金術師を名乗っているので、本職はそっちだと兄の俺は思う。

 親は幼い頃、親父もお袋も結構強い冒険者だったが‥クエストの途中、逃げ遅れた村人を救うため、犠牲になって死んだ‥

 なに、もう何年も前の事で、今は農家のダラル爺さんの処で畑借りて、
 我が家の食糧を育てたり、妹の被験体をやったり、稼ぎ頭が妹なのが今の状況なのだが‥
 
 今日、俺は15歳になる。
 妹を見送ったら、冒険者ギルドで適正職業の鑑定を依頼して貰い、冒険者として出稼ぎに出ようと思うんだ。

「お兄ちゃんおはよう」妹の目の隈が凄い‥

「おはよう、また徹夜したのか?」

「うん、もう少しで3日は飲まず食わずで動き回れるスーパーエナジードリンクが完成しそうなの!!」

「何それ、健康に悪そうだなぁ‥朝御飯できているから顔洗ってきな」

「うん」

 このように我が妹は錬金術で色んなものを開発する。
 そして飛ぶように売れるんだが‥魔法薬って健康に悪いイメージがあるから苦手だ
 というより、毎度開発途中の物を、最終的に飲まされるから‥
 今回のスーパーエナジードリンクとやらも、試飲させられるのだろう。

 朝食を食卓のテーブルに並べる。
 シンプルに砂糖多めの卵焼き、
 フライパンで焼いた一次発酵で作るパンにコーンポテトスープだ!


「いただきます」「召し上がれ」

 俺の役割は、家事全般と食糧の確保が基本だが‥
 本当は、金銭で稼いで妹の学費に宛てたいんだ。


「じゃあ、ちょと俺はダラル爺さんの畑行ってくるわ」

「うん‥お兄ちゃんこれ、、」
 スッと小綺麗な木箱を渡される

「今日はお兄ちゃんの誕生日でしょう。あと‥、
 ギルド行くんでしょう?だからあげる!」

 照れくさそうに、早口で捲し立てあげる

 中を開けてみると、そこには灰色一色のシンプルなリングがあった。

「おー!格好いい‥我が妹の事だ、これ何かしら仕掛けがあるの?」

「そうだよ♪指に嵌めてこう‥空中に円を描いてみて」

「こうか?‥うおッ!別空間が現れた!?」

 フフンと、得意気な妹はこう語る

「これはね、私が前に発明した、魔法袋のリングバージョン。
 どんなものでも、どんなに大きくても、詰められる容量は無限、また円を描けば収納完了だよ」

 再び円を描いてみる。

「おお、本当に空間が戻った‥これなら調理器具や納品物だって、クエスト中に運べる‥」

 我が妹はやはり天才だった

「有り難う、これをうまく使ってそこそこ強い冒険者になって見せるからな!」

「うん‥でも無茶しないでね?お兄ちゃんがいなくなったら私は、、」

 妹が悲しむ顔は、もう見たくない。

「ああ勿論、冒険者になっても戦いには不向きだろうし、、薬草採集や納品クエスト中心になるだろうさ」

「え?お兄ちゃんは‥」

「ん?どした」

「‥なんでもない、どうせギルドで鑑定して貰えば直ぐ解るよ!」

「???」

 よく解らんが、まあいいか

「じゃあ、そろそろ行ってくるよ‥あ、ダラル爺さんところで畑作してから、ギルドで鑑定してそのまま依頼受けてくるかも‥そしたら今日は帰るの遅くなるから、作り置きの夕飯は魔力倉庫にいれてあるから食べておいてくれ。」

「わかった」


「じゃあ行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」


 妹に素晴らしいプレゼントを貰った俺は、
 鼻唄交じりにダラル爺さんところへ向かった。



「おっす爺さん、今日も畑借りるぞ」

「おお、シモツキか!相変わらずくそ真面目じゃなあ‥儂の畑の一部を貸したとはいえ、お前の場所は良好な土になって良い作物が育っておる」

「せっかく貸して貰ったし、食糧調達できるなら良いもん育てて美味いものを妹に食べさせたいじゃんか」

「まあそれは一理あるがな?貸し出しといてなんだがその区域はとくに土壌が最悪だったんだが‥」

「だからタダ(収穫物数割り献上)で貸してくれたんでしょう?」

「だから驚いておるというか‥芋か豆くらいしか育たぬ土地を果物の木まで生やす程良質な土に換えるって、本当儂は80余念生きてきて初めてシモツキのような若造に未来があるんだと実感させられたわい!」

