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第5章 長すぎる一日
16.終わり良ければ全て良し
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ミレーヌの話を聞いたシェリルは、焦りながら人気のない廊下を必死に駆け抜けて行った。
(うわ……、やっぱり二人には、相当心配をかけたのよね? ごめんなさい!)
そして頭の中で色々と謝罪の言葉を考えているうちにあっという間に後宮の入口に到達し、ここでも近衛兵が警備していたものの、シェリル達が王宮にやって来てから、急遽ミレーヌの命で設置された猫専用の出入り口から、誰にも知られる事無く建物内に難無く侵入できた。そして走る速度はそのままに、自室へと辿り着く。そのドアの前で深呼吸して気持ちを落ち着かせたシェリルは、自分が未だに術式で姿を消している事を思い出した。
(ええと、見えないまま謝ったりしても駄目よね。却って失礼だわ)
そこで術式を解除して自分の姿を見える様にしてから、重厚な作りのドアを少し強めに前脚でトントンと叩きつつ、思いきり中に向かって呼びかけてみた。
「すみません! 帰りがこんなに遅くなってごめんなさい、リリス、ソフィアさん。ここを開けて下さ~い!」
しかしすぐに反応があると思いきや、ドア付近は静まり返っており、シェリルは首を捻った。そして困ってしまった彼女は、先程よりドアに体を寄せ、体重をかけて力一杯ドアを叩き出す。
「あ、あれ? 二人とも奥の方に居るのかしら? 困ったわ……。ソフィアさん! リリス! 開~け~て~! ぶぎゃっ!!」
「姫様っ!! お戻りになったんですか!?」
「あら? シェリル様の声がしたと思ったのに、幻聴だったの?」
バタバタと足音が聞こえたと思った次の瞬間、物凄い勢いでドアが左右に開かれ、シェリルはそれに顔を強打されてゴロゴロと転がった。しかし転がった先がちょうどドアの陰になり、血相を変えて中から飛び出して来た二人に気付いて貰えなかった為、ヨロヨロとドアを回り込んで二人の視界に入り込む位置まで移動し、痛む鼻先を押さえながらうずくまって帰還の挨拶をする。
「……リ、リリス、ソフィアさん。……た、ただいま」
その姿を一瞬ポカンとしながら見下ろした二人は、次の瞬間勢い良く廊下に座り込み、真っ青になってシェリルを抱き上げた。
「きゃあぁっ! 姫様、大丈夫ですか!?」
「すみません! そう言えば猫のお姿のままなのに、私ったら思いっきり扉を押し開けてしまって!」
「だ、大丈ぶっ!!」
そこで感極まったリリスがシェリルを抱き締め、そんなリリスをソフィアが抱き締めながら二人揃って盛大に泣き出してしまった為、シェリルは二人の身体に挟まれた格好で、呻き声を上げた。
「うわぁぁぁん! 姫様がご無事で良かったぁぁっ!!」
「本当ですぅぅっ! 犬に食われたか鳥に頭をつつかれて、血まみれで倒れているんじゃないかと心配しましたぁぁっ!」
「……ご、ごめ……、しん、ぱ……」
「本当に、私達生きた心地がしなくてぇぇっ!」
「公爵様から、くれぐれも丁重にお世話する様にと、言いつかって参りましたのに!」
そして少しの間、グスグスと泣き続けた二人は、ふと腕の中のシェリルが静か過ぎる事に気が付いた。
「あら? 姫様?」
「どうかされました? ……って!? リリス、大変よ! 姫様が!?」
「きゃあぁぁぁっ! 姫様、しっかりして下さい!!」
全身を圧迫されて呼吸困難に陥った挙句、見事に気を失ってしまったシェリルに気付いたリリスとソフィアは、彼女を激しく揺さぶりながら再度甲高い悲鳴を上げたのだった。
「……それで、“これ”なわけですね?」
「はい。誠に申し訳ありません。その後すぐに意識は取り戻されたのですが」
