36 / 65
第36話 オーガ、撃退
しおりを挟む
オーガの咆哮も、人々の悲鳴も、戦いの喧騒も消えた。
音が消えたと思った次の瞬間、防壁の向こう側から歓声が上がった。
「立て続けにオーガをヤッちまたぞ!」
「どこの誰だ?」
「スゲー攻撃魔法だったぞ!」
「あんな攻撃魔法、初めて見た!」
驚きと称賛の声が飛び交う。
まだ四体のオーガを残しているというのに、集まった住民たちが歓喜に湧き返る。
触発されたように防衛ラインの冒険者たちまでもが歓声を上げた。
「勝てるぞ!」
「あと四体だ! ヤッちまえ!」
「おい、お前ら! 坊やに負けてる場合じゃねえぞ!」
「このままじゃ、見せ場を全部持ってかれちまう」
なかには、上空に向けて火球を撃ちあげる者までいる。
おいおい、大丈夫か?
爆風で転がされているが、まだ四体のオーガが残っているんだぞ。
内心でそう思いながらも、つい、口元が綻んでしまう。
いいねー、この感じ。
やる気が漲ってくるじゃないか。
「ふはははは」
だめだ、笑いが零れてしまう。
もっとだ!
もっと驚け! 驚愕しろ!
もっとだ!
もっと称賛しろ! 俺を湛えろ!
口にはだせないな。
人々が歓声を上げ、驚きの声が上がるのを待った。
地面に転がったオーガ四体をそっちのけで冒険者や住民たちが沸き返り、俺のボルテージは天井知らずに上がる。
冒険者たちが迎撃しないなら都合がいい、残るオーガ四体のスキルもこちらで頂くとしよう。
たったいま入手したスキルも役立ちそうなものが目に付く。
『回復』『再生』『強靭』『怪力』『硬化』……、アンデッド・オーガから剥奪したのとは異なるスキル。
戦闘後の錬金術が楽しみになる。
それじゃ、残るオーガ四体のスキルを奪うことにしよう。
「広域の攻撃魔法を放つ!」
冒険者たちに警告を発する。
三度目ともなると慣れたもので、手際よく全員が身を隠した。
慣れるのは俺も一緒である。
反応の遅れたロッテと彼女を庇うユリアーナの二人を、再び多重構造の空気の壁で守りながら攻撃魔法を放った。
オーガと冒険者たちの間に炎の壁が燃え上がり、爆風が土煙を巻き上げる。
どちらも殺傷能力の低いこけ脅しの魔法。
その陰で錬金工房にオーガを収納し、スキルと魔力を剥奪して吐きだす。
手慣れた手順。
先程と同じように冒険者たちの視界を奪っている間に四体のオーガに止めとなる攻撃魔法を撃ちこんだ。
束の間の静寂。
土煙が晴れて視界が戻るとオーガの死体が人々の目にさらされる。
途端、空気を震わせるほどの歓声が上がった。
防壁の内と外とで歓声が上がりる。
「あんなスゲー魔法初めて見た!」
「スゲーぞ、あの小僧」
「坊や! 凄かったぞ!」
「あんた、いったい何者なんだ?」
歓声に続いて俺を讃える声援がそこかしこから上がる。
俺は腹の底から湧き上がる歓喜を抑えて、ユリアーナとロッテの二人と合流するため、バリケードの向こう側へと向かった。
音が消えたと思った次の瞬間、防壁の向こう側から歓声が上がった。
「立て続けにオーガをヤッちまたぞ!」
「どこの誰だ?」
「スゲー攻撃魔法だったぞ!」
「あんな攻撃魔法、初めて見た!」
驚きと称賛の声が飛び交う。
まだ四体のオーガを残しているというのに、集まった住民たちが歓喜に湧き返る。
触発されたように防衛ラインの冒険者たちまでもが歓声を上げた。
「勝てるぞ!」
「あと四体だ! ヤッちまえ!」
「おい、お前ら! 坊やに負けてる場合じゃねえぞ!」
「このままじゃ、見せ場を全部持ってかれちまう」
なかには、上空に向けて火球を撃ちあげる者までいる。
おいおい、大丈夫か?
爆風で転がされているが、まだ四体のオーガが残っているんだぞ。
内心でそう思いながらも、つい、口元が綻んでしまう。
いいねー、この感じ。
やる気が漲ってくるじゃないか。
「ふはははは」
だめだ、笑いが零れてしまう。
もっとだ!
もっと驚け! 驚愕しろ!
もっとだ!
もっと称賛しろ! 俺を湛えろ!
口にはだせないな。
人々が歓声を上げ、驚きの声が上がるのを待った。
地面に転がったオーガ四体をそっちのけで冒険者や住民たちが沸き返り、俺のボルテージは天井知らずに上がる。
冒険者たちが迎撃しないなら都合がいい、残るオーガ四体のスキルもこちらで頂くとしよう。
たったいま入手したスキルも役立ちそうなものが目に付く。
『回復』『再生』『強靭』『怪力』『硬化』……、アンデッド・オーガから剥奪したのとは異なるスキル。
戦闘後の錬金術が楽しみになる。
それじゃ、残るオーガ四体のスキルを奪うことにしよう。
「広域の攻撃魔法を放つ!」
冒険者たちに警告を発する。
三度目ともなると慣れたもので、手際よく全員が身を隠した。
慣れるのは俺も一緒である。
反応の遅れたロッテと彼女を庇うユリアーナの二人を、再び多重構造の空気の壁で守りながら攻撃魔法を放った。
オーガと冒険者たちの間に炎の壁が燃え上がり、爆風が土煙を巻き上げる。
どちらも殺傷能力の低いこけ脅しの魔法。
その陰で錬金工房にオーガを収納し、スキルと魔力を剥奪して吐きだす。
手慣れた手順。
先程と同じように冒険者たちの視界を奪っている間に四体のオーガに止めとなる攻撃魔法を撃ちこんだ。
束の間の静寂。
土煙が晴れて視界が戻るとオーガの死体が人々の目にさらされる。
途端、空気を震わせるほどの歓声が上がった。
防壁の内と外とで歓声が上がりる。
「あんなスゲー魔法初めて見た!」
「スゲーぞ、あの小僧」
「坊や! 凄かったぞ!」
「あんた、いったい何者なんだ?」
歓声に続いて俺を讃える声援がそこかしこから上がる。
俺は腹の底から湧き上がる歓喜を抑えて、ユリアーナとロッテの二人と合流するため、バリケードの向こう側へと向かった。
46
新作です
どうぞよろしくお願いいたします。
下記リンクより飛べます
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
どうぞよろしくお願いいたします。
下記リンクより飛べます
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
お気に入りに追加
803
あなたにおすすめの小説

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる