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第4章 思惑渦巻く王宮
2.王宮の片隅で
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来客が途切れ、一息入れて貰おうとリリスがお茶を差し出したが、シェリルはその横に突っ伏し、心からの叫びを上げた。
「うあぁぁぁっ! もう駄目ぇぇぇっ! 猫になりたいぃぃぃーっ! この一週間、猫の姿になるのは寝る時だけだなんて、絶対絶対有り得ないからーっ!!」
少々錯乱気味のその叫びを耳にしたリリスが、思わずしみじみと同情する口調で呟く。
「姫様……、なんか色々な意味で煮詰まってますね。ご要望が『暴れたい』とか『やけ酒を飲みたい』とかだったら、何とかして差し上げない事もないんですが……」
「何を言っているんですか。どちらも駄目に決まっているでしょう!」
「……はい、女官長」
いつの間にか部屋に入って来ていたカレンによって、鋭い口調で叱責されたリリスは、小さく肩を縮こまらせた。その声に、シェリルがのろのろと情けない顔を上げる。
「……カレンさん」
「姫様、お茶を飲んだら、またお客様をお呼びしますね。今度はプレデンス伯爵に、マグノ侯爵夫人です。二人は実の兄妹で、母方のご実家がノバルシュ侯爵家です。王妃様、レイナ様、それぞれの侍女達からの情報を重ね合わせると、この一週間でだいぶ貴族の色分けが進みました」
カレンは次の客人の基本情報をシェリルに再確認させつつ、にこやかにこの間の成果を述べたが、自分の予想と異なっていたスケジュールに、シェリルは怪訝な顔になって問い返した。
「あの……、今日は確か、午後からは地理の勉強の時間じゃなかったんですか?」
その問いに、カレンは笑顔のまま事も無げに告げる。
「ああ、それなら講師役のグラーデン殿が、『暫くは周囲が騒がしくて落ち着かないでしょうから、勉強に集中できる環境になってから講義を再開しましょう』と仰って下さいまして」
「……え?」
その説明を聞いてシェリルは愕然とした表情になったが、カレンはそれは見なかった事にして説明を続けた。
「他の先生方も同様に仰って下さいまして、この騒動が落ち着くまでは、お勉強の時間は無しとなります。良かったですね、シェリル様」
「そんな……」
「シェリル様、どうしたんですか?」
愕然とした表情になったシェリルがうなだれると、リリスが不思議そうに彼女に声をかけた。すると泣き出す寸前の様な、情けない声が聞こえてくる。
「今日はお勉強の時間を、朝から心待ちにしてたのに……。今だったら歴史でも地理でも礼儀作法でも、一日ぶっ続けてやる事になっても文句は言わないわ……」
そんな紛れもない本心からの言葉に、リリスは心底同情し、カレンは容赦なく追い討ちをかけた。
「そうですか……、延々と狸親父どもの相手をする位なら、お勉強してる方が遥かにマシなんですか……」
「なんて向上心溢れる、結構なお言葉でしょう。事が済んだ暁にも、同じお気持ちをお持ちになっていて下さいませ。……さあ、それでは次のお客様をご案内しますので、準備をお願いします」
「分かりました」
深い溜め息と共に顔を上げたシェリルだったが、ここでカレンがサラリと重要な事を付け加える。
「ああ、それから、明日は王妃様がお茶の席に、シェリル様と《自称》ラウール殿下をお招きする事になりましたので、そのおつもりで」
さり気なく《自称》の所に苦々しい響きを含ませながらカレンが告げたが、そこを突っ込む余裕など無く、シェリルは慌てて問い質した。
「え? ちょっと待って下さい、カレンさん! そんな話、初耳なんですけど!?」
「はい、今初めてお耳に入れましたから」
「入れましたからって……」
さすがにシェリルが絶句すると、少々気の毒に思ったらしいカレンが、優しく言い聞かせてきた。
「王妃様が実際に間近で実物を確認したいと思っても、自称ラウール殿下だけ呼びつけたら騒ぎ立てる馬鹿が多いでしょうから。それにシェリル姫が、王妃様に可愛がられているというアピールも含んだ措置ですわ。宜しくお願いします」