「押し潰す事は無かったものの、一気に疲れが出てしまわれたみたいで。姫様は、エリーシア様がお部屋に戻られるまで、寝ないで待っていると仰られていたのですが」
大広間での騒ぎに何とか収拾をつけ、宰相と魔術師長に大まかな報告を済ませて自室に戻って来たエリーシアは、リリスとソフィアに平身低頭で出迎えられた。一瞬何事かと思ったものの、シェリルが戻って来た時のあらましを聞いて、ベットに横たわって一人すやすやと寝息を立てている義妹を見下ろしながら苦笑いを漏らす。
「構いません。今日一日シェリルが突発的に行方不明になっていたのは、王妃様から伺いましたし。お二人にも随分ご心配おかけしたみたいで、申し訳ありませんでした。それとこの間、シェリルの面倒を見て頂いて、ありがとうございました」
エリーシアが微笑んで頭を下げると、二人も慌てて再度頭を下げた。
「とんでもありません。これが仕事ですので」
「こちらこそ、楽しく過ごさせて頂きました」
「それなら良かったです」
ソフィアはエリーシアが調査に出るのと入れ違いにファルス公爵家から派遣されて来た為、二人の面識は無かったが、互いに十分信頼に値する人物であると見て取って笑顔を交わし合った。そこでリリスが唐突に自分の仕事を思い出す。
「あ、エリーシアさん。もうお休みになりますか? お疲れだと思いますし。お風呂の支度を整えましょうか?」
「ええと……、その前にお茶を一杯だけ貰えますか? 実はお昼を食べた後、絨毯を飛ばして駆けずり回ってて、お夕飯も食べそびれちゃって」
「あの……、『絨毯を飛ばして駆けずり回ってて』って、どう言う意味ですか?」
申し訳なさそうにエリーシアが口にした内容に、ソフィアがもの凄く変な顔をして問い返した。しかしリリスが明るく言い切る。
「きっとエリーシアさんは、今日一日大活躍だったんですよね? 姫様の冒険談も併せて、明日じっくりお伺いしたいです」
「分かったわ。面白いかどうかは分からないけど、洗いざらいお話しますね? あ、リリスさん達にもお土産を持って来たから」
「うわあ、楽しみ!」
途端に目を輝かせたリリスに、ソフィアは苦笑してからエリーシアに声をかけた。
「それでは私達は一度下がって、お茶とお風呂、それから夜着の支度をしてきますので」
「宜しくお願いします」
そうして二人が一礼して出て行き、寝室に取り残されたエリーシアは、相変わらずベッドで爆睡しているシェリルの横に座って、おかしそうに小声で笑った。
「随分頑張ってたみたいね、シェリル」
そう言いながら優しくシェリルの身体を撫でながら、乱暴に足を払って靴を脱ぎ捨てる。
「私も結構頑張っちゃったな~。基本的にのんびり過ごすのが、私のキャラだったのにね」
そして何となく埃っぽい服装のまま、シェリルの横にゴロリと横たわった。
「お休みも貰ったし、暫くはのんびりしましょうか。……まずは、準備ができるまでちょっとだけ」
そんな事を言いながら、シェリルの方に体を向けてぼんやりしていたエリーシアだったが、彼女が眠りに落ちるまで、ほんの僅かな時間しか要しなかった。
「エリーシアさん? 準備ができましたので……、あれ?」
「どうしたの? リリス。あら……」
準備を整えてエリーシアを呼びに来た二人だったが、寝室の中に小声で呼びかけても反応が無かった為、室内を覗き込んだ。すると寄り添うようにして、一つのベッドで熟睡している一人と一匹を認めて、思わず笑いを漏らす。
「やっぱりエリーシアさんも、お疲れだったみたいですね」
「そうね。このまま寝かせてあげましょう。明日の朝食は遅めにね」
「分かりました。というか、起きるまで寝せて差し上げて、昼食を兼ねてお出ししましょう」
「その方が良いわね」
顔を見合わせ、あっさりと意見を一致させたリリスとソフィアは、主の眠りを妨げる事の無い様、慎重に扉を閉めてその場を立ち去ったのだった。
(うわ……、やっぱり二人には、相当心配をかけたのよね? ごめんなさい!)
