夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有

文字の大きさ
上 下
14 / 65

第14話 盗賊襲撃

しおりを挟む
「さて、それじゃあ収納するか」

 部屋の隅で酔いつぶれている連中から収納していく。
 五人の男を収納したところで部屋を覗き込んでいたユリアーナがつぶやく

「気付かないものね」

「これからじゃないのか?」

 落胆している彼女にそう言って、次のターゲットに狙いを定める。たったいま収納した男を探して、辺りをキョロキョロと見回している女だ。

 そんな女に一人の男が近付く。
 かなり酔っているようで足元が覚束ない様子だ。

「何だ、逃げられたのか? 代わりに俺が開いてしてやるよ」

「何であんたなんかと! お呼びじゃないんだよ!」

 半ば足をもつれさせて倒れ込んできた男を女が軽く突き飛ばす。
 その瞬間を待って女を収納する。

「あれ?」

 男はあたりを見回すと、隣で抱き合っている男女に聞く。

「なあ、ドロシーを知らねえか?」

「知らねぇよ! アランと奥にでもしけ込んだんじゃねえのか?」

「ドロシーがあんたなんか相手にする訳ないじゃん」

 男女の声が重なった。

「てめえら!」

 酔った男が立ち上がろうとして、再び尻もちを突いたタイミングで抱き合っていた男女を収納する。
 これで八人目。部屋にはあと十二人。

「消えた! 消えちまった!」

「何を寝ぼけてんだ?」

「そうとう酔っぱらってんな、こいつ」

 周りの男たちがからかいだした。

「酔ってないって。いや、酔っているけど、そこまで酔っちゃいねえよ!」

 抗弁するが取り合う者はいない。

「うるせえぞ!」

「少し外で頭を冷やしてきたらどうだい?」

「外の見張りと後退してこい!」

「人数が減ってる! 周りを見ろよ、何かおかしいって!」

 異変に気付いたのがお前で良かった。

「さっさと外に行きやがれ!」

 大柄な男に一喝されるとよろめきながら扉へと近付いてきた。そして、扉のこちら側へと倒れ込む。だが、男が地面に激突することはなかった。
 その直前に錬金工房へ収納したからだ。

 これで九人目。部屋にはあと十一人。

「おい、随分と奥にしけ込んでねえか?」

「確かに、おかしいぜ……」

「男だけでしけ込んだりしねえよな……」

 バカ騒ぎしていた連中の笑い声が消えた。

「さすがに半数近くが消えれば気付くか」

「男ばかり収納したのがまずかったわね。もう少し女も収納していれば、奥にしけ込んだと思ってもらえたかもね」

 それでも予定に変更はない。

「誰だ? 隠れてねえで出てきやがれ!」

 そう叫んだ男が辺りに注意を払いながら、立てかけてある剣へと手を伸ばした。

 次の瞬間、男の手が空を切る。
 男は剣があるはずの空間を振り向くと、驚いた表情を浮かべて動きを止めた。

 残念だったな、剣は錬金工房の中だよ。

 俺は目に付く範囲の武器と連中が装備している武器とを収納する。

「武器がねえ!」

「俺の剣もだ!」

 あちらこちらで、驚きの声が上がった。

「ちょっと、ナイフもないよ」

 女が自分の腰の辺り探って顔を蒼ざめさせる。

「武器庫だ! 奥に武器を取りに行くぞ!」

 駆けだした男を大勢の眼前で収納する。
 短い悲鳴が上がり、

「消えた!」

「何で消えたんだよ!」

「逃げろ! ここはヤバい!」

 盗賊たちがこちらに向かって駆けだした。恐怖の形相を浮かべた数人の男女が一目散に向かってくる。
 先頭の男が扉に手を駆けようとしたところで、扉ごと室内へと蹴り戻した。

「ウギャッ」

 先頭の男がおかしな悲鳴を上げ、後続の二人を巻き込む形で扉と一緒になって床の上を二度、三度と跳ねた。
 部屋のなかに一瞬の静寂が訪れたが、それを一際大柄な男の怒声が破る。

「誰だ、てめえら!」

神薙修羅かんなぎしゅら
しおりを挟む
新作です
どうぞよろしくお願いいたします。

下記リンクより飛べます
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
.:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:. .:*゚..:。:.
感想 7

あなたにおすすめの小説

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...