「お世辞でも、そう言って貰えると嬉しいね!」

「「ワハハハッ!」」

 今日は、いい天気だ‥もう少し手入れをしたら
 ギルドへ向かうとしよう。


 ~ギルド~


「ほえー‥おっきいなあ」

 クエストボードには沢山の依頼が、
 併設されたbarは、まだ昼頃だって言うのに酒を飲む冒険者がちらほらいる。

 取り敢えず受付カウンターへ向かう。

「ようこそ、サンサイ帝国フキのギルドへ!」

「今日で15歳になりまして、ギルドに加入したいのですが、その前に適正な職種を鑑定して貰いたくて‥」

「畏まりました、新たな冒険者様は大歓迎です!此方の、ジョブ鑑定魔石に手を触れて頂けますか?」

 水晶のような淡い赤色の魔石が、ステータスを計ってくれる。

「はい」手をかざす

「ふむ‥ん!?」あからさまに驚いた顔の受付嬢
「しょ、少々お待ち下さい」
 受付嬢は、カウンター奥の控え室へ向かった。

 バタバタと受付嬢と、なにやらお偉いさんらしき方が出てきた。魔石に出たステータス画面を眺める‥

「‥成る程本物だ」
 
 なにやら興奮気味の様だが、なんだろう?
 ユニークスキルでもあったらいいな‥

「キミが今日から冒険者になりたいという子か、名前は?」

「シモツキです」

「そうかそうか!おっと、申し遅れた私はこのフキのギルド所長を勤めるカリノスだ。
 いやぁ‥キミはどうやらとんでもない天職を初期からお持ちのようだ」

「え?」

「魔族や魔物が蔓延るこの世の中、
 力で成り上がれる冒険者は‥誰でもなれるし、なりたい職業だ。戦士、魔法使い、僧侶、盗賊と‥他にも数多の職種が存在するなか、ある職業‥
 ギルドも貴族も王族も喉から手が出る程手元に置いておきたい逸材、それは戦闘料理人!
攻守共に支援&戦闘も御手の物‥バフやデバフ、、魔物迄手懐けてしまう究極の職種‥最近は、滅多に存在しない職業ジョブでね、、、シモツキ君がその職業の適正であり、ステータスをみる限りそれなりにレベルがもう上がっているね‥普段何をしているんだい?」

 俺が戦闘料理人?

「幼い頃、両親がクエストの途中で死んでから、妹と2人で過ごしてきたのですが、食糧確保の為に畑を耕したり、家事全般したり、妹の実験体になったりするだけで、凄いのは稼ぎ頭の俺の妹ですがね。」

「成る程?ざっくり説明して貰ったが、
 なにやら納得いったよ。毒耐性付きで体力HPはその年にしては高い。スキルに(自動蘇生)や(目利き)があるし、ユニークスキルはこれまた珍しい、【創造】がある。」

「普段の生活が冒険者として役にたちそうですか?」

「むしろ、此方がギルドに加入してと懇願するものだが‥おっと、、その前に帝王に謁見の許可を貰わねば‥」
 
 いきなり城へ!?

「ごめんね?さっきも話した通り、王族も貴族も喉から手が出る程欲しい職業ジョブだからね。今のうちに報告して、シモツキ君は冒険者希望です!って伝えないと行けないからさあ。
 謁見の許可が下りたらキミの家に迎えをよこすから、今日は家に帰って待機してて貰える?」

「解りました‥ちなみに帝王との謁見ではドレスコード必須ですか?」

「我々ギルドが貸し出すから安心して!」

 頼もしいなあ

「では、シモツキ君また会おう」

「では失礼します」

 ギルドを後にする。俺がそんな凄いジョブになれるとは、実感沸かないなあ‥

 でも、頑張ればその分普通のジョブよりも賃金良いのかもしれない!

 早く帰って妹に報告しよう。思ったより早く帰れるから夕飯の支度しよう!
 キノコのパイユをメインにしますか。そうと決まれば市場へ向かう

 良い材料が安く手に入り
 沢山買ってしまったが、妹から貰ったマジックリングで収納したから楽チンである。
 帰宅後自宅で調理しながら妹を待った


「ただいま」「お帰り~」

「あれ?お兄ちゃん早いね」

「ふふ、妹よ実はな‥」事の経緯を話す

「やっぱりねえ、、あとは魔力MPは平均より少ないからそこをはね上げる薬をつくるね!」

「ちょいまち!え、なんで驚かないの?」

「だって‥私の実験データでお兄ちゃんのステータスやスキルは、何時でも観れたから」

 やだっ‥うちの妹は天才!

「取り敢えず夕飯、今日はキノコのパイユだぞ~」

「わあい!」

 俺も‥地道に頑張るぞ!

「ああ、そういやプレゼントで貰ったマジックリング。早速、買い出しで使ったけどさ‥便利すぎない?実質手ぶらで帰れたよ、本当に有り難う」

「実は、まだ改良の余地があるから、、
 材料が揃ったらバージョンアップさせてね?」

 やだっうちの妹本当に天才!




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

都市伝説と呼ばれて

松虫大
ファンタジー
アルテミラ王国の辺境カモフの地方都市サザン。 この街では十年程前からある人物の噂が囁かれていた。 曰く『領主様に隠し子がいるらしい』 曰く『領主様が密かに匿い、人知れず塩坑の奥で育てている子供がいるそうだ』 曰く『かつて暗殺された子供が、夜な夜な復習するため街を徘徊しているらしい』 曰く『路地裏や屋根裏から覗く目が、言うことを聞かない子供をさらっていく』 曰く『領主様の隠し子が、フォレスの姫様を救ったそうだ』等々・・・・ 眉唾な噂が大半であったが、娯楽の少ない土地柄だけにその噂は尾鰭を付けて広く広まっていた。 しかし、その子供の姿を実際に見た者は誰もおらず、その存在を信じる者はほとんどいなかった。 いつしかその少年はこの街の都市伝説のひとつとなっていた。 ある年、サザンの春の市に現れた金髪の少年は、街の暴れん坊ユーリに目を付けられる。 この二人の出会いをきっかけに都市伝説と呼ばれた少年が、本当の伝説へと駆け上っていく異世界戦記。 小説家になろう、カクヨムでも公開してましたが、この度アルファポリスでも公開することにしました。

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

聖女の孫だけど冒険者になるよ!

春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。 12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。 ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。 基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...