「そうですねぇ。個別に呼ぶよりは、シェリル様の口添えで同伴したという形にした方が、外野は騒ぎにくいですよね。シェリル様の王妃様への影響力も、さり気なく表されますし」
「直接顔を合わせるのは、もう少し先かと思ってたのに……」
カレン母娘の言い分は良く理解出来たが、自分の予想より前倒しになった事態に、シェリルはかなり気が重くなった。それは容易に察せられた為、カレン達は二人がかりで宥める。
「どのみち、いつかは顔を合わせる筈でしたから」
「王妃様主導でお話は進む筈ですから、そんなに心配されなくても大丈夫ですよ?」
「そうですね……」
(自分の偽者とご対面……。もの凄く微妙な心境だし、何を企んでるのか分からなくて怖いけど、頑張らないと)
シェリルはかなりの不安と困惑を抱えながらも、回避などできようもない事だと諦め、二人に向かって大人しく頷いてみせたのだった。
そして慌ただしく過ごすうちに夜も更け、シェリルとリリスはエリーシアの寝室へと移動した。そしてシェリルがドレスや下着を脱いでいる間に、リリスが棚の中に丸めてしまっておいた厚手の布を引き出し、床の上にそれを広げる。
「今日も1日お疲れ様でした、シェリル様。すぐに術をかけますね」
「お願い、リリス」
そして裸になったシェリルがシーツを身体に羽織っただけの状態で床に広げられた布の上に立つと、彼女から首輪を受け取ったリリスは、布と一緒にしまってあった用紙を棚から取り出し、そこに書かれてある呪文を慎重に唱え始めた。
「ええと……、ルード・シュレム・グレール・ケラスティ・ヴァン……」
エリーシアが術式を起動させる時より遥かに長い時間をかけ、リリスが呪文の詠唱を終えると、予め布に記載されてあった術式が光り出し、瞬間的に爆発的な光量になってから、室内がいつも通りの明るさを取り戻した。それと同時に、布の上にはシーツの塊に潜り込む形になっている黒猫が布の隙間から顔を出し、リリスは安堵の溜め息を吐き出す。
「ふぅ、無事終了っと。後は首輪を付けなくちゃ」
そして猫の前で床に膝を付き、背中を向けた彼女の首に首輪を回して紐を結んで固定してから声をかける。
「お待たせしました、姫様」
その声と同時に前脚で首輪の中央のガラスに触れて術式を作動させたシェリルは、申し訳なさそうにリリスを振り仰いだ。
「毎日余計な事で、手間を取らせてごめんなさい、リリス」
「大した事ありません。逆に、私にもう少し魔術の心得が有れば、姫様を気軽に変身させてあげる事ができるのに、朝晩だけで申し訳ないです」
「そんな事気にしないで。朝晩本職の魔術師の人を呼びつける訳にいかないから、リリスに代行して貰ってるんだから」
互いに不毛な謝罪合戦になりそうな気配に、リリスはやや強引に話題を変えた。
「だけど、エリーシアさんって、女性なのに本当に凄腕の魔術師ですよね。こんな複雑な術式を瞬時に一から構築して呼び出せるだけじゃなく、起動させる詠唱呪文も十分の一以下に短縮できるなんて凄過ぎます。実際にやってみて、その凄さが実感できました」
「ここに来るまでは、それがそんなに凄い事だなんて、私、全然知らなかったわ」
シェリルが義姉を誉めて貰った事に対する照れくささと、自分の世間知らずっぷりを再認識して苦笑していると、リリスが笑顔のまま言葉を継いだ。
「姫様は、魔術師と言えばアーデン様とエリーシアさんだけしかご存知無いですからね。どちらも文句なく稀代の魔術師と言えますよ。だからなかなか連絡が無くても、心配要りませんからね?」
「リリス?」
「きっと調査の合間に、その土地の名所を見物したり、特産品を味わったりするのに忙しいんじゃないですか? エリーシアさんって、何事もとことん楽しんでしまうタイプみたいに見えますし」
ニコニコとしながら唐突にそんな事を言われたシェリルは面食らったが、すぐに彼女なりに自分を気遣ってくれた結果だと分かり、笑顔で調子を合わせた。
「……うん、そうね。お土産を山ほど持って帰って来そう。ありがとう、リリス」
「どういたしまして。それでは姫様、失礼します。ゆっくり休んで下さいね?」
「ええ、お休みなさい」
そしてお互いに笑顔で挨拶を交わしてからリリスはドアを閉めて立ち去り、シェリルはベッドに飛び乗って毛布に潜り込んだ。そして目を閉じて眠ろうとするが、日中の緊張がなかなか解けないせいか、容易に寝付けそうに無かった。そして無意識に小さく呟く。
「……エリー。やっぱりちょっと寂しいの」
物心付いた時から一緒に寝ていたエリーシアの不在に、一週間経過しても、慣れそうにないシェリルだった。
「うあぁぁぁっ! もう駄目ぇぇぇっ! 猫になりたいぃぃぃーっ! この一週間、猫の姿になるのは寝る時だけだなんて、絶対絶対有り得ないからーっ!!」
少々錯乱気味のその叫びを耳にしたリリスが、思わずしみじみと同情する口調で呟く。
「姫様……、なんか色々な意味で煮詰まってますね。ご要望が『暴れたい』とか『やけ酒を飲みたい』とかだったら、何とかして差し上げない事もないんですが……」
「何を言っているんですか。どちらも駄目に決まっているでしょう!」
「……はい、女官長」
いつの間にか部屋に入って来ていたカレンによって、鋭い口調で叱責されたリリスは、小さく肩を縮こまらせた。その声に、シェリルがのろのろと情けない顔を上げる。
「……カレンさん」
「姫様、お茶を飲んだら、またお客様をお呼びしますね。今度はプレデンス伯爵に、マグノ侯爵夫人です。二人は実の兄妹で、母方のご実家がノバルシュ侯爵家です。王妃様、レイナ様、それぞれの侍女達からの情報を重ね合わせると、この一週間でだいぶ貴族の色分けが進みました」
カレンは次の客人の基本情報をシェリルに再確認させつつ、にこやかにこの間の成果を述べたが、自分の予想と異なっていたスケジュールに、シェリルは怪訝な顔になって問い返した。
「あの……、今日は確か、午後からは地理の勉強の時間じゃなかったんですか?」
その問いに、カレンは笑顔のまま事も無げに告げる。
「ああ、それなら講師役のグラーデン殿が、『暫くは周囲が騒がしくて落ち着かないでしょうから、勉強に集中できる環境になってから講義を再開しましょう』と仰って下さいまして」
「……え?」
その説明を聞いてシェリルは愕然とした表情になったが、カレンはそれは見なかった事にして説明を続けた。
「他の先生方も同様に仰って下さいまして、この騒動が落ち着くまでは、お勉強の時間は無しとなります。良かったですね、シェリル様」
「そんな……」
「シェリル様、どうしたんですか?」
愕然とした表情になったシェリルがうなだれると、リリスが不思議そうに彼女に声をかけた。すると泣き出す寸前の様な、情けない声が聞こえてくる。
「今日はお勉強の時間を、朝から心待ちにしてたのに……。今だったら歴史でも地理でも礼儀作法でも、一日ぶっ続けてやる事になっても文句は言わないわ……」
そんな紛れもない本心からの言葉に、リリスは心底同情し、カレンは容赦なく追い討ちをかけた。
「そうですか……、延々と狸親父どもの相手をする位なら、お勉強してる方が遥かにマシなんですか……」
「なんて向上心溢れる、結構なお言葉でしょう。事が済んだ暁にも、同じお気持ちをお持ちになっていて下さいませ。……さあ、それでは次のお客様をご案内しますので、準備をお願いします」
「分かりました」
深い溜め息と共に顔を上げたシェリルだったが、ここでカレンがサラリと重要な事を付け加える。
「ああ、それから、明日は王妃様がお茶の席に、シェリル様と《自称》ラウール殿下をお招きする事になりましたので、そのおつもりで」
さり気なく《自称》の所に苦々しい響きを含ませながらカレンが告げたが、そこを突っ込む余裕など無く、シェリルは慌てて問い質した。
「え? ちょっと待って下さい、カレンさん! そんな話、初耳なんですけど!?」
「はい、今初めてお耳に入れましたから」
「入れましたからって……」
さすがにシェリルが絶句すると、少々気の毒に思ったらしいカレンが、優しく言い聞かせてきた。
「王妃様が実際に間近で実物を確認したいと思っても、自称ラウール殿下だけ呼びつけたら騒ぎ立てる馬鹿が多いでしょうから。それにシェリル姫が、王妃様に可愛がられているというアピールも含んだ措置ですわ。宜しくお願いします」
「そうですねぇ。個別に呼ぶよりは、シェリル様の口添えで同伴したという形にした方が、外野は騒ぎにくいですよね。シェリル様の王妃様への影響力も、さり気なく表されますし」
「直接顔を合わせるのは、もう少し先かと思ってたのに……」
