猫、時々姫君

篠原 皐月

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第3章 シェリルのお披露目

1.水面下での交渉

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 その日、シェリルは唐突に宰相であるタウロンの訪問を受けた。
 一応、先触れはあったものの、猫の姿でのんびり寛いでいたシェリルはリリスに急かされて着替えを済ませ、予定時間ギリギリに居間に滑り込んだ。対するタウロンは来訪予定時間丁度に部屋を訪れ、手土産をリリスに渡してから、勧められた椅子に優雅な所作で腰を下ろす。

「本日はお忙しい中、お時間を取って頂き誠にありがとうございます、シェリル姫」
「いえ、大して忙しくもありませんでしたし、お気になさらず……」
 最初の挨拶を社交辞令で返したシェリルだったが、本音を言えば(今日は何も予定が無かったから、猫の姿のままお庭に散歩に行きたかった……)と恨み言の一つも漏らしたい気分だった。そんな彼女の心の中を読んだ様に、タウロンが窓の外に視線を向けながら、何気ない口調で告げる。

「本当に、今日は良い日和ですな。木漏れ日の漏れる枝の上でそよ風を受けながらお昼寝などされたら、さぞかし気持ち良く熟睡できるでしょう」
「はい、それはもう! ここのお庭には良く手入れがされて、枝振りが良い木が何本も」
 ついうっかり本音をダダ漏れさせてしまったシェリルが、慌てて口を噤んでタウロンの方を見やると、相手は穏やかな表情を浮かべたまま両眼を光らせ、軽く威嚇してきた。

「姫……。あなたのこれまでの境遇は十分理解していますし、心よりご同情申し上げますが、外聞を憚る言動はお慎み下さい。猫になるなとは申しませんが、節度を守って頂かないと困ります」
「……はい、気を付けます」
 項垂れて謝罪したシェリルを見て、少し離れた所に立っていたリリスは何か言いかけたが、タウロンの一睨みで口を噤んだ。そして室内に重苦しい空気が立ち込めたが、ここでその諸悪の根源であるタウロンが、表情を和らげつつシェリルに声をかける。

「ところで、今日こちらにお伺いした理由ですが、そろそろ姫のお披露目の場を設けたいと考えております」
「お披露目、ですか?」
「はい、具体的には夜会の場で、主立った貴族達に紹介するという形になりますが」
「はあ……、そうですか」
 今一つ実感に欠けるシェリルが生返事で応じると、タウロンが急に目つきを鋭くして申し出た。

「それでその開催までに、姫には是非ともこなして頂く必要がある事柄がございます」
「え? な、なんでしょうか?」
「貴族名鑑の暗記とダンスです」
「……はい?」
 急に気迫に満ちた眼差しを向けられ、密かに怯えながら問い返したシェリルだったが、予想外の単語を耳にして面食らった。そんな彼女の戸惑いは想定内とでも言う様に、タウロンが淡々と詳細を説明する。

「その夜会で全く予備知識なしに皆様と応対するなど、礼儀に反します。最低限名前と爵位と領地名と家族構成に容貌程度は、頭に入れておいて頂きます。更に最初のダンスは王族の方が行うのが前提ですから、これまでは陛下やレオン様が王妃様やミリア様相手になさっていましたが、今回はレオン様とシェリル様のお二人で踊って頂きますので、練習を宜しくお願いします」
 形は一応依頼するものだったが、にこやかにほほ笑んでいるタウロンの目は全く笑っておらず、暗に(王家の恥にならない様、しっかりご精進下さい)と厳命しているものだった。それを容易に察したシェリルの顔が盛大に引き攣る。

「あ、あの……、因みに、貴族名鑑と言うのは、どれ位の分量で……」
 戸惑った声のシェリルに、タウロンは自分の横に無造作に置いておいた、紐で綴った用紙の束を取り上げ、二人の間に置かれていたテーブルに乗せた。
「取り敢えずこれ位ですね。一応無理が無い様に、こちらで厳選しておきましたので、宜しくお願いします。ダンスの教師については、こちらで手配致しますので、ご安心下さい」
「ありがとう、ございます」
「それでは失礼致します」
 どうやら宰相業務はそれなりに忙しいらしく、タウロンはシェリルにリストを渡すと、用件は済んだとばかりにあっさりと辞去していった。その途端シェリルはぐったりとして身体を捻りつつソファーに突っ伏したが、近寄って来たリリスが興味津々にリストを取り上げ、パラパラと捲って眺めてから、彼女に慰めの言葉をかける。

「姫様、元気を出して下さい! タウロン様も鬼じゃありません。このリストは厳選してますから、覚えやすいですよ? 楽勝楽勝」
 そんな事を明るく保証したリリスに、シェリルはもぞもぞと上半身を起こしながら尋ねた。
「リリスは、それに載っている人達を知っているの?」
「はい、一応家が伯爵家ですから、最低限のお付き合いをする上でそれらの知識は必要ですし。それに父が近衛軍の総司令官なんかを拝命してますから、軍関係方面の知り合いも必然的に増えてるんですよね。親の交流関係が広いのも、良し悪しです」
「……やっぱり良いお家のお嬢様だったのね」
 思わずシェリルが遠い目をすると、リリスはそんな彼女を励ます様に声を張り上げた。

「さあ、グズグズしてたら間に合いませんよ? 早速、暗記を始めましょう!」
「ええ!? お散歩に行きたかったのに!!」
「そんなのは後です、後!」
 そして涙目でシェリルが貴族年鑑の暗記に取り掛かった頃、王宮の執務棟では、ランセルが執務の合間の休憩時間を使って、ジェリドと顔を合わせていた。
 普段、公私混同はしない甥から申し出を受けた為、ミレーヌとレオンが同席する予定のお茶の席に彼を招いたのだったが、挨拶もそこそこに持ち出された話題に、途端に渋面になる。

「……婚約、だと?」
「はい。私とシェリル姫との婚約を、認めて頂きたく」
「シェリルは王宮に迎え入れたばかりだぞ。そんな事まで考えていられるか」
「ですが、そうも言っていられない事情がありますので」
「事情? 何だそれは」
 素っ気なく却下した父にジェリドが食い下がるのを見て、レオンは不思議そうに口を挟んだ。そんな彼に一瞬顔を向けてからジェリドは再び主君に向き直り、真摯な顔で問いかける。

「父が『姫君を表に出せるようになったら、お披露目の為の夜会を開催しなければならない』と言っておりましたが、具体的に話が進んでおられるのですよね?」
 それにランセルは頷いて言葉を返した。
「ああ、シェリルもここの生活にだいぶ慣れてきたし、来月の半ばにはと、タウロンが心づもりをしている様だが」
「そうですね。私も彼からその様に話を聞いて、シェリルのドレスやその他諸々を揃えているところですわ」
「それで、その時には是非、姫のパートナー役を、私にお任せ頂けませんでしょうか?」
 ミレーヌの言葉に続いてジェリドが申し出た内容を聞いて、レオンは納得しつつ皮肉っぽく声をかける。

「……ああ、なるほど。そういう事か。お前独占欲が強すぎるぞ。シェリルが社交界デビューして変な虫が付く前に、さっさと婚約者の立場を確保しておこうって腹か」
「若干引っかかる物言いですが、その通りです」
「生憎だが、パートナーの件は認められん。婚約の件もだ」
 伯父でもある主君に再度すげなく却下されてしまい、流石にジェリドは不満そうな顔つきになった。
「陛下、私では姫の夫としてご不満ですか?」
 しかしその問い掛けに対するランセルの答えは、やや理性を欠いたものだった。

「シェリルは見つかったばかりなのに、早々に手放せるか! シェリルには一生私の傍に居て貰うんだ! 結婚どころか婚約だってさせるものか!」
「…………」
「……少し大人げないですわよ? 陛下」
 ランセルの錯乱気味の叫びを聞いたジェリドは憮然とし、ミレーヌは呆れ気味に溜め息を吐いた。しかしランセルは語気強く宣言する。

「とにかく、お前にシェリルのパートナーを任せる事はできん! それはレオンにさせる。レオン! シェリルに変な男を一瞬でも近付けたら、お前でも容赦せんぞ!!」
「……分かりました」
「このクソ親父……」
「何か言ったか? 」
「いえ、何でもございません」
 レオンがうんざりしながら了承した横で、ジェリドがぼそりと悪態を吐く。それをギロリとランセルが睨み付けたが、彼はそれを平然と受け流した。そこでミレーヌが、唐突に口を挟んでくる。

「それではシェリルのエスコートはレオン殿にお願いするとして、あなたにはその夜会の時、エリーシアのパートナーをお願いしようと考えていたの。今日出向いて貰って、丁度良かったわ。引き受けて頂けないかしら?」
「はぁ? 何ですかそれは!」
「あの……、どうして私がその様な事を」
 途端にレオンが顔色を変え、ジェリドが怪訝な顔になったが、ミレーヌはさも当然といった風情で続けた。

「あら、ジェリド殿は不満なのかしら? でも、今までのシェリルの唯一の保護者で、一番彼女に近しいエリーシアに認めて貰えないと、シェリルとの結婚などできないのでは? 彼女は相当な腕前の魔術師ですし、王家に連なる人間への忠誠より、シェリルの意思や自らの意見を優先させると思うのだけど?」
 それを聞いたジェリドは、難しい顔で考え込む。

「つまり……、外堀を埋める意味でも、今のうちから彼女とより良い関係を築いておけと仰る?」
「シェリルがそういう場所に一人で参加するのは不安でしょうから、彼女にも出て貰おうと考えていますが、あの容姿では下手したらトラブルになりかねませんでしょう? だからしっかりガードして欲しいの。どうかしら」
 にこやかに申し出てきたミレーヌに、ジェリドは反論せずに素直に頷いた。

「畏まりました。エリーシア殿のパートナーの件、お引き受けいたします」
「良かったわ。お任せしますね」
 神妙な口調で申し出るジェリドと、それに鷹揚に頷いてみせるミレーヌを眺めたレオンは、一人渋面になって無言のまま、面白く無さそうに顔を背けた。
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