そして頭の中で色々と謝罪の言葉を考えているうちにあっという間に後宮の入口に到達し、ここでも近衛兵が警備していたものの、シェリル達が王宮にやって来てから、急遽ミレーヌの命で設置された猫専用の出入り口から、誰にも知られる事無く建物内に難無く侵入できた。そして走る速度はそのままに、自室へと辿り着く。そのドアの前で深呼吸して気持ちを落ち着かせたシェリルは、自分が未だに術式で姿を消している事を思い出した。
(ええと、見えないまま謝ったりしても駄目よね。却って失礼だわ)
そこで術式を解除して自分の姿を見える様にしてから、重厚な作りのドアを少し強めに前脚でトントンと叩きつつ、思いきり中に向かって呼びかけてみた。
「すみません! 帰りがこんなに遅くなってごめんなさい、リリス、ソフィアさん。ここを開けて下さ~い!」
しかしすぐに反応があると思いきや、ドア付近は静まり返っており、シェリルは首を捻った。そして困ってしまった彼女は、先程よりドアに体を寄せ、体重をかけて力一杯ドアを叩き出す。
「あ、あれ? 二人とも奥の方に居るのかしら? 困ったわ……。ソフィアさん! リリス! 開~け~て~! ぶぎゃっ!!」
「姫様っ!! お戻りになったんですか!?」
「あら? シェリル様の声がしたと思ったのに、幻聴だったの?」
バタバタと足音が聞こえたと思った次の瞬間、物凄い勢いでドアが左右に開かれ、シェリルはそれに顔を強打されてゴロゴロと転がった。しかし転がった先がちょうどドアの陰になり、血相を変えて中から飛び出して来た二人に気付いて貰えなかった為、ヨロヨロとドアを回り込んで二人の視界に入り込む位置まで移動し、痛む鼻先を押さえながらうずくまって帰還の挨拶をする。
「……リ、リリス、ソフィアさん。……た、ただいま」
その姿を一瞬ポカンとしながら見下ろした二人は、次の瞬間勢い良く廊下に座り込み、真っ青になってシェリルを抱き上げた。
「きゃあぁっ! 姫様、大丈夫ですか!?」
「すみません! そう言えば猫のお姿のままなのに、私ったら思いっきり扉を押し開けてしまって!」
「だ、大丈ぶっ!!」
そこで感極まったリリスがシェリルを抱き締め、そんなリリスをソフィアが抱き締めながら二人揃って盛大に泣き出してしまった為、シェリルは二人の身体に挟まれた格好で、呻き声を上げた。
「うわぁぁぁん! 姫様がご無事で良かったぁぁっ!!」
「本当ですぅぅっ! 犬に食われたか鳥に頭をつつかれて、血まみれで倒れているんじゃないかと心配しましたぁぁっ!」
「……ご、ごめ……、しん、ぱ……」
「本当に、私達生きた心地がしなくてぇぇっ!」
「公爵様から、くれぐれも丁重にお世話する様にと、言いつかって参りましたのに!」
そして少しの間、グスグスと泣き続けた二人は、ふと腕の中のシェリルが静か過ぎる事に気が付いた。
「あら? 姫様?」
「どうかされました? ……って!? リリス、大変よ! 姫様が!?」
「きゃあぁぁぁっ! 姫様、しっかりして下さい!!」
全身を圧迫されて呼吸困難に陥った挙句、見事に気を失ってしまったシェリルに気付いたリリスとソフィアは、彼女を激しく揺さぶりながら再度甲高い悲鳴を上げたのだった。
「……それで、“これ”なわけですね?」
「はい。誠に申し訳ありません。その後すぐに意識は取り戻されたのですが」
「押し潰す事は無かったものの、一気に疲れが出てしまわれたみたいで。姫様は、エリーシア様がお部屋に戻られるまで、寝ないで待っていると仰られていたのですが」