カレン母娘の言い分は良く理解出来たが、自分の予想より前倒しになった事態に、シェリルはかなり気が重くなった。それは容易に察せられた為、カレン達は二人がかりで宥める。
「どのみち、いつかは顔を合わせる筈でしたから」
「王妃様主導でお話は進む筈ですから、そんなに心配されなくても大丈夫ですよ?」
「そうですね……」
(自分の偽者とご対面……。もの凄く微妙な心境だし、何を企んでるのか分からなくて怖いけど、頑張らないと)
シェリルはかなりの不安と困惑を抱えながらも、回避などできようもない事だと諦め、二人に向かって大人しく頷いてみせたのだった。
そして慌ただしく過ごすうちに夜も更け、シェリルとリリスはエリーシアの寝室へと移動した。そしてシェリルがドレスや下着を脱いでいる間に、リリスが棚の中に丸めてしまっておいた厚手の布を引き出し、床の上にそれを広げる。
「今日も1日お疲れ様でした、シェリル様。すぐに術をかけますね」
「お願い、リリス」
そして裸になったシェリルがシーツを身体に羽織っただけの状態で床に広げられた布の上に立つと、彼女から首輪を受け取ったリリスは、布と一緒にしまってあった用紙を棚から取り出し、そこに書かれてある呪文を慎重に唱え始めた。
「ええと……、ルード・シュレム・グレール・ケラスティ・ヴァン……」
エリーシアが術式を起動させる時より遥かに長い時間をかけ、リリスが呪文の詠唱を終えると、予め布に記載されてあった術式が光り出し、瞬間的に爆発的な光量になってから、室内がいつも通りの明るさを取り戻した。それと同時に、布の上にはシーツの塊に潜り込む形になっている黒猫が布の隙間から顔を出し、リリスは安堵の溜め息を吐き出す。
「ふぅ、無事終了っと。後は首輪を付けなくちゃ」
そして猫の前で床に膝を付き、背中を向けた彼女の首に首輪を回して紐を結んで固定してから声をかける。
「お待たせしました、姫様」
その声と同時に前脚で首輪の中央のガラスに触れて術式を作動させたシェリルは、申し訳なさそうにリリスを振り仰いだ。
「毎日余計な事で、手間を取らせてごめんなさい、リリス」
「大した事ありません。逆に、私にもう少し魔術の心得が有れば、姫様を気軽に変身させてあげる事ができるのに、朝晩だけで申し訳ないです」
「そんな事気にしないで。朝晩本職の魔術師の人を呼びつける訳にいかないから、リリスに代行して貰ってるんだから」
互いに不毛な謝罪合戦になりそうな気配に、リリスはやや強引に話題を変えた。
「だけど、エリーシアさんって、女性なのに本当に凄腕の魔術師ですよね。こんな複雑な術式を瞬時に一から構築して呼び出せるだけじゃなく、起動させる詠唱呪文も十分の一以下に短縮できるなんて凄過ぎます。実際にやってみて、その凄さが実感できました」
「ここに来るまでは、それがそんなに凄い事だなんて、私、全然知らなかったわ」
シェリルが義姉を誉めて貰った事に対する照れくささと、自分の世間知らずっぷりを再認識して苦笑していると、リリスが笑顔のまま言葉を継いだ。
「姫様は、魔術師と言えばアーデン様とエリーシアさんだけしかご存知無いですからね。どちらも文句なく稀代の魔術師と言えますよ。だからなかなか連絡が無くても、心配要りませんからね?」
「リリス?」
「きっと調査の合間に、その土地の名所を見物したり、特産品を味わったりするのに忙しいんじゃないですか? エリーシアさんって、何事もとことん楽しんでしまうタイプみたいに見えますし」
ニコニコとしながら唐突にそんな事を言われたシェリルは面食らったが、すぐに彼女なりに自分を気遣ってくれた結果だと分かり、笑顔で調子を合わせた。
「……うん、そうね。お土産を山ほど持って帰って来そう。ありがとう、リリス」
「どういたしまして。それでは姫様、失礼します。ゆっくり休んで下さいね?」
「ええ、お休みなさい」
そしてお互いに笑顔で挨拶を交わしてからリリスはドアを閉めて立ち去り、シェリルはベッドに飛び乗って毛布に潜り込んだ。そして目を閉じて眠ろうとするが、日中の緊張がなかなか解けないせいか、容易に寝付けそうに無かった。そして無意識に小さく呟く。
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