大広間での騒ぎに何とか収拾をつけ、宰相と魔術師長に大まかな報告を済ませて自室に戻って来たエリーシアは、リリスとソフィアに平身低頭で出迎えられた。一瞬何事かと思ったものの、シェリルが戻って来た時のあらましを聞いて、ベットに横たわって一人すやすやと寝息を立てている義妹を見下ろしながら苦笑いを漏らす。
「構いません。今日一日シェリルが突発的に行方不明になっていたのは、王妃様から伺いましたし。お二人にも随分ご心配おかけしたみたいで、申し訳ありませんでした。それとこの間、シェリルの面倒を見て頂いて、ありがとうございました」
エリーシアが微笑んで頭を下げると、二人も慌てて再度頭を下げた。
「とんでもありません。これが仕事ですので」
「こちらこそ、楽しく過ごさせて頂きました」
「それなら良かったです」
ソフィアはエリーシアが調査に出るのと入れ違いにファルス公爵家から派遣されて来た為、二人の面識は無かったが、互いに十分信頼に値する人物であると見て取って笑顔を交わし合った。そこでリリスが唐突に自分の仕事を思い出す。
「あ、エリーシアさん。もうお休みになりますか? お疲れだと思いますし。お風呂の支度を整えましょうか?」
「ええと……、その前にお茶を一杯だけ貰えますか? 実はお昼を食べた後、絨毯を飛ばして駆けずり回ってて、お夕飯も食べそびれちゃって」
「あの……、『絨毯を飛ばして駆けずり回ってて』って、どう言う意味ですか?」
申し訳なさそうにエリーシアが口にした内容に、ソフィアがもの凄く変な顔をして問い返した。しかしリリスが明るく言い切る。
「きっとエリーシアさんは、今日一日大活躍だったんですよね? 姫様の冒険談も併せて、明日じっくりお伺いしたいです」
「分かったわ。面白いかどうかは分からないけど、洗いざらいお話しますね? あ、リリスさん達にもお土産を持って来たから」
「うわあ、楽しみ!」
途端に目を輝かせたリリスに、ソフィアは苦笑してからエリーシアに声をかけた。
「それでは私達は一度下がって、お茶とお風呂、それから夜着の支度をしてきますので」
「宜しくお願いします」
そうして二人が一礼して出て行き、寝室に取り残されたエリーシアは、相変わらずベッドで爆睡しているシェリルの横に座って、おかしそうに小声で笑った。
「随分頑張ってたみたいね、シェリル」
そう言いながら優しくシェリルの身体を撫でながら、乱暴に足を払って靴を脱ぎ捨てる。
「私も結構頑張っちゃったな~。基本的にのんびり過ごすのが、私のキャラだったのにね」
そして何となく埃っぽい服装のまま、シェリルの横にゴロリと横たわった。
「お休みも貰ったし、暫くはのんびりしましょうか。……まずは、準備ができるまでちょっとだけ」
そんな事を言いながら、シェリルの方に体を向けてぼんやりしていたエリーシアだったが、彼女が眠りに落ちるまで、ほんの僅かな時間しか要しなかった。
「エリーシアさん? 準備ができましたので……、あれ?」
「どうしたの? リリス。あら……」
準備を整えてエリーシアを呼びに来た二人だったが、寝室の中に小声で呼びかけても反応が無かった為、室内を覗き込んだ。すると寄り添うようにして、一つのベッドで熟睡している一人と一匹を認めて、思わず笑いを漏らす。
「やっぱりエリーシアさんも、お疲れだったみたいですね」
「そうね。このまま寝かせてあげましょう。明日の朝食は遅めにね」
「分かりました。というか、起きるまで寝せて差し上げて、昼食を兼ねてお出ししましょう」
「その方が良いわね」
顔を見合わせ、あっさりと意見を一致させたリリスとソフィアは、主の眠りを妨げる事の無い様、慎重に扉を閉めてその場を立ち去ったのだった。
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